
『Circulation』(3月29日付)に掲載された研究によれば、驚いたことに、彼の心臓は4分の1以上も縮んでしまっていたという――。
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1週間で0.7グラムずつ心臓が縮む
スコット・ケリー氏は340日間の宇宙滞在で毎日の運動を欠かさなかった。そのメニューは、ランニング、エアロバイク、ウェイトリフティングと、それなりの運動量に思える。にもかかわらず、1週間で0.7グラムずつ縮んでいたのだ。なぜそんなことになってしまったのか? それは地球のような引力がないために、心臓が楽できてしまうからだ。無重力ならば、地上にいるときよりも、少ない力で血液を送り出すことができる。
なお心臓は27%軽くなっていたが、ケリー氏はそれまで通り健康で、体調を崩すことも、それらしい兆候が現れることもなかった。
地球上でも心臓が縮む体験をした男性
同じ現象が地球上でも確認されている。長距離水泳選手のブノワ・ルコント氏は、2018年、当時51歳だった彼は泳ぎで太平洋の横断に挑戦した。途中台風のためにサポート船が破損してしまい、距離の短縮を余儀なくされたが、彼は159日間のほとんどを海の中で過ごし、2821キロを泳いだ。つまりある種の無重力を経験していたのだ。
ルコント氏の心臓は、ケリー氏と似たようなペースで縮小していた。とりわけ左心室(ポンプ機能の中で特に重要)は最初170グラムだったのが、140グラムまで軽くなったと推定されている。
太平洋を泳いで渡るというかなりハードな運動していれば、むしろ大きくなるだろうと予測されていたのだから、研究者は衝撃を受けたという。
How Do You Stay Sane for Months at Sea? | The Swim
長期的な宇宙ミッションへの影響
心臓の大きさは、その人の普段の運動量を反映しているそうだ。元々よく体を動かしていた人の心臓は、無重力下では縮みやすい。その一方、地上であまり運動をせず、宇宙ではなおさら動かなかった人たちは、心臓が大きくなっていたという。
幸い、ケリー氏もルコント氏も小さくなった心臓のせいで体調を崩すようなことはなかったようだが、だからと言って、長期的な宇宙ミッションで健康リスクになるという懸念が払拭されたわけではない。
現在、火星への有人飛行計画が進行中だ。地球から火星まで片道8か月かかるとされているが、その間無重力の中で過ごし、弱った心臓で新しい惑星に降り立てば、それが健康に悪影響を与えたとしてもおかしくはない。
現在、他の宇宙飛行士13名の心臓が調査されているとのこと。こうした研究から、宇宙で過ごす最適な方法が考案されるのだろうか?
たとえ宇宙旅行が一般的になっても、ゆったりくつろぎの旅にはならない可能性があることだけは覚悟しておこう。
References:
・Spending time in space could shrink your heart | Popular Science
/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
運動しなかったから筋肉が落ちたみたいなもんなのかな
2. 匿名処理班
マット「諦めることも学ばなきゃならん」
3. 匿名処理班
ディスカバリー号みたいな人工重力ブロックが必要かもね。
4. 匿名処理班
なんか怖い
5. 匿名処理班
人類に宇宙空間への適応能力が残されていることに喜ぶべきか。
6. 匿名処理班
スポーツ心臓とは逆の機序に寄るのかな?
随意筋の萎縮は以前から知ってたけど、これは寿命にも直接関わるから益々興味深い。
7. 匿名処理班
>>1
宇宙だと、顔のたるみみたいなのは軽減出来るのかな?よく、重力に負けてたるんだって言うよね。
8. 匿名処理班
親族を休めたいか負担を抑制したい場合、無重力条件で暮らすことで延命できるのだろうか
9. 匿名処理班
逆に心臓への負担が減って
寿命が伸びたりせんだろうか?
10. 匿名処理班
心臓が大きくなる難病の拡張型心筋症に効果があったりしない?
11. 匿名処理班
>>7
無重力状態だと顔の『たるみ』は軽減される
が、地球上では下半身に偏っていた体液が重力の影響を受けず全身に均等に配分される為に所謂『ムーンフェイス』になり顔がむくむ
12. 匿名処理班
だろうね。
ボルグの心拍数は普通の人の半分だそうだ。
つまりポンプ力が2倍ある。
鍛えればそれだけになるし、無重力とはいえサボらせれば下がる。
13. 匿名処理班
ということは宇宙抜きにしても
運動能力で心臓の大きさって結構変わるものなんだなぁ…
14. 匿名処理班
普段から運動しなかった人が大きくなる意味が分からん
変わらないなら分かるけど
15. 匿名処理班
クジラの巨大な心臓も体との比率は陸生哺乳類と比べるとかなり小さめになるのかな
16. ナパチャット
火星に行くのですらリスクがあるレベル
つまり太陽系を出るのはほぼ不可能
17. 匿名処理班
※14
足の血流は重力と足の筋肉で補助されるものだけど宇宙では重力はないし足も使わない
運動不足で小さい心臓が足に血液を回すには地上よりも強く脈動しないといけないから大きくなるんだろう
18. 匿名処理班
心臓だけじゃなくて他の臓器にも何かの影響はあるんだと考えると、宇宙進出はサイボーグ技術が必須では、と思ってしまうな。
19. 匿名処理班
一応宇宙でも有酸素運動でエアロバイクとか固定してランニングみたいなトレーニング2時間ずつ日課であるからね
それとは別に無酸素運動の筋トレもやってる。
やってなかったらもっとやばそうだなぁ
つまり火星旅行とか月とか旅行行けるようになっても、毎日何時間かの運動が生命維持の義務とかになりそう。
20. 匿名処理班
心臓の大きさと能力って比例するものなの?
21. 匿名処理班
たまたまは、どうなったんでしょうね
22. 匿名処理班
※12
心筋がビョンってなるんだぜ。
23. 匿名処理班
※15
クジラの心臓、かなり巨大だよ。
シロナガスクジラのだと、180kgとも600kgとも言われ
(ずいぶん差があるが、測定時の水分とか条件が違うのか…??)、
実寸大模型は、公園のトンネル遊具みたいに
人間が大動脈をくぐって遊べるくらいデカい。
体重100t超に対して0.2〜0.5%くらい?という割合は、
200〜350g程という成人の心臓と同レベルかと。
体重比の心臓は、哺乳類だと犬やサラブレッドがやや大きめらしい。(それでも0.8%とか0.6%ってレベル。)
体重に対する心臓比は、体の軽量化が図られていることもあって
鳥類、特に小鳥で大きいそうな(1〜2.5%)。
24. 匿名処理班
負圧スーツを作って足裏に血流を吸い付ければいいんでは
25. 匿名処理班
※22
フォルト!
26. 匿名処理班
NASAがベッドに寝たまま生活する(車輪付きのベッドで移動はできる)
って実験で心臓が縮むってのを何かの番組で大昔に見た覚えがある。
寝ると心臓の負担は軽減されるが、ずっと寝たままをお勧めしないのはこの問題らしい。
知っていても鬱になって寝たきりになって運動がより苦手になった事がある俺がいうのはなんだけど、重力と適度な運動については考える必要がある。
心臓は24時間一生休まない臓器な訳で、大事にしないとね。
27. 匿名処理班
※20
少なくとも持久系の運動をする人はいわゆるスポーツ心臓(大きくなって安静時拍動数がさがる)になるので、運動能力が上がることと心臓が大きくなることは相関があるでしょう。
反対に、地上にいるときには厳しいトレーニングで心臓が大きくなって、海でも宇宙でも無重量状態で元の大きさに戻ったのではないかと想像したり。
※3
ディスカバリー号は特に回転はしてなかったから、人工重力ブロックはなかったと思います。ボーマン船長が走ってるシーンはディスカバリー号の先頭の球体の中を走って遠心力を「人が走って」作って(物理的には人が停止して球体が回っても、人が球体の中を走ってもだいたい同じ)いたのではないかと。
重力が作り出す上下方向への血液循環は血圧を大きく稼がないといけないのでそれだけパワーが必要なのではないでしょうかね。水泳の人は身体が水平だったというところが意外と大きなファクターではないかとか思ったりもします。無重量のところは身体が水平と同じ条件になりますね。だから、寝たきりなども同じかなと。
※25 笑うのを我慢したら腹筋がつりそうになった。
28. 匿名処理班
※9
負担が減ってもその分心肺機能も低下することが判明したのが今回の結果だからそれはないよ
左心室が縮小したってことは心臓が一回に送り出せる血液量が目に見えて減ってしまうってことだから結構大変
29. 匿名処理班
それよりもこの禿げは状況のせいなのか元からなのかが気になるが…
30. 匿名処理班
たいきけんは、だいきけんゾーン 酸性の層が有るそうだ。 ここで可燃性物質が燃焼する。
台風で、酸性を含んだ雨粒が、地上に降り注ぐ。はげるよって、これ。
それと、無重力空間、真空の空間では、物体は中央に寄る性質がある。重力ね。
噴火の灰も、いずれは地上に降り注ぐ様に、何時かは地上に舞い戻る。
太陽光線には、エックス線ガンマ線とか、放射能だし、地球のには電磁層が有るから、
電子レンジの中の様に、船内で被爆もするうえに・・・って、いろいろ・・