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女性が男性医師から直接診察が受けられない時代に使用された医療人形とその使い方(中国)

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(著) (編集)

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image by:Wellcome Collection gallery/wikimedia commons
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 20世紀始めまでの数百年間、中国の女性が男性医師から直接診察を受けるのは難しいことだった。

 他の地域の文化の例にもれず、当時の中国人は女性の純潔を非常に重要視していて、女性は夫以外の男性に自分の肌を見せることはできなかったのだ。

 医師のほとんどは男性だったため、診察のために女性患者の服を脱がせたり、その体に触れたりすることはできなかった。つまり、体を見ての病気の診断や治療ができなかったということだ。そこで解決法が編み出された。

 女性をかたどった小さな象牙の人形を使用するのだ。

人形を使って体の悪い場所を指し示す

 医師たちの多くは、裸で横たわる女性をかたどった小さな象牙の人形を、自分のデスクに置くようになった。

 治療を受けようという患者の女性は、医師との間を隔てる竹のスクリーンかカーテンの後ろに座るか立つかする。その仕切りにあけられた小さな窓から手を伸ばし、医師が脈をとる。それから女性は、自分の具合の悪い個所を人形の体を使って指し示す。

 ほとんど言葉を交わすことなく、それだけで医師は診断を下し、ふさわしい治療薬を処方する。そういう治療の仕方だったのだ。

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自らに似せた人形をオーダーメイドする上流階級の女性も

 7世紀から15世紀の間の長きに渡ってよく使われていた医療人形は、腕輪などの装飾品やサンダル以外はなにも身につけていない女性が片手で頭を支えて横向きに横たわり、秘所を隠すかのように、もう片方の手で胸を包み込んでいる姿だ。まれに、スカーフのようなもので腰を覆っているものもある。

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 医師以外に、上流階級の女性たちの多くは自分でこの医療人形を持っていた。彼女たちは自分では医師のところへは行かず、侍女にこの人形を持たせて、具合の悪い箇所を医師に示させた。

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 人形の多くはオーダーメイドされていたようで、それぞれ微妙に体つきが違う。女主人の体型や体格が正確に表わされているためだ。

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 医療人形を使った診療は、15世紀の明の時代に始まったと思われ、20世紀始めの清王朝の終わりまで続いた。

 現代医療の影響をあまり受けていない都会から遠く離れた小さな村々では、割と最近までこの人形を使っていた可能性がある。あるいは今も使用されているケースもあるかもしれない。

 他の様々な人形はウィキメディアのカテゴリー「Chinese ivory Diagnostic Dolls」で見ることができる。

written by konohazuku / edited by parumo

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この記事へのコメント 47件

コメントを書く

  1. 骨董品としての価値はとてもとても高そうだね、なにしろ製作数がないだろう、オーダーメイドだし。
    しかも、みんな纏足してる。

    • +21
    1. >>1
      文化って尊重はしていきたいけど纏足とか女性は肌を見せるなとか自分から見てイかれた文化は嫌いだわ。

      実際、倫理観とか時代背景には全然なくて女性を守るためとかだったとしてもなんか生理的に無理なものがある。

      • +3
      1. ※40
        貴方の気持ちはわかる。
        僕も纏足には吐き気がする。

        生まれがいい女性(≒金持ち)は必ず行ったという背景を書いただけだよ。
        でもそれは過去のことで、これらの価値が下がるものではない。

        別の人は「象牙なんて燃やせ」というかもしれない、実際そうした活動もある。
        越後製菓CMの人は「チーター4匹分(?)の毛皮のコート」を持ってるけど「もう欧米では着られない、愛護団体がアイスとか塗りつけてくる」と言ってた、もう日本でも同じだろう。

        価値観が変わって、前の時代のモノを敬遠するのは当たり前だけど、破壊するのは少し違うと思うんだ。
        欧州などでギリシャ、カトリック、キリスト教、イスラムなどの文化が入れ替わった都市が多くあるけど、吸収したか破壊したかでかなり違いが有る。
        個人的にはそうしたモノを残したいと思うだけ。

        • +6
      2. ※40
        現代だって、外反母趾になっていてもハイヒールを履き続ける人とか、纏足とメンタリティーは大差ない気がする。

        あと、「女性は肌を見せるな」にしたって、西洋文化が浸透する前、明治ぐらいまでの日本では女も肉体労働時は諸肌脱いでたし、つい昭和中期くらいまではバスや公園で胸出して授乳とかも日常で見られ得た光景だった。でも、現代では、家の中でも授乳のために席を立って別の部屋へ移ろうとする嫁へ舅姑が「ここで飲ませればいいじゃない」と言うと、当の女の側から「変態!」「無神経!」「嫁いじめ!」等々の猛反発が出る。そういう“文化”に変わった。これも逆に、例えば数十年して「授乳はいつでも何処でも気楽にするもの」という風潮に変わったりしたら、今の若い女性が老婆になった時「そんなの有り得ない!人前で胸をはだけないとか当然のマナーでしょ!」云々言ってると、「女性を抑圧している、生理的に気持ち悪い考えの持ち主」とか言われるようになるかもよ? それぐらい、“文化的価値観”というのは流動的なもの。

        • +2
        1. ※42
          言わんとしてる事は分かるけど気持ち悪い言い回しだな。
          人前で授乳したくないのを主張するのでさえ「お気持ち表面」扱いされんの?

          • +6
          1. ※46
            ただの仮定に何いってんの
            「ある未知数をXと仮定します」って数学の先生が言ったら
            「Xなんて数字は存在しないから気持ち悪い」って言うの?
            仮定を否定するのは典型的な文系ムーブと言わざるを得ない

            • -8
          2. >>47
            ああはい。お気持ちに寄り添ってあげられなくてごめんなさいね。

            • +3
  2. 胸 お尻 娘フラワー 三点セット共に隠している像がないとは。何かしらは開けっ広げであるのがビックリ。

    • 評価
    1. ※3の娘フラワーってのは、コメントとして反映されてるからOKな言葉なのか
      自分が想像したものではなかった模様

      • 評価
      1. 医師より、人形師にお肌見せてる気がする…。

        ※16
        カラパイア用語。

        • +5
        1. ※21
          ありがとう
          娘フラワーでググったらカラパイア記事がザクザク出てきた

          • 評価
  3. 使い方や使う理由はよく解ったんだけど、「そのポーズじゃないとダメなんか?」という疑問は解消されなかった。

    • +30
    1. ※4
      象牙そのものは勿論、動物を草食に遣ったり生贄にしたりする習慣は別として、人間同士で完結するのなら、それはそれなんだろう、と思う。
      ただし、纏足は、「女性を自由にさせない」とともに、もう一つ男性にとって都合がよい理由を最近知ったので、これだけは嫌悪するわ。

      • 評価
  4. 何で涅槃なん?
    例のポーズ人形でいいと思うんだが

    • +6
  5. 病気の治療に使うのになぜみんなセクシーポーズなんやw

    • +16
    1. ※7
      いうて、日本でも 幕末近くになるまでは
      外科的治療ってあんまり無くて、
      内科的に見立てて薬を処方するのが医者の仕事
      って感じじゃね?

      華岡青洲の乳癌摘出とか、一部にあるにはあったけど。

      • +10
  6. 脈を取るのも直接手首とか首筋に手を当てることができないから、手首のあたりを糸で軽く縛って糸の逆端を医師が持って診る…なんてことをしてたらしい
    再現映像でそんなシーンを見た記憶があるが、これは中国じゃなくて日本(大奥)だったような?

    • +8
    1. ※8
      西遊記にそんなシーンがあったな
      子供向けに絵本としてまとまってる短いやつじゃなくて、数百ページの長編小説の形で翻訳されてるやつじゃないとたぶん載ってない

      • +1
  7. 「人形でお医者さんごっこ」する文化は
    現代にも受け継がれているな。
    「男性向けお医者さんごっこ人形」は
    等身大のモノも存在する。

    • -3
  8. 中央にあるのは インス・タン・・ト・・・麺?

    • +1
  9. IDみたいなのと一緒に写ってるのは纏足をしてる女性を象ってるのかな?

    • 評価
  10. マネキンミイイイ(身体操作するためのひな型人形「老いた大地の底で」)のご先祖か

    • 評価
  11. 大の字とか仁王立ちのほうが実用的だと思うんだが、やはり文化的にNGなのか

    • +8
  12. 確か、人形じゃないし女性じゃないけど日本にも似たようなやり方をしてたのがあったはず。お殿様だったか天皇だったかの病状を見る時に、直接触れられないから紐みたいな物を使って間接的に診たって話を何かで読んだ覚えがある。
    その何かがさっぱり思い出せないけどw

    • +1
  13. 本文の「サンダル」って何かと思ったら纏足のセットのことかな? 結婚した(漢民族の)女性の纏足は基本、夫以外ほどけないみたいな感じだよね…ベッドで
    象牙とかでオーダーメイドできる身分なんだし、そりゃ纏足してるよね…

    • +5
  14. 案外女性の人権尊重の行く末がこの医療人形だったりしてね。
    「男性に素肌を見せるのは女性の権利を侵害してる」みたいな論調でさ。

    • -13
    1. >>23
      確かに私も意味有るの?って思います。

      • 評価
  15. 医者が、まったく信用されてなくて笑える w
    男はオオカミというのが基本認識だったんだろうな。

    • -1
  16. 人形はユニークだけど
    これで満足な治療を受けられなかったのだとしたら、やるせない

    • +5
  17. 旦那以外に素肌を見せないってのは理解できるにしても、医者は除くって付加ルールはなんでなかったんだろね。

    • +6
  18. 医師が人体模型みたいに持ってるんじゃなくてご婦人所有のオーダーメイドかぁ
    庶民が医者にかかれない事をも物語ってるなぁ

    • +5
  19. 黒沢年男(ハングマン)の名曲の歌詞に出てくる女性
    もおったのね。

    • 評価
  20. 人形も纏足したみたいに足が小さく作られてるね

    • +2
  21. 肉置きのやわらかさまで表現された技量の高いやつあるな。
    作ったのは名のある芸術家だったりしたのかな。

    • +5
  22. 日本でも将軍の母の診察をするのに御簾越しに手脈を診ることしか許されなかったから「これでは診断できない」と言って罷免された医師がいた

    • +2
  23. 裸を見せられない女性の代わりに使うという使用法にしては妙にセクシーね

    • +7
  24. 普段、着物から出てる部分なら人形を使う必要もないわけで(顔とか手とか)
    胸や腹、尻、性器などに異常があるときこそ人形の出番で
    そうした患部を指し示しやすいように人形も尻などが見えてる姿勢なのだろうかね
    それにしてもこれで診断して治療法を決めるの難易度高過ぎ~

    • +6
    1. >>37
      たから有り得ないような漢方薬の出番だったんでしょうね。

      • 評価
  25. 日本でも確か女性は直接診察を受けてなかったような
    どうやって治せっちゅーんじゃ

    • +1
  26. 韓国でも「女性は男の医師の診察を受けられない」というルールがあった
    日本はどうだったんだろうな

    • 評価

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