
いわゆる音の絶対零度。ギネスが認める世界で最も静かな場所はあのマイクロソフトの本社にある。
アメリカのワシントン州にあるマイクロソフトの無響室は一般にも開放されていえる人気の観光スポットで、究極のノイズフリー体験ができると評判だ。
地球上で最も静かな無響室。室内に吸音材がびっしり
アメリカのワシントン州レドモンドにあるマイクロソフト本社には、地球上で最も静かな無響室オーフィールド・ラボ(Orfield Labs)がある。
ギネス認定されたこのラボも外からの音の遮断と内部の反響を防ぐ設計がなされている。
この部屋はスチールとコンクリートの6層から成り、内部にくさび型の吸音材が敷き詰められており、壁だけでなく天井にも吸音材を採用。


平均 -20.35 dB(A)!人間とっては究極の無音領域
わずかな音も吸い込むよう徹底した部屋のスペックはすさまじく、2015年に音響専門家による2度の計測結果から騒音レベル 平均 -20.35 dB(A)(デシベルエー)を記録。世界一静かな場所の称号にふさわしい静けさを証明した。
なお1度目の計測では最低の-20.6 dBA。2度目は-20.1 dBA だったそう。

目安としては人間の平均的な聴覚の限界が0 dB 、静かな室内で気づく静かな呼吸音は10 dB にあたるという。
つまり、その値を下回る-20.35 dB は人間にとって究極の無音。現地メディアはこの値を「音の絶対零度」と称している。

内部は説明しがたい独特な感覚。呼吸音や心臓の音が耳につく
この部屋の主任設計者で、音声および聴覚の専門家であるHundraj Gopal氏はこう語る。この部屋にはいるなり、なんとも説明しがたい独特な感覚に襲われます。また無音にもかかわらず耳鳴りがしたり、耳がつんざかれるような感覚というか、鼓膜が突き破られそうな不快感があるそうだ。
急に耳が詰まって聴覚を失ったようにも思えるため、ためしに頭を左右に振ると首の骨がきしむ音まではっきり聞こえるという。
確かに奇妙な感覚だが、人によっては自身の呼吸音や心臓の鼓動までもがやたら耳につき、聴覚遮断の影響からか平衡感覚にも支障をきたすためすぐにでも出たくなるという。
【参考】2015年10月マイクロソフトの無響室でギネス記録に挑戦
The quietest place on Earth? | Microsoft Story Labs
世界中から体験希望者が訪問。最長記録55分の猛者も
だがラボには好奇心に突き動かされた入室希望者が後を絶たない。一般公開されているラボには「究極の無音をぜひ体験したい」という人々が世界中から訪ねてはどこまで持ちこたえられるかを競っている。
考えようによっては手軽な異世界体験みたいなものかもしれない。
ラボによるとこれまでの最長記録はおよそ55分。多くの人は数秒でギブアップ。たまに粘る人でも30分程度だそう。
アメリカの観光サイトによると、完全無音のこの部屋では入った人自身が唯一の音の発生源となり、心音はもちろん胃が動く音まで明瞭に聞こえるため気分が悪くなるという。
長時間滞在するコツは座ること。満喫するなら暗闇がおすすめ
また長時間滞在する唯一のコツは座ることだそうだ。人は普段は自分が動いた時に周囲に発生する音を頼りに位置を把握しているが、この部屋ではその音が無く、認知がゆがんで平衡感覚がおかしくなるため、できるだけ動かずにいることである程度耐えられるそうだよ。
あとこの体験を満喫するなら明かりを消すのがおすすめだそう。だたその場合も平衡感覚を保つのが難しくなるそうなのでやっぱり座っているのが安全みたいだ。
以下の動画はオーフィールド・ラボの設計者の一人スティーブ・オーフィールド氏が作った別の無響室で耐えてみたYouTuber。
Survived the World's Quietest Room
この無響室は以前-13 dBA でギネス記録を出した部屋だが、彼はなんと真っ暗にして1時間も耐えたそうだよ。
人間が創り出した究極の静寂は心の平穏よりも不安をもたらすものらしい。怖いものみたさというか怖いもの聞きたさで少しなら入ってみたい気もする。みんなはどう思う?
References:mirror / youtube / youtube / guinnessworldrecordsなど /written by D/ edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
ちなみに電波暗室も同じ原理で、見た目はほぼ同じだったりするよ
自分の知っている限りは
2. 匿名処理班
精神と時の部屋
3. 匿名処理班
無響室と聞くと、世にも奇妙な物語のBe Silentを思い出す。
あれも結局完全な無音は手に入らなかったからなあ。
4. 匿名処理班
自分は静かな場所では耳鳴りする
ずーっと「キーン」って聞こえる
5. 匿名処理班
マイクロソフトのキーボードとかマウスは昔から定評があるものね
そういえばスランプに陥った小説家がこういう部屋に入って最後は、、、みたいな映画があったね
唯一の音の発生源はあなた自身なのですってくだりを読んで思い出した
6. 匿名処理班
>この無響室の目的は、マイクやヘッドホンなどの音響機器や、マウスやキーボードなどのPC機器の検査
つまり静音マウスやキーボードの試験やる部屋の、ハイグレード版か
>完全無音のこの部屋では入った人自身が唯一の音の発生源となり、心音はもちろん胃が動く音まで明瞭に聞こえるため気分が悪くなるという
うわあ…
自分はごく一般的な「静かな部屋」でも心臓の鼓動とか首の軋み音とかが気になって気になって眠れなくなるタイプだから、見学の機会があったとしても入らないほうがいいなw
7. 匿名処理班
0 dB って人間が聞こえる下限値のことだったんか。
無音のことかと思ってた。
8. 匿名処理班
子供のころ、科学博物館で音を吸収する部屋に入ったことがある。
だからこの壁の音吸ってますって感じの画像を見るだけで、
なんか、こう、耳がもやっとする。
なんか詰まったような感じがするんだよね。
9. 匿名処理班
フェルトが張ってある
エレベーターも少しそうなる
10. 匿名処理班
煩いのなら耐えられないが
静かならずっと居られると思ってた
11. 匿名処理班
部屋から出てきたらスーパーサイヤ人に。
12. 匿名処理班
乗り物酔いしやすい私はたぶんむり
13. 匿名処理班
機械設備のために防音対策された部屋に入ったことがあるが、暫くすると気分が悪くなった経験あるわ。
14. 匿名処理班
ソニーとか日本国内に似た設備作ってないかなぁ?
一回1000円程度で体験入室できるなら入ってみたいぜ
15. 匿名処理班
無響音質になら入ったことがある。
口で説明するのは難しいが全く音が反響しない世界ってのは
長く過ごしたい場所ではない。
なんていうか乾いた音しかしない世界。
無響音質を出た時はほっとしたね。
16. 匿名処理班
自分の音しか聞こえない状況とか想像しただけで怖い
生活音とか誰かの気配とか正体が判ってる日常的な音は安心に繋がる物だと思う
17. 匿名処理班
日常の色々な音の騒がしさにうんざりで静かな場所に飢えてるので入ってみたいと思ったけど、そうか何もないと自分自身の音がうるさいのか…
あと画像見てるだけでも視覚的に落ち着かなくて居心地悪そうなので、たしかに目はつぶった方がよさそうだね
18. 匿名処理班
自分が発するあらゆる音をうるさく感じるわけだから
この部屋は下手な無音より性質が悪そう
19. 匿名処理班
タブレットとWi-Fiと食料とビールがあれば
俺なら一か月は余裕
20. 匿名処理班
更にベンタブラックで塗ったら宇宙みたいな空間になりそう。
21.
22. 匿名処理班
>>7
dBは基準値との比率を対数(log)で表したもので、0dBは1倍のこと。
23. 匿名処理班
心臓を無音にするためにペンを突き立てなきゃ
24. 匿名処理班
※1
私が入った電波暗室は四角錐がたくさん並んでました。黒かったからおそらくフェライトというか電波を吸収する材料が含まれていたんじゃないかと思ってます。
私の経験では心臓の音は遠くから聞こえるドラの音のような感じで、ジョワーンジョワーンという感じで聞こえました。もっとも電波暗室でなく、当時はいなかに住んでいたので静かな朝の寝覚めによく聞こえました。
25. 匿名処理班
オペラ歌手とかにこの中で歌ってもらって聞いてみたい。
26. 匿名処理班
どんなに静かにしようとしても自分の鼓動はどうにもならんからな
27. 匿名処理班
耳栓した状態と何が違うのだ??