
口を開けて泳ぎながら、なんでもかんでも体内に取り入れるこのサメは、これまで、プランクトン(小型甲殻類やその幼生、頭足類の幼生)や小魚などが主食の肉食動物だと思われていたが、海藻も大量に食べていることがわかったのだ。
この発見によって、これまで一位だった「コディアックヒグマ」を抜き、「世界最大の雑食動物はジンベエザメ」であると正式に認定された。つまり地球上最大の雑食動物は魚ということだ。
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ジンベエザメの本当の栄養源は?
体重40トン、体長12メートルにも成長するジンベエザメは、世界最大の魚類であり、クジラに次いで地球上で2番目に大きい動物でもある。そんな巨体でありながら、好物はオキアミ(小さなエビのような甲殻類)などのプランクトンだ。大きな口を開けて泳ぎながら、1時間で600立方メートルもの海水をかぶ飲みしつつ、一緒に入ってくるさまざまな生物を濾しとって食べている。
大きなお口なのでその時に海藻も飲み込んでいたが、好き好んで摂取しているわけではないと考えられていた。
なぜなら、体内に取り込まれた生物のうち、どれほどが実際に消化されて栄養やエネルギーになっているのか、これまで不明だったからだ。海藻はそのまま消化されずそのまま出ていくものだと思われていた。

photo by Unsplash
海藻も栄養源だった
そこで、ジンベエザメの食性を具体的に解明するために、オーストラリア海洋科学研究所のグループは、オーストラリアの世界自然遺産「ニンガルーリーフ」でジンベエザメの皮膚組織を採取した。そこに含まれている「アミノ酸」や「脂肪酸」を分析し、付近で見られるプランクトンや海藻などのものと比較してみた。
その結果、ジンベエザメには、「ホンダワラ」(ニンガルーリーフで一般的なワカメ)の成分が大量に含まれていることがわかった。
ホンダワラはサンゴ礁から剥がれて海面を漂っていることがあるが、ジンベザメはそれを飲み込み、消化しているということだ。つまり「雑食性」であることが確認されたわけである。

海藻の一種、ホンダワラ photo by iStock
ジンベエザメの食性は雑食であることが判明
研究の主執筆者である生物学者マーク・ミーカン博士は、この発見によって「ジンベエザメの食べ物についての見解を再検証しなければならなくなった」と、プレスリリースで語る。これまでの一般的な説では、陸上で最大の動物は一般に草食動物だが、海では大きな動物であっても小さなエビや魚を食べるとされてきた。今回の発見は、こうした前提をくつがえすものだ。
「結局のところ、陸と海でも、進化の仕組みはそれほど変わらないのかも知れない」とミーカン博士は言う。

photo by Pixabay
エネルギーを節約するために獲得した雑食性
こうしたジンベザメの雑食性は、エネルギーを節約するために獲得されたと能力であると考えられている。海藻を誤って飲み込んでしまったとき、いちいち吐き出すよりは、消化した方がエネルギーに無駄がないということだ。
ミーカン博士は、「つまりジンベエザメがオキアミ目当てでニンガルーリーフにやって来るというのは、話の半分に過ぎないのだ。じつのところ、ジンベエザメはかなりの量の海藻も食べている」と語る。
ジンベエザメが食欲旺盛であるという事実は、一面ではいいニュースだ。雑食性なら温暖化が進んだ世界にも適応しやすい。だが、いいことばかりではない。なんでも飲み込むために、海に流れた大量のプラスチックまで飲み込んでしまう恐れがあるからだ。
プラスチックは、ジンベエザメが食べ物を吐き出す原因になったり、腸の容量減少や消化不良といった問題を引き起こす可能性がある。
この研究は学術誌『Ecology』(2022年7月19日付)に掲載された。
References:World's largest omnivore is a fish | AIMS / written by hiroching / edited by / parumo
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コメント
1. 匿名処理班
人間をもし食っちゃったら吐き出すのかな?
デカいけど大人しくて、なんかカワイイんだよな
2. 匿名処理班
甚平はん、青菜食べてか?
3. 匿名処理班
淡水に適応するようにジンベイザメを育てて
カナダモやホテイアオイをドカ食いさせれば
その辺のドブ川や池に12メートルの在来種が
ウジャウジャ泳ぐ平和な環境を取り戻せる。
4. 匿名処理班
「世界最大の雑食動物はジンベエザメ」
なぜ?
シロナガスクジラが海藻を消化できない根拠でもあるのか?
5.
6. 匿名処理班
>>4
シロナガスクジラが海藻を消化できる根拠がないからでは?
7. 匿名処理班
※1
何かのお笑い番組で食われそうになってるのを見たけど、
口に入れても吐き出すから大丈夫と解説していた
8. 匿名処理班
海遊館で体の構造のリアルさを追求したぬいぐるみがでてるみたいよ。見た目はかわいい
9. 匿名処理班
ウバザメやメガマウスもそうなのかな
そして鮫だけなのかな
10. 匿名処理班
>>3
そして運河にジンベイザメが詰まる
11. 匿名処理班
※6※7
シロナガスクジラが海藻を栄養源として接種している根拠が見つかれば、今回の記録は塗り替えられるかもしれないね。
※1
ヴァージン・グループのリチャード・ブランソン氏がシュノーケリング中に食われかけて吐き出されたとニュースになってたな。
12. 匿名処理班
ワカメが好きなのか
ハゲになることを恐れてかな?育毛促進以外に他になんか効果あるのかいな
13. 匿名処理班
バイクに乗ってる時に虫喰っちゃう事あるな、、
14. 匿名処理班
※4
シロナガスクジラにたいして記事で書いてあるような生体検査が、ある程度の頭数と年月の継続調査が可能であれば確定できるけど、現時点ではそういった調査ができていないのだろうね
15. アユラ
>>3
波打ち際のむろみさんで、赤潮が酷かった際に
ミズーリさん達が、ジンベエさんを派遣させた
話を思い出しました。(本編ではジンベエさんの
主食は動物性プランクトンのみと描いてあった)。
植物性のプランクトンとかも、大丈夫だったんだ💧
16. 匿名処理班
>>3
テトラポッドとかで仕切ってアルビノソウギョ放流で良くね❓️
17. 匿名処理班
海って口開けて泳いでるだけで栄養取れるからいいよな
18. 匿名処理班
40年くらい前に北九州市八幡駅ビルの上の階に博物館があってね。 そこにジンベイザメの巨大な頭部がホルマリンか何かの液体に漬けられてガラスケースで展示されていたのだけど、胴体まで入りきらないのか頭部のみでぶった切られていて、もうトラウマものだったね。
当時の大人の荒っぽさが汲み取れる展示物だった。