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依然としてアメリカの医療システムは高所得国の中で最悪で最も高額であるという調査結果

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(著) (編集)

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 かねてから、アメリカは医療費が高額なことで知られているが、その傾向は新型コロナの影響でさらに悪化してしまったようだ。

 高度医療の普及をサポートする基金「Commonwealth Fund」は最新の分析の中で、アメリカの医療を、日本を含むOECD(経済協力開発機構)の国民総所得の高い国と比較して、同国の課題を明らかにしている。

 それによると、アメリカは高所得国の中でもっとも医療費が高い一方で、寿命が短く、新生児の死亡率が高いなど、国民の健康状態は最も悪いのだそうだ。

アメリカは高所得国の中で一番寿命が短い

 世界最大クラスの大国でありながら、もともとアメリカ人の平均寿命は短かった。2020年の時点で、アメリカの出生時平均寿命は77歳で、高所得国の平均よりも3年短かった。

 ところが、2021年のデータによると、77.0歳から76.1歳へとさらに短くなってしまっている。その要因は新型コロナの流行であるようだ。

 2020年、高所得国の中で新型コロナによる死亡率が一番高かったのはアメリカで、ついでにワクチン接種率は最低水準だった。

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photo by Unsplash

アメリカは高所得国の中で一番医療費が高い

 アメリカ人は、法外なほど高額な医療費を支払わされている。

 2020年、アメリカのGDPに占める医療費は17.8%で、高所得国平均(9.6%)のほぼ2倍だ。

 1人あたりの支払額で見ると、国の保険制度・民間保険・自己負担によって1万2000ドル(当時の為替で約127万円)を支払っており圧倒的だ。これに一番近かったドイツですら、1人あたり7000ドル(74万円)なのだ。

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高所得国の自国のGDPに占める医療費の割合。アメリカは17.8%と頭抜けている / image credit:The Commonwealth Fund

 可能性としては、アメリカ人は高額な医療費のせいで病院に行くことをためらい、そのせいで早死にしているのかもしれない。

 高所得国の中でアメリカ人は病院で診察を受ける回数が一番少なく、年にわずか4回(高所得国平均5.7回)だけだ。

 また1000人あたりの開業医の数も少なく、平均3.7人に対して、アメリカは2.6人と最低水準である。

 今回の分析対象となった高所得国の中で、アメリカは唯一、医療保険が保証されていない国である。

 ほかのほとんどの高所得国では、国民全員が公的な医療保険に加入し、さらに民間の保険に加入することもできる。

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photo by iStock

アメリカは高所得国の中で出産時の乳児・妊婦死亡率が一番高い

 また残念ながらアメリカは、赤ちゃんや妊婦にとってあまり優しい国ではないようだ。高所得国の中で出産時の乳児死亡率と妊産婦死亡率が一番高いのだ。

 2020年、高所得国における出産1000人あたりの死亡数は平均4.1人なのに対して、アメリカは5.4人だ。この点一番優秀なノルウェー(1.6人)に比べるとかなりの差がある。

 またアメリカでの出産は母親にとってもリスキーで、2020年に出産10万人あたり23.8人が亡くなっている。これは高所得国平均の約2.5倍だ。

 アメリカでは今、さまざまな州が女性の生殖権と出産サポートを後退させようとしているため、この数字は今後さらに悪化すると予想されるそうだ。

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高所得国における出産時の乳児死亡率(1000人あたり)と妊産婦死亡率(10万人あたり)。ここでもアメリカは最も悪い / image credit:The Commonwealth Fund

アメリカは予防や治療ができる病気での死亡率も高い

 出産だけでなく、アメリカでは治療や予防ができる病気(防げる病気)での死亡率も、ほかの高所得国に比べてずっと高い。

 2020年、防げる病気によるアメリカ人の死者は、10万人あたり336人。これに対して高所得国の平均は225人だ。しかもアメリカではこの数値が2015年からずっと上昇している。

 こうした状況は、アメリカ人が複数の慢性疾患をわずらっていることが多いこととも一致する。

 2020年、アメリカでは成人の30.4%が、2つ以上の慢性疾患と診断されたことがある。一方、ほかの高所得国では4分の1以下だ。

 そしてこの差は、アメリカ人に肥満が多いこととも関係するかもしれない。アメリカで肥満とされる人の割合は、ほかの高所得国の平均の2倍近くもある。

References:U.S. Health Care from a Global Perspective, 2022 | Commonwealth Fund / US still has the worst, most expensive health care of any high-income country | Ars Technica / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 32件

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  1. ゲーム史上最悪なロスサントスになってはダメだろ
    しかもあのゲームよりもひどいってロックスターも
    車強盗6の製作が遅れるはずだ

    • -4
  2. 医療に関わる費用を1セント単位で許認可制にしたら???

    • 評価
  3. 日本でもそうだけど富裕層の大半が金以外の何物にも価値を見出してないんだよな
    自力で一から財産築き上げた人は未だしも、親から引き継いだだけの人なんかは資金力以外本当に何も持ってなかったりする
    金転がしだけのメッチャ狭い世界のまま年老いてる

    この辺から身銭を切らせるのってホント絶望的なくらい難しいよな…

    • +3
  4. こんなに高くして医療水準は保てるのかな?
    忙しすぎるのもダメだとは思うけど、実際に手がける症例の差や経験の差は出るんじゃない?

    • +2
  5. こういうのを見ると公的な健康保険のシステムは守らないとと強く感じる。たとえ自分が10年間無病息災で病院行ってなくても11年目に何が起こるかわからない。家族友人含め他の人の医療にも役に立っている。そこそこ高額であるのはその通りだとして、骨折を病院で費用負担少なく治療できたり虫垂炎を費用負担少なく手術できたり検査短期入院も費用負担少なく可能であったりする保証が、日々の暮らしの安心につながっているのは間違いないと思う。銃規制に加えてこの点でもUSAは世界の反面教師となって久しいが、その改革は彼ら自身の問題として日本は他山の石として公的保険を(見直し必要な点はあるとして)維持してほしい。

    • +29
    1. >>6
      同意します。
      アメリカ合衆国の国民の選んだ人たちのうち共和党方面はこういうことを望んでいない人が多いのですね。この辺を全員にと考えられた通称オバマケアは頓挫しているっぽいし。
      簡単に言うと、金を持っていて健康なことが正義なのですよ。そして小さい政府を目指していて基本的には自助努力って感じなのねん。だから日本みたいに銃のない社会にはならなくて、自分の身は自分で守るみたいになってしまうわけ。アメリカ合衆国には良いところも多いけど、日本人からするとくるってるみたいなところも多いんですね。反対に彼らからすると日本人オカシイと見えるところも多いのでしょうね。

      • +1
      1. >>16
        軍事力にはいやという程カネかけるのにね

        • +2
  6. 大企業の並々ならぬ努力(ロビー活動)の賜物

    • +5
  7. 国民健康保険がない以前に医療費や医薬品の値段がバカ高い日本なら盲腸手術で無保険でも数百万だけど
    アメリカだと数千万とか

    • +2
    1. >>8
      向こうに住んでて民間の保険入ってても、いくら降りるかわからないor使って等級変えられたくないから帰国のついでに全額負担でも日本の病院立ち寄る人は多いと思うよ

      親知らず抜歯なんてしたらまじでエコノミー渡航費積んだくらいの額になるし

      • +2
    2. >>8
      日本は虫垂切除術6740点だから無保険でも手術に6万7400円しか掛からんな。一週間入院でも20万行かんやろ。

      • +5
  8. 2002年の映画ジョンQでアメリカの理不尽な医療制度を風刺してたけど
    20年経った現在でも未だに改善されないのか

    • +2
  9. アメリカって日本人からすると狂った価値観だからね……。
    それはいいけど、日本を巻き込むのはやめてほしいな。中で完結させて欲しい。

    • +5
  10. そりゃ自己責任至上主義の人間が大多数な国だもの
    それ国か?とも言えるが

    • +2
    1. >>15
      日本のぬるま湯レベルの「自己責任論」ではなくて、「病気なって死ぬのも自己責任」みたいな奴ですし…
      コロナワクチンの時だって「病気になろうとそれは権利だ」みたいな感じで義務化を反対した人達が大勢いる

      • 評価
  11. 結局弱者や貧者を気にしないのが一番経済に良いんだろうね
    そこら辺は余裕のある人の寄付や慈善活動で賄うっていう
    ある意味上手く出来てるなぁと思うよ

    • -4
  12. アメリカの医療ドラマ、特にER系が好きで良く観るけど、貧富関係なく平等に受け入れている。
    所詮はドラマなのね…

    • +2
    1. >>21
      救急は来たらとりあえず受け入れなきゃいけない決まりらしい…

      • 評価
  13. あんまり高すぎるから客がメキシコに逃げてるじゃないか
    もうちょっと薄利多売みたいなこと考えられないのかい?
    とアメリカの医療業界や政府に言いたい

    • +1
  14. 医薬品「ダラプリム」に薬価のことを思い出した
    古くて安価な薬だったのだけど近年エイズへの効果が知れるととある会社が製造権販売権を取得
    一気に薬価の値段を55倍(13ドル→750ドル)にしたり
    まぁ結局その後1ドルでその薬を販売する企業が現れて事なきを得たそうだけど
    過度に市場原理を取り入れちゃダメな業界が医療業界でしょうに

    • +7
  15. 妊婦死亡率高いのは当たり前だよなぁ・・・その日のうちに退院だろ?感染症で死ぬ確率高いわそりゃ(ヽ”ω`)

    • +2
  16. こんな国なら自分は医療関係で絶対に働かない
    人を助けるための医学が、高すぎて行けなくて死人が出るなんてナンセンスだ

    • -1
  17. 国民皆保険制度を「共産主義だ!」とか言って叩いてるからこうなる。

    • +2
    1. >>30
      保険制度の恩恵に浴しながら共産主義を攻撃するヤカラがわーくにには居ますけどね…

      • +1
      1. >>32
        そもそも保険と共産主義は全然関係がありませんが
        関係が無いのがわからないで保険制度があると共産主義だって勘違いした人たちが昔大勢いて(今もだが)よく考えないで拒否ったから今のアメリカなんです

        • +1
    2. >>30
      まあ冷戦時代にソ連がそのへんの医療保険や福祉システムを整えまくって対外的に「うちはこんなに進んでいる社会だ」ってアピールしまくったので
      アメリカはソ連と政治的に対立してるせいもあって福祉=共産主義って短絡にイメージ結びつけた馬鹿が多かったんで…
      なお現在の北欧もそうなんだけど、ソ連の福祉もあまりに福祉を必要とする人が多すぎて実際には全員に充分には行き渡ってなく、あぶれる人が発生はしていたと冷戦崩壊後の情報開示で判明している
      日本みたいにある程度国民一人一人自活・自立できた上でそれを補助してくれると大いに助かるっていう福祉制度の組み合わせバランスが一番良くて
      福祉に全部ぶら下がらないと生きていけない人が多いような水準の国では上手く行かないのかもね
      (アメリカも本来ってか1960年代くらいまではどんな貧困層でも日本より豊かだったから日本と同じバランスになれたはずだが今の極端な貧富格差では…)

      • +2
  18. 寄付とか奉仕の精神は根付いてるようだけど、互助の精神はないというか
    皆保険の費用として見ず知らずの貧乏人の医療費を下支えする税金を払うのは我慢ならんことなんかね

    • +1
  19. こういう国で肥満や薬物とか、過激なまでの整形手術・入れ墨が多いのが皮肉。病院の世話になる可能性を高める事を避けようとは思わないのかな。早死を前提に今を楽しむってこと?

    • 評価
  20. 国民健康保険をやろうとするとすぐに社会主義だ共産主義だと言う人たちはなんとかならんのかね
    まあアメリカ人のデブ率見ると健康保険制度すぐに破綻するだろうけど

    • 評価
  21. 新生児と妊婦の死亡率が高いのが残念。
    こんな国で家族やろうとしてる元プリンセスは大丈夫かしら。
    季節性インフルエンザで召される人が何万人もいるようだし…。
    なんでみんなそんな国に行くのか…
    ドリームがあるのかしらね…

    • +1

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