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目の付け所はお尻!牛のお尻に目を描くとライオンに襲われにくくなる(オーストラリア研究)

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(著)

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牛のお尻に目を描いてライオンを追い払う image credit:Bobby-Jo/theconversation
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 アフリカ南部、ボツワナの牧草地では、家畜の牛がライオンやヒョウなどの捕食獣に襲われ、牛の数が激減しているという。

 何とか牛が襲われない方法はないか?そこで、オーストラリアの研究者は考えた。牛のお尻に目を描き、背後から迫る捕食獣に「お前はすでに見えている」と思い込ませてみたらどうだろうと。名付けて「i-cow(アイカウ)」作戦だ。

 2016年より始まった「i-cow(アイカウ)」作戦だが、4年の年月を経て、その効果がついに実証されたようだ。

家畜を野生大型捕食者の攻撃から阻止する実験

 ボツワナ北部に位置するオカバンゴ・デルタでは、近年干ばつ被害による水や草原の不足の他、野生の大型肉食獣による被害から、地域の暮らしを支えている家畜牛の数が激減しているという。

 家畜の牛は、夜は囲いの中に入れられるが、昼間は放牧されており、ライオンやヒョウ、チーター、ハイエナなどの強力な捕食者に脅かされ続けている。

 野生生物は保護しなければならず、農家や遊牧民らは家畜が襲われる被害を受けながらもこれまではなす術もなく、低コストでそれを阻止できる方法はないかと頭を悩ませていたようだ。

 そこで、オーストラリアのニューサウスウェールズ大学研究チームが、14の異なる牛の群れを使って4年にわたり実験を行ってきた。

 牛を3つのグループに分け、目印を描いて捕食者に襲われる度合いを調査するという方法だ。

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image credit:Ben Yexley/Socientifica

牛のお尻部分に描かれた「アイ・スポット」

 チームは、4年の間49回の実験を行い、24時間モニタリングした。

 参加した2061頭の牛は、同じ地域で放牧された牛で、襲われるリスクも同じだ。この牛を3つのグループに分け、1つには臀部に大きな目を描いた。

 そして2つ目のグループにはバツ印を描き、3つ目のグループの牛には何も描かず、それぞれ実験したところ、驚くべき効果が得られた。

 目がついた683頭の牛は、4年間一度も捕食者に襲われることはなかったという。しかし、バツ印が付いた牛は543頭中4頭襲われ、何もついていなかった牛は835頭中15頭襲われるという結果に至った。

 この実験により、目の模様が初めて大型捕食哺乳動物の抑止力にもなったことが示唆されたのだ。

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image credit:Radford et al Nature/Socientifica

低コストで効果の高い解決法を導くことに成功

 チームは、この実験について次のように述べている。

特定の蝶や蛾、両生類、鳥などにみられる「アイ・スポット」にインスパイアされました。これらの生物に見られる進化的現象には、目で見ているようなマークが生物の体にあり、近付く捕食者を阻止する役割を果たしています。

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skeeze/pixabay

大型肉食獣は、待ち伏せした獲物に背後から近づき、一気に仕留める習慣があります。このアイ・スポットにより狩りを抑止できたことは、牛を保護する必要のある農家にとって極めて重要です。

シンプルな低コストのアイデアが、捕食を減らす費用対効果の高い解決法となりました。また、この方法を用いることで、牛と野生の捕食者が相対的調和を保ち、共生していくことにも役立ちます。

 野生界の頂点となる捕食者の生態的価値やツーリズム性を考えると、大型肉食獣と農家の伝統的生活の両方を守ることは、必要不可欠だ。

 同チームは、「この単一のアプローチが全ての問題を解決するわけではない」と指摘した上で、家畜産業者の負担が部分的にでも軽減することを期待している。

この研究は『Nature Communications Biology』(8月7日)に掲載された。

Artificial eyespots on cattle reduce predation by large carnivores | Communications Biology
https://www.nature.com/articles/s42003-020-01156-0

theconversation / socientificaなど written by Scarlet / edited by parumo

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この記事へのコメント 50件

コメントを書く

    1. ※1
      実際ファッションってそういう自己防衛的な側面もあるよな。
      イカつい系の服着てる人って、なんか近寄りづらいし話しかけづらいじゃん。

      自分は迷彩柄のズボンと(夏は着ないが)スカジャンとか好んで着てるんだが、親しくなった人に後から聞くと、最初は怖くて近寄りづらかったということよく言われる。

      でもなぜか、警察官にはモテモテでしょっちゅう職質されるんだよなぁ…。 ミリタリー系は職質に会いやすいんだよなぁ…

      • +6
  1. ルアーだとバイトマーカーって逆の効果がある

    • +2
  2. こんなことで襲われなくなるなら野生の草食動物の尻にも目の模様がある動物がいてもよさそうなのにいないな

    • +21
    1. >>4
      ちょっと泥ついただけでも消えるし、目玉サイズの模様を毛皮で安定して遺伝させるのも難しいでしょ
      絶対潰れて微妙な模様になるヤツいっぱい出てくるし、そもそもそんな器用な進化することも難しいんじゃない?

      • -2
    2. とってもすごい、思いつかなかった。
      >>4も確かに、と思った

      • +2
    3. ※4
      虫や両爬みたいに、小型で単独行動してる威嚇や警戒色生物は結構いる。

      哺乳類の場合、捕食者から逃げ切れるだけの十分な運動能力があることと、
      草食動物の場合、群れで生活している種が多いので、仲間のだれか襲われてる隙に自分ら逃げるという戦法をとっているからでは。 トカゲのしっぽ切りを群体でやってるのが草食動物。 それに、シマウマやキリンみたいにある程度、相手の視認性を下げる皮膚をもあるしね、疑似眼みたいなそこまで周到なモノは必要なかったんじゃないか

      • +9
    4. ※4
      自然の進化は別にそうしなきゃって意志でなるもんじゃないから、たまたまそっち方向に進化する事が無かったってだけじゃない?
      それより群れの一部が犠牲になる方が、弱い仲間が淘汰されるって利点にもなってそうだし

      • +5
    5. >>4
      進化に方向性が無いことは他の人も触れてるけど、目玉の模様が出来る世代の前に、無意味で派手な模様の発生が必要。
      その中で最適なもの、この場合は目玉模様が生き残るのが進化だけど、いまの地味カラーで生き延びる哺乳類にとって、模様ができた時点で死亡コースだから進化も起きてないんじゃないかな

      • +3
      1. ※31
        これは交尾ポイント競合するんだよ、ライオンだけじゃなくて仲間も…
        この場所に目玉模様があると嫌われちゃうんだと思う(まあそうだよね)

        • 評価
    6. ※4
      尻の睨みは、捕食者だけでなく、交.尾相手にも
      「うわっ、キモ!」と思われて 近寄られにくい可能性。

      • +6
  3. 肉食獣の目つきに似ているのも効果的なのかも。
    人間が見てもちょっとドキッとした。

    • +10
    1. ※6 ※10
      尻尾と、腹肉?が耳っぽく見えているのもあって
      ゾウに似てると思った。

      • +1
  4. 猫たちだっておもちゃの背後認定した向きからしか飛びかからないし、
    無駄を省く肉食動物としては「顔ではなくお尻を狙う」のは絶対条件なんだろうね。

    お尻に顔のある牛を見て、ドリトル先生に出てきたオシツオサレツを思い出したけど。

    • +4
  5. 交尾をする時に間違えたりしないだろうか

    • +1
  6. しっぽがまたいい具合に…。
    謎生物感がステキ。

    • +4
  7. 田んぼや畑にある「なんか目玉が書いてある風船」みたいに慣れちゃったりせんの?

    • +4
  8. i-cowか。やっぱ i があると効果が違うな。
    ヘイ、尻。ちょっと目を書いて!

    • +4
  9. トルコとかで青い邪眼の魔除け とかあるじゃん。
    効果あるんだろな。
    日本だと籠目、農家の軒先に籠とか吊るしてる。

    • +3
  10. 海中でサメに襲われなくなるような模様のウェットスーツなんか出来ると朗報だと思うけど無理なんだろうか?

    • +3
  11. 捕食者を絶滅させるのが確実
    現に日本はそうしてきたし

    • -19
  12. 襲われる順番が変わっただけでは?
    全ての牛に目を書いたら効果なさそう・・・。

    • 評価
    1. ※20
      「なんや、この牧場の群れ全部怖いがな」となったら、
      他の野生動物に行くんじゃないだろうか…?

      ただ、大量の個体がまとまっている牧畜地なんて
      捕食者にとっては格好の生け簀だろうから、
      ※11の言うように いずれ慣れるのかも知れないが。

      • 評価
  13. これと同じような事考えてた
    熊と遭遇した時も背中を見せるなって聞くけど
    ペドロサとか大治郎のヘルメット被ってたら背中見せてもいけるんじゃないかって

    • 評価
  14. 目を描いたお尻を見た別の牛がストレス感じるとかはないのかな

    • +4
    1. >>24
      思った
      なんか落ち着かないだろうなと思う
      日本の街角にも防犯目的の、目元だけのステッカーあるけど、悪いことしてなくても気になってしょうがないもの

      • +1
  15. 興味深いね
    是非飼育員の作業着にもなんかいい感じに目をつけて0事故になるとええね

    • +1
  16. どうせならグループ分けしないで全部目を描いてやってよ!襲われる数が減っただけでも効果はわかるでしょうに

    • -10
    1. ※27
      対照実験といって、襲われなくなった原因が「本当に目玉模様なのか」を知るために行います。

      例えばおっしゃるように全頭に目を描いたとして、その後襲撃される数が減ったとしても、実験者が見落としている別の要因(例えば人間の気配)などが紛れ込む可能性もあります。

      その場合「目玉が効果あった!」として、国をあげてその対策を実行したけどほとんど効果がなかった、予算の無駄遣いになった!などという事態を避けるためにも、目を描かれなかったかわいそうな牛さんの、貴重な犠牲が必要なわけです。

      • +9
  17. 同じ理由で、インド、西ベンガル州のスンダルバンズ国立公園周辺じゃ、人間がトラに襲われないように後頭部にお面つける防護方法が奨励されてたはず。

    • +7
  18. 肉食の目の配置なんだね
    草食の目の配置にしたら結果は変わるのかな

    • 評価
  19. 前に日本でシマウマ模様にすると虫に刺されない話もあったよな。

    • +3
  20. 目玉模様といえば蛾を思い出すけど、
    昆虫は繁殖サイクルが短くて、1匹から一度に多数の子が生まれるから
    無数のトライアンドエラーの結果、
    突飛に思えるけど生存に適した形態が生まれて残るんだろうなぁ

    たしかに、ほ乳類だと進化してこうなるのは難しそう

    • +1
  21. トラと一部のヤマネコの耳の裏が白いのも、同じ効果?
    でも成長したトラの天敵って・・・同じトラくらいでは。

    • +1
    1. ※44
      虎耳状斑(こじじょうはん)であれば子供が親の背後からくっついていくための目印であるとか、同じ種同士のコミュニケーションに役立っているのでは?と言われているみたい
      研究過程なんですかね
      ですのでこの研究と同じ効果もあるのかもしれませんね
      オス同士が無駄な接近や衝突を避ける…とか?
      婚姻アピールのディスプレイや雄にとっての交配の目印(背後からなので)になっていたりもするのだろうか
      原種とイエネコの交配を重ねるごとに消失していくようですね

      • +3
  22. こんなかんじに胴体が頭っぽい虫もいたよね
    蛾だったかハゴロモだったか

    • 評価
  23. 哺乳類は進化の過程で夜行性の時代が長かったから視覚効果狙う模様はあまり複雑なのはないのかなと思った
    ものすごーく時間がたてば出てくるかもね

    • +1
  24. オジロジカはキケンを察知すると尾を上げて、
    裏の白い部分を見せるよね。
    群れの仲間にキケンを知らせるかのように。

    • 評価
  25. うし「あのケツ見ると突進したくなるのでやめてくれ。」

    • 評価

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