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リビングルームのど真ん中に墓がある家。そこには、故人の悲しい物語があった(ベトナム)

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(著) (編集)

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 ベトナムのベンチェ省にある小さな村の中に、一軒の大きな屋敷が建っている。外から見ると普通の邸宅のようだが、一旦正面玄関に足を踏み入れると、リビングルームに巨大な大理石の墓がある。

 この家はTomb Villa(墓の別荘)と呼ばれ、訪問者が絶えず訪れるという。

 故人の埋葬には厳しい法律が敷かれてあるベトナムで、なぜ、家の中に墓があるのか?この風変わりな邸宅の背景には、悲しい物語があった。

異国で成功を収めた女性の心には、いつも故郷の家族の存在があった

 ベンチェ省タン・タック区にあるTomb Villa(墓の別荘)と呼ばれている一軒の邸宅は、地元の女性ダン・チ・ナンさんが1960年1月28日に産んだ、リエンさんという娘が建てたものだ。

 貧しい家庭で育ったリエンさんは、18歳の時に漁船の所有者と恋に落ち、3年後に“チャンスの国”アメリカへ移住。異国の地でネイリストになり、後に始めたインテリアデザインのビジネスが成功して、故郷の実家に仕送りができるほど豊かな生活を送れるまでになった。

 2000年初め、故郷を訪問したリエンさんは、母親ナンさんと3人の兄弟に、最終的には母国へ戻ってくる予定であることを伝えた。

 そして、再び家族一緒に暮らせるようにと、自分が育った古い小屋ではなく大きな邸宅を建てることを提案し、その建築費用を出すことを申し出た。

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2006年に屋敷が完成するもリエンさんは病を患う

 当時のタン・タック区では、唯一の「家」と呼べる大きな屋敷が2006年に完成した。しかし残念ながら、リエンさんは自分が建てた立派な家で、ほんの数か月間しか住むことができなかった。

 リエンさんは2007年にアメリカから帰国後まもなくしてがんを患い、地元の医師に治療を求めるも、容態が悪化。結局、アメリカで治療を受けるために再び故郷を離れることになったのだ。

 生きてベトナムには戻って来られないことを悟ったリエンさんは、「この家でじゅうぶん暮らすことができなかった。私が死んだらこの家の中に埋めてほしい」と母親に思いを伝え、再び渡米した。

娘の遺志を引き継いだ家族、墓を家の中に造る

 リエンさんは2007年5月10日に帰らぬ人となった。家族は、リエンさんの遺体をベトナムへ持ち帰り、リエンさんの遺言通り家の中にリエンさんの墓を作る決心をした。

 業者に頼んでリビングの大理石の床に穴を掘り、リエンさんの墓を置いた。墓前には、リエンさんの写真を飾り、ろうそくや香を立て仏壇を作った。

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 リエンさんの葬儀には、当局を含むタン・タック区のほとんどの住民が参加したそうだ。

 ベトナムの法律では、埋葬は墓地もしくは教会や寺院の聖地のみとなっている。それにも関わらず、家の中に墓を作って故人を埋葬するというリエンさん一家の違法行為に反対の声はほとんどあがらなかった。

 その理由は、恐らく苦労して異国の地で成功したリエンさんの再び故郷で家族一緒に暮らしたいという悲願が叶えられなかったことに対する、住民たちの大きな理解があったからだろうと言われている。

伝説となった邸宅で多くの訪問者を受け入れる家族

 現在、この家にはリエンさんの弟家族が住んでいる。リビングの真ん中に墓のある邸宅のニュースはベンチェ省で大きく報じられ、この屋敷で起こる原因不明の現象や幽霊の噂も流れ、多くの人がこの家を幽霊屋敷と呼んだ。

 しかし、リエンさんの家族はリエンさんが亡くなってから12年間この家に住み続けているが、何も変わったことはないと主張する。リエンさんの弟は、

リビングに墓がある別荘の伝説を確かめたいとやってくる訪問者らを除いては、この家での生活はいたって普通です。それに、私の最大の喜びはいつも亡き姉の側にいられることです。

と地元メディアの取材で話しており、母親ナンさんもまた、この家を訪れる人々に娘の物語を伝え聞かせているという。

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この家は、娘が建ててくれたものだとみんなに話すことが、娘の思いを受け継ぐにふさわしいことだと思っていますから。

 家族と再び一緒に暮らせることを強く願っていたリエンさん。その思い通り、彼女は今も自分が建てた家の中で、家族に囲まれながら永遠の眠りについている。

written by Scarlet / edited by parumo

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この記事へのコメント 25件

コメントを書く

  1. お金持ちのかわった趣味を無理ぐり美談にしてないかい?

    • -30
    1. >>1
      言いたいことは分かるけど日本人の価値観で考えてもしょうがないしね

      • +7
  2. わがままで法律を曲げちゃ遺憾な

    法律は例外を認めちゃあ遺憾な

    • -25
    1. ※2
      法律はけして超法規的措置を認めないわけでは無い
      むしろ柔軟に運用できないなら害悪まである

      • +3
    1. >>3
      基本、土葬だよ。
      地域差あるかもしれないけど、埋葬後何年かしたら、遺体を取り出して、キレイに洗ってまた埋葬する「洗骨」という儀式もある。
      …この家の人もやったのかな…

      • +5
      1. ※6
        教会に住んでると思えばまあ墓があってもいいのかな

        • +8
    2. ※3
      ここまでしっかり棺があるとなると、土葬な気がする。
      今のエンバーミングはすごいから、腐らず形あるまま、安らかに眠ってるだろうね。

      • 評価
  3. 俺も親が生まれてからボロ小屋でまともな家に住んだこともなく
    仕事で稼げるようになり注文住宅で新築に住ませることに成功
    親も祖母も初めての新築に無茶苦茶喜んでたけど、数年後親も
    祖母もある難病であぼーん
    この人の気持ちよくわかるぜ

    • +30
    1. ※4
      親も祖母もとても嬉しかったと思うよ
      人生の最期にいい家に住めるなんて、しかも息子孫が建てた家に住めるなんて
      こんな幸せはないんじゃないかな

      • +33
  4. 宗教に拠るんだろうけど仏壇の様な物は無いのか

    • +2
    1. ※5
      故人を祀るための祭壇(仏壇・位牌)は儒教由来
      仏教だとお仏様(≠故人)じゃないか?

      • +1
    2. >>5
      日本人的な感覚でいうとどうしても死は穢れと捉えてしまうから、日常からは離しておきたい、一線を引きたいと感じてしまいがち
      その価値観をベトナムの人に押し付けるのは間違っている
      ただベトナムの人々が死と死者をどう位置付けているかは気になるな

      • +11
  5. マザーテレサとかの墓もこんななんだよな

    • +3
  6. この家に泥棒が入っても撃退してくれそうだね。

    • +1
  7. そら、無念だろうなあ。
    とはいえ、このままじゃ家族もこの家に縛られちゃうことになるから、ほどほどのところで改葬しておいたほうがいいな。
    結局のところ、墓なんてのは生きてる人間の側の時事都合でしかないからドライと言われようが合理的に扱うべきなんで、それで恨まれたりはせんよ。

    • 評価
  8. 弟夫婦いいな、何の苦労もしないで豪邸に住めるんだからw

    • -2
  9. もし本当にリエンさんの幽霊が出るのなら、興味本位にやってくる連中に怒ってるからだろうさ。

    • +1
  10. むしろ家と本人を丁寧に扱えば守ってくれそうだから悪くないかもしれん

    • +3
  11. 故人の願いと受け入れた家族を外野が面白おかしく言うのはどうかねえ
    むしろそんな害悪な連中こそ亡霊の産みの親だろうにねえ

    • +3
  12. 羨ましいなあ。母が亡くなった時、火葬したくなかった。納骨したくなかった。三年経って納骨したけど、遠くへ行ってしまった、ってやっぱり寂しくて仕方がない。
    でも母にしたら、早く父と一緒の場所に行きたかったかもしれない。最後まで親不孝でごめんよ母ちゃん。

    • +1

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