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超黒の次は超白!光を95.5%を反射する純白の塗料が開発される(米研究)

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光をほぼ全て反射する超白の塗料が開発される/iStock
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 まずは黒の話をしよう。現時点において、世の中でもっとも黒い物質はMITの研究者が2019年に偶然発見したものだ。その光吸収率は99.995%以上で、あのベンタブラックの10倍にも達する。その見た目は、そこにブラックホールがあり、なんだか空間にぽっかり穴が開いたかのようだ(関連記事)。

 競争世界に生きる科学者たちだ。吸収率とくれば反射率、てことで今度は、アメリカ・パデュー大学の研究グループによって、今度は超白い素材が発表された。

 『Cell Reports Physical Science』(10月21日付)に掲載された研究によれば、それは命中した光子の95.5%を反射する超純白の塗料だ。

 このアクリル系塗料で塗られた物体は、直射日光にさらしても温まることなく、冷たいままに保たれる。この性質を利用すれば、建物中の温度管理を効率的に行うことができるそうだ。

放射冷却を助け部屋を涼しく保つ超純白塗料

 夏の間、建物内部の温度を涼しく保つためには空調システムが不可欠だ。

 しかしそうやって室内から屋外へと排出される熱のおかげで、都市部では「ヒートアイランド現象」が発生してしまうし、そもそも空調システムを動かすためにもエネルギーが使われている。そのせいで温暖化が進み、いっそう暑くなるのでは負の連鎖だ。

 そこで空調システムを使わずに建物内部を涼しく保つ「放射冷却」というやり方が考えられる。

 これは建物を温めようとする太陽の熱を反射したり、8~13マイクロメートルという極小の波長の赤外線が大気の中を通りやすい性質を持っているので内部を涼しく保つ受動的な温度管理技術だ。エアコンのようにエネルギーを使うこともないので、時代の要請にそったやり方である。

 現時点では、昼間に理想的な放射冷却を行えるようなシステムはまだ完成していないが、新しく開発されたこのアクリル系超純白塗料ならかなりいい線をいっているようだ。

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image by:Jared Pike

光の反射率、なんと95.5%

 超純白塗料は、さまざまな大きさの炭酸カルシウム粒子で構成されており、太陽光に含まれるさまざまな波長を効率的に散乱させることができる。振動共鳴のピークがあり、熱が外側へ反射されるので内部が暖まってしまうことを防ぐ。

 さまざまな天候の下でその冷却性能が試されたところ、光の反射率95.5%と既存の熱遮断塗料のそれ(80~90%程度)を大きく超えていたとのこと。また放射率も0.94と非常に高い。

 超純白塗料を塗った物体は、周辺の温度よりも昼間は1.7度以上、夜なら10度以上低く保たれることが確認されたそうだ。

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新しい超純白塗料(左)と一般的な塗料(右)の温度を比較した赤外線画像

image credit:

使い勝手は普通の塗料と同じ

 一方、使い心地は既存の塗料とほとんど同じで、普通に塗れて、普通に乾く。しかも最低でも3週間は耐摩耗性・防水性・屋外耐候性があることも証明されている。

 研究グループによれば、現時点では「最高の放射冷却性能」を持つ塗料であるとのこと。フッ化炭素ベースのポリマーを混ぜてさらに耐候性を高めるアイデアも考案されており、目下、さらに長期間の性能試験を実施している最中であるそうだ。

 なお、今年5月には別の研究グループによって反射率98%という超純白塗料も発表されており、いいライバルになりそうだ(関連記事)。今後は驚きの白さの研究が加速していくのかもしれない。

Full Daytime Sub-ambient Radiative Cooling in Commercial-like Paints with High Figure of Merit: Cell Reports Physical Science
https://www.cell.com/cell-reports-physical-science/fulltext/S2666-3864(20)30236-8

References:purdue / newatlas/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 64件

コメントを書く

  1. 今まで建築物が吸収してた太陽の熱を反射させて道路に飛ばすとどうなるの

    • +2
  2. 使いどころ考えないと反射の目潰しがすごそう

    • +18
  3. なんか怖いなこれ家に塗れば
    驚異的断熱材になるぞ
    冬は暖房があるからともかく
    夏も暖房かけなきゃいけなくなるかもね

    • -10
    1. >>4
      冬は黒い塗料にチェンジできたら完璧だね

      • +4
      1. ※8この塗料とペンタブラックを塗ったパネルを取り換えるようにすればOK

        • 評価
      2. ※29さんも指摘されていますけど、

        >>8~13マイクロメートルという極小の“天窓”から熱を逃したりすることで内部を涼しく保つ

        という部分はちょっと誤解を招くと思います。これだと”ちいさな穴が天窓になってる”みたいな意味になってしまっていますけど、実際には”8~13ミクロンの波長の赤外線が大気の中を通りやすい性質を持っているので放熱に役立っている”という意味ですから。元論文でも”sky window”の意味を筆者たち独自の定義をして使っているみたいですので、それなしにいきなり”天窓”とだけ訳してしまうと危ないと思います。

        微細な穴を本当に物理的にポツポツあけて冷却効果を上げるというのはこの記事の研究とは別にちゃんとあります

        • +2
  4. 耐久性が高ければ自動車の塗料によさそうじゃない?
    商用車は白の需要が多いから維持の手間が省けそうな気がする。

    • +2
    1. ※6
      屋内に展示するだけなら良いけど屋外だと太陽光もヘッドライトも
      ほぼ反射するから事故を誘発するよ
      大型トラックなんかがギラギラと光るアルミプレートの泥除けみたいなの
      ぶら下げて走ってる場合あるけど
      あれとは比較にならない効率で反射する塗料を全体に塗り込む訳だからね
      試しに太陽光を手鏡に反射させて自分の目に当ててみると良いよ
      それ以上に眩しいんだから

      • +1
  5. 宇宙のかなたから「おい、地球が超新星になったぞ!」

    • +3
  6. 確かに目に被害がありそうだな。ちょっと怖い。

    • +11
  7. 地中海かどこかに白く塗られた町があるよね
    あんな感じの町が増えるのかな

    • +7
    1. ※11
      あなたにベストマッチなプロテクターが見つかりますように。

      • 評価
  8. それだけ反射するなら鏡みたいになるのかと思ってた。照明関連で使えそう

    • +1
    1. ※12
      鏡のようになるかは表面の滑らかさによる。
      ちなみに普通の鏡の反射率は90%くらいだって。

      • +9
      1. ※25
        税所、このコメント見つけられずに調べてしまったぜ。
        普通の鏡でも90%、高透過ミラーで95%、特殊な高性能ミラーで99%になるみたいね。

        • +1
  9. 下手に塗ったら近隣で灼熱地獄と化す場所ができて火事起こるぞ
    ビルのガラスでもなってたのに、それよりは起きやすくなる

    • +5
    1. ※14
      鏡や窓ガラスみたいなツルツルの面なら
      太陽光をそのまんま特定の角度へ反射するけど、
      白く乱反射する面なら、火事になるような収束はしない。

      ただ、街の壁全部がこれになったら、
      雪原を歩いてる時みたいな日焼けや目の炎症は起こるかも?

      • +7
  10. こういうのが広く普及したら飛行機のパイロットや衛星写真に影響が出そう

    • +1
  11. 今後ホントに必須に成りそうな塗料だ
    そして真夏の外出にはグラサンが必須になる訳だな
    そうなる頃までに新コロが下火に成ってくれんとグラサンマスクだらけの町に成っちゃうね

    • 評価
  12. こういう「何に使えるか」と「目的」を考えたのじゃないと科学研究っていくらやったところであんま価値あんまないよな

    • -41
    1. ※18
      そういう考え方がのさばった結果、基礎研究がおろそかになりつつある現状があって、このままだと結果的に学術全体のレベルを下げることにつながりかねないよ。
      と世界中の(まっとうな)学者の間で注意喚起がなされているよ。

      • +19
    2. ※18
      電磁波が発見された時も「何の役に立つんですか?」と質問された。
      その時は何の役にもたたなかったけど、今では電磁波を利用しない生活なんて考えられないでしょ

      • +21
    3. ※18
      今やってる研究の何が役に立つかは、やってるときにはわからない。「今役に立つ」ことだけを考えてると、再生産になってってやれることの幅がどんどん小さくなる。
      て言っても、わかろうとしない人は永遠にわからないんだけどね。

      • +19
  13. 同じ塗装面なら影が出来にくいって事だよね?
    使用例が無いのでピンとこない
    例えばおじさんを真っ白に塗るとどうかとか

    • 評価
  14. どうせ直ぐに汚れて光を吸収するようになるんだろ。

    • +9
  15. 光ってことだから赤外線領域もかなりなんだろうな。
    断熱、反射剤、間接照明、冷却設備いろいろな用途に使えるじゃん。
    あと熱膨張の防止にも、橋とかさー。

    上で書かれている自動車が一番利用が早いだろうね。

    • +2
  16.  20年程前ですか。同様の断熱塗料をビルの屋上に塗ってテストした事を思い出します。屋上には、空調用の外調機が集中してますので、大いに能力向上しましたもの。
     今回の塗料が安価な製品なら、多くの場所に活用されるものと思いますよ。

    • +9
  17. 光を吸収する黒い塗料と同量混ぜたらどうなるのかな?

    めっちゃ普通のグレーになるのかな?

    • +5
  18. 誰かブラックホールに塗ってみてくれないか。

    • -1
  19. 「8~13マイクロメートルという極小の“天窓”」>電磁波波長における「大気の窓」です
    太陽光を反射しつつこの波長の赤外線を高効率で放出しているんでしょうね

    • +1
  20. 鏡よりも反射するのに像が投影されないってどういうこと
    この塗料を鏡面にすればもっと反射率上がるわけ?

    • 評価
  21. 建物の壁や屋根に塗ったら
    確実に効果があるね、断熱材の入ってない家屋ほどね
    汚れが不安なら、トップコートに雨で汚れが落ちるクリアーを吹けばいいだろう
    それと、この粒子は日焼け止めにも使えるんじゃないか?

    • 評価
  22. 車に塗ろう車内があちあちにならずに済む

    • 評価
  23. 光触媒塗料のように、セルフクリーニング機能を持つといいのかな?

    • 評価
  24. アスファルトが暑くなりすぎるのをグレイにして中和するとか

    • 評価
  25. プラモデルの下地塗装に良さそうだ、部長に提案しておこう

    • 評価
  26. 一方日本では窓ガラスの反射を無くしていた

    • -2
  27. 天井に塗ったら照明を一段階暗くしても
    充分な光量が得られて省エネになりそう
    でも天井じゃ掃除しにくいしなあ…
    洗面台付近に使うとかかな?

    • +1
  28. これは正直絶対これから来る分野だと思う。
    日本人技術者も参戦して欲しい。

    • +3
  29. これが原因で濃度の濃いカラーレンズや度の入ったサングラスが定着しそうな予感

    • +1
  30. 地球全部に塗ればスノーボールアースになるよ

    • -1
    1. ※58 
      その原料はどこから捻出するのさ?
      そんなきみはスノーマンヘッドか。

      • 評価
    1. 雪みたいに眩しそう
      ※59
      乱反射なので白くなるよ

      • +2
  31. エアコン経由で排出してもこれで反射させても結局外は暑くなるだろ

    • 評価
  32. 砂漠にいるカタツムリでも参考にしたのかな?

    • 評価
  33. ハイビームの車のライトのせいで玄関のセンサーが誤作動するから、ポーチと壁に塗って反射させてやりたい。

    • 評価
  34. 反射率95.5%で放射率94%なんて物質があるのか。
    ていうか
    反射率+放射率+吸収率=1
    じゃないっけ?
    またちょっと違う定義の放射率なのかな。

    • 評価
  35. この超純白塗料もテフロン入り反射性塗料も、黒色無双とかベンタブラックみたいな名前はまだ付けられていないのだろうか?

    • 評価

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