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オンラインで裁判が行われるようになってからというもの、弁護士が猫化したり、被告の医師が出廷しながら手術したりと、何かと珍事が発生している。このほどアメリカのミシガン州で、暴行を受けた被害者と被告(犯人)が同じ部屋でオンライン裁判に出廷する事態が発覚した。
しかし、被害者の態度に不信を抱いた検察官が目ざとく察知したおかげで、被告は駆け付けた警察に逮捕され、被害者が更なる暴力から救われたようだ。『KIRO7』などが伝えている。
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Assault Defendant Caught on Zoom Hearing at Alleged Victim’s House
被害者と被告がオンライン裁判に出廷中、検察官が異変に気付く
3月2日、アメリカのミネソタ州スタージスで2月9日に発生した暴行事件のオンライン裁判が行われた。コビー・ジェイムズ・ハリス(21歳)は、交際していたメアリー・リンジーさんに深刻な身体的危害を加えたとして、暴行罪で起訴され懲役刑に直面していたが、リンジーさんとの接触を禁ずるという条件のもと、保釈されていた。
両者は、警察官、弁護士、検察官と一緒にZoomでの裁判に出廷し、その様子はYouTubeでライブ配信された。
ところがその審問中、デボラ・デイビズ検察官がリンジーさんの様子がおかしいことに気付いた。
質問する度に、リンジーさんはカメラから視線を外し、カメラの見えない場所にいる誰かを気にするように、頻繁に左側に視線を動かせていたのだ。

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また、リンジーさんへの質問中、ハリス被告の画面が一旦真っ暗になるという事態が発生した。その後、リンジーさんの検察官への質問の答えが何かに怯えるように回避的になったことから、デイビス検察官はジェフリー・ミドルトン裁判長に、このように進言した。
裁判長、現在被告と被害者は同じアパートにいるかと思われます。被害者の安全が心配されます。
同じアパートにいた被告を逮捕
ミドルトン裁判長に「今どこにいるか」と尋ねられたリンジーさんは、「自宅にいる」と答えた。次に居場所を問われたハリス被告は、リンジーさんとは別の住所を口にしたが、「では、画面をそのままオンにして、玄関のドアの番号をこちらに見せてください」と裁判長に要求されると、「今スマホのバッテリーが2%しかなく、充電中なので持ち歩きはできない」と拒否した。
その間、画面中央の警察官は、ミュートにしてどこかに電話をかけており、ミドルトン裁判官はリンジーさんにこのように伝えた。
あなたの自宅に警察を送りました。ドアがノックされたら、安全のためスマホの画面をそのままにして応答してください。やがてドアがノックされ警察が来ると、リンジーさんとハリス被告のスマホはオフの状態になり、裁判の画面からは消えてしまった。
しばらくの間、沈黙しながら待つ裁判長や検察官。やがて、リンジーさんのスマホがオンになると、そこに映し出されたのは、手錠をかけられたハリス被告の姿だった。
逮捕されながらも、ハリス被告は口にタバコをくわえており、それを見たデイビス検察官は顔をしかめた。被告が被害者のところにいるという検察官の直感は当たっていたのだ。

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ハリス被告は、裁判長にこのように訴えた。
私のガールフレンドは非接触を望んでなどいません。住所を嘘ついたことは申し訳なかったですが、この1件を取り消してもらうわけにはいかないでしょうか?2月の暴行事件についても、否定するそぶりを見せたハリス被告に、ミドルトン裁判長は次のように糾弾した。
口からタバコを取りなさい。そして話すのをやめなさい。あなたは、自分で墓穴を掘っているに過ぎない。公聴会は延期にします。あなたの保証金もキャンセルになります。暴行の常習犯だったハリス被告は、2月にリンジーさんに重大な身体的危害をくわえたとして、最大10年の懲役刑に直面していたが、今回保釈中の違反行為において罰金刑が科せられることになる他、最大15年の懲役刑が下される可能性もあるという。
おそらく検察側はあなたを司法妨害罪で起訴するでしょう。非接触を撤回するなどということは認められません。これは深刻な事件です。
コロナのパンデミック中、海外ではパートナーによる家庭内暴力事件が上昇しているが、オンライン裁判中に被告が被害者のアパートから出廷し、被害者の証言への脅迫を行うという事例は今回初めてのことだそうだ。
いずれにしても、デイビス検察官の機転の良さがなければ、リンジーさんは更に危険な目に遭っていたかもしれない。
なお、この1件の公聴会は3月16日に再開されるという。
written by Scarlet / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
賢くて、美人でかっこいい。ドラマから出てきたみたいな検察官さん。(容姿のことはふれなくてもいいかもしれないけど、推理ドラマ見ててもこんなおしゃれな人いねえよって言うのが偏見だってことに気づくきっかけになった)
2. 匿名処理班
別のサイトで見た動画では、デイビス検察官が事件当時のことを質問したら被害女性が言い淀むような歯切れの悪い回答を繰り返してて、それで異変に気づいた感じだった
ちなみにそのサイトではデイビス検察官のことを"Eagle-eyed prosecutor"(観察眼の鋭い検察官)と表現してたよ
鵜の目鷹の目を英語では「鷲の目」って言うんだね
3. 匿名処理班
オリジナル削除されたね
モザイク入りのニュース映像ならあった
www.youtube.com/watch?v=xgz3Tx69zXk
4. 匿名処理班
オンライン裁判もまだ発展途上だなぁ
5. 匿名処理班
ナイス!ナイス判断!その洞察力に感謝!ブラボー!
6. 匿名処理班
映画みたいな話だなぁ
こういうタイプの加害者が再犯した話はよく聞けど更生した話は聞いた事が無い
反省の色どころか罪の自覚すら無い、数年したらまた世間に出てくると思うと複雑な気分になるな
7. 匿名処理班
展開もみんなの台詞も映画みたい
めちゃくちゃ怖かっただろうなー読んでるだけでドキドキした
8. 匿名処理班
デイビズ検察官はコナン君か何か?
ともあれ被害が出なくて良かった
9. 匿名処理班
デイビス検察官、異変に気付いてくれてありがとう。
警察の人も、素早い対応ありがとう。
これ見過ごしてたら、新たな被害が生まれてたよね、それも多分深刻な。
10. 匿名処理班
異変に気づいたらこっそり警察向かわすのがいいのではって思った。もうひとつネジが外れた犯人ならヤケクソで何するか分からないよね
11. 匿名処理班
国によらず事件によらず、あおり運転とかもそうだけどほとんど自傷自爆願望とも思える粗暴犯の行動は理屈や命令、理を説くことでは制御は不可能なんだと思う
理や人権で動く司法警察制度の限界がそこにあるよなぁ
12. 匿名処理班
まさしく「そういうとこだぞ」加害者
13. 匿名処理班
メアリーさんさぞや怖かったろう。デイビス判事、女性ならではの細かい洞察力で、彼女を救ってくれた。
女性に暴力をふるう男は本当に狗粗だ。
14. 匿名処理班
※13
確かにこれは性差を感じるね。始まりから画面を凝視してるのは検察官さんだけ。男性陣はおそらく判決について頭の中で考えてたんだろうね。検察官さんは目の前の事象に注意がいってる。特性を生かしあうことが大事だってわかる事例だと思う
15. 匿名処理班
優秀な検察官だね。
「君は見ているが観察していない。その差は明白だ。」シャーロック・ホームズ
16. 匿名処理班
この判事さん、映画ジェイソン:ボーンシリーズのパメラ:ランディーって言うCIAの管理職の人に雰囲気が似てるね。
「疲れた顔してるぞ、少し休め」ってボーンに言われる人ね。
17. 匿名処理班
パーソナリティに問題があるこう言う犯人は再犯を犯す可能性が高い
18. 匿名処理班
日本だったらこんな展開にはならないだろうな
誰も責任を負いたくないから、例え被害者の異変に気付いても
加害者に聞こえる状態で「どうかしましたか?」と聞きそう
それで被害者は「いいえ」と答えるしかなくて
何か事件が起きてしまっても「被害者に『どうかしたか?』と尋ねたら『いいえ』と答えたので大丈夫だと思った」と後から言うんだろうな
19. 匿名処理班
こっっっわ…気付いてくれて本当によかった
とても優秀で頼れる人だ
20. 匿名処理班
デイビス検察官がこの優秀な洞察力を身につけるまでにどれだけ数多くのひどい事件を担当してきたのかと思うと、この隙のない美しさは鎧なんだろうな、と想像してしまう。被害者と接する時はきっと穏やかで優しいのだろうな。
21. 匿名処理班
オンライン裁判をやる場合は証言する人たちが正当な証言をできる環境にあるかもちゃんと確認しなきゃダメだね
被告本人じゃなくてもその証言をされたくない人間がカメラの手前でナイフ持ってるかもしれない
22.