
Stefan Keller / Pixabay
テレパシーのようなコミュニケーションがまた一歩実現に近づいた。今回の実験では、脳に装着するインターフェースを利用し、頭で考えるだけで、3人で協力しながらテトリスのような落ち物パズルゲームに挑んでもらった。これは、米ワシントン大学の研究者が開発した、脳-脳インターフェースを利用したもので、3人が同時に参加し、それぞれが脳だけを使って情報を送受信できるという点が目新しいものだ。
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テトリスの基本ルール
念のため、テトリスのルールを説明しておこう。画面の一番上からテトリミノという正方形を組み合わせたブロックが落ちてくる。これを横に移動させたり、回転させたりしながら、隙間ができないように積み上げる。すると、隙間なく埋まったラインが消えて、ポイントになる。
単純な作業なのになぜだかヤメられないとまらない、言わずと知れた落ち物パズルの傑作で、ハマった人はたくさんいるだろう。

Ulrich Wechselberger / Pixabay
思考だけで行う脳内テトリス
研究者は、その操作を脳だけでできるようにした。ただ、少し違うのは、今回の脳テトリスの場合、受信者1人と送信者2人の計3人が同時にプレイすることだ。下の画像でわかるよに、送信者と受信者に見えている画面は違い(左が受信者、右が送信者に見えている画面)、協力しなければクリアすることができない。

image credit:Scientific Reports
ゲームがスタートすると(画像上段)、受信者は赤いテトリミノしか見えないが、送信者には緑のブロックも表示されている。赤いテトリミノがある程度落下すると(中段)、受信者にはそのままではラインを形成できず、送信者のヒントを聞くようメッセージが表示される。そこで各送信者は、テトリミノを回転させるべきかどうか、脳を経由してヒントを送信。
受信者はそれに従ってテトリミノを脳による操作で回転させる。成功すれば、無事ラインが消えるという流れだ(下段)。
これを、5グループに16回プレイしてもらった。
LEDライトを見つめてヒントを送信
なお画面の左右には「イエス」と「ノー」が表示されていた。それぞれの下にはLEDライトが設置されており、イエスのライトは毎秒17回、ノーのライトは毎秒15回点滅している。送信者がヒントを送るときは、どちらかのライトに集中すればいい。回転させたいならイエスのライトを、させないならノーのライトを見つめるのだ。
ライトを見つめたとき、脳には点滅の違いに応じて固有の脳波パターンが生じる。これを脳波記録キャップでキャッチして、コンピューターでリアルタイムに解析。そのデータがネット経由で受信者に送信される。
受信者の後頭部には先端が小さなラケットのようになったケーブルが装着されており、そこに内蔵されたコイルが、脳内の視覚情報を処理する領域を刺激する。

image credit:Mark Stone/University of Washington
すると受信者の視界には明るい光がパッとひらめく。これが見えたら「イエス」――テトリミノを回転させろの合図だ。もし、何も見えなければ「ノー」――回転させる必要はないという合図だ。また受信者の操作は、同じようにして送信者にフィードバックされるようになっていたので、送信者がその操作が間違っていることに気がつけば、再度指示を出すことができた。

image credit:Mark Stone/University of Washington
この手順によって脳テトリスを16回プレイしてもらうと、どのグループも平均81パーセントの割合でラインを消すことができた。
受信者は偽情報に気がつくか?
ちなみに送信者のうち片方は、わざと情報送信にミスが出るよう設定されていた。16回中10回は、その送信者が出したものと逆のヒントが受信者に表示されてしまうのだ。これは受信者が信頼できるパートナーからだけのヒントを受けるようになるか確かめるためのものだ。
そしてもちろん、脳テトリスを繰り返すうちに、受信者はきちんとヒントをくれる送信者の合図のみを信頼するようになっていった。

image credit:Mark Stone/University of Washington
思考を結合して難問を解決
今回の実験によって、脳-脳インターフェースは3人以上のプレーヤーが同時に接続してもきちんと機能することが確認された。「3人寄れば文殊の知恵」とことわざにあるように、未来の世界では1人だけでは解決できない難問を、何人かの思考を結合させて解決するなんてことができるようになるのかもしれない。
ここにバーチャルリアリティの技術を組み合わせたりすれば、そこはもう完全に攻殻機動隊の世界だ。
あと、自分としては、協力ばかりじゃなく、対戦プレイとかも実験してみてほしいかも。戦争も脳内だけで済ますことができれば、世界は平和に一歩近づくんじゃないかと思ったり思わなかったり。でも脳内ハックとかされるとちょっとやっかいかな。
この研究は『Scientific Reports』(4月16日付)に掲載された。
References:How you and your friends can play a video game together using only your minds | UW News/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
脳から直接テレパシーないし電脳的な信号でメッセージを送るのではなく、脳波の変化を読み取ってon、offさせるだけか。
なるほど簡略化したデバイス実験ですな。ボタン押すのとあまり変わらない気が…
2. 匿名処理班
(近い将来テレパシーでファミチキ買える時代が来るのかも知れない)
3. 匿名処理班
頭の中でテトリスのBGMが鳴り止まないのはこのせいか !
テーテレテーテレテーテレテーレテーレレテーテーテッテッテー
4. 匿名処理班
しかも脳波コントロールできる!
5. 匿名処理班
ロシア語で考えるんだ
6. 匿名処理班
パシフィックリムの共同操作みたいで面白いね
7. 匿名処理班
テレパシーというよりはインターフェイスの実験では
8. 匿名処理班
テトリスだんだんスピードアップするのかな? ニブイ私はキレて止めますが。でもテトリス好きです。最初だけ!
9. 匿名処理班
ゲームに応用できることは多そうだな
中々夢が広がる話だ
10. 匿名処理班
>テレパシーでゲームプレイ
本文にはそんなことは全く書いていない
11. 匿名処理班
(ファミチキください)
12. 匿名処理班
尚、「あっハイ」は直接言わないとあかん模様。
13. 匿名処理班
私のゴーストが笹焼くの
14. 匿名処理班
マインドシーカーか
15. 匿名処理班
※1
うん、「Yesと思った時の脳波」と
「Noと思った時の脳波」の違いを検知して
それを受信者に電送するならまだしも、
YesかNoかで左右いずれかのランプを注視するという
物理的な動きをさせておいて、検知しているのはあくまで
「17回/秒の点滅を視認した時の脳波」と
「15回/秒の点滅を視認した時の脳波」だもんな…。
例えば、「Yesと思ったらカイロを、
Noと思ったら氷を触る」という指示を送信者にしておき、
「温かさを感じた脳波」と「冷たさを感じた脳波」を検知して
受信者へ伝達する、みたいな設定でも同じ事だもんな。
16. 匿名処理班
早くフルダイブVRこい。
17. 匿名処理班
「(こいつ・・・直接脳内に・・・)」みたいなのははるか先だな
18. 匿名処理班
(おいやめろ、常にエロい事しか考えてないのバレるだろうが)