
本物の太陽フレアは、地球をいくつも飲み込めるほど巨大なものだが、今回作られたのは文庫本サイズのごく小さなものだ。
それでも太陽フレアを発生させるプラズマのループ構造が確認されるなど、その発生メカニズムの解明に重要な手がかりを与えてくれている。
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太陽の巨大な爆発現象「太陽フレア」
「太陽フレア」は、太陽表面で突然発生する巨大な爆発現象だ。太陽の表面には、重力でねじれた磁力線に沿って、プラズマの輪のような構造(コロナループ)が形成されている。
コロナループは太陽表面から10万キロ(地球2.5周分)も高く弧を描いており、普通はゆっくりと成長する。
ところが突如として弾けることがあり、このときに膨大なエネルギーを放出する。これが太陽フレアだ。
これによって放出されるプラズマの塊(コロナ質量放出)は、核兵器数十億個分ものエネルギーを持つ。それが地球に命中すれば、破壊的な地磁気嵐を引き起こすなど、人類社会にも甚大な影響がでる。
そのような凄まじい現象であるにもかかわらず、これまでのところコロナループから太陽フレアという大砲が発射される詳しい仕組みはあまりよくわかっていない。

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実験室で人工的なコロナループを作成、太陽フレアを作り出す
そこで米カリフォルニア工科大学の研究チームは、コロナループを人工的に作ってみることにした。『Nature Astronomy』(4月6日付)で発表された実験は、磁気を帯びたガスが充満した空間内に一対の電極で放電するというものだ。
すると電気がガスをイオン化(原子や分子が、電子を失ったり、得たりすること)し、2本の電極の間に"プラズマの糸"が作られた。糸はほんの一瞬だけループ状になり、やがて崩壊してミニフレアを発射したのである。

このときのループの長さは約20センチ。形成されたのはほんの10マイクロ秒(0.00001秒)だけだが、この間に消費された電力は、人口14万人の都市が同じ時間で消費するものに匹敵する。
また、このときの様子を毎秒1000万フレームで撮影したところ、ループはいくつもの糸が編まれたロープのような構造であることもわかったという。

ループは最初は安定しているが、エネルギーが過剰になるとらせん状にねじれ始める。すると、そのせいでプラズマの糸の1本が切れる。
これがほかのプラズマの糸にも負荷をかけ、それらも次々に切れる。そして、ついには完全に崩壊し、ミニフレアを放出するのだ。

太陽砲の発射エネルギーは急激な電圧の高まりか?
こうしたねじれは、本物のコロナループから太陽フレアが発生する際にも観察されているという。また今回の実験ではループが切れる瞬間、電圧の急激な高まりも検出されている。
もしも同じことが本物の太陽フレアでも起きているなら、「コロナ質量放出」という宇宙の大砲の発射エネルギーはこれが供給している可能性があるそうだ。
References:Laboratory Solar Flares Reveal Clues to Mechanism Behind Bursts of High-Energy Particles | www.caltech.edu / written by hiroching / edited by / parumo
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コメント
1. 匿名処理班
太陽を盗んだ男
2. 匿名処理班
太陽のフレアが実験で作ったフレアと同じかどうか(・・?)
3. 匿名処理班
>>2
同じかどうかちょっと太陽行ってきて
4. 匿名処理班
消費電力…
バックトゥザフューチャーのドクみたいなことやってるなぁ
5. 匿名処理班
電話帳クラスのものつくり動かした途端に地球上の電気を使う
車や製品が一気に停電起こし壊れたなんて落ちは嫌だ
6. 匿名処理班
どんな環境下でやった実験なのかがあんまり書かれてないけど再現出来そうにない重力とかは如何踏まえてるんだろう
7. 匿名処理班
計算したら1.4人が1秒で使う電力なのね…家庭用のブレーカーすら動作しないわ。
8. 匿名処理班
>>7
まぁ仮に1日で使う電力とかだったらリアルヤシマ作戦並みの設備用意する様な話だし、、、
9. 匿名処理班
コロナループのサイズが観測に適した大きさなの不思議
実際は直径10センチとかありそう
SDO見てると上下に三等分した位置の横線上(つまり2本)で活動が活発なのも不思議
ガスなら地球と同じで偏西風がーとか理由が考えられるけど、プラズマも同じ挙動するのか?、しそうだな
10. 匿名処理班
目悪いから実験室が美容室に
11. 匿名処理班
>>2
色々あるけど記事を読もう! そして理解しよう!
12. 匿名処理班
>>7
1人が1秒で使用する電力(エネルギー)は1kJ程度、これは100gの水を2℃温度上昇させる程度のものだ。1.4人の電力だとすれば1.4kJだから、100gの水を3℃上昇する程度となる。
しかし仕事率(一般的な機械の出力、単位W)は「エネルギー÷エネルギーを消費した時間」で求められるので、記事の疑似太陽フレアの仕事率は1.4万kWとなり、仕事率だけで見れば旅客機のジェットエンジンにも匹敵する。
13. 匿名処理班
>>1
ジュリィーーーーーーーーーーー!