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宇宙から見えるほど!フロリダやメキシコの海岸を襲う大量の海藻

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(著) (編集)

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 過去10年以上にわたって、大西洋の熱帯域で海藻が爆発的に増えている。今年は特にひどく、大量の茶色の海藻が絡み合い、大西洋に浮かんで巨大ないかだのようになっている様子は宇宙からでも見ることができるほどだ。

 メキシコ湾と西アフリカ海岸の間の大西洋に、なんと、米国の幅の2倍にもなる、およそ5000マイルに及ぶ分厚いホンダワラ属の海藻「サルガッスム」の絨毯が浮遊しているという。

 広大な海を浮遊している分には問題がないが、それが海岸を埋め尽くすとなると話は別だ。沿岸の生態系に大きな影響を及ぼすからだ。

史上最大規模の大量の海藻が海岸を覆い、沿岸の生態系を乱す

 広大な海の上なら、このホンダワラ属の海藻の塊はほとんど害を及ぼすことはない。むしろ、魚や甲殻類の豊かな漁場になり、さらに二酸化炭素を吸収してくれて、いいことずくめだ。

 ところが、海流がこの巨大な海藻の塊を西へと押し流し、カリブ海やメキシコ湾の海岸へと次々と打ち上げられたことで状況は変わった。

 そのせいで、酸素不足になったサンゴが窒息し、沿岸の生態系に大混乱を引き起こしている。腐った大量の海藻が水質や空気を汚染しているのだ。

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 この海藻の大量発生は、史上最大といっていいほどで、今後数週間から数ヶ月の間に、海藻がビーチを埋め尽くしてしまう可能性があるという。

 「信じられません」フロリダ・アトランティック大学ハーバー・ブランチ海洋学研究所のブライアン・ラポインテ教授は語る。「衛星画像を見る限り、これがきれいなビーチになるとはとても言えません」

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 浮遊性の海藻、サルガッスムの成長は季節ごとに変わる。

 40年間にわたって、その変化を研究してきたラポインテは、たいていは5月に南フロリダの海岸に打ち上げられるが、キーウェストの海岸は、この時期ですでに海藻に埋め尽くされているという。

 メキシコ、ユカタン半島のカンクーン、プラヤ・デル・カルメン、トゥルムでも、今後数日以内には最大90センチもの高さに海藻が積みあがってしまいそうだという。

Huge seaweed bloom making its way to South Florida shores

インフラや人体への悪影響も

 これほど大量のサルガッスムは、目障りで迷惑なだけではない。南フロリダ大学の海洋科学科のブライアン・バーンズ助教は言う。

たとえ、海藻が沿岸海域の外にあっても、発電所や淡水化プラントの取水バルブを塞いだり、マリーナを完全に水没させたり、ボートが航行できなくなったりする可能性があります。

冗談ではなく、本当に重要なインフラを脅かすことになるのです

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 去年の夏、異常に大量のサルガッスムが、セントクロイ島の水不足を引き起こしたとき、米領ヴァージン諸島は、非常事態宣言を発令した。

 人間の健康へのその他の影響が、注目されるようになった。岸にうちあげられた海藻が腐敗すると硫化水素が発生し、観光客や近隣の住民に呼吸器系の問題を引き起こす可能性がある。

2018年の大量発生に続いて、腐敗したサルガッスムから発生したガスのせいで、大勢の人たちが呼吸障害を起こして病院にやってきたと、マルティニク島とグアドループ島の医師たちが報告しています

 それに、経済的な懸念もある。サルガッスムの大量侵入は観光業を圧迫する可能性があり、これらをビーチから除去するのにもかなりのコストがかかる。

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10年以上前から急速に成長が早くなった

 専門家たちは、10年以上前から、サルガッスムの成長が驚異的に早くなっているのに気づいていて、それ以来、大西洋の熱帯地域でのこの海藻の繁殖を記録してきた。

 「2011年以前も、サルガッスムはありましたが、密度がこれほどではなく、衛星画像で確認はすることはできませんでした」バーンズは言う。

 「しかし、それ以降は爆発的に増殖し、今では巨大な海藻の絨毯がはっきり見られるようになってしまったのです」

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 『Science』誌に掲載された2019年の研究では、およそ2000万トン以上のサルガッスムが大西洋を覆いつくしたと見積り、「大西洋巨大サルガッソ海ベルト」と呼ばれるようになった。

 サルガッスムの塊は、年々増えているようにみえるが、最大になったのは2018年と2022年だったという。今年もこの記録にすでに近づきつつあるとバーンズは言う。

人間の活動と気候変動が要因である可能性

 サルガッスムのこの劇的な急成長を助長している要因を調査する中で、ラポインテら研究者たちは、人間の活動と気候変動が、窒素やその他の栄養素を大西洋に流れ込む川に供給していることを発見した。それが海藻に過度な栄養を与えているというのだ。

「コンゴ川、アマゾン川、オリノコ川、ミシシッピー川などの大河は、森林伐採、肥料の使用の増加、バイオマス燃焼の影響を受けています」ラポインテは言う。

「これらが皆、こうした川の窒素濃度を増加させているため、サルガッスムの異常繁殖は、地球上
の栄養サイクルの変化の表われとして見ています」

 こうした影響の多くは、気候変動によってさらに悪化し、洪水を多発させ、主要水路の氾濫を引き起こす可能性があるという。

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 普通、サルガッスムの塊は、サルガッスム海と呼ばれる北大西洋の一部にたまっていく。メキシコ湾流が大西洋で海藻をあちこち動かし、さまざまな場所に分散して定着させる。

 バーンズらは、NASAの衛星データを活用して、サルガッソ海ベルトの位置を把握し、その動きをマッピングしている。近年のベルトの異常なサイズは、数十年前には考えられないことだったという。

歴史的に見ても、記録がある限り、サルガッスムは生態系の一部ですが、そのスケールは昔とは比べものにならないほど遥かに巨大になっています。

5年前には、ただ大きいと思っていたものが、今はもはや、些細なことと見過ごせなくなってしまっているのです

References:Huge Atlantic seaweed bloom threatens beaches in Florida, Mexico / written by konohazuku / edited by / parumo

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この記事へのコメント 21件

コメントを書く

  1. 資源として有効活用出来ないもんかな、なんて軽く思ってしまったけど。安定性と費用対効果が高くないと産業化は難しいだろう

    • +10
  2. 石油になる藻の品種で駆逐できないのかしら

    • +1
    1. >>5 >>20
      食べる習慣のないところに食えば?って言うことほどくだらない言いざまはないんだよ

      • -3
  3. 太平洋の温帯域でも増えてくれ
    激減したせいでウニもスカスカ、アワビも育たんで困ってる

    • +1
  4. 二酸化炭素濃度も上がってきてるから、植物の成長速度も上がってきてるよ
    この先どんどん環境負荷へのツケが返ってくると思うよ

    • +1
  5. 海水温度上がってハッスルしちゃったんかね…と言うか海の自浄作用なのでは?
    海藻なら色々使い道ありそうなもんだけど産業に乗れば勝手に無くなったりせんのかな

    • 評価
  6. ほえー。やっぱ人間と栄養バランスのせいなのか。日本の砂漠化した海底は深刻な栄養不足なんやな。地道に地元漁師がウニを叩き割るより海に栄養を供給する取り組みした方が緑化進みそう。

    • -2
    1. >>13
      陸地に大量に堤防を築いたり、砂防ダムやダムを築いた結果。確かに災害危険度は低下したけど
      今度は山の栄養素が海にまで栄養が流れないために、磯焼けや砂浜などの減少にも影響を与えているようです
      また、生活排水も「綺麗にしすぎ」て流しているのでそれも原因になったりと、綺麗すぎるのもいいことではないそうだ
      東京五輪の時にも「東京湾の水質」が少しネタになったけど、実際には東京湾でも通年を通せば綺麗すぎて漁獲量減少に影響を与えていたりもする
      白河の清く流れになんとやらって奴ですね

      • 評価
  7. 硫化水素を発するくらいだから、元々毒が有りそう💧

    • 評価
  8. ホンダワラってことは羊羹の材料?
    洗って干して日本に輸出すれば?

    • 評価
  9. 欧米人種は日本人と違って海苔とかワカメとか、海藻類は食べても消化できないらしいね
    まあ消化しなくても食えないことはないだろうけど…

    • 評価
  10. これは食べられないのかな?
    日本人なら誰もが思いそうなことだけど。

    • 評価

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