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暴走モードに突入!太陽の2000万個分の巨大なブラックホールが宇宙空間を暴走

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(著) (編集)

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 地球から75億光年離れた宇宙で、長大な光の尾をたなびかせて暴走する巨大なブラックホールが発見されたそうだ。その光の尾の中では、星々が活発に形成されているという。

 『The Astrophysical Journal Letters』(現在arXivで閲覧可)に掲載予定のこの研究は、理論的には予測されていた「銀河から追い出された超大質量ブラックホール」を初めて観測したものであるそうだ。

太陽2000万個分の巨大ブラックホールが暴走

 米イェール大学のピーター・ヴァン・ドックム教授らは、ハッブル宇宙望遠鏡で地球から約75億光年離れた矮小銀河「RCP28」を観測していた時のこと。謎の明るい光の筋のようなものが見つかったのだという。

 その筋の長さは20万光年以上と、天の川の幅の2倍にも達している。その正体は星々が活発に形成されている圧縮ガスであるようだ。

 だが驚くべきなのは、このガスの先端には太陽2000万個分という怪物ブラックホールらしきものがあったことだ。

 この超大質量ブラックホールはまるで飛行機雲のようにガスをたなびかせながら、時速560万キロ、つまり音速の4500倍もの速さで暴走していたのだ。

ブラックホールは銀河から追い出され宇宙を放浪

 超大質量ブラックホール自体はそれほど珍しくはない。ほとんどの大きな銀河の中心にはそれがあると考えられている。

 ところが、今回のブラックホールはとんでもないスピードで矮小銀河から遠ざかってた。しかもガスの尾をたどるとその銀河があるのだ。

 どうやらこの超大質量ブラックホールは銀河から追い出され、ガスの尾を引きずりながら宇宙を放浪しているようだ。

 しかもそのガスの中では星々が次々と生まれている。

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特徴的なブラックホールのガスの尾、宇宙ジェットとは別物

 銀河の中心にある超大質量ブラックホールは、しばしば物質のジェットを高速で噴出しており、まるで光の筋のように見える。これを「宇宙ジェット」というが、今回観測されたガスの尾も、ぱっと見はこれに似ていた。

 ところが、実際にヴァン・ドックム氏らがくわしく調べてみたところ、宇宙ジェットの特徴がまったく見つからなかったのだ。

 宇宙ジェットの場合、発生源から遠ざかればだんだんと弱くなるが、今回のガスの尾はその逆だった。

 またブラックホールから放出される宇宙ジェットは扇のように広がるが、今回のものは一見したところどこまでもまっすぐだ。

 このことから、今回のガスの尾が普通の宇宙ジェットとは別物であることがわかる。

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1対のブラックホールに3つ目のブラックホールが加わると、バランスが崩れて、1つが追い出されてしまう。図はそれを5ステップで説明したもの。6は今回観測されたガスの尾を示す(shocks only: 衝撃のみ,shocks+star formation:衝撃 + 星の形成)/Image credit: van Dokkum et al.

なぜブラックホールは銀河から追い出されたのか?

 もしこれが本当に暴走ブラックホールなのだとすれば、もう1つ大きな謎がある。それは一体どうして銀河から追い出されたのかということだ。

 ヴァン・ドックム教授らが考える一番可能性が高いシナリオは、3つの天体の相互作用でパチンコのように弾き出されたというものだ。

 「質量が同じくらいの3つ天体の重力が相互作用すると、なかなか安定することはなく、普通は連星となり、3つ目の天体は放出されます」と説明している。

 それが意味するところは、かつてその超大質量ブラックホールは連星だったかもしれないということだ。

 ところがあるとき銀河が合体して、そこに3つ目のブラックホールがくわわった。その結果、除け者にされて追い出されてしまったというのだ。

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photo by iStock

 なお、そのような超大質量ブラックホール連星がこの宇宙にどれだけ存在するのか、今のところよくわからない。

 ヴァン・ドックム教授によると、超大質量ブラックホールが銀河から追い出される可能性自体は、50年前から予測されていたのだという。それも多くの理論では、そうしたものがたくさんあるとしている。

 その証拠かもしれないものが今回初めて発見された。今回の光の筋の先にあるものが本当にブラックホールかどうか直接確認するために、今後はまた別の望遠鏡で観測する必要があるとのことだ。

References:’Runaway’ black hole the size of 20 million suns found speeding through space with a trail of newborn stars behind it / written by hiroching / edited by / parumo

追記(2023/02/28)本文の誤字を修正して再送します。

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この記事へのコメント 20件

コメントを書く

  1. 時空を捻じ曲げる超大質量ブラックホールがビリヤードとかお手玉みたいに弾き飛ばされるとか、この世界は人間の想像力をはるかに超えてものすごいものなのですね。神や仏や悪魔みたいな存在も信じられる気がしてきたよ…

    • +3
  2. ある日突然太陽系を吸い込むほどのブラックホールが出現して人類滅亡

    • -2
    1. >>2
      そもそも観測が困難なブラックホールだから
      ある日突然太陽系の間近で発見されても不思議ではないですよね

      • 評価
  3. 75光年てめっさ近いやんけ!
    ・・・と思ったら75億光年の間違いか。

    流石に75光年先のブラックホールが
    今まで見過ごされてるはずはないよな。

    • +6
  4. 75光年?近すぎでしょ、と思ったら75億光年が正しいのね。
    冒頭だと億が抜けてるから修正しましょう

    • +5
  5. スタートレックに出て来た兵器じゃないか

    • +1
  6. その矮小銀河RCP28の中心に何があるか、そして何があったかが気になる。
    太陽質量2000万にもなる巨大ブラックホールがスリングショット効果でその銀河から弾き出されたんなら、その質量に見劣らないレベルの巨大ブラックホールが複数個あることになるが、それだけ巨大なブラックホールがいつ・どのようにして矮小銀河の中で誕生したのやら…

    • +4
  7. これは、、、
    宇宙戦艦ヤマトに出てきた移動性ブラックホール「カスケードブラックホール」ですやん

    • +3
  8. 残された銀河では合体当時どんな大変動が起きてたんだろう・・・

    • +3
    1. >>8
      恒星の大きさに対して宇宙や銀河はスカスカで銀河が合体しても恒星の衝突はまず無いってこともあるらしいし案外中にいても静かなものなのかも知れない
      でも合体中の惑星から見た夜空は物凄い光景だろうなw

      • +4
      1. >>14
        そして恒星の移動が判る時間は気の遠くなるような時間が掛かるからね
        それこそ何千万年とか多分その星に生息してる知識、知恵のあるものが
        フィクションとかに居るエルフみたいに千年ぐらい生きる生物じゃないと
        判らないのでは?

        まあ地球でもコンピューターを使って時間加速のシミュレーションしてるから
        普通の人間位の寿命の生物でも解る可能性は高いでしょうけどね

        • +1
  9. 「ワシも混ぜてくれぬか?」
    この後、ブラックホールは弾き出された。

    • +5
  10. 星もブラックホールも本質的には同じものだから流れ星があれば流れブラックホールもあるのか…

    • +1
  11. 太陽2000万個分の質量を持っていてもハブられるやつがいるのか…
    人類ってちっちゃいんだな…

    • +8
  12. 天体でも3つ揃うと派閥が生まれるんだな

    • +7
    1. >>13
      天体ab派、天体bc派、天体ca派、天体a派、天体b派、天体c派、天体abc派の七つの派閥が出来るらしい。

      • 評価
  13. つまりラブラブだった二人の間に男が入って追い出されたってこと?
    あーーーーーーっ!!!

    • +1
  14. 規模がもう想像すら出来ないほど大きい(;´▽`)
    こんな事が宇宙で色々起こってるのに、よく太陽系が存在出来てるなと。宇宙から見たら太陽系や地球の寿命なんて、一瞬なのかなぁ。

    • +2
  15. 宇宙は絶対に人間の理解の及ぶ物理学とは違う正解だと思う

    • 評価

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