メインコンテンツにスキップ

有害な金属から無害な銅原子を取り出してくれる細菌が鉱山で発見される(ブラジル)

記事の本文にスキップ

20件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
photo by iStock
Advertisement

 ブラジルの銅鉱山で発見された細菌は、採掘プロセスで排出される有害な副産物を純度の高い銅に転換する特殊能力を持っていた。

 その力をうまく利用すれば、汚染物質をきれいにしつつ、市場価値のある金属を生産する、安価かつ環境に優しい方法が開発できるかもしれないそうだ。

環境と人体に影響を及ぼす銅の採掘作業

 は電子機器、太陽電池、抗菌コーティングなどの生産に不可欠な素材だ。鉱石は主に黄銅鉱などの鉱石から採掘されるのだが、銅に炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酸化物などの鉱物が混まれており、採掘プロセスの副産物として金属イオン(電荷を帯びた銅)が排出され、周囲の環境を汚染してしまう。

 それを人が摂取すると、頭痛や嘔吐から肝不全や腎不全などの症状を引き起こし、高濃度で摂取した場合には死に至ることもある。

この画像を大きなサイズで見る
photo by iStock

ブラジルの鉱山で発見された銅原子を作り出す細菌

 だが、バクテリアや菌類などの多くの微生物は銀や金、さらには銅などの有用な金属を、10~40ナノメートルの大きさのナノ粒子と呼ばれる小さな塊の形で作り出すことができる。

 金属原子の利用効率を最大限に高めるには、たった1つの金属原子を利用できることが大切だが、これまで、金属の単原子形を生成できる微生物は知られていなかった。

 しかし、170~179ピコメートル(0.17~0.179ナノメートル)しかない単原子状態の銅を人工的につくろうと思えば、コストも労力もかかるし、有害な化学物質も必要になる。

 だから、それを勝手に合成してくれる細菌がいるのだとすれば、ぜひともその力を借りたいところなのだ。

 その大きな可能性を秘めた細菌は、ブラジルの銅鉱山で細菌の調査をしていた米ヒューストン大学のデボラ・ロドリゲス氏らによって発見された。

 それはバシラス属に分類される細菌で、フラスコに「硫酸銅」(水の中で銅イオンと硫黄に分離する)と一緒に入れると、2日後に驚くべき変化が起きたという。青緑色がオレンジ色に変化したのだ。

 一体何が起きたのか明らかにするべく、ロドリゲス氏が高性能な透過型電子顕微鏡を覗き込んでみたところ、なんと細菌の細胞の中にイオン化していない13000個の銅原子が見つかったのである。

この画像を大きなサイズで見る
銅を取り出してくれる細菌 credit:(Louise H. Gracioso

鉄分を蓄えるタンパク質を作り出す

 その細菌は硫酸銅があるところで成長するとき、「フェリチン」という鉄結合性タンパク質をつくり出す。

 これは人間などの動物の体内では鉄分を蓄える役割があるのだが、イオン化した銅を脱イオン化してくれることも知られている。だが、こうした機能が生きた細胞の中で観察されたのは初めてであるとのこと。

 この化学プロセスには大量のエネルギーが費やされている可能性が大だ。そのため、細菌はどこかからかこれを行うためのエネルギーを得ていると考えられている。ロドリゲス氏によれば、有力なのは硫酸塩だという。

 こうした細菌の働きは自然界では決して珍しいことではなく、今回の発見は氷山の一角だろうとのことだ。同氏は、銅だけでなく単原子の金や銀をつくれる細菌もいるのではと睨んでいる。

 ほかにもダイオキシンを除去してくれる種がいるなど、細菌の世界は底がしれない。

 この研究は『Science Advances』(4月23日付)に掲載された。

追記(202104/29)タイトルを訂正して再送します。

References:Bacteria from a Brazilian copper mine work a striking transformation on an essential metal – The Academic Times / Copper Mining Bacteria: A More Efficient, Safer Alternative to Sourcing Copper/ written by hiroching / edited by parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 20件

コメントを書く

  1. タイトルに違和感あり。
    別金属を銅に変換するわけではなく、
    有害な銅化合物から銅を抜き取って蓄積するだけでは?

    • +13
  2. 将来は培養槽で金属を精錬する時代が来るんだろうか?
    ノンフィクションのサイエンスが一昔前に空想されたSFを超えそうだ

    • +2
    1. >>3
      なんかあったな、海水中から金を取り出すバクテリアのフィクション
      研究者が失踪したがその真の原因は偶々ウランを取り出すバクテリアが見つかってしまったから
      勿論現行のウラン精製より時間もコストも効率が悪いが、世界協定から抜け道で密輸的に作ることが出来る悪魔のバクテリアだった

      • 評価
  3. 田中正造さんに良いご報告ができたらいいね。

    • +5
  4. 金が造れる細菌がいたらまさに錬金術となるわけか?

    • -2
  5. タイトルに違和感があるのは、助詞の使い方がおかしいからだと思う。

    • +1
  6. タイトルの日本語おかしくない??カラパイアではこういうことあんまりなかったのに…

    • +3
  7. いにしえの錬金術の研究は化学反応だけでの
    研究だった。細菌培養やコントロールは当時では
    出来なかったから今の技術なら金は無理でも
    何かの培養はできるかもしれない。ドラえもんの
    「バイバイン」や「どらや菌」が実現するかもしれない。

    • -2
  8. 銅鉱石には金、銀、白金、パラジウム、セレン、テルルなどが含まれていて、実はこっちの方が銅より価値が高い。なので銅の国内消費分は全て国内で製錬している。

    • +2
  9. タイトルが変だよ、日本語がオカシイ
    『有害な金属を無害な銅原子に転換する細菌が鉱山で発見される(ブラジル)』なら分かる

    • 評価
  10. 微生物の構造を3Dプリンターで再現してナノマシン作ったりできないかな

    • 評価
  11. 細菌の世界は底が知れない

    ほんとにね…!

    • 評価
  12. 栄養豊富な食物を摂取して何も生み出さない生き物がここにいるよ!

    • 評価
    1. ※16
      人間はこの世の英智を探求するために生まれたような気がするよ。
      人の基本は破壊活動かも知れないけれど、
      仕組みを理解しより破壊の程度を抑えて保護することも出来る。
      私は人間という種にはまだ希望があると思ってる。

      • 評価
  13. bacteria leachingは日本だと細菌選鉱とか生物選鉱だと思う。硫酸イオンとか硫化物イオンとかリン酸イオンなんかを代謝する細菌は色々存在していて、その中の一部が一緒にくっついてくる金属イオンを還元する能力を持っている。

    • 評価
  14. 誰々にとって毒で誰々にとって居住不可であるからと言って
    その環境でもしたたかにそれを利用して生きる生き物も確実にいるんだよね。
    命は奥深いよ

    • 評価
  15. 化学関連の知識がある人ならわかると思うけど
    1300個の銅原子を測定するのは困難な気がする測定可能な量を集めて、
    そこから細菌1つあたりの量を計算したのかな?

    • +1

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

サイエンス&テクノロジー

サイエンス&テクノロジーについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。