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手形の洞窟壁画。子供も赤ちゃんも立派なアーティストだった

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(著) (編集)

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 おびただしい数の手形が、旧石器時代の洞窟アートを構成している。この中には、大人のものにしては小さすぎる手形もある。

 だが、通りいっぺんで見ただけでは、先史時代の有名なこの芸術作品に、子どもたちがどれほど貢献したかは本当のところはわからないと、新たな論文は主張している。

 これが本当ならば、私たちの祖先にとっての洞窟アートの文化的重要性の認識が変わることになるかもしれない。

古代の洞窟壁画に多数登場する手形

 洞窟壁画といえば、非常にリアルに描かれた動物の絵をまず思い浮かべるかもしれないが、実際には手形のステンシルはかなり一般的なものだった。

 アシのような中空の筒で顔料を吹きつけて、いわゆる写真のネガのイメージで作られた。

 人間の手形が確認されているヨーロッパの56の洞窟を調査したところ、769の手形のうち、実に9割がこのタイプのものだった。

 顔料を手につけて、それを壁に押しつけるという単純な方法はわずか9%で、残り1%は両方のやり方を併用していた。

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photo by iStock

手形壁画に積極的にかかわっていた子供たち

 カンタブリア大学博士課程の学生、ヴェロニカ・フェルナンデス=ナヴァロは、手形の保存状態が良好な、スペインの5つの洞窟を調べた。

 手形をきちんと評価するために、不鮮明なもの、不完全なものは省いた155のサンプルを、イベリア半島に住む現在の住民545人の左手の3Dスキャン画像と比べてみた。

 幼児の手と思われるものは少なかったが、4分の1は子供のものと思われる手形だった。

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photo by iStock

 タイミングから考えると、少なくともいくつかは、たったひとつの起源から広まったというより、それぞれの場所で個々に生み出されたものであると言える。

 ヨーロッパでは、多くの手形は子供、あるいは赤ん坊のものだ。

 19世紀に提唱されたこれまでの推測は、でこぼこした面に描かれた手形の二次元表現だけで判断されていたため、不正確だったと言われている。

 さらに、壁から少し離れたところに手をかざして制作していたように見えるため、実際の手よりも輪郭が大きくなっている事実が考慮されていないという。

 岩の上で実際に研究者自身の手形ステンシルをこしらえ、オリジナルの手形の3D画像を使って、それぞれの指やてのひらの幅、長さなど、12の寸法を推定してみた。

 この調査結果から、次のようなことが考えられる。

 まず、この芸術活動は、子どもも大人も制作に参加する、グループ全体に開かれたフィールドで行われたと思われること。

 これまでは、女性や子どもが関わっていたかもしれないとは考えず、男性や生業にだけ密接に関係していた活動だと言われてきたが、そうではなかったのではないかということだ。

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このような手形アートは最古の芸術の形のひとつで、パタゴニア(アルゼンチン)、ヨーロッパ、オーストラリアの、広大で隔絶された場所で発見されることが多い / image credit:iStock

手形壁画は団結力を示す全員の芸術活動

 洞窟アートは、選ばれた者の宗教的儀式というこれまでの常識ではなく、もっと団結力を示す全員参加の芸術活動だった可能性もある。

 また、ほかの旧石器時代の芸術様式においても、これまで認識されていた以上に、子どもたち関わっていた可能性が高いと考えられる。

 この発見は、過去の社会における子供の役割や、大人との関係、子ども同士の関係などを研究する、「子どもの考古学」というタイトルの論文の一部だ。

 子どもはどんな社会にとっても重要な存在であることは確かだが、歴史家や考古学者は、必ずしも子供の役割を重視してきたわけではないため、下位の学問分野として子供の領域を確立する必要性がある。

 人類の歴史の大部分において、子供は平均余命が非常に短かかったため、今日よりも人口のはるかに大きな割合を占めていたという事実があったのだから。

 この論文は『Journal of Archaeological Science』に掲載された。

References:Children And Babies Were Rock Artists Too, Immortalized Hand Prints Reveal | IFLScience / written by konohazuku / edited by parumo

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この記事へのコメント 10件

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  1. この壁画の存在を知った時、その当時そこに「いた」人たちの息吹を感じてすごく感動した。
    きっとみんなその時はこの絵が後世にまで長く残る事など考えてはおらず、絵を描く事を純粋に楽しんでいただろうね。
    この壁画に手形を残した後、その人たちがどんな人生を歩んだかは分からないけれど、そんな名もなき人たちの生きた証だと思う。

    • +10
  2. 手形壁画大好きこれはおじいちゃんのこれはひいおじいちゃんの手形だよって教わって
    自分も手形を付けたんだろうなって空想をする

    • +9
  3. 人間には「壁を見るとスプレーしたくなる」本能があるのかもしれない。

    • +4
  4. 手に塗料を塗る習慣が有ってこの岩で付ける儀式になっていた
    とかでも面白いかなと思った
    結果的に模様になった物をアートとして楽しむ人が現れたってのも勿論有り

    • +3
  5. 当時の子供の生存率を思うと、ある程度まで育って集団の仲間に加わった記念だったのかもしれないし、あるいは葬儀の形、墓標だったのではないかという気もする

    • +7
  6. お正月とかなんかみんなで一緒に記念になることをしようっていう気持ちの表れなのかな
    日本の柱のキズみたいに、家族の記念なんだね

    • +7
  7. 神社の千社札を連想した。
    神への『何かの願い』を込めたのかも知れないと思った。

    • +4
  8. 子供の年々の、成長記録を残したかったのでは?
    ただでさえ乳児や幼児の死亡率が高かった時代だから尚更。
    お宮参りや、お食い初めや、七五三や小学校入学や、私ら現代人が子の記念写真アルバムを作るのと一緒。

    • +7

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