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絶滅した巨大ザメ「メガロドン」は体温を保つことのできる「恒温動物」だった可能性

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(著) (編集)

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 2300万年前から360万年前。古代の海で頂点の座にあった史上最大のサメ「メガロドン」は、魚でありながら、恒温動物だった可能性があるという。

 カリフォルニア大学ロサンゼルス校をはじめとする研究チームが、メガロドンの歯の成分を分析したところ、この巨大ザメは周囲の水温よりも7度体温を高く保てただろうことがわかったのだ。

 この体温維持機能は、メガロドンが頂点捕食者として世界中に広まるうえで、頼もしい武器になった。

 ところが皮肉なことに、時代が変わるとそれが弱点となり、彼らが絶滅する一因になったとも考えられるそうだ。

2026年3月15日更新:
「温血動物」を「恒温動物」、「冷血動物」を「変温動物」へと統一し、メガロドンが周囲の環境に左右されず、自らの代謝によって体温を維持していた性質について追記しました。

 この研究は『PNAS』(2023年6月26日付)に掲載された。

参考文献:
New analysis of tooth minerals confirms megalodon shark was warm-blooded
https://phys.org/news/2023-06-analysis-tooth-minerals-megalodon-shark.html

古代の海の最強の捕食者「メガロドン」

 絶滅種「メガロドン(Otodus megalodon)」は、約2300万~360万年前の前期中新世から鮮新世にかけて生息していた史上最大のサメだ。

 ネズミザメ科に分類されるが、同じグループに分類される現代最大のサメ「ホホジロザメ」の約3倍も大きいとされている。

 その巨大さは驚くべきもので、体長は15メートルにも達し(諸説あり)、もしその時代にシャチが存在していたのなら、ほんの数口で平らげることができた可能性がある

 メガロドンはその巨大さによって、まさに海の王者として君臨し、ほかの生物を圧倒していたのである。

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360万年前に絶滅したメガロドン / image credit:Alex Boersma/PNAS

ネズミザメ科の体温維持機能はメガロドンにもあったのか?

 メガロドンがサメということは、魚であるということだ。

 ほとんどの魚は「変温動物」だ。つまり周囲の温度によって体温が左右される。だから多くの魚の体温は、そのとき泳いでいる水の温度と同じだ。

 ところが、ネズミザメは周囲の水よりもいくらか体温を高く保つことができる。体温が代謝によって生じる熱によって維持されているからだ。その意味で「恒温動物」なのだという。

 ただし、哺乳類や鳥類ほど体温を調節する機能は高くない。そもそも体温を維持する仕組みが違うからだ。

 私たちの体温が一定に保たれているのは、脳の「視床下部」と呼ばれる部位がそれを調節しているからだ。

 一方、ネズミザメでは筋肉で生じた熱が逃げにくいような体の構造をしている。そのおかげで、水温よりも高く体温を保つことができる。

 では、同じネズミザメであるメガロドンもまた恒温動物だったのだろうか? 今回の研究によれば、そう分類していいほどの体温維持機能があったようなのだ。

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photo by iStock

歯の同位体でメガロドンの体温を調べる

 メガロドンが恒温動物だったらしいことをほのめかす証拠はいろいろある。

 だが、その決定的な証拠はない。というのも体温を維持する秘訣である構造(軟組織)はすぐに腐ってしまい、現代まで残らないからだ。

 そこで今回の研究チームは、化石として残されているメガロドンの歯に注目した。

 歯の主成分は「アパタイト」という水酸燐灰石で、そこには炭素原子と酸素原子が含まれている。どの原子でも言えることだが、これらの原子には同じ種類なのに”重さ”が違う「同位体」というものがある。

 歯にどの同位体がどれだけ含まれているかは、周囲の環境や食べていたものによって左右される。

 そしてメガロドンの研究者にとっては都合がいいことに、それは体温によっても影響を受ける。だから炭素原子と酸素原子の同位体を体温計として利用できるのだ。

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photo by iStock

メガロドンも体温を保つことができる恒温動物だった可能性

 とは言っても、ネズミザメには哺乳類や鳥類ほど強力な体温維持機能があるわけではない。

 水温よりほんの少し体温を高くできるだけだ。だから体温の影響は、同位体にそれほど強くは残らない。

 そこで研究チームは、メガロドンと同じ時代に生きていたほかのサメの同位体と比べてみることにした。

 もしもほかのサメよりメガロドンの体温の方が高かっただろう痕跡があるのなら、それはこの巨大ザメが恒温動物だったことを示す強力な証拠になる。

 そしてこの分析の結果、世界中から集められたメガロドンの歯はどれも、おそらくは体温を維持できただろうことを告げていたのだ。

 それによると、メガロドンは海水よりも7度体温を高く維持することができたと考えられるという。研究チームによれば、メガロドンを恒温動物に分類できる十分な体温維持機能であるという。

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photo by iStock

体温のせいで絶滅につながった可能性も

 こうした体温維持機能は、よりすばやく泳ぎ、冷たい水にも耐えられるなど、メガロドンが頂点捕食者として世界中に広がる手助けをしたと考えられる。

 ところが研究チームによると、有利だったはずのこの体温維持機能がかえって仇となり、メガロドンを破滅へと導いた可能性があるようだ。

 533万~258万年前の「鮮新世」では、地球全体が冷え、海の生態系が激変した。

 メガロドンのように高い体温を維持するためには、たっぷりと食べてエネルギーを補給する必要がある。

 だが生態系のバランスが崩れてしまった新しい時代では、これがメガロドンの弱点になったかもしれないのだ。

 そんな不利な状況において、メガロドンは時代により適応したホホジロザメのような新参者と競争しなければならなかった。

 その戦いの結末は、私たちが知っている通り。現在の地球の海に、かつての王者の姿はもうない。

References: New analysis of tooth minerals confirms megalodon shark was warm-blooded

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この記事へのコメント 24件

コメントを書く

  1. 20年前に化石即売会でメガロドンの
    歯の化石を一万円で買いました。
    復元した顎は300万だったような、、
    お買い得?

    • +4
  2. サメ好きにオススメの本が!
    瑞浪化石博物館が出してる
    化石博物館専報第五号
    瑞浪層群の化石サメ・エイ類
    1000円位?
    瑞浪で取れたサメ・エイの化石の
    写真が満載の本です!
    発行が1985年ですがまだ在庫有りでした。

    • +4
  3. 単純に餌の量の問題で絶滅したんじゃないかな
    氷河期ですら今の海と比較できないほど豊富な水産資源があったので
    大型のクジラにしても大量にいた
    大型の生き物が生きていくためのカロリー摂取が困難なり徐々に減り
    繫殖限界を下回り絶滅した可能性が一番高そう

    • -4
    1. >>3
      体温を高く保つ動物は、熱を発生させるために、同程度のサイズの体温を保たない動物よりずっと多くの食料を必要とするため、そういった餌の減少によって絶滅するリスクがより高い。
      「ところが研究チームによると、有利だったはずのこの体温維持機能がかえって仇となり、メガロドンを破滅へと導いた可能性があるようだ。」はこれが根底にある推定だ。

      • +3
  4. 同位体研究設備のない素人がただの石と似た化石を持っていても猫に小判です

    • -5
  5. >>  その戦いの結末は、私たちが知っている通り。現在の地球の海に、かつての王者の姿はもうない。
    この仄哀しさ諸行無常さを感じる言葉選び。こういう文章が読みたくてカラパイアに通っている

    • +5
  6. アフリカの子供「皮肉なものだな。お前たちは体温を上げすぎた」

    • -8
  7. 実はまだ深海にいるんじゃないか説があるんだよな
    鯨の死体に大きな咬み傷のついたものがたまに発見される
    その大きさが現状確認されているどの生物よりも大きいから生存が疑われてる

    • +1
  8. メガロドンは恒温動物だった

    サメではなかった
    哺乳類だった
    クジラと同じだった
    子供を育てていた

    こういうことだな

    • -3
    1. >>9
      するとクジラの祖先とされる鹿の子孫でもあると、、、

      • 評価
  9. そうは言うてもヒトよりはるかに長い期間繫栄している。

    • +6
  10. 『MEG ザ・モンスターズ2』は8/25公開

    絶対見てくれよな!🤲

    • +2
  11. 今は温血か冷血かより外温性か内温性で語る方にシフトしてると聞いた。
    どうも前者のくくりに収まるほど簡単な話じゃないけど、後者のくくりならざっくり分けられるみたいやね。

    • +3
  12. 高い体温を維持するだけの餌が得られずに滅んだとすると
    より高い体温のクジラは何で生き延びられたんだろう。
    餌をとる能力がメガロドンより優れてたってことかな。

    • +1
    1. >>15
      まず、生態ピラミッドにおいてより高い位置にいるほど食糧不足で絶滅する可能性が高くなる。AはBを食べ、BはCを食べ……という関係において、Aの生物量はBより多くなれないし、さらにBの生物量はCより多くなれないからだ。
      このため、プランクトン等を食べるヒゲクジラは、クジラや大型魚類を捕食していたメガロドンより食糧不足で絶滅する可能性がずっと低い。
      ハクジラについては、例えばメガロドンと同等以上のサイズで、メガロドン同様クジラや大型魚類を捕食していたと思われるリヴィアタンは絶滅している。より小さいハクジラ、例えばシャチ等は生き残っているが、それをいうとサメでもメガロドンより小さい強肉食性のサメも生き残っている。
      巨大な強肉食性のものが絶滅したというのはサメとクジラで同様のようだ。巨大なハクジラであるマッコウクジラは現代でも生息しているが、深海でダイオウイカを捕食することが知られており、上下方向にも幅広い「狩場」を持っていることがキーとなっているのかも知れない。

      • +3
  13. 近い種類のネズミザメもサケを追って北極近くまで北上するらしいし、メガロドンも似た感じだったのかも?

    • +1
  14. もっとデカいのが見つかったらギガロドンとかテラロドンとかペタロドンとか名付けられるのかな?

    • 評価
  15. >有利だったはずのこの体温維持機能がかえって仇となり、メガロドンを破滅へと導いた可能性があるようだ。

    根拠がないね

    恒温動物のクジラがメガロドンの時代に共存しているのにな

    • -3
    1. クジラと一言で言い切ってるけど、類レベルで恒温性を保っているクジラ類と、種レベルで恒温性を獲得したメガロドンとを、単に恒温性という一要素だけで引き比べて、根拠が無いと言い切るのは根拠が薄い

      • +2
  16. 哺乳類と鳥類は遺伝的に遠いので別々に内温性を獲得していることを考えると、軟骨魚類が内温性を持っていてもおかしくはないな

    • 評価

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