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第一次世界大戦後、飛行機の翼の上でのパフォーマンスが流行。「ウィング・ウォーカー」と呼ばれた女性たち(アメリカ)

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飛行中の翼の上でパフォーマンス image credit:messynessychic.com
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 体中のアドレナリンが噴出され、心身ともに極限まで高まる過激なエクストリームスポーツは、常に進歩しワイルドに常識を覆し続けている。

 現在では、ハイラインやボルケーノ・ボーディング、ロックスキーなど非常に多くのスポーツがエクストリームとして定義されているが、その1つがウィング・ウォーキングだ。

 ストラップを装着してはいるものの、空を飛ぶバイプレーン機(複葉機)の翼の上に立って、機体が急上昇や急降下、あるいはスピンを行うのを楽しむというアクティビティはかなりのリスクを伴う。

 しかしこのウィング・ウォーキング、実は100年ほどの歴史を持っており、全盛期は1920年代だった。

 今回は、その時代にウィング・ウォーキングで広く知られた女性6人を紹介しよう。

Gladys Ingle of the 13 BLACK CATS changes planes in mid-air

ウィング・ウォーキングのきっかけは元米軍パイロット男性

 1920年代にアメリカでウィング・ウォーキンが大人気となったのは、ある1人の元軍人男性がきっかけだった。

 オルマー・ロックリアーは、米軍での飛行経験から複葉機の翼の上を歩くスキルをスタントパイロット兼映画俳優として生かした。

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image credit:wikipedia.org

 その後、「バーンストーミング(barnstorming ウィング・ウォーキングの別名)」と呼ばれる新たなショーを生み出し、Locklear Flying Circusを設立して世代を超えたチャレンジャーたちを訓練した。

 1919年の取材では、「私自身は、死が怖いのでウィング・ウォーキングはもうやっていない。しかし、自分の経験をデモンストレーションして他者に教えている。いつの日か、きっと人間はみな空を飛べる日が来るかもしれないと私は思っている。」と語っていたロックリアー。

 自身のスキルをハリウッドで生かし、ウィング・ウォーキングのロマンス要素を引き上げた人物として知られていたが、1920年8月に映画制作中に乗っていた飛行機が油田に衝突し、悲劇的な死を遂げた。28歳だった。

 ロックリアーの死以降、ウィング・ウォーキングは女性たちの間にも広く浸透していった。

1.有名スタントグループで紅一点だったグラディス・イングル

 当時のアメリカでは、女性にまだ投票権がなかった。そんな時代にウィング・ウォーキングは女性に自由と解放感を与え、男性同様に注目されるアクティビティとなった。

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image credit:messynessychic.com

 カリフォルニア州ハリウッド出身の有名スタント部隊“13 Black Cats”は、複葉機上で優れたスタントスキルを披露するメンバーたちで構成されており、その中の紅一点で活躍したのが、グラディス・イングルだった。

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image credit:messynessychic.com

 命知らずのスタント部隊と呼ばれていたメンバーたちと一緒に、イングルは空中で保護具なしで飛行機から飛行機へと飛び移り、スタントウーマンとして活躍。大きなリスクを負う職業であったにも関わらず、82歳の人生を全うした。

2.飛行中の機体上でテニスをしたグラディス・ロイ

 1925年、ロサンゼルス上空を飛行中の複葉機の翼上でアイヴァン・ウンガーとテニスにチャレンジしたグラディス・ロイ。

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image credit:messynessychic.com

 ロイは翼の上でテニスをした世界初、そして唯一の女性と言われている。

 しかし、その2年後の1927年8月15日、ロイはオハイオ州の駐機場で航空機のプロペラが回転しているのを知らずに誤って中へ入り、搬送先の病院で死亡した。

 ちょうどミス・オハイオのビューティーコンテストのための写真撮影をしている最中だったという。死亡した時の年齢が25歳や31歳という説があるが、当時ロイはスタントウーマン兼映画女優として活躍していた。

3.ウエイトレスから華麗なスタントウーマンに転身したリリアン・ボイヤー

 ネブラスカ州の小さな町でウエイトレスをしていたリリアン・ボイヤーは、常に空への憧れを抱いていたという。

 ある日、客の2人に誘われて初の飛行にチャレンジしたボイヤーは、ウィング・ウォーキングの虜になった。

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image credit:messynessychic.com

 彼女は生涯で352のショーを完了。パラシュートジャンプや自動車から飛行機へのジャンプなどを披露した他、片手で翼部分にぶら下がるスタント根性も見せたボイヤーは、1920年代を代表するスタントウーマンとして有名になった。

4.“フライング・ウィッチ”というニックネームで知られたエセル・デア

 ウィング・ウォーキングを広めたオルマー・ロックリアーの女性版として高く評価されたのが、“フライング・ウィッチ(Flying Witch)”というニックネームで知られていたエセル・デアだった。

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image credit:findagrave.com

 デアは、女性で初めて空中で飛行機から飛行機へ飛び移るスタントパフォーマンスを成功させたとして有名だ。

 また、特別なマウスピースを使い、ロープで体を吊り下げ、空中をコマのように回転させるパフォーマンスも見せた。

5.女性として初の整備士免許を取得したフィービー・オムリー

 フィービー・フェアグレイブ・オムリーは、女性として世界初の整備士免許を取得し、女性初の輸送パイロットとして活躍した人物だ。

 彼女もまたウィング・ウォーカーとして翼の上でチャールストン(ダンス)を踊り、高度な地点からパラシュートジャンプに挑む優れたスキルを披露した。

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image credit:messynessychic.com

 オムリーは、連邦政府に任命された初の女性パイロットとしても知られている。

6.世界初のアフリカ系アメリカ人ウィング・ウォーカー、ベシー・コールマン

 1920年代で、最も偉大なスタントウーマンの1人として知られているのが、ベシー・コールマンだ。

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image credit:messynessychic.com

 彼女は、世界最初のアフリカ系アメリカ人ウィング・ウォーカーとしても有名であり、「空中は偏見のない唯一の場所」と印象的な言葉を残している。

現代のエクストリームスポーツとして人気

 ウィング・ウォーキングは時代を経て、今はエクストリームスポーツとして楽しむ人もいるようだ。

 アメリカでは、女性のウィング・ウォーカーたちが運営するAeroSuperBaticも人気があるという。

 一方、所変わってイギリスでこのアクティビティにチャレンジしたのは、ハンプシャー州在住のノーマ・ハワードさんだ。

 2018年、ハワードさんは91歳という高齢でウィング・ウォーキングを体験し、認知症患者を支援するチャリティ団体のための基金を集めた。

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References:messynessychic.comなど / written by Scarlet / edited by parumo

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この記事へのコメント 22件

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  1. 同じパイロットでも大型航空機初の女性パイロットは
    社会から蔑視と暴言でセルフあぼーんの道を選んだ
    当時の航空機パイロットは精神も強くないと生きていけないし
    下手な男よりも根性あると思う

    • +9
  2. ネジは風とともに飛んじまったか?

    I can FLY!!!!!!も真っ青や(笑)

    • 評価
  3. ふと、未来少年コナンのギガントでの戦いは
    凄い事だなぁと思ってしまった。
    ジェット機の翼の上を走って行くんだもんな。

    • +7
    1. ※4
      寧ろ誇張はあれど全く出来ない事じゃないんだなと此の記事見て思った

      • +12
  4. 映画「華麗なるヒコーキ野郎」
    のモデルになってるのかなー
    恐ろしいけどちょっと気持ちよさそう

    • +8
  5. ミンキーモモの「ネコが死んだ作戦」
    の話を思い出した。

    • 評価
  6. 映画にもなった「ライトスタッフ」で、パイロットたちの行きつけのバーの女将さんだった人も、こんな感じで最初期の女性飛行士として伝説的な人物だったそうで

    あと最後のお婆ちゃん格好いい

    • +6
  7. まさに命知らず
    トム・クルーズもビックリ
    あれで91?
    人生に希望が持てるね

    • 評価
  8. アメリカのエアショーで実際に翼の上での演技を見たことあるよ
    パイロットとどういう信頼関係あればこんな演技ができるんだろうと思って見ていたよ。
    飛んでる時は勿論だけど、着陸の際も拍手喝采でしたよ。

    • +6
  9. イモトもやってたよね!今までのイッテQのパフォーマンスの中で確か一番怖かったって言ってたはず。おばあちゃんすごいわ

    • +2
  10. >私自身は、死が怖いのでウィング・ウォーキングはもうやっていない。
    >しかし、自分の経験をデモンストレーションして他者に教えている。

    頭おかしい

    • -1
  11. 男だとぞわひゅんするボールがちょっと邪魔

    • +1
    1. ※14
      女のボールより小さいぶん邪魔の度合いはなんぼかマシやろ

      • 評価
  12. 欧州大戦の陰鬱な戦場から帰還した飛行士たちがそれでも空への憧れを捨てなかったのは女性たちの活躍もあったのだと思う

    • 評価
  13. ソニックのトルネード号の元ネタかな?

    • 評価
  14. こういうのが流行するのって、その時代の人たちの心理的な不安の顕れだって聞いたことがあるよ。

    ゆらゆら揺れるヒコーキの翼の上で落ちたら終わりのことを敢えてやって、それをやり遂げて無事に帰還する人を見ると、見てるだけでも自分も将来不安な人生をなんとかやっていけそうな気持ちになるとかなんとか。

    • +2
  15. 飛行する飛行機の翼の上でラリーが続くテニスボールを地上から見たらどういう動きをしてるんだろう?

    • 評価
  16. われわれの定まるところを知らない血は、果てしない大空になら、フロンティアを見つけられたかもしれなかったのだ。
    しかし、われわれはもう引き返せなくなっていた。
    ジャズ・エイジは続いていた。
    われわれはまた、グラスを上げるのだった。

    スコット・フィッツジェラルド
                    
    ジャズ・エイジのこだま より

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