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10年かかる樹木の開花を数か月に短縮させる方法を開発。遺伝子編集でメスをオスに変換

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(著) (編集)

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 アメリカの研究チームが、ポプラの樹木の遺伝子を編集して、通常なら10年近くかかる開花をほんの数ヶ月に短縮することに成功したそうだ。

 樹木の品種改良は非常に時間がかかる作業で、変化が確認されるまでに何年、何十年とかかることがある。

 しかしジョージア大学が開発した方法ならば、それを大幅に短縮でき、寒さに強い木や乾燥に強い木などの育種を一気にスピードアップさせられるかもしれないという。

遺伝子編集でメスをオスに変換

 樹木には動物と同じように雄(オス)と雌(メス)があり、その多くが、「雌雄異株(しゆういしゅ)」か「雌雄同株(しゆうどうしゅ)」に分かれる。

 「雌雄異株」は、オスとメスが完全に株ごとに分かれている植物で、それぞれが雄花と雌花を咲かし、一緒に植えることで実が付く。今回の実験の対象となったポプラがそうだ。

 一方「雌雄同株」は同じ木に雄花と雌花を咲かせるため、一本の木で結実させることが出来る。

 研究者らは、過去の研究で明らかにされた「ヤナギやポプラの性決定」の知識を応用し、遺伝子編集ツール「CRISPR」で、ポプラの「”メス”の性転換遺伝子」を編集。この木の長い生殖サイクルを無視するよう仕向けた。

 ポプラの木は花が咲くまでに通常7~10年かかる。だが遺伝子編集したポプラは、たった数ヶ月後で”オス花”を咲かせ、性転換に成功したことが確認された。

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ほんの数週間で、すでにポプラの花を確認できる。一般的には開花まで10年近くかかる / Credit: C.J. Tsai

 この方法は、木の研究者にとって素晴らしいゲームチェンジャーになるかもしれない。

 作物と違い、樹木の研究は何十年もの長い時間がかかる。だが木の開花をスピードアップさせれば、交配を通じて木の特徴を迅速に評価できるようになる。

つまり、乾燥や寒さなどに強い木をずっと早く作れるかもしれないということだ。

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ジョージア大学の研究室で育つポプラの木 / image credit:Kristen Morales

ポプラの綿毛を減らせる可能性も

 今回の研究では、ほかにもいくつか新たな発見があったという。

 たとえば、ポプラは「三性同株(雄性雌性両全性同株)」になれるかもしれないという。1本のポプラから雄花と雌花を両方咲かせられるかもしれないのだ。

 普通のポプラは雌雄異株なので、メスなら雌花、オスなら雄花しか咲かないが、今回の方法で開花が早められたポプラのメス木に、雄花と雌花の両方が観察されたのだ。

 もう1つの驚くべき発見は、遺伝子編集によって、ポプラの綿毛を減らせるかもしれないということだ。

 ポプラがタネを広めるために使う綿毛は、雪のような幻想的な風景を演出してくれるが、人によってはアレルギーを引き起こす悩みのタネだ。

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photo by iStock

 これについてはまだ研究が必要とのことだが、いずれは歩いていてもくしゃみが出ないポプラの並木道が登場するかもしれない。

 この研究は 『New Phytologist』(2022年11月16日付)に掲載された。

References:Scientists develop method for trees to flower in months / Scientists develop a method to allow trees to flower in mere months / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 22件

コメントを書く

  1. 賛否両論あるだろうが、ジュウシチネンゼミの俗説みたいに生存競争の為に成熟までの時間を長く取るような進化をしたのが今の自然だとすると、
    人間の保護の下で、食害にも病気にも気候にもある程度文明的な対抗が出来るなら、そこまで悪いハナシではない気がする。
    もちろん、そんな一蓮托生な種は人類が滅びたら躓くだろうが、死んだ後のことはどうでもいいっちゃどうでもいいし

    • +6
    1. ※1
      人間の保護下のポプラ、自然界のポプラ、両方あったほうが生存率は高いしな

      • +6
  2. 凄い事だとは思うんだけど
    こう言うの怖いんだわ

    • +6
  3. すごい、すごい研究だ。
    例えば柑橘の交配をすると、F1が花を咲かせるまでに10年以上かかる(注1)。
    その果実が良い品種が出来たとしても、それを固定するのに後10世代ほどかかるから、これを接木で増やすか、苗木(穂木にして)として使っているんだ。
    これらを短縮できる研究、そうまるで一年草の花のように扱えるわけだ。
    開花まで酢か月、固定まで約10年、柑橘以外に梨でも林檎でも桃などのほか、果樹じゃない花木の改良にも生かされるはず。

    また雌雄同体の植物(両性花)が増えることはさらなるメリットがある。
    ♂♀2本を植えないと結実しない果樹を1本で栽培できることになるからいろいろな手間やコストが省けるんだ(注2)

    注1.F1自体を接ぎ穂として使うことで開花を早めることも出来るが、接木の相性や隠れたウィルスなどで駄目になることがある。
    なかなか上手くいかないそうだ。
    注2.これは日本の研究の研究が進んでいたと思う。サイエンスゼロで見た。雌雄別のほうが受粉率がいいものもあるけど、全体でいえば両性花のほうが都合がいい。

    • +4
  4. その綿毛はポプラに取ってどんな意味が有るのかな
    必要が有って残ってる物じゃないの?
    本当に取って良い物なんだろうか?

    • +1
    1. ※4 「タネを広めるため」って書いてあるよ。

      • 評価
  5. 👃ハァー ハァ―― ハァ―――――――クション!

    • 評価
  6. キリストかな?
    いや遺伝子編集は万能か?神の御業じゃん

    • 評価
  7. >「雌雄同株」は同じ木に雄花と雌花を咲かせるため、一本の木で結実させることが出来る。

    種類によっては、雌雄同株でも自家受精はせず(orしにくく)
    他株からの花粉が付かなきゃ結実しない植物もあるけどね。

    • +1
    1. ※8
      あなたの言うことはわかるよ、林檎とかそうだよね、自家受粉しづらい。
      でも記事では「開花を早める研究」と「雄花・雌花・両性花の機構研究」の二つが書かれてる。
      後者だけなら林檎などには役立たないかもしれない、でも前者の研究はめちゃくちゃ役に立つよ。

      あと一つ、例えば「画期的な抗がん剤が出来た」という記事に「脳出血には役立たないw」と笑う人がいたらどう思われるだろうか? 頭がおかしな人に思われるだろうね。
      それがあなただよ。

      • +2
  8. 結実までの年月も短縮出来るようになったらすごいね
    ミカンとかブドウとか新品種は高値で売買されるけど、
    生産者が苗木を植え替えて何年もかけて育てて出荷する頃には値崩れしてたりする

    • +2
  9. わからん?

    性転換に成功したオスと、品種改良後の種となんの関係があるんだ?

    • 評価
  10. 並木道かー。
    観光名所ならともかく、近所の40年くらい前に植えた街路樹は、大きくなって見通しが悪いせいか、バッサリなくなってるよ

    • 評価
  11. 将来は桃栗三年柿八年が通じなくなるんかな?

    • +1
    1. ※12 つづき→ 梅は酸い酸い十三年 梨はゆるゆる十五年 柚子の大馬鹿十八年 みかんのマヌケは二十年

      • +1
    2. ※12
      一応、今でも
      接ぎ木をすればもっと早く結実できるよう短縮可能。

      • +1
  12. 花を早く咲かせたら寿命が短くなるとかないのかな?
    竹なんて、花が咲いたら枯れちゃうし…
    大きく育たないとか、もろいとか、何かひとつ都合がいいことがあったら、都合のわるいこともありそう。

    • +1
  13. タイトルも作者も忘れたが、環境変化に強い花を作り出したはいいけど、一度広まるとどうしても駆除できずに惑星を覆いつくして文明が滅亡。みたいなショートショートを思い出した。

    • +1
  14. 人工的な作物になら画期的な技術として導入されたらお金を産むでしょうし、一部の人の苦労が減るでしょう。

    ただ、人間に例えるなら生理が早く来るように遺伝子操作をして、若年でひたすら出産させるのとおんなじなのでは?

    無理があると思うんだよなぁ…
    きっとその木からは癒しのオイルも薬効成分も取れないだろうと思う。

    • 評価
  15. 今、環境の変化が問題視されてる、特にその速さに生物は対応できないだろうと
    この技術で種の変化のサイクルを早める可能性もある

    • +2

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