
『Scientific Reports』(2023年1月12日付)に掲載された新たな研究では、他人のニオイが買い物に与える影響を調べた。
ここでいう匂いとは、料理や香水、商品といった物のニオイのことではなく人から発せられる「体臭」だのことだ。
その結果、他人の体臭を嗅いだ購買者は、嗅いでいない購買者よりも買い物の決断が速くなるのことがわかったという。
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購買行動とニオイの関連性
私たちの鼻は犬ほどではないかもしれないが、ニオイによって気分や感情が左右されるなど、人は嗅覚から意外なほど大きな影響を受けている。そうした影響は買い物にも現れるのだという。
例えば、1990年に行われたとある実験では、ニオイが異なる2部屋(花の香りと中立の香り)にデザインがまったく同じスニーカーをおいて、どちらが購入されるか観察してみた。
すると花の香りがする部屋の売れ行きは、84%高いという結果になったそうだ。
また、リラックス効果のあるラベンダーの香りは、レモンの香りに比べて、レストランの顧客の滞在時間と注文額を増やすという研究もある。 だが今回の研究はこうした香水や食品、物の香りに関してではない人が発する体臭に関してだ。

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他人の体臭を嗅ぐと買い物の決断が速くなる
今回、スペイン・バレンシア工科大学のマリアーノ・アルカニス氏らは、体臭もまた買い物に影響するのかどうか世界で初めて確かめてみた。実験では、まず幸せ・恐怖・リラックスを感じている人から体臭を集め、それを別の被験者に嗅がせる。そのうえでいくつかの商品を提示して、それを買うかどうか決めてもらった。
すると体臭を嗅いだ参加者は、嗅いでない人に比べて、買うと決めるのが速く、しかもセール価格より、定価に近い金額を支払おうとしたそうだ。
また商品による決断時間の違いもあり、一番速く決断されたのが食品で、次いで衣料品、電化製品の順だった。
面白いのはどんな感情の時の体臭かで、効果に違いがあることだ。
例えば、”幸せのニオイ”なら飲み物を買う決断を速くし、”恐怖のニオイ”なら健康食品を買う決断が速くなったという。

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なぜ他人の体臭が買い物の決断を速めるのか?
だが、なぜ他の人の体臭が買い物の決断を速めるのだろうか?あくまでも仮説だが、研究チームは、体臭が暗黙のうちに他人の存在を知らせているからなのだと考えている。
体臭は年齢・性別・感情・健康状態など、さまざまな情報を携えている。私たちはそれを知らず知らずのうちに嗅ぎとり、社会的な行動に反映させているのだという。
なお、今回の調査は、新型コロナによって世界でロックダウンが始まった後で行われたものだ。この時期は、衛生がいつも以上に重視された。
このことと、”恐怖のニオイ”で健康食品を買う決断が速くなったことには関連性があるかもしれないという。
こうした発見は、ニオイと買い物の科学をさらに発展させ、サービス業や観光など、人と人との関わりが大切になる業界のマーケティングに活用できるかもしれないとのことだ。
References:How priming with body odors affects decision speeds in consumer behavior | Scientific Reports / Shopping with your nose: How body odors influence your buying behavior / written by hiroching / edited by / parumo
ぶ追記(2023/1/30)タイトル、本文を編集して再送します。
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コメント
1. 匿名処理班
近所のよく行くミニスーパー
たま〜に排水溝からの異臭が漂う時があると
入っても購買意欲が失せて買わずに出るよね。
2. 匿名処理班
料理の香りが店からするとついつい引き寄せられて購買意欲が湧くのは体感でわかってたけど
そうじゃない香りでも意欲が湧くのか
ただ限度はあると思う
買い物中に鼻につくほど香水をぶちまけた人とすれ違うことがたまにあるけどあれはだめだ
気持ち悪くなって購買意欲どこじゃなくなる
3. 匿名処理班
ええ…
こんなんまた香り付け商法が勢い付けちゃうじゃないですかぁ
近頃シャンプーも柔軟剤も匂いきつ過ぎるってのに
4. 匿名処理班
臭い店員を置くと客の回転が早くなるね。
5. 匿名処理班
アロマセラピストの有資格者だけど、対象者の国や人種、年齢、性別、生活習慣等により、香に対する感覚は異なるし、かなりの数のデータがないと信用できない。
香りの好みも個人差があり、日本人はかんきつ系を好む傾向があるし、若い世代はレモンやラベンダーの香りが苦手な人も多い。
数年前の某アロマ団体主催の研修で精神科医の講座に参加したが、アロマの作用については、実際に効果があることとプラセボの境界線があいまいで、正確なデータが得にくいということだと。だから厚労省や医師会はアロマを正式に医療に取り入れることに慎重なんだと(医療機関でアロマを取り入れているところもあるが、そこは運営側の判断で自己責任とするということ)
この香りが購買力を上げるという刷り込みを利用しようとする業者も出てくるだろうし、
実際にフラワー系の香りが苦手な人もいるのでは。
なお嗅覚は疲弊しやすいので、心地よいと感じた香りでも慣れてしまうし、作用も感じなくなることもある。
自分が通ったスクールの校長が一時期スランプに陥り、病みそうになった時にご主人がカップ麺を作って校長の目の前に置いたそうで、そのにおいでリセットできた聞いたことがある。
人を香りでコントロールしビジネスにつなげようと安易に考えるのは危険だと思う。
自分にあわない香りで健康被害もあるし香害は困るね。
6. 匿名処理班
最近嗅覚過敏気味なので、洗剤とかお惣菜の匂いが強いお店には近寄れない…
7. 匿名処理班
魚売り場が臭すぎるスーパーの魚は
買わない。調理場と売り場離せばいいのに。
どこかに汁が流れ込んで腐ってないと
あんな匂いにならない。
8. 匿名処理班
※5 今回の研究は「体臭」に関する研究だから、アロマか香水とかいうよりは、人間の持つ体臭がメインね。ニオイに限らず色とか配置とか、企業は購買意欲を高めるために様々な研究を行ってるからね。あなたの指摘はちょっと的外れではあるかも。
9. 匿名処理班
>>5 インドではマリーゴールドの香りが好まれるらしくて、
シャンプーなんかにもあると聞いて、オドロイタよ。
いずれにせよ香害はカンベン。ホムセンも長居できない。
10. 匿名処理班
うなぎの匂いは購買意欲が急上昇するよね
11. 匿名処理班
実際匂いってかなり影響あるけどあんま重要視されてない感ある
12. 匿名処理班
幸せだと喉が渇くの?
それで恐怖心で健康食品を買いたくなるの?
なぜだろう?
ストレスからビアードパ◯のような甘い香りに誘われるっていうなら分かるんだけど…
13. 匿名処理班
仮説1 他人に買われる前に早く買わないと
仮説2 臭いからとっと買って帰ろう
14. 匿名処理班
>>12
体が危険を感じた時、自己防衛の意識が刺激されるのは
なんとなく解らなくもない気がする…かも?
陽気でハッピーな時には、
一緒にいる人とよくお喋りしてそう
ってか、そういう時って飲み物片手なシチュエーションが多そう?