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人間みたいな鳥。「ルリオーストラリアムシクイ」は親しい仲間は助けるが、見知らぬ鳥だと無視する

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(著) (編集)

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 オーストラリア南東部に生息する固有種、「ルリオーストラリアムシクイ」は、オスは青くメスは灰色の褐色で愛らしい姿をしているが、その生態は人間に近いものがあるという。

 家族や親しい仲間なら命懸けで助けようとするが、まったく知らない赤の他人(鳥)なら、困っていても見て見ぬふり。無視してしまうのだそうだ。

 オーストラリアの研究者によると、これは私たち人間の特徴である「多階層社会」が形成された理由を理解するヒントだという。

なぜ複雑な多階層社会があるのか?

 一口に社会と言っても、それは複数レベルのグループによって構成されている。個人は家族に属し、家族は氏族に属し、氏族は部族に属す。

 こうした「多階層社会」は、人間の進化を特徴づけるもので、今でも狩猟採集社会ではごく普通に残っている。

 また、それは人間だけのものではない。霊長類・クジラ・ゾウ・鳥類にも多階層社会で生きる動物がいる。

 一体なぜ私たちは、あえて複雑な多階層社会で生きるようになったのか? その利点はじつのところはっきりしない。

 だが、ある有力な仮説によると、多階層社会は「異なるレベルの協力関係を同時に育む」のに都合がいいのだという。

 今回取り上げる『Current Biology』(2023年3月9日付)に掲載された研究は、この仮説をオーストラリアの固有種、スズメ目の鳥「ルリオーストラリアムシクイ」を題材にして検証したものだ。

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photo by Pixabay

人間と同じ多階層社会を生きるルリオーストラリアムシクイを観察

 ルリオーストラリアムシクイは、留鳥であり、なわばりを持ち、性的二型の程度が非常に高い。オスは青色を主体とした鮮やかな色だが、繁殖しないオス、メス、ヒナ鳥は灰色の褐色である。

 そして彼らもまた多階層社会で生きている。一番基本的なレベルは、2~6羽の繁殖グループで、そのメンバーは強い絆で結ばれている。

 だが、それ以外にも繁殖グループ同士が交流して作られる「スーパーグループ」という上位グループもある。これがさらに集まると、一番高い社会的階層「コミュニティ」が形成される。

 この多階層社会で織りなされる複雑な鳥同士の関係を調べるために、モナシュ大学をはじめとする研究チームは、鳥の足に個体を識別できるようなカラーバンドを取り付けて観察することにした。

Amazing footage of Western Australia’s Splendid Fairy-wren

仲間に危機が迫ると、必死で助けようとする

 だがそれだけでなく、バンドを取り付けるついでに、ルリオーストラリアムシクイが助けを呼ぶ鳴き声も録音してみた。

 この鳴き声は、彼らが捕食動物などに襲われたときに上げるものだ。

 するとこの鳴き声を聞いた仲間は、捕食動物に近づいて威嚇をして必死で助けようとすることがわかった。

 それだけではない。脅威となる捕食動物の近くで、背中を丸めながらまるでネズミのように走り回ったりもする。まさに命がけだ。

 どちらも自分の身を危険にさらして捕食動物の注意を引きつけようとする、きわめて利他的な行為である。

まるでネズミのように地面を走り回るルリオーストラリアムシクイ。これによって捕食動物の注意を引き、仲間を助けようとしている/Amber Hodgson, Eliza Campbell & Abigail Robinson

仲間ではない、見知らぬ鳥だと無視することが判明

 ルリオーストラリアムシクイには美しい助け合いの精神があることがわかるが、ではもし助けを求める声がまったくの赤の他人だったらどうなのだろう?

 彼らは見ず知らずの他人のために自分を危険にさらそうとするのだろうか?

 これを調べるために、ルリオーストラリアムシクイにとっては危険な捕食動物である「ワライカワセミ」のぬいぐるみを見せながら、録音しておいた救援要請の鳴き声を流すという実験が行われた。

 すると美しい利他精神を持つルリオーストラリアムシクイも、他人には案外冷淡であることがわかったのだ。

 彼らは同じ繁殖グループの仲間の声には非常によく反応した。だが同じコミュニティの仲間というだけでは、それほどの熱心さはみられなかった。

 危険を冒してまで助けようという雰囲気はあまりなく、ネズミ走りもまったく行われなかった。

 そしてコミュニティの仲間ですらない、まったくの赤の他人ならば、助けを求められても完全に無視してしまうという。

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小さなルリオーストラリアムシクイにとってワライカワセミは恐ろしい捕食動物 / photo by iStock

ルリオーストラリアムシクイの行動は狩猟採集民と同じだった

 研究チームによると、こうしたパターンは狩猟採集民で観察されたものとまったく同じであるという。

 狩猟採集民は、食べ物があるとまず同じ世帯の仲間にわけ与え、次に世帯の集まりで共有する。そして彼らの社会で一番上の階層である集落のメンバーと共有する食べ物は一番少ない。

 だがこうすることで、誰とどれだけ協力するべきか、すぐに判断できる。そして、それによって階層ごとに異なる機能を持たせることができる。

 たとえば、ルリオーストラリアムシクイなら、繁殖グループの仲間と協力することで、子孫を残しやすくなるかもしれない。

 一方。コミュニティレベルの協力ならば、群れ全体が捕食動物から身を守りやすくなると同時に、グループ同士の衝突を減らせるかもしれない。

 人間とルリオーストラリアムシクイは2億年も前に枝分かれした、遠く離れた種だ。だが研究チームによれば、それでもその協力のパターンは驚くほどよく似ているという。

 このことは、人間社会で見られる複雑な協力は、私たちが数百万年間に2本足で立ち上がるずっと前に登場し、その後もさまざまな種で独自に、繰り返し出現しただろうことを示しているそうだ。

References:Fairy-wrens are more likely to help their closest friends but not strangers, just like us humans / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 13件

コメントを書く

  1. 囮役は俺が行く!って感じで超かっこいいな

    • +2
  2. 「セイウチ等はハーレムを作るのでハーレムの存在は“自然”である」などとも言えるんでしょうかね

    • -6
  3. こう言うのコウモリにもあるってどっかで見た
    家畜から血を吸うコウモリの餌の分け合い…だったかな?
    観察発見が良き届いてないだけで案外あるのかもね

    • +6
  4. >ルリオーストラリアムシクイにとっては危険な捕食動物である「ワライカワセミ」のぬいぐるみ
    冷淡というわけじゃない気がするんだが…

    • +1
    1. >>6
      ね。
      話の流れからして、せめてグループ違いの見知らぬルリオーストラリアムシクイでやるのかと思ったら、完全に敵生物のしかもぬいぐるみでやって、助けに行くと本気で思っていたのかな
      翻訳ミスか、研究チームの人がちょっとアレなのか、どっちだろう

      • -1
    2. >>6

      ごめん、良く読んだら僕がバカだったわ。

      カワセミのぬいぐるみ自体はただの敵役で、どの声に反応するかが主題だったのね

      ナマ言ってすみませんでした

      • 評価
  5. >人間みたいな鳥。「ルリオーストラリアムシクイ」は親しい仲間は助けるが、見知らぬ鳥だと無視する

    逆に聞きたい

    必ず助け合う動物は存在するのか?

    • -2
  6. 家族や群れの仲間を特別扱いするのは
    大体の鳥や獣で言えると思うけどな。

    • +2
  7. カワセミとか親子でホバリングしながら会話したりするし、
    ツバメに至っては嫉妬で他のツバメの家庭をぶち壊しに行くような奴らばかりだし

    よくも悪くも人間臭い鳥っていっぱいいますよ。

    • +1
  8. 身内のフリをする個体も出てきそう
    「俺はジャッカル。神をもあざむくルリオーストラリアムシクイ!」
    てな感じで

    • 評価
  9. 自分の好みのタイプだと助けに行ったりするのかな?

    • 評価
  10. 碧さん素敵!
    今日本中の女たちが夢中さ

    • 評価

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