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決して虐待ではない。サイを逆吊りで空輸する理由(アフリカ)

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(著) (編集)

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 アフリカのクロサイは、激しい密猟により国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種に指定されているものの,保護活動家らの根強い保全努力のおかげで,現在個体数が少しずつ増加しているという報告がなされている。

 そのサイの保護活動は、ちょっぴりユニークだ。安全な場所へサイを移動させるために、ヘリで逆さ吊りにして空輸するのである。

 一見、サイを虐待しているかのように見える光景だが心配はいらない。実はこの方法こそが、サイを安全に保護する為に重要なのだという。

WWF Rhino Airlift 2019

密猟者の標的になったアフリカのクロサイ

 アフリカでは、クロサイはこの30年間絶滅の脅威に晒され続けて来た。サイの角を、儲かる代替医療品にしたり、宝飾品として売りさばく密猟者が後を絶たないからだ。

 1960年代~90年代の30年間で、サイの個体数は98%も激減し、3000頭未満しか現存していないという状態にまで追い込まれた。

 そこで、保護活動家らはサイを密猟者から守るために、より遠く離れたアクセスが困難な場所にサイを移動させる活動を行っている。

 道路が利用できない可能性もふまえて、ヘリコプターでの空輸が唯一の効果的手段となっているようだ。

 空輸時には、サイは足を縛られた状態で逆さ吊りになって運ばれる。しかし、なぜこのように逆さ吊りにされるのだろうか。それには重要な理由があった。

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鎮静中の低酸素血症を防ぐため

  最近発表された『Journal of Wildlife Diseases』には、アメリカ・ニューヨークのコーネル大学の研究者らが、サイを逆さ吊りにして空輸する手段の重要性を明らかにする実験を行ったことが記載されている。

 実験では、12頭のサイを使って調査を行ったところ、横向きに寝かせたサイよりも足から逆さ吊りにしたサイの方が、動脈酸素圧の顕著な改善が見られたという。

 体重800kg~1300kgほどあるサイを移動させるには、かなりの量の鎮静剤が必要だ。しかし、これは体内の酸素レベルを下げ、低酸素血症を引き起こす可能性がある。

 サイをストレッチャー(担架)に乗せて横向きにして移動させるとなると、麻酔下にあるサイの体に供給される酸素が減少し、体をストレッチャーに縛る準備に30分を要する。

 しかし、逆吊りの場合は足を縛るのに数分かかるだけだ。更に体を逆さにすることで気道が遮られにくくなり、体内の酸素レベルの低下を防ぐことができる。

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 大量の鎮静剤を長時間使用し、移動に時間もかかるとなれば、サイの健康にリスクを与えることになる。逆に、鎮静下で過ごす時間が短ければ短いほど、サイは健康を保つことが可能になるため、この方法が保護活動を継続するためには極めて重要なのだ。

 事実、こうした保護活動は、クロサイの個体数に明らかな影響を及ぼしている。

 現在、アフリカには5600頭のクロサイが確認されており、その数は90年代の2倍以上に増えた。また、ナミビアでのサイの密猟も、2019年から40%減少しているということだ。

How do you move a rhino by helicopter in Hluhluwe-iMfolozi Park?

written by Scarlet / edited by parumo

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この記事へのコメント 41件

コメントを書く

  1. すごい! と思うけど、最初に考えついた人どうやって思いついたんだ……?

    • +12
    1. ※1
      ヘタにぶら下げると暴れて落ちる。
      ロープをひっかける場所が無く
      くるぶし4か所に決めたそうだ。

      • +3
  2. 最初に思いついた人の発想の源が狂ってる

    • +5
  3. ツノに需要があるならツノを収穫するために
    サイの養殖場を作っちゃえばいいんだよね。
    スッポンが一部のオッサンのニーズによって
    養殖されまくるようになって絶滅の心配が
    なくなった種になったように、狩猟ターゲット系
    絶滅危惧種は需要にこたえて養殖しまくればいい。

    • -14
    1. ※3
      そうだ!バイオ栽培でツノ畑を作ろう

      • +2
    2. ※3
      数年育てて角一本?密猟の方が楽ちん。

      • +2
    3. ※3

      マジレス&長文ごめんね、例えば3さんが言うような養殖場でどれくらいの数を養えるかっていうのも例に挙げてらっしゃるスッポンなら餌や場所もそこまででなくてもサイのような大型草食動物だとどうなのかなって物理的なところが気になるし、あと縄張りなんかもあるのじゃないかなと思ってしまった。
      (あと象とか、毛皮需要の大型動物とかも)

      それにスッポンとかは食べるために養殖するわけで言ってしまえば比較的短期間で入れ代わり立ち代わりなのだろうけど、サイは角は再生されるらしいけどそれにかかる時間とか、売り物になるまでもう一度ないし複数回再生した(する)として、その個体はじゃあ死ぬまで角を取られ続けるだけに生きるの?って話になると、保護や愛護的な方からはどうなのかなって気もする……。
      角が再生しなくなってから野に放つとしても、養殖場で生まれて育った個体は野生では生きるのが難しいかもしれないし。

      これナショジオの2015年の記事だけど(→「角の取引合法化でサイを絶滅から救えるか」 ttps://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20150108/431131/ )読む人いるかもしれないから貼っておくね。

      • +9
      1. ※11
        「費用対効果が割に合わない」の一言で済む話だよな。手間暇かけて育てるより、天然物を収奪するだけで済むんだから、そりゃ密猟が無くならないわけだ。

        それにしても絵面がひどいw

        • +4
    4. >>3
      スッポンと比べると産卵量も餌や飼育場のコストも莫大になるとか以前に、角に需要があるのは前提にスポーツハンティングがあるからってのがデカいのでは

      • +1
    5. >>3
      クジラも養殖できてないしなぁ
      動物園の繁殖見ても大型動物はかなり難しいみたいだし

      • 評価
  4. 虐待うんぬんいう以前に98%も減らしたという事実がヤバすぎる。
    象牙とかもそうだけど、売るのは禁止、買うのはOKという
    意味不明なルールを変えなきゃ密漁は無くならないよ。
    日本だって象牙製のハンコ今でもフツーに売ってるし。

    • +25
    1. ※4
      べっ甲とかもそうだよね。
      過去とっちゃったもの仕入れちゃったものはしょうがないから売っても良しってのは一理あるけど、それじゃあ密漁は絶対になくならないからなあ。需要がある限り絶対に。
      スポーツハンティングとかもなくならないし。ライオン養殖してサバンナに放してハントさせるビジネスがあるって聞いた時は目が丸くなった。
      野生じゃないから個体数に影響ないしパピーミル的に養殖された個体は野生じゃ生きていけないから問題ないんだと。特段ビーガンとかじゃないけど反吐の出る思いだった。

      • +11
  5. 理屈は分かったけど、絵面的に可哀想やから
    ちゃーっと運んだってw

    • -6
    1. ※6
      どーーーせそんなこという人がいるだろうと思ったらその通りで笑った

      • +1
    2. ※6
      「ちゃっと」 は愛知県人にしか通じんぞw

      • 評価
  6. 角を取るためのサイ牧場は事業としても保護につなげたいという主張の達成としてもうまくいかなかったみたいですね
    John Hume Rhino Farm

    • 評価
  7. いまだに強壮剤で売ってるどっかの国があるってね

    • 評価
  8. ウルトラマンのゴモラを空輸するシーンを思い出した

    • +1
  9. サイの養殖は費用的にほぼ不可能だと思う。
    銃弾買って来るだけの密漁と、
    広い土地用意してサイが逃げないように囲って監視する装置や人を配備して大きくなるまで朝やって根気強く待つ。
    一般家庭で亀を飼えるんだから馬だって飼えるっていうくらい無謀だと思う……。
    そしてこう言う生き物の輸送、良い話ように見えるけど輸送先の生態系が心配になる。

    • 評価
    1. ※21
      養殖ってか繁殖は可能だが
      アフリカのサイモンが言ってた。
      「サイくさいもん」

      • -4
    2. ※21
      実際に運営されていたサイ牧場(2年ごとの角収穫だったようです)は国による禁輸措置(禁止措置?)が途中で発行されずに合法なままであれば持続していたのでないかとは思います。市場はあるので。
      流通ができあがることで市場がどこまで広がってしまうのかなどの強い批判にさらされながらにはなるのでしょうけれどね。
      YouTubeなどで運営中や途方に暮れる現状の様子もあるのですが、飼育されていた千頭を越えるサイたちが今どういう扱いになっているのかよくわからず。

      • 評価
  10. わかってはいるけど絵面がシュール笑
    ずっとぶら下げてて脱臼とかしないのかな

    • +4
  11. なるほど
    落ちそうでこわいんだけどそういう意味があったか

    • +1
  12. 人間は逆さ吊りにされたら頭に血が上って苦しいけど、サイの場合は大丈夫なのかな。
    4足歩行は頭に血が上っても、ヒトより足から頭までの距離が少ないしいけるのかな。

    • 評価
  13. もともとこうやって運ぶのがデフォルト
    マンガでもイノシシとか獲ったら木の棒に逆さ吊りにして駕籠かき人足のように2人運んでるよね。

    • -1
    1. >>29
      マジレスすまん
      あれは殺したやつやで
      ぼたん鍋の具にする

      • +1
  14. 人の運搬でも使えるでしょ
    ヘリじゃなくても
    非常事態で、担架が無い時とか普通に

    • 評価
  15. 2012で麻酔もかけてなさそうな動物を吊るして運ぶ描写があったが科学的に間違いだったのか…

    • 評価
  16. 殺さなくてもせめて眠らせて角や牙だけちょっと切らせてもらうとか出来ないのかなって思ったけど、そういう問題じゃないんやな~

    • 評価
  17. 四角い檻に入れて運ぶんじゃダメなんだろうかね?
    ぶつかって怪我すんのかな

    • 評価
  18. サイの体にいいのは分かったけど、
    もし自分がサイだったらこの運び方で途中で麻酔が切れて目が覚めたらパニックになるだろうなって思う

    あと他の※にもある通り、紐が切れたときのリスクもでかいよね…
    もし住宅街に落ちたらと思うと恐ろしい
    デメリットもありつつもコスパで選ばれてる方法なんだろうな

    • -1
    1. >>37
      スリングはそう簡単に切れない。建築現場で数十トンクラスの鋼材運ぶのに。一体世界中でどれだけ使われていると思ってんだ。
      あと、サイの運搬するような場所に住宅地とかほぼないから。

      • +1
  19. いい情報をありがとう
    それにしても、サイの保護は大変だな
    角が主に狙われるから手術で安全に先に角を取ってしまったりしていたけど、腹いせに殺されたり、いろいろ考えて保護しようとしてきたけどいまだに密猟が減らない

    • 評価

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