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親指と人類の進化の関係。人類は親指が器用に動かせるようになる前から道具を使いこなしていた可能性(独研究)

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(著) (編集)

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親指と人類の進化の関係 / Pixabay
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 我々人類の親指はほかの指と合わせるように動かす(対置)ことができる。

 これは手先を器用に操るためにはとても重要なことだ。親指のそうした進化と石器の発明には密接なつながりがあるとされ、これがなければ人類が今のように繁栄することはなかっただろうと考える学者もいるほどだ。

 だが、もしかしたら対置できる親指と道具の発明は、それほど関係がないのかもしれない。というのも、この便利な親指を獲得する以前から、祖先が道具を使っていたらしき証拠が見つかっているからだ。

最初に道具を使った猿人はチンパンジーの親指に近かった

 アフリカ大陸で700万年前に誕生し、130万年前まで生息していたと考えられる「猿人」(アウストラロピテクス属など、初期の人類とされる)、彼らには200万~300万年前に道具を使った間接的な証拠が残っており、おそらくは道具を使った最初の人類だろうと近年考えられるようになっている。

 だが『Current Biology』(1月28日付)に掲載された新しい研究によるなら、その親指は私たちよりもチンパンジーのそれに近かったらしいのだ。

 猿人はその祖先よりは手先が器用だったようだ。たとえば、手の比率は現代人のそれに似ている。しかし親指を見てみると、私たちほど上手には合わせることができない構造をしているのだという。

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アウストラロピテクス・セディバの手の化石 image by:Peter Schmid

 独エバーハルト・カール大学テュービンゲンの古人類学者カテリーナ・ハルヴァティ氏らは、手を構成する「母指対立筋」と「菱形中手骨関節」に着目した。この筋肉と関節は、親指を対置させるために欠かせないパーツだ。

 さまざまな人類の化石をもとに、筋肉と関節の位置と動く経路、それが付着している部位を最新の3D仮想筋肉モデリングを使って比較。すると現代人やネアンデルタール人などのヒト属は、どの仲間も手先の器用さが似たようなレベルであることが分かった。

 ところが、道具を使ったとされる猿人は、どの仲間であっても親指の効率と器用さがおしなべて低かったのだ。もっとも最近の猿人であるセディバ猿人ですら、菱形中手骨関節の屈曲が悪かったという。

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現代人とチンパンジーの親指の筋肉の違い。上がチンパンジー、下が現代人のもの

image by:Harvati, Karakostis and Haeufle

現代人とチンパンジーの中間の手を持つ猿人

 なお南アフリカ、スワルトクランスの洞窟で発見された「パラントロプス・ロブストス」という猿人の手は、ほかの猿人よりも私たちのものにずっとよく似ていたそうだ。

 その親指は、チンパンジーと現代人の中間くらいの作りをしており、親指の器用さは現代人と同じくらいだったらしい。

 パラントロプス・ロブストスは火を利用し、大型動物を狙いはじめた最初の人類だとされているが、それができたのは手先の器用さゆえだったのかもしれない。

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パラントロプス・ロブストスの化石 image by:Didier Descouens / WIKI commons

器用な親指を手に入れる前に道具を使っていた可能性

 研究グループの見解では、このような変化が重要な進化上の利点をもたらし、その後200万年かけて続いた生物的・文化的な発達につながった可能性があるという。

 だが、パラントロプス・ロブストスが器用な親指を手に入れる前に、初期人類はすでに道具を手にして、アフリカの大地で忙しく働いていたようだ。

 研究グループは今後、さらに詳細に手の構造を調べ、私たちの親指の歴史について掘り下げる予定であるそうだ。

References:Current Biology / smithsonianmag/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 16件

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  1. 親指が対置できるようになったから道具を用いるようになったのではなく、道具を使うようになったことで、親指が対置という変異が優位性を獲得し、その方向に進化していったのでしょうね。

    人類が延々スマホを使い続けたら、きっと親指まわりの筋肉が変化していくのでしょうね。
    (もちろん、その前に新たなテクノロジーがスマホに取って代わるでしょうけれど)

    • +8
    1. ※1
      片手スマフォの場合、みなさん親指でタップしてますよね。
      コアラみたいに親指二本というか、人差し指と中指の間でモノを握れると親指側のフリーな指が増えて使いやすそうだなと思ったことがあります。
      そう、今一つ手が大きくないので片手スマフォがとてもやりにくいんです。

      • 評価
      1. ※6

        親指が小さいとアレも小さいと女性は直感するのよ。

        • 評価
  2. ヒトの進化と手の動きが関係がありそうだという話はずっと以前からあるし、最近のアニメでも言及されていたが、今回の話は親指の機能に着目したという所が味噌なのだろう。

    • 評価
    1. ※2
      確かに重要だったんだろうね
      わっかを作れるというのが大きく違うのは分かる
      そうでないとならない動作って何だろう?
      木登りは必須ではない、棒状紐状の道具を扱うにしても必須ではない、球形の道具である投石にも必須ではない
      弓だと必須だね、引けない!
      板状の道具は・・・たぶん使ってないだろうね

      • 評価
  3. グゥー ググゥ グゥー グゥーー! グォォォ―――!!

    • -2
    1. >>3
      エド・はるみ。今どうしてるかなあ?

      • 評価
  4. 日本人で初めて親指を道具に使ったのは高島忠夫さん。

    • +1
  5. スマホを使い続けるから親指が変化するってのはラマルキズムっていう200年以上前の進化論における極々初期の考え
    有利な形質が生き残るというよりは不利な形質が滅ぶから生物の進化が起こるんだけど
    人間の場合は多少不利でも無理矢理環境に適応できるだけの技術力があるから多様な変化が起こりうるってだけ
    ただそこまでの変異がハッキリと表れるまでに文明が存続しているかわからないんだけどね、社会情勢の問題とかもろもろあるし

    • -1
    1. ※5
      私の書き方が悪かったかもしれませんね。
      「人類がスマホを使い続けたら、親指の筋肉がスマホの使用に有利なような突然変異が優位性を獲得し、そのような変異を持った人々が多数派になって、やがては人類全体の親指がそのようになっていく」と書きたかったのです。
      ラマルキズムが間違っているなんてことは、常識ですよ!!!!!

      • -3
      1. >>7
        そもそも優位性を持たなくても技術でなんとかなるのが人間なのです
        適応度に対して中立な変異が集団の中で固定されるのは果てしない時間がかかります
        集団の大きさ、大雑把に言えば1世代あたりの総繁殖個体の4倍の世代がかかるというのは中立説を唱えた木村資生氏が著書の中で述べています
        日本だけでも20代が約1000万人いるため4000万世代かかりますね
        さらに突然変異体は10世代ほどの期間で消失してしまうものがほとんどです
        人間という個体の数や突然変異率の低さを考えても特定の指向性を持った進化をするのはゲノム編集がメジャーにならない限り(言わずもがな倫理的な問題は発生しますが)、果てしなく遠い未来になるでしょう

        • -1
  6. 中東、西アフリカ、南アメリカで
    親指を立てると撃たれるよ。

    • 評価
    1. >>10
      ブラジルで親指と人差し指で「グー👌」てやるとお尻の穴っていう意味で、笑われるか怒られるかするらしい。

      • 評価
  7. 自分の時代に帰った。
    江戸モアゼルと交替してる。

    • 評価

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