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凍らない血液を持つ神秘の魚、コオリウオの世界最大の繁殖地が南極で発見される

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(著) (編集)

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image credit:PS124, AWI OFOBS team
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 南極ウェッデル海の氷の下で、これまで知られているものとしては世界最大のコオリウオの繁殖地が発見されたそうだ。

 コオリウオは極寒の地でも凍らない血液を持つ神秘の魚で、今回発見されたの繁殖地は「カラスコオリウオ(Jonah’s icefish)」のもの。その範囲や巣の密度から推測すると、6000万個の巣があると考えられている。

 ウェッデル海の生態系にとってはきわめて重要で、それゆえにここに海洋保護区を設置する根拠になると、アルフレッド・ウェゲナー研究所などのグループは主張している。

 この発見は、『Current Biology』(2022年1月13日付)で発表された。 

世界最大のコオリウオの繁殖地

 世界最大のカラスコオリウオの繁殖地が発見されたのは、ウェッデル海の南にあるフィルヒナー棚氷の近くだ。海底500メートルに広がる240平方キロの範囲(熊本県とほぼ同じ)には、膨大な数のカラスコオリウオの巣がひしめいていた。

 巣は平均すると3平方メートルに1つ存在しており、範囲と密度から考えると、その数は6000万個と推定される。

 アルフレッド・ウェゲナー研究所の深海生物学者オートン・パサー氏の説明によると、巣を作る魚でコオリウオに一番近い「ブルーギル」でさえ、せいぜい数百匹がコロニーを作るだけなので、今回のものが桁違いに大きいことがわかる。

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image credit:PS124, AWI OFOBS team

 今回の調査では、「海底観察・水深測量システム(OFOBS)」という一風変わった方法で調査が進められた。

 これはいわば”カメラとスキャナー付きのソリ”のようなものだ。特殊な光ファイバーと電源ケーブルで破氷調査船にソリをつなぎ、海底の1.5メートル上を引っ張りながら、映像を撮影しつつ、音波を利用して海底をマッピングする。

 そうして撮影された海底の映像には、どこまで行っても途絶えることのない円形の巣と、その中でじっとしているカラスコオリウオの姿がはっきりと映されている。

Huge icefish colony of 60 million nests found on Antarctic seabed

血液が凍らない神秘の魚

 コオリウオは16種が知られており、そのうち13種が南極半島周辺の冷たい海域に生息している。極寒の地でも血液が凍ることはない。

 南極にのみ生息する「カラスコオリウオ(Neopagetopsis ionah)」は、この種の最大で全長26センチほど。

 巣の大きさは直径75センチ、深さ15センチくらい。その中には1500~2000個の卵が産みつけられているが、親がきちんと守っている巣とそうでない巣がある。

 また親はいるが卵がない巣、魚の死体がある巣など、使われていない巣も確認されている。

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image credit:PS124, AWI OFOBS team

 ほとんどのコオリウオ科はヘモグロビンを持たないため血液が無色透明だが、カラスコオリウオの場合はヘモグロビン遺伝子を持っている。ただし機能はしていないという。

ウェッデル海の生態系を支える存在

 この海にこれほど巨大な繁殖地が形成されている理由ははっきりしない。しかし付近にはやや暖かい海水が流れ込んでいる海域があり、そのためにコオリウオが繁殖地を探しやすい可能性があるという。

 また発信機を取り付けたアザラシによる調査では、その海域はアザラシが集まる場所であることもわかっている。おそらくはエサを探しているのだろう。アザラシはコオリウオの巣があるところでばかり潜水するのだ。

 繁殖地のバイオマス(特定の時点において、ある空間に存在する生物の量)はじつに6万トン。ウェッデル海の生態系にとってきわめて重要であると考えられている。

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image credit:PS124, AWI OFOBS team

 その一方で、繁殖地が一極集中しているということは、コオリウオが常に絶滅のリスクにさらされているということでもある。すべての卵を1つのカゴに入れているようなものだからだ。うっかりカゴを落としてしまえば、卵が全滅する恐れがある。

 こうした巨大な繁殖地の存在は、隣のロス海と同じく、ウェッデル海にもまた保護区を設ける根拠になると研究グループは主張する。

 2016年、各国政府はロス海を世界最大の海洋保護区にすることに同意。地球に残された最後の手付かずの自然が守られることになった。

References:Single view – AWI / Icefish breeding colony of 60 million active | EurekAlert! / written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 24件

コメントを書く

  1. ここ行けばコオリウオが獲り放題じゃん!

    • -17
  2. 釣りドラ
    「ほな今日はね、この変な魚をやっすい仕掛けで
     釣ったろうかなと思います。」

    • -17
    1. >>5
      食わせろって書きに来たらもう書いてあった。何というか魚見ると食指が動くってほんと日本人らしい。

      • +1
      1. >>7
        大和民族のDNAに組み込まれている魚食愛

        • -1
    2. >>5
      天ぷらにして熱々のやつを塩とレモンで食べるも良し、
      ショウガを効かせて甘辛く煮付けるも良し、
      寒い所に棲んでるから、身もしまってて脂が乗ってるでしょうし、刺身もイケると思います。

      • 評価
    3. ※5
      「市場魚貝類図鑑」というサイトによると、本種ではないですがコオリカマスというコオリウオの仲間は「クセもないが旨味もいまいち」という評価のようです。食べるならフライ系。
      ただ極地の魚は低代謝による成長の遅さがあるので、漁の対象にしたらすぐ根絶しそう。

      • +2
  3. 血液が凍らないのは分かったが、そもそもこの魚は普段何食べてるんだろうか・・・
    繁殖の時だけ南極に集まるってわけでもなさそうだし

    • +1
    1. >>8
      普通に魚やオキアミ食ってるよ
      ヘモグロビンが無く運動能力がとても低いためか、待ち伏せてるそうだ
      低温に強いといっても、他の魚が死滅するほどの環境に住んでるわけじゃないからね

      • +4
  4. 凍るのか凍らないのかどっちなんだい

    • 評価
  5. この魚が巢の中にいると

    メンフクロウの顔に見える

    • +3
  6. 調べたけど血中にヘモグロビンを持たないってスゲェな
    純粋に血液中に溶け込んだ酸素だけで生きていけるとは

    • +1
  7. 神秘と書かれているが、生物全体で言ったら凍らない血液は割とあるのだが
    進化の中でそう言う過程になった生物がかなりの種いるのだから、神秘と書く意味が分からない
    この個体のみってなら分かるが

    • -1
    1. >>18
      深海で泳ぐ姿が神秘的ではあるが…

      • 評価
  8. 人間に繁殖地を見つけられる=絶滅確定演出

    • -1

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