メインコンテンツにスキップ

3Dプリンターで人体に直接骨を印刷する技術が開発される。骨折の治療が楽になる可能性

記事の本文にスキップ

23件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
credit:Wiley-VCH GmbH, Weinheim
Advertisement

 一軒家やら人工肉やら、様々なものを作れる3Dプリンターは、生体組織の領域にも生かされている。

 これまで、角膜や血管人工皮膚などを作ることには成功してきた。一方で骨はただの生体組織ではなく、そこに無機物が混ざっているために、印刷の難易度が増す。

 今回、オーストラリアの研究グループは、周囲の細胞を取り込むセラミックインクを使うことで、その難題に挑んだ。いずれは人体に直接3Dプリントして骨折を治せるようにもなるかもしれないそうだ。

液体で満たされたところで固まるインク

 欠けた骨を修復するには、自分の骨を移植する「自家骨移植」という治療法がある。しかしこの治療は感染のリスクが高いうえに、修復部位が大きすぎる場合には使えないという欠点があった。

 ニューサウスウェールズ大学のグループが開発したのは、無害かつ人体のような液体で満たされた場所にも印刷可能で、しかも骨の構造と似たような形状に固まってくれる3Dプリンター用のインクだ。

 インクはリン酸カルシウムをベースにしたもので、常温ではペースト状になる。しかしゼラチンなどの溶液に注入されると化学反応が起こり、まるで本物の骨組織のような多孔質のナノ結晶構造に固まってくれる。

Scientists use a novel ink to 3D print ‘bone’ with living cells

人工骨内で細胞が増殖

 『Advanced Functional Materials』(1月20日付)に掲載された論文では、造骨細胞をはじめとする人間の細胞が混ぜられたゼラチン内に3Dプリントされた、小さな骨構造が紹介されている。

 37度に温められたゼラチンに注入されたインクは、周囲の細胞を組み込みながら骨の構造に固まる。それから数週間すると、組み込まれた細胞が付着して、増殖したとのことだ。

 印刷には細い針のような専用設計のノズルを使う。だがそれ以外の部分は市販の3Dプリンターなので、たとえば実際の治療にあたっては、ポータブルタイプの3Dプリンターを手術室に持ち込むといったこともできるそうだ。

この画像を大きなサイズで見る
credit:Wiley-VCH GmbH, Weinheim

医療や研究などさまざまな応用可能性 

 3Dプリントされた骨は、骨折やがんの治療だけでなく、骨の病気の研究や薬のスクリーニングなど、さまざまな用途が考えられるという。

 研究グループは目下、より大きくプリントする方法を開発している。さらに、実際に傷を治すことができるかどうか確かめるために、動物実験も開始したそうだ。

 いずれは医師と協力して、当局への許可申請手続きを進め、医療の現場で使えるようにしたいとのことだ。

References:spectrum / 3dprint/ written by hiroching / edited by parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 23件

コメントを書く

  1. 顔の形を変えるとか脚を伸ばすとかやり放題では ?

    • -4
    1. ※1
      やり放題って、結局は顔面を切って開いて頭蓋骨をガリガリ加工するとか大手術やで?

      ちなみに脚を外科的に伸ばすのは実用化されてます。脚の骨を一旦切断してボルトでつないで一定期間ごとにネジで伸ばしていくみたいな。(古い方法かもしんないけど)

      • +3
  2. 粉砕骨折の治癒が早くなりそうなのはいいねぇ。

    • +11
    1. ※2 タイガー・ウッズも復活できるかも

      • 評価
  3. 草薙少佐「男はみんなナイスバディなってみたいぞ。」

    • -1
  4. 歯科治療に応用出来ないのが残念だよなぁ

    • +10
  5. がん治療で変形した骨を切除し人工チタン修復したけど
    もう少し早く確立していれば自分の骨でできたかもね
    もっとも腕や足のような比較的楽で軽い部分でないし
    この技術が確立しても使用に耐えなかったかもしれん

    • +3
  6. 半月板とかはどうなんやろ
    あれ再生出来たらすごいけど

    • +6
    1. >>9
      膝の骨だっけ?昔は怪我したら取り除いちゃって運動が出来なくなった人もいたが

      • 評価
    1. ※11
      馬は常に4本脚で自重を支えていないと生きていけないのです。
      昔テンポイントという馬に骨折の治療をしましたが予後はとても悲惨なものでした。
      興味があれば、ネットに記事が出ていますので読んでみると良いと思います。

      • 評価
  7. これの治療法で助かる人は数え切れないほどいるし、実際私がこの技術を利用できる患者の立場にいたら飛びつく、わかる、
    でもひとつだけ忘れちゃいけないのは実験動物のエグさだなと気づかされた
    きっと今当たり前のように享受してる技術たちの中にも、悲惨を繰り返した結果生まれたものが多々あるのだろう
    昔の日本人が鎮魂碑を建てまくったのもなんかわかるわ、信仰上でも現行法でも裁かれないけど罪深く感じる行為はあるし、それに対して謝ったり感謝してるってことを形にして贖罪したかったんだろな

    • +8
  8. これはアイデアがすごいね
    リスクと負担を軽減できるいい事尽くめではないか

    • +2
  9. 膝に矢を受けてしまった人も復帰できるな!

    • +2
  10. これ、歯科には使えないかな。そしたら年取っても安心なんだけどなー。

    • +11
  11. 高級SUVで事故ったゴルファーも復帰できるな!

    • +1
  12. そしたらリブロースとかも作れそうだし、
    未来はダシも動物性じゃなく、
    人工骨で取れるようになるかな?

    • 評価
  13. いいなあこういうの!早く実用化して欲しい
    骨で出来るなら歯も出来ると思うんだが…歯の再生医療本当に頼む

    • +3
  14. これならジャック・ハンマーも日帰りできる

    • 評価
  15. フィフスエレメントが現実になるのか

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

サイエンス&テクノロジー

サイエンス&テクノロジーについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

人類

人類についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。