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人類はまだ、ふさふさの体毛を生やす遺伝子を持っている

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(著) (編集)

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 私たち人間は同じ哺乳類霊長目ヒト科であるチンパンジーやゴリラ、オランウータンとは違い、体毛がほとんどない。

 同じように毛のない哺乳類は意外と多い。クジラやゾウなど、一部の哺乳類はもともとは毛が生えていたのに、あえてそれを捨て去った。いずれもそれが生存するうえで有利だったからだ。

 だが人間が毛を捨て去った理由はやや謎だ。

 ピッツバーグ大学とユタ大学の研究チームはその謎に遺伝子から迫ってみた。

 その結果によると、人間はふさふさの体毛を生やすための遺伝子を今でも持っているのだという。だがそのスイッチを切ってしまったことで、毛のない体を手に入れたのだそうだ。

 この研究は、『eLife』(2022年11月7日付)に掲載された。

体毛を捨て去った哺乳類たちとその理由

 毛は哺乳類の体の特徴であり、センサー機能・保温・皮膚の保護など、さまざまな役割を果たしている。

 哺乳類の祖先にも毛が生えていたと考えられており、実際、毛は私たち哺乳類の進化にとっては大切なことだった。ところが、やがてこれを捨てた仲間もたくさんいる。

 例えば、クジラ・イルカ・マナティー・ジュゴン・セイウチのような海の哺乳類の体には、まばらにしか毛が生えていない。これは海では体毛が少ない方が動きやすいからだろう。

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 ゾウ・サイ・カバなどの大型の陸生哺乳類も毛が薄い。これは体が大きく、熱を逃がしにくいことが関係していると思われる。

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 では、やはり体毛が薄い人間はどうなのだろう。なぜ私たちの体にはほとんど毛が生えていないのだろうか?

哺乳類の一部が体毛を失った理由を探る

 ピッツバーグ大学の人類遺伝学者ネイサン・クラーク博士らは、”脱毛”という不思議な進化の謎にユニークな方法で迫っている。

 毛のない哺乳類とある哺乳類を比較して、進化スピードが速い遺伝子を探し出すのだ。

 「毛を失うような進化圧を受けた動物では、毛を生やす遺伝子の重要性が低下します」と、クラーク博士はプレスリリースで説明する。

 重要性が低下した遺伝子は、自然淘汰による変化が速くなる。だから毛のない哺乳類でよく変化した遺伝子があれば、それが発毛に関連するものだろうと推測できるのだ。

 クラーク博士らは、62種の哺乳類がもつ合計1万9149個の遺伝子と34万3598の非コードDNA領域(タンパク質の情報が書かれていないDNA領域)を分析。

 その結果、哺乳類が毛を失うにいたった進化を説明してくれそうな遺伝子をいくつも特定することができたという。

 それによれば、哺乳類はこれまで9回毛皮を脱ぎ去るという戦略を採用してきたことが判明している。

 それはそれぞれの種で独自に起きたことだ。だが、どの種も同じ遺伝子に突然変異を積み重ねることで”脱毛”してきた。

 そうした遺伝子は、毛、爪などをの細胞骨格を構成するタンパク質の一つ、ケラチンの基本構造となる情報が書き込まれたものだ。

 一方、毛を作る構造とは直接関係のない非コードDNA領域も重要であることがわかっている。それらはスイッチを入れる遺伝子やそのタイミングなどを制御していると考えられている。

 さらに毛とどう関係しているのか不明な遺伝子も見つかっている。

 こうしたことから、遺伝子のスイッチを切り替えるメカニズムがかなり複雑なものであろうことがうかがえる。

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人間はまだ完全な体毛を生やす遺伝子を持っている

 つまり人間はまだ、完全な体毛を生やすための遺伝子を持っているのだが、突然変異の蓄積により、現在オフに設定されているということだ。

 今回判明したことは、いずれ人間の新しい薄毛治療につながる可能性もあるとのこと。

 また遺伝子の変化スピードを比較するという今回のアプローチは、がんの予防・寿命の延長・その他の健康に関する遺伝子領域を特定するといった応用も可能であるそうだ。

 「さまざまな特性の根底にある全体的な遺伝メカニズムを明らかにする方法です」と、クラーク博士は説明している。

References:Here Today, Gone Tomorrow: How Humans Lost Their Body Hair | University of Utah Health / New Research Shows How Humans Lost Their Body Hair | Sci.News / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 43件

コメントを書く

  1. 頭頂部に毛を生やす遺伝子集中できないか?

    • +19
  2. 今後もし、大気汚染がシャレにならないほど進行したりものすごく寒冷化したりで肌を保護する必要に迫られたら、スイッチONで体毛フサフサになっていくのかな

    • +6
    1. ※3
      最終氷期の全盛期でもスイッチ入らなかったなら
      寒さでスイッチ入れるのは難しそう。

      氷期の人類は他の動物の毛皮を利用する方向へ行ったわけだけど
      これを覚えちゃうと自分の毛を生やすのに
      エネルギーを使うのは馬鹿らしくなる気がする。

      • +5
  3.            |
                |  彡⌒ミ
               \ (´・ω・`)また髪の話してる
                 (|   |)::::
                  (γ /:::::::
                   し \:::
                      \

    • +27
  4. そこじゃないんだ
    必要な箇所の可能性はどこ行った

    • +18
  5. 多分、体はぼうぼうになり得ても頭頂部だけ難しんだよ。
    遺伝子、運命、定めに神の意志。ありとあらゆる要素で。

    • +9
  6. 衣服じゃ追い付かないレベルの寒さが来たら生える…のかな?
    けど季節で毛皮を換毛するのって今みたいな気温差の激しい気候じゃ中々順応が難しそうだ

    • +3
    1. ※8
      衣服じゃ追い付かないレベルなら髪に霜が付くので
      むしろ抜けそう

      • +1
  7. 養豚場から脱走して野生化したブタの皮膚からは
    イノシシのような毛が生えてくるらしいね
    人間が同じようになるにはよっぽどのストレスが必要なのかも

    • +3
      1. ※18
        「ストレス(負荷)」ってのが、外傷的な意味なら、
        たまに怪我が治った後の数センチ範囲だけ
        異様に毛濃くなったりすることもあるし、
        以前テレビで観た 竹材を担いで運ぶ仕事歴ン十年のおっちゃんは
        肩のへんに胸毛みたいな体毛がまばらに生えていた。

        • +2
    1. >>10
      それ俺も疑問に思って調べたことあるけど、脱走した個体から生えるわけじゃなくて脱走した個体の子孫が数世代でイノシシ化するだけらしいで

      • +6
    2. >>10
      外気や草木や虫から肌を守ろうとするのかもね
      昔の仮面ライダーアマゾンを演じた俳優は上半身裸のシーンばかりで体毛が濃くなったらしい
      うちの兄は素足を晒す夏にすね毛が濃くなり、自分は乾燥肌のケアを怠ると濃くなるよ

      • +2
    3. ※10
      おれ、ほぼ(下着の)パンツ履かないんだけど
      ○ン毛ボーボーで長毛
      やっぱり何かしら環境は作用してんじゃないかねぇ

      • 評価
  8. 必要のない部分のやつまでしっかりoffにしてくれよ
    けつ毛だよけつ毛!

    • +7
  9. 体毛があるのに狩った獣の皮を着て防寒したから体毛のスイッチがオフになったんかな?
    (頭頂部のスイッチをオンにしたい…)

    • +6
  10. 体を清潔に保つうえで体毛があるとやっぱ不便だと思うわ

    多毛症で顔面に毛が生えてくる人は見ていて気の毒だから、遺伝子はオフのままでいいや
    ハゲててもイケメンな人はいっぱいいるし

    • +5
  11. 今泉「古畑さーん。ボクの広いおでこも助かりますかね」
    古畑「うーん。無理だね」

    • 評価
  12. この遺伝子のお陰で人生ハードモードありがとうございました

    • +3
  13. 彡⌒ミ
    (´・ω・`)じゃあ僕にもまだ可能性があるんだ・・・・

    • +7
  14. こういう使ってないけど復活可能な遺伝子が収斂進化をしやすくしてるのかな

    • 評価
  15. 猫を観てると全身に毛皮が生えてるのも良いかもって思う。

    • +6
  16. 肩肘膝とかぶつけたり擦ったりし易い所には毛が無いのに、ただでさえ不衛生になり易い所に残ってるのが不合理に思えてしょうがない。頭の毛も衝撃からの保護なら10cmもあれば十分でそれ以上伸びても木の枝等に絡まって逆に危険になるのに長くなるし。

    • +6
    1. >>25
      人間の頭髪の長さは不思議だね
      他の霊長類は短いし、飾り毛や羽根を持つ生き物だって適当な長さに収まるのに、放置すると身の丈まで伸び続ける

      • +7
  17. 多毛症の人はスイッチをオフにしたら多毛ではなくなるってことなのかな?

    • +5
  18. 「スイッチがオフなだけ」だろね
    寒くなれば10代くらいでフサフサになる

    ところで、ション・コネリー並みの俳優さんはもう居ないのかな?
    みんなつるつるじゃん

    • +2
  19. 学生だったころ体育の水泳の授業で同じグループだったK君の背中にまぁまぁフサフサの毛が生えてたのを思い出すw
    その日から、自分の中でK君のあだ名が「背中っ毛K」になったw

    • -3
  20. 体毛があると衛生的に不便という見方もあるけど、一定期間オフで固定していたのがオンになるほどの変化が起きたならそんなの吹っ飛んで、不潔さに耐性のない者は淘汰されていくんだろうな

    • +2
  21. なんだかの理由で幼形成熟してしまい、体毛を失って代わりの脳が際限なく巨大化

    脳が発達したので服を着れる能力を身に着けた、体毛は必須でなくなった

    体毛がないとノミやシラミに集られにくく病気になりにくい、一方無毛の問題も解決

    無毛へ進化成功

    じゃないのかなぁと、以前想像していた

    • 評価
  22. 体毛は薄いほど好まれる傾向があるのに、
    頭髪が薄いと笑われるのは理不尽では
    ないだろうか

    • +7
  23. ほこりっぽかったり粉塵のある場所で働くと鼻毛がフサフサになると聞いたことがあるな
    あれも環境によって遺伝子のスイッチが入ったのかもね

    • +3
  24. 例えば「この薬を飲めば頭の毛がフサフサになるけど副作用で他の体毛も濃くなります」だとしても、さみしくなった頭がフサフサになるなら飲むかな?
    女性から見ると体毛濃いよりは頭髪寂しいほうがいいけど、現在お悩み中の男性だったら飲みたいかな?

    • +3
  25. 地殻の大変動で森林から直射日光にさらされるサバンナに進出した過程で、発汗で体温調節するようになって体毛が薄くなった。
    髪の毛は個体差ある理由というか他の霊長類と違って人類だけ髪が薄くなる遺伝子ある理由わからんしだけど鳥類も猛禽類は薄いのがいるね。

    • 評価

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