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エストニアにはシートベルトの着用が禁止されている道路がある

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(著) (編集)

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 ご当地ならではのルールは興味深いものがあるが、バルト三国の一つエストニアにもかなり特殊な交通規則がある。

 その交通規則とは、ある道を利用するドライバーは走行中にシートベルトを着用してはいけない、というもの。

 いやいや何かの間違いでしょ。普通に危なくね?とつっこみたくなるきまりだが、それはもちろん同国での一般的な交通規則ではなく、特定の道にだけ適用されるものだ。

 さてそれは一体どんな道?気になる詳細に迫ってみよう。

ヨーロッパ最長。エストニアの冬季限定道路「アイスロード」

 ヨーロッパの北東、バルト海に面したエストニアには、冬になると現れる氷の道「アイスロード」を移動する文化がある。

 凍ったバルト海を含むその道は、エストニアの海岸線とヒーウマー島を結ぶ区間で、 全長およそ26kmもあるのだ。

 期間限定のみならず、公式アイスロードの中でもヨーロッパ最長という激レア道路。この道にあこがれるドライバーにとって念願の走破は生涯忘れられない体験なのだ。

Iceroad in Estonia
image credit:Visit Estonia/flickr CC BY-NC-SA 2.0

アイスロードでの特殊な交通規則

 とはいえ、氷でできたこの道を走るドライバーは、特別に定められた交通ルールを順守せねばならない。それは以下のようなものだ。

・日没後の運転禁止
・走行速度は時速25km以下もしくは時速40~70km(推奨)
・シートベルトの着用禁止

 日没後はまあわかるとして、走行速度の妙な開きは何かと思えば、なんと時速25km~40kmは氷が割れる危険性があり非推奨だという。

 その原因はタイヤの動きと車が船首波(航行中の船の船首がつくる波)に似た振動を生み出すためで、その振動が長時間続くと道が割れ、車もろとも水の底に沈む可能性があるそうだ。

 想像だけで身震いする話だが、振動にまつわる警告はあやしいという声もある。かといってせっかくできた氷の道の上でその真偽を試す者もいない。

 いうまでもないが挑戦自体が命がけ。実際そうなら溺死か低体温症で命を落とすリスクしかないからだ。

Ice road, Europe´s longest, between Hiiumaa island and Estonian mainland

シートベルトの着用禁止は、氷が割れた時の脱出に備えて

 最後のシートベルトに関してはもうお分かりだろう。万一氷が割れて水に落ちたら脱出できなくなるからだ。

 ヨーロッパのほとんどの道路では日本同様シートベルトの着用が義務付けられている。

 なおエストニアの道路管理局が管轄するアイスロードは合計7つあるが、着用が違法なのは、ヨーロッパ最長のアイスロードのみなんだそうだ。

参考:エストニアの官営アイスロード

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image credit:H2ppyme, CC BY-SA 4.0 via Wikimedia Commons

 特別なルールはほかにもあり、アイスロード上での停車も禁止。250m以上の車間距離を維持するほか、アイスロードに進入する際には3分ほどの間を取らなければならないそうだ。

氷上の移動は安くて便利な移動手段

 氷上を旅する文化は少なくとも13世紀、ドイツ騎士団が馬に乗りヒーウマー島を目指した時代にさかのぼる。

 島の村人は本土からの物資の輸送に分厚い氷を利用し、餌に窮していたクマやヘラジカ、オオカミなどの野生動物でさえ、氷を渡って島から移動していた。

 しかもその文化は過去のものではなく、現代でもフェリーより安くて便利な移動手段の一つだという。

 そんなわけで毎年冬、氷が車の重さを支えられるぐらい分厚くなると、何百台もの車がこのアイスロードを走る光景が観られる。

 以下はBBCニュースが投稿した全長26kmのアイスロードの様子だ。

 時期は例年1月下旬~3月下旬。ヒーウマー島博物館の館長のトーマスさんは「怖くないしとても安全。路面も氷じゃなく雪が積もってるので走りやすいです」と語っている。

How to drive along a 26km ice road – BBC News

 エストニアの冬の風物詩?それ以上に貴重な眺めかも。ただリアルすぎる運転ルールを知っちゃうとまったくもって走ってみる気にゃなれないわ。

 むしろ万一割れたらアイスロード上の車が全部海に落ちる事故もあったり?なんて考えちゃうけど、その時しか渡れない幻の道を行くなんてワクワクするね。

References:odditycentral / wikipediaなど /written by D/ edited by parumo

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この記事へのコメント 20件

コメントを書く

  1. まぁ確かにぶつかる相手も無いからシートベルトの必要性は低いけど、こんな極寒の水に落ちたら車から脱しても死ぬやろw

    • +8
  2. なぜ道路が直進ではなく、曲がりくねった道が多いのだろう?

    氷に負担がかかるから危ないと思うが

    • +4
    1. ※3
      よく分からんけど、Googleマップの航空写真で見たら、
      地図ののっぺりした色塗りだと水色一色の海でも
      実際には岩礁?浅瀬?が点在して水の緑色が違う箇所が結構ある。

      官営アイスロードの赤線と見比べたら、
      2番以外は、概ね浅瀬伝いにルートを取ってそうに見える。

      こんだけグサグサ目印の木の枝刺して誘導してるところを見るに、
      車が通れるレベルの氷といっても、やっぱり
      比較的しっかり厚みあって大丈夫な部分と
      ちょっと通らない方が良さげな部分とがあるんだろうか…?

      • +7
  3. アメリカのヒストリーチャンネルにアイスロードトラッカーズという番組がありましたね。これを思い出しました。
    カナダやアラスカで北極圏にある油井まで、凍った川や湖、海の上にできた道でクラス8の大型トラックが資材を運ぶのですが、そのドライバーのドキュメンタリーです。
    毎年季節ものの商売ですが、夜間も走るしなかなか面白い番組でした。
    また、シベリアでも凍った河は真っ平らで信号もないので、冬の間の快適な道路らしいです。極北の地ならではの文化なんでしょうね。

    • +9
    1. ※4
      公式がYouTubeに動画置いてくれてるんで見てきたところでした。こわい。すでにクラック入っているし。ぶち抜きかけたときの脱出技術?ゴリ押し?もこわいし、なにより窓を開けて氷の音を聞きわけながら行くんですね。あの音は割れなのか軋みなのか…。
      ニュース記事では重量超過の大型車両が氷割ってスタックしたものも見つかりますしまあプロともなると大変だ!

      • +4
  4. 地図見ると完全に海なんだな
    冬以外は船なのか

    • +4
  5. 馬橇の時代でも積雪の時期は道を遮るものがないのでわずか一か月で広いロシアを横断できたというね

    • +4
  6. レニングラードの命の道のお隣さんだもんなあ。

    • 評価
  7. > 馬に乗りヒーウマー島を

    なんかツボった

    • +7
  8. 時速40~70km 推奨って普通の道では?笑

    • -16
    1. ※12
      なんでそこだけ抜き出すんだ?

      「時速25km以下もしくは時速40~70km」
      (時速25km超~40km未満の中速はNG)という、
      単純な高速・低速に対する以上・以下規制ではなく
      非推奨帯として“中間部分が抜けてる”ってのが特徴的、
      って話なのに。

      • +11
      1. ※17
        そこが特徴だわな
        理由がまた聞いて納得

        • +4
  9. まあ、極寒の地の夜は
    氷点下20度なんてざらだから
    装備や知識が無いと死ぬ
    真冬の氷上を走る時点で覚悟するでしょ?

    • +2
  10. エストニアのレースドライバーの腕の良さの噂を聞いたが、凍った道路に加えてコイツ氷路のせいでは
    同じ様な噂をフィンランド人パターンでも聞く
    北欧で後ろに着かれたくないドライバーだとも
    それなりのスピードで凍結道路をぎゅんぎゅん進むタイプかと予想してるが体験したくはないなぁ!

    • -1
  11. アラスカとかでは昔から犬ぞりや車で走ってたところも氷が薄くなったり割れやすくなって危険な場所が増えてるらしいので、ここも温暖化進んだら更に制限が厳しくなったり通れなくなったりするんだろうな

    • +5
  12. 絶妙なルールを聞くと余計に怖い
    少なくともこのルールができた現代では、氷が割れて車が落ちたことはないという認識でいいの?

    • +1

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