メインコンテンツにスキップ

生細胞間のミトコンドリア移植の新技術。臓器を救う画期的な治療法の実現に向けて

記事の本文にスキップ

15件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 ほとんど全ての真核生物の細胞の中にある「ミトコンドリア」は発電所のようなものだ。ブドウ糖と酸素をもらって、そのかわりにエネルギーを作り出す。そんな重大な役割を担っているのだから、ここが故障してしまえば、人体には深刻な影響が現れる。

 脳や心臓のような、エネルギー需要が旺盛な内臓は特にそうだ。もしも、壊れてしまったミトコンドリアを交換することができれば、大勢の患者を救う革新的な治療法になるだろう。そのもしもが、一歩実現に近づいたようだ。

ミトコンドリア移植とは?

 「ミトコンドリア移植」と知られるこの治療法は、動物実験ではミトコンドリアの機能不全を起こした細胞を甦らせるなど、とても有望な結果が報告されている。

 やり方としては、ミトコンドリアが傷ついてしまった細胞に、他の細胞から抽出した健康なミトコンドリアを注入する。

 するとそれが細胞に吸収され、ダメージが修復されるのだ。

 海外では心臓に障害を負って生まれた子供に行われた珍しい事例があるが、そうした医療への応用はまだ限られたものでしかない。

この画像を大きなサイズで見る
photo by iStock

新たに考案されたナノサイズのシリンジを使う移植法

 今回、チューリッヒ工科大学のグループによって考案された新しいミトコンドリア移植法は、細胞の生存率が高い上に、圧倒的に効率に優れているという。この技術の鍵を握るのは、特別に開発された極小の円筒形の「ナノシリンジ」だ。

 ナノシリンジは、細胞に穴を開けて、健康なミトコンドリアを吸い出したり、治療が必要な細胞に注入したりすることができる。

 位置や圧力はレーザーによって精密に制御されるので、細胞にほとんど傷をつけずに、ミトコンドリアの抽出・移植ができる。

 実験では、移植されたミトコンドリアの8割がきちんと生存することが確認されたという。

 移植されたミトコンドリアは、20分のうちに他のミトコンドリアの糸状のネットワークに融合する。研究グループによると、この結果は、移植技術が実現可能なポイントに達したことを示唆するものだそうだ。

 「最低限の侵襲なので、ミトコンドリアを提供した細胞も移植された細胞も、どちらも生きることができます」と、論文著者のクリストフ・ゲーベライン氏は話す。

Mitochondria transplantation between living cells

アンチエイジングや研究用ツールとしても有望

 このミトコンドリア移植法は、内臓の病気の革新的治療法になるだけでなく、歳をとって代謝が衰えてしまった細胞を若返らせるアンチエイジングとしても有望であるとのこと。

 またミトコンドリアの進化を研究するツールとしても役立つかもしれない。

 実はこの器官には、面白い進化の歴史が隠されている。かつては好気性細菌で、私たちとは別個の存在だったのだ。それが何かのきっかけで真核細胞に入り込み、共生するようになった。

 「さまざまな細胞の区画が協力し合うプロセスや、共生が進化したプロセスなどを解明したいと思っています」と、研究の中心人物ジュリア・ヴォルホルト氏は語る。

References:A new dimension in transplantation | ETH Zurich / / written by hiroching / edited by / parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 15件

コメントを書く

  1. アンパンマン、新しいミトコンドリアよ ! それーっ !!

    • +2
  2. 助さん! 格さん! 懲らしめてやりなさい( ー`дー´)キリッ

    • 評価
  3. これ、細胞一つ一つに、ミトコンドリアを移植するんですか?

    すごい細かくて、すごい数なんですけど……

    どうやるんだろう?

    • +1
    1. >>3
      培養皿上で細胞(幹細胞?)にミトコンドリア注入して、その細胞が臓器形成するまで培養してから改めて人体に移植するのかな。

      まさか麻酔中の人に外科手術で直接ミトコンドリア移植なんてできないよね…?そんな微視的な手術、僅かに揺れただけでもアウトだし。

      • +1
  4. 1枚目見てチャーシュー乗ったラーメンが食べたくなりました…

    • 評価
  5. 移植と言っても1細胞なわけじゃないですか
    それで臓器レベルが回復するのがわからない
    健康なミトコンドリアを移植したらあとは勝手に全体的に増え広がってくれるわけ?

    • +1
    1. ※6
      再生医療では役立つかもね。ミトコンドリア修復した細胞から臓器培養。

      • +2
    2. >>6
      骨髄などから穿刺した細胞をラボで入れ替えて、戻すんだと思う。
      血液をそこから作らせるわけ

      • +1
  6. つまり生物はバッテリーを一箇所でなく、とてつもない数で分散させているということ。
    これを、機械・非生物でも、できるようになってほしいなぁ。。。

    • +2
  7. 普通の臓器移植や皮膚移植みたいに細胞ごと引っ越してきたときは、ミトコンドリアって最終的にどうなるの?

    • 評価
  8. 確か、異常を起こしたミトコンドリアによって遺伝する先天性疾患があった気がするが詳細は覚えてないなあ。
    その性質上、間に一人でも男性が挟まれば途切れる完全な母系上での遺伝だけど。

    • 評価
    1. “ミトコンドリア病”かな?
      ミトコンドリアDNAって母親から子へしか遺伝しないから、父親→息子へは遺伝しなかったんだっけ?だから間に男性が一人でも挟まると、その系統での遺伝は途絶えるとか何とか(ウロ覚えなので間違っていたらごめんなさい)

      • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

サイエンス&テクノロジー

サイエンス&テクノロジーについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。