
image credit:Quintana Beach County Park/Facebook
アメリカ・テキサス州のメキシコ湾岸の海岸で6月9〜10日にかけて、数千匹という大量の魚の死骸が打ち上げられた。最も被害を受けた魚はニシン科に属するガルフ・メンハーデンだという。
この異様な状態が発生したのは、水温上昇によって水中の酸素濃度が低下したことが主な原因ではないかと、同州公園野生生物局は推測している。
ビーチで撤去作業が行われている間、ビーチを訪れたり海に入ったりしないよう勧告が出されていたが、作業はなんとか3日後に終了したようだ。
Crews clear tens of thousands of fish on beach in Brazoria Co.
大量の魚の死骸がビーチを埋め尽くす
6月9日から10日にかけて、テキサス州キンタナビーチ郡立公園から海岸を9.7キロほど下ったブライアンビーチの端近くで、魚の死骸が数千匹打ち上げられているのが発見された。この場所は、ブラゾス川の河口近くにあたる。一番被害を受けたのはニシン科のガルフ・メンハーデンだが、その中に混じってアカエイや小型のサメの死骸もあったという。
目撃者によって撮影された動画には、小魚の山がビーチを覆っている様子が捉えられている。
大量の魚が酸欠が引き起こした3つの要因
キンタナビーチ郡立公園当局者の生物学者チームは、自然現象や汚染によって引き起こされる魚や野生動物の死滅を調査したところ、水中にいかなる種類の化学物質も放出された形跡はなかった。だが、「低溶存酸素現象」が起きていることがわかった。つまり酸欠が魚の大量死を招いたのだ。
その背景には、3つの要因があると推測する当局のディレクター、ブライアン・フレイジアーさんは、次のように見解を述べている。
暖かい水は冷たい水ほど多くの酸素を保持できないため、水温が摂氏21度を超えると、ガルフ・メンハーデンが生き残るために十分な酸素を受け取ることが困難になります。さらに、フレイジアーさんは2つの要因を挙げた。
ここ最近は、最高気温が30度を超す日が続いていました。
メキシコ湾沿いのこの海域は浅くて、水温が高いです。浅い海はより早く温まるので、水温が上昇した海域に魚が閉じ込められた場合、酸素レベルが低すぎて安定性を維持できなくなり、低酸素症に陥ることになります。
そして、その状態では魚は不安定な行動をとり、酸素レベルがさらに枯渇します。
太陽光による光合成により、日中は溶存酸素が増加しますが、曇り空の存在は微細な植物プランクトンや大型藻類の光合成を妨げるため、水中が酸素不足になってしまいます。
また、酸素は空気が風や波を通じて水と混ざり合うことで水中に入りますが、過去数週間の海は穏やかでした。それも、水中が酸素不足となった要因の1つでしょう。
Tens of thousands of dead fish wash up on Texas coast
ガルフ・メンハーデン(学名:Brevoortia patronus)は、北アメリカの大西洋沿岸とメキシコ湾に生息する小型の魚で、体長は20cmほどだが最大で約40cmまで成長する。
群れで生活する彼らは、海水中の酸素レベルや水温などの環境条件に敏感だ。これらの条件が悪化すると、大量の魚が窒息し、海岸に打ち上げられることがあるという。
また、ガルフ・メンハーデンは商業的にも重要な種であり、オイルや魚粉の製造に使用されている。
数日かけて死骸の撤去作業が行われる
翌朝になっても、さらに多くの魚が浜に打ち上げられ、依然として水面に浮かんでいるのが目撃された。気温が上昇する夏、水中に十分な酸素がないと、魚は呼吸できなくなる。
こうした魚の大量死は、決して珍しくはなく、多くの場合、溶存酸素の低下は自然現象だと当局は説いている。
すべての魚を撤去するには、潮がさらに数メートル引く必要があり、大量の魚の死骸が浮かんだ海は細菌レベルが高いことから、キンタナビーチ郡立公園は、撤去作業が完了するまではビーチの訪問を控え、海に入らないように人々に勧告していた。
高い気温のなか、何千匹という魚の死骸に覆いつくされたビーチは、臭いも相当なものだっただろう。
しかし13日、ようやく撤去作業が終了したことがFacebookでシェアされた。
ちなみに、国立海洋大気庁の発表によると、メキシコ湾で最大の漁獲高を誇るガンフ・メンハーデンは、同海域で最も大きな漁獲量を誇る種ということだ。
References:Thousands of dead Menhaden fish wash ashore on Texas beach after suffocating due to a lack of oxygen in the warm and shallow Gulf of Mexico/ written by Scarlet / edited by parumo
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コメント
1.
2. 匿名処理班
もったいねーな
新鮮ほやほやな時期に打ち上げられてたら
家に持っていく人で大混雑になり、その日は
あちこちで焼いた魚の匂いが充満してたな
3. 匿名処理班
海底火山が爆発したら周囲が酸欠になるみたいなの見た記憶がある。
火山が多い海域の影響じゃないの。
4. 匿名処理班
キンタ○ビーチ郡立公園、、マ?
5. 匿名処理班
水温上昇なら食べられないな
冬に日本の海岸でも発生した、水温低下で凍死してすぐ打ち上げられたやつなら申し分なかったんだが
6. 匿名処理班
>>暖かい水は冷たい水ほど多くの酸素を保持できないため、水温が摂氏21度を超えると、ガルフ・メンハーデンが生き残るために十分な酸素を受け取ることが困難になります
ヤバいね、地球温暖化で海水温も上昇してる
魚でも絶滅する種が出るかもね
7.
8. 匿名処理班
赤潮でも起きたかな?
9. 匿名処理班
係員「すみません… エアーポンプの電源が落ちていました…」
10. 匿名処理班
>>2
せめて肥料にでも使えないのかな…?
11. 匿名処理班
ゴジラ退治のためにオキシジェンデストロイヤーでも使ったのかと思った
12. 匿名処理班
キンタマビーチに見えた
13. 匿名処理班
>>10
コンスタントに供給されるならともかく
一時的に肥料の種類を変えると作物の品質も変わってしまうから
やり難いんじゃなかろうか。
14. 匿名処理班
干物にしたら全部食えないのかな?
15. 匿名処理班
集めた死骸はある程度砕いてミンチにした後、沖合や磯場に海洋投棄すると海の仲間達が喜んでくれるかもしれないね
16. 匿名処理班
笑えないんだけど、予想以上にとんでもない量で笑ってしまった。
17.
18. 匿名処理班
地球温暖化ってこういうこともあるのか
日本ご飯なくなって死ぬじゃん