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前代未聞の大発見か?ミトコンドリアなしでも生きられる微生物が発見される(カナダ研究)

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(著)

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 「ミトコンドリア」は、ほぼ全ての真核生物の細胞に含まれる細胞小器官である。真核生物は動物、植物、菌類、原生生物など、身体を構成する細胞の中に細胞核と呼ばれる細胞小器官を有する生物のこと。

 だがこのほど、ありえないとされていたミトコンドリアなしで生きる微生物が発見されたという。

 ミトコンドリアは真核生物の細胞(真核細胞)の中にある発電所のようなものである。真核細胞は細胞核と細胞小器官を備えている。中でもミトコンドリアは特に有名だろう。

 「ミトコンドリアは真核細胞には必須の要素で、その証であると考えられてきました」と発見者であるカナダ、ブリティッシュコロンビア大学の進化生物学者アンナ・カルンコウスカ氏は説明する。

 ミトコンドリアは独自のDNAを有しているため、かつては独立した細菌だったが、太古の時代に原始的な細胞に飲み込まれ、今日あるような複雑な生命へ進化したと考えられている。

ミトコンドリアを持たない真核細胞の発見に挑み続けた科学者たち

 これまで何十年もミトコンドリアを持たない真核細胞が探し求められてきた。そして、そうしたものが発見されたと考えられていたこともあった。その一例がランブル鞭毛虫という人間の腸に寄生して下痢を起こす原生動物だ。

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ランブル鞭毛虫

 これは細胞核はあるが、一見ミトコンドリアを獲得していないようであるため、生きた化石のような生物とみなされていた。しかし、その後の研究で実際にはミトコンドリアが存在することが明らかにされている。

 「そこにミトコンドリアの残骸のようなものがあることが分かっています」というカルンコウスカ氏によれば、ミトコンドリアにはエネルギーを作り出す以外の大切な働きがあるのだという。

 その大切な働きとは、特定のタンパク質のために鉄硫黄クラスターを組み上げることだ。これはミトコンドリアの真の役割であると考えられている。そのため、ある細菌が変わった方法で自分にエネルギーを作り、人間が持つミトコンドリアとは違う限られた形の器官しか有していなかったとしても、それはやはりミトコンドリアを利用しているのだ。

チンチラの腸内微生物からまさかのミトコンドリアいらずを発見

 カルンコウスカ氏がチンチラから単離したある腸内細菌で発見されるだろうと予測していたのも、こうした類の退化したミトコンドリアだった。しかし、そのゲノムの配列を解析したところ、それがミトコンドリア・タンパク質を作り出した痕跡は一切見つからなかった。理論的にはその細胞が生きれるはずがなく、存在するはずもないものであった。

 研究から、この細胞がミトコンドリアに頼って鉄硫黄クラスターを作る代わりに、別のメカニズムを利用していることが明らかとなった。どうやら、それはバクテリアから鉄硫黄クラスターを得ているようなのだ。

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 カナダ、ダルハウジー大学の生化学者マイケル・グレイ氏によれば、これは圧倒的な事例であり、退化したミトコンドリアすら持たない真核細胞の発見は前代未聞であるそうだ。 その一方で、今回の発見はミトコンドリアの獲得が重要であり、真核細胞の進化において決定的な出来事であろう事実を否定するものではないとも付け加える。なぜなら、この生物の祖先がかつてミトコンドリアを有していたが、それに頼らない鉄硫黄クラスター作成システムを獲得したのちに失われたであろうことは明白に思えるからだ。

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 この見解にはイギリス、エクセター大学のマーク・ファン・デル・ギーゼン氏も、「真核細胞の進化におけるミッシングリンクではないでしょう」と同意する。そう話す彼だが、この事例が生物が有する柔軟性の好例であることは認めている。

 「それは酸素のない環境に生息しており、そのため人間の細胞が生きるために必要とするいくつもの生化学システムを捨て去ったのでしょう。どの教科書にも真核細胞の基本的特徴として記載されている器官を失うようなやり方で適応したのですから、実にすごいことです。生命は生きるうえで極めてクリエイティブであるという証拠です」

via:npr.・written & edited by hiroching

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この記事へのコメント 32件

コメントを書く

  1. つまり元々ミトコンドリア無しで進化した生物では無さそうと言う事か、
    ミトコンドリアイブからの人類だけでなく地球上の生命の起源はそう変わらないのかも。

    • +1
  2. タンパク質も核酸も持ってない生物がどこかの星にいることを期待してます

    • +3
  3. ミトコンドリアとは共生できるんだよなあ
    ミトコンドリアは同化してくれるから

    • +1
  4. チンチラの腸内からの新発見…
    研究者さん達の果てしない労力に感服した

    • +9
  5. ミトコンドリアを持っているから真核生物なのであって
    元から持っていないならそれは原核生物なんじゃ

    • -2
    1. 記事では地球上の生物の大半がミトコンドリアを持っているなんて言ってるから、いろいろ誤解を招いてるね。個体数でいったら原核生物が圧倒的に多いんだから、ミトコンドリアを持ってる生物なんてほんの一部。
      ※5
      DNAが細胞核に収納されてるから真核生物ってことじゃないかと。
      ※6
      原核生物がそれ。真核生物に進化したときにミトコンドリアを獲得したと考えられてる。記事で科学者がミッシングリンクに言及しているのは、その進化の秘密に迫れるのかどうかに必然的に関心が集まるから。今回はミトコンドリアを失ってバクテリアを獲得したから、進化の鎖をつなぐ生物ではなかったってこと。

      • +7
      1. ※9
        ※11
        補足ありがとう。理解できたよ。
        自分の賢さが1上がった、夢を見た。

        • 評価
      2. ※9
        あれ、だから※6では「もしかして最初からミトコンドリアを持たない真核生物がいたら面白い」って言ってるだけでは?

        • -1
  6. >退化したミトコンドリアすら持たない真核細胞の発見
    >真核細胞の基本的特徴として記載されている器官を失うようなやり方で適応
    上記から「いったん獲得したミトコンドリア」を完全に捨てたという考えのようですね。でも、確かに驚くべきことだけれど、それほどの衝撃じゃない。
    最初から「ミトコンドリアを持たなかった」という可能性はないんだろうか? 地球上での生命発生の大元で、本当は数タイプの生命系統が誕生していたという可能性・・・。

    • -1
  7. バクテリアが鉄硫黄クラスターーーーーーーーーーー以外にもミトコンドリアの代替機能を有するんだろうか?

    • -1
  8. 自分のミトコンドリアに感謝。
    ありがとう、ミトコンドリア。

    • +1
  9. 翻訳元の記事の翻訳多分微妙に間違ってる。
    “カルンコウスカ氏がチンチラから単離した『ある腸内細菌』で発見されるだろうと予測していた”
    ではなく、”ある腸内微生物”が正しい。
    要はチンチラから単離した真核生物のゲノムを調べて、ミトコンドリア関連のタンパク質の痕跡が見つからなかったから、これはミトコンドリアを『完全に』失っている真核生物の最初の例だろうということだと思う。
    こういうミトコンドリアを持たない生物は、ミトコンドリアが共生する前段階の原始的な生物だという『アーケゾア仮説』なんてものもあったけど、系統樹作ったり微細構造を観察してみると、もともとミトコンドリアを持っていたけど先の代謝経路の獲得や嫌気環境暮らしとかでミトコンドリアが退化しただけだということが判っていて、今では否定されている仮説。
    写真が載ってる奴(モノケルコモナスMonocercomonas .sp)の属する『パラバサリア類』にはシロアリの腸内原生生物とかがたくさん知られていて、それらもミトコンドリアが退化傾向にある。特にこれらは細菌と密接な共生関係にあり、代謝系の一部を依存していると考えられている。ちなみにこいつらはミドリムシの遠縁でもある。
    彼らのミトコンドリアは『ハイドロジェノソーム』という形に姿を変えて嫌気版ミトコンドリアとして活躍してる。そういうわけでミトコンドリアが無いとされていた生物にも一応痕跡的なものは見つかっていたのだけど、今回の発見は『完全に』ミトコンドリアの器官が退化してしまっているという点で珍しいのと、ミトコンドリアを完全に失っても別の細菌の代謝系を借りることで生存できるというのが今回の重要なポイントだと思う。
    あと系統はだいぶ離れているけど微胞子虫とかもミトコンドリアが退化してると聞く。

    • +1
    1. ※11
      なんで真核生物の話してんのにちょいちょい細菌の話が出てくるのかで、「細菌もミトコンドリア持ってたっけ?いやいや大きさ的にミトコンドリア持ってるとかありえないし、そもそも太古の細菌がミトコンドリアの起源って考えられてるんじゃなかったっけ?俺が間違えて覚えてるだけ?」
      ってちょっと頭抱えたんだけど、やっぱり誤訳なのかな
      ”ある細菌が変わった方法で自分にエネルギーを作り、人間が持つミトコンドリアとは違う限られた形の器官しか有していなかったとしても、それはやはりミトコンドリアを利用しているのだ。”
      これも「たとえ細菌でも、ミトコンドリアの一部と共通する器官を有していればそれはミトコンドリアを利用していることになる!」
      って解釈してみたりもしたけど、ミトコンドリアの定義がわけわかんなくなるからこれも誤訳かな

      • -1
  10. この発見って、従来の細胞共生説を強固に支持するものになるんじゃないか
    すなわち、進化的に古い真核生物の先祖は他のバクテリアと共生する内に一体化したっていう仮説の証拠になると思う

    • +5
  11. 珍しい生き物がいたもんだな
    自然というのは気まぐれなものだ
    まさにシェフの気まぐれミトコン・ドリアだな

    • 評価
  12. つまり内蔵ミトコンドリアか外付けミトコンドリア(のようなもの)かってことか?
    …内蔵のほうがコストパフォーマンスがいいからそっちばっかりなんだろうな。

    • -1
  13. ミトコンドリアと聞くとPE(パラサイト・イヴ)思い出す

    • -1
  14. 1を足して2になって1を引くために1足した、みたいな

    • +6
  15. パラサイト・イヴとかこれ見つかってからだったら話作りづらかったろうなぁ

    • +1
  16. “カルンコウスカ氏がチンチラから単離した『ある腸内細菌』で発見されるだろうと予測していた”
    この文章を使い、シモネタではない文章を私はいつか作ってみたい。

    • 評価
  17. なんだかよくわからんが、すごい発見なのだろう

    • -1
  18. ミトコンドリアを取り込んだのは何億年前?

    • +2
  19. 過酷な宇宙で原初の生物が生まれるなら共生とかそれこそリスクでしかないもんなぁ

    • -1
  20. ミトコンドリア、絶対やばい奴だとおもってた。
    名前がすごいし、見た目もぜったい悪の侵略者タイプ。
    いいやつとはおもえない、中学時代に授業でならったときから「コイツには気を許してはだめだ」って思ってたよ。

    • 評価
  21. ミトコンドリアいらず
    って言葉が気に入った

    • 評価
  22. >チンチラの腸内細菌からまさかのミトコンドリアいらずを発見
    元記事のミスか誤訳だか知らないけど、微妙どころか重大なミスじゃん。細菌なら古細菌にしろ真性細菌にしろ原核細胞で、ミトコンドリアはないしミトコンドリアいらずは当たり前。おそらく正しくは腸内微生物なんだろうけど。

    • 評価
  23. (糸こんドリアとかとても言えない雰囲気・・・)

    • 評価
  24. 腸内っていう環境がミトコンドリアを必要としないだろうってことで目をつけられてたんだろうけど、熱水噴出孔周辺とか地下水脈あたりにいる微生物ではどうなんだろ
    大昔に水や酸素があったらしい火星でミトコンドリアみたいなのを持つ生物が生きてたとしたら、そいつらもミトコンドリアみたいなのを失う方向に進化して生き残ってるのかもねえ

    • 評価
  25. ミトコンドリア的な細菌を取り込んで、核膜があるのが真核生物だったはず…
    だから細菌にはミトコンとかそもそもないのでは?細菌の一種が真核生物に取り込まれてミトコになったんだし。
    だからこそミトコンを取り込む前の真核生物がいるかもしれない、核膜はあるのにミトコンドリアがない生物がいるかもしれないって探してたのか。
    ただ、見つかったのは葉緑体無くした白い植物みたいに退化してミトコンを捨てた感じなのね。もっといい呼吸法が見つかったって感じ?

    • +2

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