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空気中に漂う100種類以上の有害化学物質を検出するクレジットカードサイズのデバイスが登場

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(著) (編集)

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 消臭剤、殺虫剤、塗料など、私たちが日々遭遇するこれらの製品は、空気中に漂う化学物質を放出する。それは目には見えないが、大量に吸い込めばときに健康に被害をもたらすこともある。

 もしも自分は大丈夫だろうかと心配な人がいれば、アメリカ国防総省が出資している携帯型収集デバイスを使ってはどうだろうか?

 アメリカ化学学会で発表されたこのクレジットカードサイズのデバイスは、ポケットに入れたり、シャツにとめたりしておくだけで、空気中に漂う100種類以上の揮発性有機化合物を検出してくれるという。

大気を汚染する有害化学物質

 新築の家でのどの痛みや頭痛などを感じる「シックハウス症候群」は、接着剤や塗料に含まれる「ホルムアルデヒト」などが空気中に放出され、住人がそれを吸い込んでしまうことによって引き起こされる。

 こうした簡単に空気に揮発してしまう化学物質のことを「揮発性有機化合物(VOC)」という。

 シックハウス症候群の例に見られるように、それは家庭用品やガソリンといった身近なものに含まれているほか、産業などから排出されることもあり、大気汚染の大きな原因の1つとなっている。

 普段は気が付かないかもしれないが、種類や暴露した量次第では、アレルギー性鼻炎やがんといった健康被害をもたらすおそれもある。

 そのため、こうした化合物が漂っている可能性がある場所では、できるだけシンプルな道具でその有無を検出できることが望ましい。

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クレジットカードサイズで100種類以上のVOCを検出

 これまでもVOCを集め、測定するための検出器はあった。しかしそれらはあらゆるVOCを集められるわけではなく、場合によっては数種類も携帯する必要があった。

 今回、アレン・アプレット博士らが発表したのは、そうした欠点を新しい素材を使って克服したVOC収集デバイスだ。

 そのクレジットカードくらいの大きさのケースには、「OSU-6」と呼ばれるシリカ素材が収められている。

 そこにはナノスケールの小さな孔があいており、「ファンデルワールス力」という原子、イオン、分子の間に電気的な引力が働く(ちなみにヤモリが壁から落ちないのもこの力のおかげだ)。

 通常、この力は微弱なものだが、OSU-6のナノ細孔は湾曲しており、これが増幅されている。そしてこの力は化学的な力ではなく、物理的な力だ。だから、OSU-6は100種類以上ものVOCをキャッチすることができる。

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使用方法も簡単

 収集デバイスを使うときは、まずケースを開いて、OSU-6をつめた3本のチューブを空気に露出させる。それからシャツにとめておいたり、ポケットに入れたりしておけばいい。

 使用後は収集デバイスを研究所に送る。そこでOSU-6が温められる。するとキャッチされていた化合物が放出されるので、その測定から結果が判定される。

 これまでの実験では、反応しやすい化合物や不安定な化合物が安定するために、従来は検出が難しかったVOCも検出できることが確かめられたという。

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お値段は分析料込みで8200円

 現在、研究グループは、製造施設や農業施設といった汚染物質が発生しやすい場所で収集デバイスのテストを行っているという。また兵士が直面する危険を把握しておきたい米軍でも、使用を開始しているとのことだ。

 いずれは一般への流通も行われる予定であるらしい。お値段は分析費用込みで75ドル(約8200円)になるとのことだ。

 いち早く有害物質が検出できれば、すぐに対応することができるし、クレジットカードサイズで携帯便利だし、お値段もお手頃なのでこれは普及するかもしれない。さすがアメリカ国防総省が出資しているだけのことはある。

 カナリアも大喜びだろう。

A Badge That Measures Exposures to Dangerous Chemicals

References:Credit-Card-Sized Badge Detects an Unprecedented Range of Harmful Airborne Compounds / written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 15件

コメントを書く

  1. これいいなー、内見とか使えるし、新築の確認とか有効。
    内装現場では鳴りっぱなしになりそうだけど。
    あと有害物が漏れるときに使えるかな?うーん。

    • 評価
    1. ※1
      アラームが鳴るわけではなく、一度研究所に送るんだよ。

      建売だとインスペクション入れても壁を引っ剥がすわけにもいかないし
      内見時にこっそり使用すると良いかも。
      日本で分析までできる代理店とかやったら面白いかもね。
      ぽつんとレベルのシックハウス対策をしたログハウスでもない限り
      コンクリ打ちっぱなし・配管むき出しのスケルトン状態でも
      100項目あれば外気とかの要因で微細でもひっかかりそうだけど。

      • +3
      1. ※10
        そうかありがとう。
        ながら仕事で流し読みしてた。

        • 評価
  2. 大気汚染物質による死者は新型コロナと比較にならないくらい多いからね

    • +1
  3. >>いち早く有害物質が検出できれば
    と言いつつ
    >>使用後は収集デバイスを研究所に送る
    検査結果が出るまでにどれだけ日数がかかるのか…

    • +2
    1. ※4
      まぁ、使用目的の想定が
      ガス検知器みたいに直ちに生命の危険に関わる現場でなく
      長期的に運用するつもりの施設の 環境汚染物質の確認だから、
      数日で結果が判れば十分「いち早く」の範疇なんだろう。

      • +2
  4. その場で数値が表示されればいいんだけどね。
    片手でサッとかざして
    「この危険数値が目に入らぬか~ ! 」
    と水戸黄門ごっこができるんだけどね。

    • 評価
  5. 思ってたのと違う。デバイスとして携帯できて検出した化学物質の濃度や危険性をその場で確認できないと一般向けではない、有ったら数百万しそうだけど。

    • +2
  6. 「検出器」じゃなくて、「収集器」なのね。
    検出がリアルタイムではなくても微量にしか存在しない不安定な有機物を効率よく濃縮できるというのはすごいね。

    • +2
  7. これ持ってヤバい所に行く人を先ず用意しなければいかんのね…

    • +3
  8. 俺みたいな化学物質過敏症の人は欲しいだろうなと思ったがその場で分からないと厳しいな

    • 評価
  9. カナリア「その場で鳴かぬなら、私が鳴こう、ホトトギス」

    • 評価
  10. その場ですぐわかる訳じゃないのかー

    • 評価

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