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5種の薬剤カクテル療法でカエルの手足を完全に再生させることに成功。再生医療に光明

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(著) (編集)

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 ほとんどの動物は怪我をすると傷口を修復する能力を持っているが、一部の動物は、体の一部を失っても再生する能力を持っている。

 アメリカの研究者らは、カエルの手足を切断し、5種の薬剤を混ぜたものを、シリコン製のキャップに入れ切断面に装着し、24時間密封するという実験を行った。

 その結果、きちんと機能するほぼ完全な手足が生えてきたという。

 この手法は将来的に、人間を含む多くの動物の再生医療に役立つ可能性があると期待されている。その成果は『Science Advances』(2022年1月26日付)で発表された。

再生能力を持つ生物

 自然界には、トカゲやサンショウウオ、ヒトデやウーパールーパーなど、手足の一部を失っても完全に再生できる動物がいる。中にはプラナリアのような、細かく切られても、断片から体を再生して、増殖してしまう生物が存在する。

 人間も傷ができても塞ぐことができるし、肝臓にいたっては、半分が失われても元に戻るが、大きくて複雑な手足となるとそうもいかない。

 ここが切断されると、出血や感染を防ぐために傷口が「瘢痕組織(はんこんそしき)」という塊におおわれて、手足の成長を邪魔してしまう。

 それはカエルも同じこと。オタマジャクシの頃は高い再生能力を持っているが、カエルになってしまうとその能力が落ちてしまい、手足を失うと元には戻らない。

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アフリカツメガエル image credit:Pouzin Olivier

5種の薬剤カクテル療法で、カエルの手足の再生に成功

 そこで、アメリカ、タフツ大学のニローシャ・ムルガン氏率いる研究チームは、アフリカツメガエルの手足を復元させる試みを行った。

 カエルの手足の切断面に、薬剤を混ぜたシリコン製のキャップ(バイオドーム)を被せて密封した。

 バイオドームには5種類の薬を混ぜた絹タンパク質ゲルが仕込まれている。それぞれの薬には、「炎症の抑制」「瘢痕組織を作るコラーゲン生成の抑制」「神経組織・血管・筋肉の成長の促進」といった役割がある。

 薬剤入りのゲルは羊水にも似ており、瘢痕組織が手足の再生を邪魔しないよう傷口に働きかけるのだという。

 このバイオドームで24時間切断面を覆ったところ、傷口を塞ごうとする治癒プロセスが抑制され、その代わりに再生プロセスが活発になった。

 その後18ヶ月にわたる再生プロセスで、カエルの手足をほぼ元通りに再生することに成功した。

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カエルの手足切断後18ヶ月の経過を比較したもの。5種の薬で処置したカエル(MDT)は、ほぼ完全な手足が再生された。一方、絹タンパク質のみのカエル(BD)と処置されなかったカエル(ND)は、先が尖ったものが生えてきた。 / image credit:Murugan, et. al., Science Advances 2022

 再生した手足には、元々の手足と同じような骨構造があり、神経細胞などの内部組織もある。また先端からは、数本のつま先も生えた(ただし骨はない)。

 きちんと動くし、外部からの刺激に対しても反応する。普通のカエルと同様に泳ぐことだってできる。

体を作る分子経路が活性化

 ほんの24時間処置するだけで、その後18ヶ月もの長きにわたって再生が続くのはなぜなのか?

 今回の研究では、バイオドームを被せてから数日後に、ある分子経路が活性化することが確かめられている。この経路は、通常なら発達中の胚が体を形作るために利用するものだ。

 論文の共著者マイケル・レビン教授によれば、もともと体に備わっていながら、使われなくなっている形成メカニズムを再始動させてやることがポイントなのだという。

大人になった動物でも、体を作り上げるための情報はまだ保持されています。

そこでこの戦略で主眼に置いているのは、複雑な成長を微調整するのではなく、もともと備わっているのに眠っている解剖学的パターン形成プログラムのスイッチを入れることです

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image credit:Slc8l / WIKI commons

再生医療への道しるべ

 研究グループは以前、1種のみの薬でカエルの手足を再生することに成功している。だがこの時は、再生した手足は先が尖っており、きちんと機能する手足とは言い難かった。

 今回、5種の薬を組み合わせることで、ほぼ完全な手足を再生でき、機能した。今後、薬と成長因子の組み合わせをさらに検証することで、指・水かき・骨格・筋肉まで完璧にそろった手足を再生できるようになる可能性もあるとのことだ。

 このアプローチが人間や動物に適応できれば、再生医療技術が格段に向上すると期待されている。

References:Scientists regrow frog’s lost leg | EurekAlert! / written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 29件

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  1. 肉や血管、神経、骨それぞれ組織事に再生の速度やプロセスの違いがあって難しいんだろうけど、SFで見られる溶液に浸かる治療ポッドが現実になりつつあるんだな。

    • +11
  2. この研究がエリクサー開発の一歩であった~

    • 評価
  3. 何年か前に切断した指にブタを付けると指が生えてくるっていうのがあったよね

    • +9
    1. ※3
      豚の細胞から作った粉ですね。あれはなんだったのか。

      • +3
    2. >>3
      豚の膀胱を粉末状にした奴の事だな。
      アレよりも今回のは未来的な感じだよね。SFの技術って割と現実的だったんだな。

      • +2
    3. ※3
      幼馴染の御父上が仕事で指失くして、断面に豚粉付けて直したって言ってたが…本当だったのかな

      • +1
    1. ※4
      アダマンチウム製の骨格を埋め込むから、むしろ骨は生えないほうがいいんだ。

      • +2
    2. ※4
      論文を見る限り、完全に脚の形にはなっていないみたいだけど未処理よりははるかに発達した骨格があるよ
      「完全に再生」というのは言い過ぎだけど、大きな一歩ではあると思う

      • +9
    1. ※5
      頭の皮膚の細胞が増えて頭皮が厚くなって寒さが防げてよかったね

      • +4
  4. つまりこの溶液を頭にスプレーすれば生えてくるのか。

    • +4
  5. おおー!ツボカビ病に一筋の光明が!!

    • 評価
  6.  無
    (・ω・)
     

    これは奇跡のテクロノジーとなるのか?

    • 評価
  7. アンブレラ社がニヤリするとT-ウィルスに作りかねえ
    こいつはあくまでも仮想の世界なので絶対にアリエンが
    事故って欠損したり、遺伝で生まれてから失明したなど
    最初からない欠損でも対応すれば、身障者という用語も
    辞書から消える日も近いな

    • +3
  8. これで失われた髪の毛も生えてくるんですか?

    • +2
  9. カエルの手足を切断し……

    やめてええ!!! (。≧Д≦。)

    • +5
  10. 怪我だけじゃなく糖尿や血栓による末端の壊死も
    切って生やしなおせるようになるかもしれない

    • +5
  11. 何か凄え話やな…。
    あと200年もすれば自由に手足の再生が出来る世の中になるんだろうか。

    • +1
    1. ※25
      逆に言えば末端が一部あれば再生できるということになる
      爪きってその爪から腕が生え脚が生え、動体が生えて頭も生える
      1片の爪から同じ人物が100も200も作れちゃうw

      • 評価
  12. 成体となってからも完全な再生能力を持つものにイモリがいるが、
    長い進化の過程でようやく獲得した能力らしいからな・・・
    これがカエルで人工的に再現できたということはすごいことだと思う

    • +2
  13. アッ アッ カ、カエルチャン…(;ω;)
    先端だけ骨が無い所、ハリポタの骨が無くなる魔法思い出した
    骨もトッポのように再生出来る様になれば革新的に医療の方向性も変わるだろうなあ
    なんか大昔に指が切断された人の傷口にある特別な粉薬塗り続けたら完全再生した話もあったけど、あれはから音沙汰ないな?どうなったんだろか

    • 評価

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