この画像を大きなサイズで見るゾンビを恐れるのは、現代だけの話ではない。死体が蘇る(よみがえる)恐怖は昔から世界中にあり、不気味な埋葬儀式の誕生につながった。
生きている者にとって、死者が蘇って戻ってくるという恐怖は、世界共通に定着しが感情のようだ。かつて、死者が恐ろしいゾンビになるのを防ぐために、さまざまな埋葬儀式が生み出された。
ここでは世界各地でかつて実際に行われていた5つの儀式を見ていこう。
ゾンビを蘇らせないための世界5つの伝統でき儀式
昨今の埋葬では、人間の遺体を木々の栄養分にしたり、人間の遺体を堆肥に変えて土に還す「堆肥葬」など、自然に還元する流れが一般的になりつつある。
だが、死者が蘇るというゾンビ話の人気は衰えないようだ。
既知の最古の埋葬地にも、儀式的な重要性があったらしいことを考えると、人類は、太古の昔から死、そして死後になにが起こるのか、について常にいろいろと考えていたようだ。
1. 釘付け死体(トルコ)
古代ローマ人は、埋葬地でよく釘を使用した。釘は通常、棺の蓋を打ち付けるなど、実用的な目的で使われるものだ。
だが、トルコの火葬場で見つかった曲がった釘は、遺体を釘付けにして、よみがえらないようにするための、魔術的な防御の役目を果たしていたと考えられている。
確かに、こうした釘は、死者を守るための護符として広まった可能性はある。
だが、こうした釘がまだくすぶっている薪(変色の原因とされる)の上に置かれ、固まった石灰の層(これ自体も保護剤として機能する)に覆われて見つかったことを考えると、ゾンビ封じ込め対策なのではないかと、ベルギーの研究チームは次のように書いている。
釘とレンガのコンビは、死者を拘束するために考え出され、石灰の封印効果は、さまよい歩く死者への恐怖を暗示しているのにほかならない。
死因が外傷性の傷のせいか、まったくの謎なのか、伝染病や刑罰によるものなのかにかかわらず、死んだ者は報復の意図をはらんだまま埋葬され、生きている者は彼らがよみがえって戻ってくることを恐れていたようだ
2. 黄泉の国からよみがえりし亡霊(ギリシャ)
現代の形而上学的(現象的世界を超越した本体的なものや絶対的な存在者を、思弁的思惟や知的直観によって考究しようとする学問)な体系と生態学の間には、明確な境界線がある。
だが、古代ギリシャではこの境界線は曖昧だったようだで、死者が生者の間をうろつき回っているという考え方はごく当たり前の認識で、現存する多くの文献の中にも盛んに出てくる。
こうした生ける屍は、黄泉の国から戻ってきた「亡霊」として知られていた。ギリシャ人は、彼らを完全に抹殺するために多大な努力をした。
この画像を大きなサイズで見る死んだ者がゾンビになる道は無数にあった。生前、まわりから嫌われていたり、変わった人は、こうした亡霊になる運命にあったとされていた。
不吉とされる日に生まれたりしたら、いい未来はなかった。あなたがたまたま7番目に生まれた子どもだったら、それだけでゾンビになる未来が待っているいるのだ。
生きている間に幾多の苦難を乗り越えられたとしても、体にウジがわく事態になったら、亡霊になってしまうのだ。
シチリア南東部のギリシャの入植地で見つかった遺骨からは、遺体がよみがえるのを人々がどのように阻止しようとしたかがわかる。
遺体の頭と腕の上に大きな石臼を置いて押さえつけ、遺体が地上に戻ってくるのを封印したのだ。
ヨーロッパで一般的だった、遺体の顔を下にして埋葬するうつぶせ埋葬を行っていた証拠もある。もし、遺体がよみがえって動き初めても、地面の下へ向かって掘り進むしかないからだ。
この画像を大きなサイズで見る3. 顎が大きく開いた遺体(アイルランド)
亡霊は、ギリシャ帝国のシチリア入植地を歩き回っていただけではない。アイルランドにも出没した。
ここでは、8世紀に埋葬された2体の人骨が、口に大きな石を突っ込まれたままで発見された。1体は、石のせいで顎が脱臼してはずれていた。
アイルランド人は、遺体の胸や腕を釘で打ち付けるのではなく、口の中に石を置くほうが、悪霊が口から放たれるのを防ぐことができると信じていたのだ。
アイルランド、スライゴーにある技術研究所の考古学者クリス・リードは語る。
この画像を大きなサイズで見る口は死後、魂が肉体から離れるときの主要な出口だとみなされてきました。魂が口から遺体に戻ってきてよみがえる場合もあるし、悪霊が口から入って、死者を生き返らせることもあったようです
4. ゾンビの黙示録(イギリス)
アイリシュ海を越えたイギリスでは、石を使うことはなかった。2017年に行われた、137柱の骨の分析では、火葬、斬首、切断の証拠が見つかった。最初は食人が疑われたが、亡霊を封じ込めた痕跡だと結論づけられた。
この埋葬地は、ノース・ヨークシアの今は寂れてしまった廃村にあり、ここでは、2世紀以上にわたって、何度も人の遺体が切断されていたらしいことがわかった。
歯の分析から、彼らは地元の人間で、領土に侵入してきた外国人である可能性はなくなった。さらに当惑するのは、彼らの遺体は何世代にもわたって、共同の穴に投げ込まれていて、潜在的なゾンビ黙示録を予感させるような社会を暗示していたのだ。
研究者たちは、このケースを明確に解読するのは難しいと認めているが、増殖しつつあるゾンビたちをひとつの穴にまとめて閉じ込めておくのが、最強の封印力になる証拠を示していると考えている。
この画像を大きなサイズで見る5. 沈黙の塔(インド)
歴史は、西洋史の基礎となる教科書だと考えられている。ヘロドトスの5世紀の傑作は、ゾロアスター教の儀式であるダクマー(インドの鳥葬場)、つまり「沈黙の塔」の最初の引用文献となっている。
この塔は、土、火、水などの神聖な元素と遺体の接触を避けるために作られた小高い墓のことだ。
この画像を大きなサイズで見るその墓に遺体がさらされると、捕食者が墓に忍び寄り、または空から舞い降りて、遺体を食べる。まずはここがポイントだ。
こうした捕食者が、遺体の骨をきれいに食べつくすことで、ナスという悪魔に汚染される可能性を減らす。遺体から皮膚、筋肉、内臓がすっかりきれいになくなると、残った部分は中央の穴に投げ込まれて、完全に分解される。
ゾロアスターの教義によれば、霊界からの悪霊が地上に戻って来ないようにするために、墓穴や塔は最終的に破壊されなくてはならないという。
今日、イランのゾロアスター教徒は、遺体を埋葬または火葬する。
インドのパールシー族のゾロアスター教徒は、神聖な場所に建てた塔をいまだに使い続けている。
ハゲワシに食べさせるための遺体が至るところに放置される一方で、この捕食者の絶滅が危惧されている問題が深刻化している。
逆に遺体をゾンビ化させるための儀式を行っているところも
これまであげた儀式は、ゾンビが生きている者を脅かさないよう封じ込めるためのものだ。だが、ゾンビ化するための死者の埋葬についてはどうだろうか?
ハイチのブードゥー教の魔術師、ボコールはまさにこれを専門とする。
ボコールは、ハーブと人間や動物の体の部位でゾンビパウダーをブレンドする。これをゾンビにする人間に注入あるいは吹き矢で射る。
その人間は、急激に仮死状態になり、死亡宣告後にすぐに埋葬される。その後、ボコールが儀式を行い、”遺体”を掘り起こす。
また別の儀式が続き、仮死状態から覚めた遺体がゾンビ・カタブレ(肉体をもつゾンビ)としてよみがえると、ボコールは即座にゾンビの魂を封じ込める。
翌日、ボコールがコンコンブレ・ゾンビ(ゾンビのキュウリ)を投与する。これはよみがえった遺体を言葉と記憶を失った状態にする幻覚混合剤だ。
ゾンビはボコールの奴隷となり、農場の労働者や、建設作業員として働かされ、ボコールが死ぬまで囚われの身となる。
この画像を大きなサイズで見る上記のやり方とは違うが、現代でもこうした儀式の例がある。1980年代、クレアヴィウス・ナルシスは、18年前に埋葬されたはずなのに、自分の村に戻ってきた。
伝説のようだが、彼の妹アンジェリーナが、彼を正真正銘の兄だと確認した。
この事件がきっかけで、民族植物学者のウェイド・デイヴィスは、ハイチに何ヶ月も滞在して、人間のゾンビ化の謎を解明しようとした。
デイヴィスは、ボコールと親しくなり、ついに魔術師が使う”ゾンビパウダー”を手に入れた。
材料は、タランチュラ、トカゲ、ゴカイ、人骨、魚の干物で、この魚には、フグが持つ毒テトロドトキシンがたくさん含まれていたという。
毎年、何人かの日本人がフグを食べて死ぬように、ボコールによるいいかげんな投与で、ハイチの人も数人が死んでいるのだ。
デイヴィスは、日本の文献を詳しく調べ、危険を顧みない食通が、ナルシスと同じような方法で、仮死状態で埋葬された例を発見した。
フグの毒が適切な量なら、仮死状態になるだけで、それが一週間ほど続くという。つまり、ハイチ社会で村八分にされた人間は、畑でこき使われるゾンビにされてしまう可能性があるということだ。
References:5 ancient rituals to prevent zombies — and one to create them – Big Think / written by konohazuku / edited by / parumo















>>ゾンビの黙示録(イギリス)
>>火葬、斬首、切断の証拠が見つかった。
これだけ良くわからんなあ。
身近な人の遺体を損壊させるってのはめずらしい(天に還す火葬じゃないっぽいし)
それ以外は「そう考えちゃうよね」って納得できる風習なんだけど。
>>1
>身近な人の遺体を損壊させるってのはめずらしい
そうでもない気もする。
以前のカラパイアでも見たけど、
吸血鬼として蘇生するのを防ぐために首を切断して
足の間に頭部を安置するとか、
悪鬼として蘇生しても出歩けないように 大腿骨を切り離して
(埋葬当初でなく改葬時?)、胸の上にクロスさせて置く
といった埋葬法も、各地であったはず。
医学が未熟で意識不明を死亡認定しちゃって葬儀中に
棺桶の中で息を吹き返す事例が多かったんだろうね。
送る側は死んだつもりでいるから意識が戻った事が
喜びじゃなくて恐怖に変わっちゃう。
今でもまれに医療レベルが低めの国でよくあるし
先進国でもまれにある。
>>2
どっちかっていうと、医学知識が無いと
死後硬直で動いたり
着替えや納棺のはずみに肺から空気が漏れて声が出たり、
そういうのでビビるケースが多発したんじゃないかと。
まぁ、稀に長時間の仮死状態から本当に蘇生して、
循環不全による脳の酸欠で壊死部分が大きくて
人格が保たれるコンディションでなく、
「正体のない幽鬼」状態の事例もあったかも知れんが。
あと、土葬した死体の中に、諸々の条件が重なって
腐敗でなく偶然に屍蝋化やミイラ化した物があり、
改葬時にそれを発見すると
「仮眠中の吸血鬼!?」となったり。
焼けばええんよ
ごくまれに仮死状態から息を吹き返す人がいたんだろうな
そう考えると、医学が未発達だったから仕方ないのかもしれんが、それはそれでひどい話だ
日本では一晩様子を見てから荼毘に付したりするが
>>5
日本でも、江戸時代とかに死んで埋葬される為にもっていかれた寺で息を吹き返してあわてて逃げた、って話を聞いたことが
寺に放り込まれた時点で死んだ扱いなのでそのままあの世に行って貰いましょう、ってなるから
>>6
本来はリビングデッドの一種にすぎないゾンビを、リビングデッドの総称として使ってるだけでは
ホラーやファンタジーに興味ない人には、動く死体=ゾンビ、っていうのがほぼ定着してるだろうし
ヨーロッパはむしろゾンビよりも吸血鬼対策だったのでは?
ハイチのふぐ毒でゾンビを作り出す件は映画になったと記憶してるが誰か知らないか?
>>7
「ゾンビ伝説」じゃないかな
ゾンビ化(人食いの死体ではなく一旦死んで蘇るブードゥゾンビ)の秘薬を求めてハイチに行き怖い目の遭う話
うわ、ハイチのゾンビって
フグ毒を実用化したものだったんだ。
おにょれイザナギ
大昔には日本でも石を抱かせて埋葬することがあったと聞く
黄泉から帰ることのないようにそうしたのではと
そういや日本では歴史上「ゾンビ」の話って無いよなぁ?
ゾンビになって生き返った人はいないのに、どうして恐れるんだろう?
ドラキュラ伝説も、限られた地域のほんの数人の話だよね
仮死状態だったとしたなら、死んだと思ってた人が生き返って喜ぶと思うんだよね
生き返ってほしくない人もいたかもしれないけど、それも全体から見たら少ないはず
>>16
もともとはペストが大流行したときに死人を片っ端から埋葬しまくって、でもまだ死んでない人が泥だらけの半死半生で這い出したってのが元ネタだからなあ(諸説あり)
日本で似たような事例といえば平安時代の天然痘の大流行だけど、確かにゾンビの話は聞かないな
仏教の影響で火葬が一般化していたからだろうか
>>17
平安時代に火葬は一般化していない。
骨だけになるまで火葬するのって大量の薪が必要だったり
案外エネルギーを食うから、そういうのは一部の貴族だけで、
庶民は野辺送りの風葬で野犬なんかに食い散らかされていた。
平安のゾンビ話だと、小泉八雲も『死骸に乗る者』で翻案した
今昔物語の『人妻悪霊となり、其の害を除きし陰陽師のこと』
などがある。捨てた元妻の、動く死体を除霊するために
陰陽師の助言で 元夫が背中に馬乗りで押さえておく。
が、元妻は立ち上がって、執着する元夫を探して走り回る。
(背中にしがみつく元夫のことは、視界に入らず気付かない。)
夫は恐怖の中 髪を掴んで必死に振り落とされないよう持ちこたえ、
朝を迎えると 元妻は再び動かぬ死体に戻って、難を逃れた。
>あなたがたまたま7番目に生まれた子どもだったら、それだけでゾンビになる未来が待っている
シビアすぎて草
昔なら7人以上子供がいる夫婦はそこまで珍しくないだろうに
>>19
いうて、まぁ
「(そのままじゃゾンビになるけど)特定の埋葬法をすれば大丈夫」
ってだけの風習なら、
例えば 日本でいう
「親の厄年に生まれた子は忌み子だから(形式的に)捨て子する」
程度の、ちょくちょくあるイベント頻度の感覚かもよ。