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アタカマ砂漠の謎のガラスの破片に宇宙由来の成分を検出。1万2000年前に隕石の大爆発で作られた可能性

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(著) (編集)

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 チリのアタカマ砂漠に謎のガラスの破片が散らばっているのが科学者の目に留まったのは10年前のこと。ケイ酸と金属酸化物で構成される塩を主体とした「ケイ酸塩ガラス」が、75キロメートルに渡り広大な回廊のように並んでいたのだ。

 そして今回、このガラスの破片を分析したところ、その成分の一部は宇宙をただよう彗星のものと一致した。

 今から1万2000年ほど前、アタカマ砂漠上空で、凄まじい隕石の爆発が起き、その熱で砂地が溶けガラスが形成されたのだという。

アタカマ砂漠上空で隕石の大爆発

 米ブラウン大学のピート・シュルツ名誉教授は、「地表のすぐ上空で隕石が空中爆発し、地表に落下した火球の熱放射と風でガラスが形成されました。その明白な証拠が見つかったのは今回が初めて」と語る。

 火球は隕石となって地表に落下したものを意味する。

 「これほどの広範囲に劇的な影響をおよぼしました。まさに大爆発でした。空を横切る火球はよく目撃されますが、これに比べれば屁のようなものです。」

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ガラスが堆積したアタカマ砂漠の5つの場所/ image credit:chultz et al., Geology, 2021

アタカマ砂漠を貫くガラス回廊の謎

 奇妙なガラスは、アンデス山脈と太平洋に挟まれたアタカマ砂漠の東部に集中している。濃緑色や黒いガラスが、75キロにわたって回廊のように存在するのだ。

 数えきれないほどの奇妙なガラスの破片は、様々な形をしており、中には50cmほどの大きな板状のものもある。

 このガラスが火山で作られたという証拠はなく、その起源は謎とされてきた。

 一説によれば、草原の大火災が原因であるという。

 アタカマ砂漠は最初から砂漠だったわけではない。更新世(約258万年~1万年前)には、山脈から東に流れる川のおかげでオアシスや湿地帯が作られ、そこには草木が生えていた。

 ここで大規模な火災が起これば、その熱によって砂が溶け、ガラス化するとも考えられる。

 だが今回の研究では、ガラスの特徴から、ただの火災ではなかっただろうことが明らかなっている。

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アタカマ砂漠に散らばるケイ酸塩ガラスの堆積物/ image credit:chultz et al., Geology, 2021

ガラスから地球外の岩石の成分が検出される

 ガラスには捻れやうねりがあり、溶けたまま飛ばされたような痕跡すらある。これは大きな隕石が空中爆発し、竜巻のような強風を受けたときのものと同じ特徴だ。

 さらにガラスの化学組成を分析したところ、「ジルコン」という鉱物が熱分解して、「バデレアイト」になっていることが判明した。

 こうした現象は、一般に約1600度以上でなければ起こらない。単なる草原の火事の熱量よりもずっと高いのだ。

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アタカマ砂漠で発見されたガラスのサンプル / image credit:Schultz et al., Geology, 2021

 さらに地球外の岩石にしか見られない特徴も見つかっている。

 ガラスから検出された「キューバ鉱」「トロイリ鉱」「カルシウムとアルミニウムが豊富な包有物」は、NASAの探査機スターダストが地球に持ち帰った彗星のサンプルのものと一致する。

 こうしたことは、アタカマ砂漠のガラスが彗星の空中爆発によって形成されたことを裏付ける強力な証拠であると、研究グループは述べている。

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ガラスの中に地球外の物質が検出される / image credit:Schultz et al., Geology, 2021

隕石爆発は約1万2000年前頃

 爆発が起きたのは約1万2000年前とされているが、より正確な年代を特定するには今後さらなる調査が必要だ。

 しかし今わかっている範囲では、爆発が起きた時期に、奇しくもこの付近で大型哺乳類が姿を消したと考えられるという。

 「因果関係の判断はまだ時期尚早です。ですが、隕石の爆発と大型動物が消えた時期が同じであるように思われるのは興味深いですね」とシュルツ教授は述べる。

 また人類の祖先がそれを目撃した可能性もあるようだ。

 「この地域にやってきたばかりの人間がそれを目撃した可能性もあります。さぞや見ものだったことでしょう。」

 シュルツ教授らは今後、爆発が起きたより詳しい年代や、隕石の大きさを明らかにしたいと考えている。

 また今回の研究がきっかけで、ほかの地域でも似たような爆発の痕跡発見につながればと期待している。

 「こうした空中爆発の痕跡はいくつもあるかもしれません。ですが今までは、それが本当に空中爆発によるものと考えるだけの証拠がありませんでした。アタカマ砂漠は、衝突モデルを改良する基礎となります。同じような痕跡をほかの地域でも探す際に役立つでしょう。」

 この研究は『Geology』(21年11月2日付)に掲載された。

References:Vast patches of glassy rock in Chilean desert likely created by ancient exploding comet / written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 13件

コメントを書く

  1. 隕石ガラスとしてジュエリーになるものはないのかな?
    バデレアイト=キュービックジルコニアという人がいるけど、こちらは小さすぎるね。

    • +3
    1. ※1
      リビアングラスやモルダバイト(テクタイト)はどう?

      • +3
      1. ※8
        ありがとう。
        どちらも原石?とペンダントトップを持ってる。
        その上でまた欲しいんだよ。
        業が深いね。

        • +3
  2. アタカマなのにアカタマに脳内変換されてしまう…

    • 評価
  3. 一万年と二千年前から愛してるが浮かんできた

    • 評価
  4. アタカマ砂漠でそんなこともアタカモしれない。……うむ、夜勤明けのテンションだな!

    • +5
  5. ガーゴイル「間違いない、アトランティスの遺産はあるのだ。12000年前から飛び続けている我らの希望の星が・・・」

    子分「もう手遅れです」

    • 評価
  6. グリーンランドの隕石といい、今回のチリの隕石といい、1万2000年前(BC10000)は、天変地異級の隕石・彗星落ちすぎ問題。

    • +6
  7. リビアングラス、モルダバイトなんかも同じような原理で作られたって思ってたけど、それらが隕石由来であることの明確な証拠が見つかったってニュースなのかな?

    • +1
  8. こういうニュースを見るとインド神話なんかの「核戦争の様な描写」は、古代に小型の隕石が頻繁に落ちてきた時期があって、それを見た人々が「神々が戦争をしている」と解釈して記録に残したのかなとか思う。

    • +6
  9. 中東のある古代都市も数千年前に隕石の空中爆発によって破壊されたらしいしツングースカと併せて意外とあるのかもな。

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