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人間の脳をクラウドに接続する日は限りなく近づいている(米研究)

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(著) (編集)

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cosmin4000/iStock
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今、私たちは人体とハイテクを融合する瞬間の瀬戸際にいる。思考と知識をリアルタイムでクラウドに直結する――。

 専門家によれば、そんなターニングポイントがもう数十年もすればやってくるのだそうだ。

ナノロボット工学とヒト脳-クラウド・インターフェース

 ロバート・フレータス・ジュニア氏(米分子製造研究所)らによる新しい研究論文では、「ヒト脳-クラウド・インターフェース」について考察し、それを実現するための基礎技術や障害について論じている。

 核となる技術は、ナノロボット工学の分野で登場する可能性が高いという。

 ナノロボットとは、髪の毛の太さよりも小さな超小型マシンで、将来的にあらゆる領域で人や地球のために利用されるようになると期待されている。

 だが、それはヒト脳-クラウド・インターフェースの実現にも重要なものを提供する――ニューラルナノロボット工学だ。

 フレータス氏はこれについて次のように説明する。

こうしたデバイスは人体の血管の中を移動し、血液脳関門(不要な物質が脳に侵入することを防ぐ機構)をくぐりつつ、その中やときには脳細胞の中で所定の位置につきます。それから、クラウド上にあるスーパーコンピューターネットワークとコード化された情報を無線で送受信し、リアルタイムで脳の状態やデータをやりとりするのです。

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GuidoVrola/iStock

ヒト脳-クラウド・インターフェースはゴールの半分まできている

 SF映画そのままの技術だが、じつはある意味では、私たちはすでにゴールまで半分の地点まで辿り着いている。

 ネットが登場したのは、ほんの数十年前のことでしかないことを思い出してほしい。

 その登場以来、技術は急激に発達して、今私たちは目が覚めている間のかなりの時間を、この結合された情報ハブを操作して過ごすようになっている。

 善きにつけ悪しきにつけ、その軌跡の先にヒト脳-クラウド・インターフェースが存在する。まだ、そこに辿り着いていないとしても、あと少しのところまで迫っているのだ。

 昨年、「ブレインネット」という脳接続技術が発表された。これはクラウドを経由して、3人が考えを共有したり、思考だけでゲームをプレイしたりできる技術だ。

・脳で会話する時代がやってくるのか?3人の脳を接続し、思考を共有させることに成功(米研究) : カラパイア

 基本的な仕組みは、「送信者」の脳内の電気信号を記録し、それを「受信者」の脳に磁気刺激という形で伝えるというものだ。

 こうした一里塚は、驚異の先端技術でありながら、ある意味、原始的である。将来的に実現するだろうヒト脳-クラウド・インターフェースによる、いわば赤ちゃんのハイハイのようなものだからだ。

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cosmin4000/iStock

それはユートピアかディストピアか?

 神経科学者のヌーニョ・マーティンズ氏(米ローレンス・バークレー国立研究所)によると、こうした脳接続技術は、いつの日か民主主義に革命を起こし、異なる文化圏で生きる人たちを結びつける可能性を秘めている。

 そうしたハイテクによる理想郷が実現する具体的な時期について、専門家も確かなことはわからない。しかし今回の論文は、おそらく「今後数十年」であると予測している。

 この予測が的中するかどうかは、想定された通りに技術が発展進歩するかどうかにかかっている。

 そして、そのための最大のハードルは、ニューラルナノロボットをヒトの脳組織に安全に組み込む方法であるようだ。

 これらのロボットはボトルネック効果を生じさせることなく、膨大な情報量をクラウドとやりとりできねばならない。

 それにはグローバルなデータ送信を行うための通信能力を実現し、脳に組み込まれた極小デバイスを経由して神経細胞とデータ交換を行う方法も考案せねばならない。

 確かに難題だ。だがそれでも、その日はこれまでにないくらい近づいてきている――興奮と、同時に恐怖を感じる未来だ。

 この研究は『Frontiers in Neuroscience』に掲載された。

References:eurekalert/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 64件

コメントを書く

  1. ナノマシンを介するあたりでナデシコ思い出した

    • +1
  2. 記憶をクラウド化できれば犯罪抑止や備忘録としての活用も夢ではない気はする。技術としては画期的だが情報セキュリティの問題は相当な対策が必要になりそう。

    • +2
  3. クラウド経由でヤバイ人の脳とコネクトしたら
    影響を受けてこっちもヤバイ人になっちゃうのか?
    男女の違いとか言葉を超えた本当の相互理解の時が来るのか…
    「オレの気持ちがわかるのかよ!」「私の痛みがわかるの?」→脳をつなぐ
    ホントにできちゃう技術があればホントにやらなきゃならなくなる
    わかるわかると適当に聞き流せる現代のほうが良いな!

    • +10
  4. スーパーネガティブな人とスーパーポジティブな人の脳のデータ繋げてみるとおもしろそー
    便移植みたいになるのかな

    • +3
  5. のーみそレンタルで報酬が貰えるとしたら1時間あたりいくらだろうなぁ

    • +1
    1. ※10
      お互い様風味でいくなら、 10 人分の脳を一時間借りたら、自分の脳を 10 時間貸すに相当でしょうかね。
      金銭でいくなら、一時間ほど脳を貸すのに 5000 円という相場なら、二時間 5 人分かりたら、五万円でいかがでしょう。
      あ、高性能な脳とか、高機能な脳とかによってお値段違ったり?

      • -1
  6. >こうした脳接続技術は、いつの日か民主主義に革命を起こし、異なる文化圏で生きる人た>ちを結びつける可能性を秘めている。

    多分、起こらないと思う。
    これらの技術は脳に障害を持った人の為の補助機能位に使われる程度だと思う。
    脳接続とか意識の脳レベルでの共有とか、人間の精神はそれに耐えられるように出来てるとは思えない。

    • +8
  7. いつの日か研修も教育も必要無くなる話かな?
    繰り返し同じデータをダウンロードして記憶を堅固に留めて
    足りない物は即席でダウンロード自分のIDにプライベートな記憶を留めるとしてAV男優の記憶をダウンロードしてから彼女を女優の名前を読んでしまう

    そんな下らない事がその内実現されるのだな

    • -5
  8. 知識データを自由に脳内にダウンロード出来る、かつてのび太君の夢見た勉強しなくても頭が良くなる機械の実現に近づきましたか?

    • +1
  9. ARとかVRのような器具を、意識しなくても良くなるのは大きいメリットかな?入力機器も要らないし。
    脳にナノマシン注入系は攻殻機動隊系だね。
    ヘッドセット系ですむならソードアートオンライン。
    首にニューロリンカーつけるだけのアクセルワールドまでなったら更に気軽なんだけど。

    • +1
  10. 犯罪抑制のために使われるだけでも
    もうディストピアな世界にしか見えない

    • +11
    1. ※17
      平成があと二週間で終わる現代の倫理観がそのまま適用されるなら
      脳が想像したことでセクハラや痴漢の罪が成立しちゃうよね
      でっち上げの痴漢冤罪はなくせるから悪いことばかりでもないか

      • -4
  11. 記憶のコピーや外部の他人への接続で
    記憶の共有とかも出来るようになるのかな?
    俺の脳の記憶なら2テラもあれば余裕でコピー可能だろう
    いかがわしい画像が大半を占めてるだけだしな

    • 評価
  12.  まあ無知のド素人なんだけど、体内にナノロボットを入れる場合ナノロボットを動かす動力ってどうするんだろう?あと脳内にナノロボットなんか入れた場合、電磁波を浴びた場合どうなるんだ?病気になってCTやMRIが使えなくなるんじゃないの?電子レンジはもちろん携帯電話もアウトとか笑えないと思うんだが???

    • +4
    1. >>20
      磁石を持ったら指先にナノロボットが集まってきて痛くなりそう

      • +2
  13. ワクワクより怖さの方が上回るかなぁ
    現状でもあんまりクラウドに頼りたくない
    と言うか個人情報極力ネット上に上げたくないなって思ってるし

    • +10
  14. 困った

    例えば、将棋・囲碁 など 頭使う文化が 衰退するかも

    学校も いらなく なるのかな?

    • 評価
  15. こういうの嫌だなーと思ったら、遅れてるとか「人間選別に落ちる」とか言われるんだろうな

    • +6
  16. そんなこと研究する前に

    認知症とか健忘症とか病気の研究しろよ

    それすら治せない技術力なら不可能だよ

    • -13
    1. ※28
      医療っていうアプローチから全くかけ離れた技術だけど、この技術が現実化したら健忘症も認知症も、それどころかもはやあらゆる疾病は過去のものとなるよ。
      なにせ「おかしくなった肉体はさっさと捨てて新しい肉体に切り替える」ことができるようになるんだから。

      • +7
    2. ※28
      技術系の話題になると出てくる、「その前にあっちを何とかしてくれ」論。

      イチ組織が多くの分野を網羅できるとでも?
      ある事象に特化して掘り下げ、あるタイミングで新しい知見が得られたからといって、他分野のチームが何もしてないわけないでしょうが。

      異分野の発見からの影響で、停滞していた研究に突破口が開かれるなんてことも、時にはあるでしょうに。

      • +6
  17. せっかく口を閉ざして生きてるんだから余計なことしないで!

    • +8
  18. いずれは”個人”や”個性”という概念が人間には無くなるんじゃないかな
    というか美人とかいう外見すら評価基準にならない時代になる
    一部の選ばれた支配者以外は働きアリとして必要数を繁殖・労働するだけの存在になりそう

    • +3
    1. ※32
      外見の美しさなどは生殖にとって有利かどうかを本能的に見分けていると言われているから、記憶や思考だけが共有されても個人差(好みのタイプというやつ)は無くならないと思う。

      • +1
      1. ※50
        外見の美醜なんてすでに整形で偽装できる世界だけどどうなんだろう
        だいたい違和感を覚えるけど

        • 評価
  19. 人格の混濁が起こるところまでがセットだな。

    • +4
  20. そのうち人類の記憶が一つに集約された超生命体が誕生するだろう。あらゆる問題を解決し人智を超えた存在になった時、自らの過去を懐かしんだ其れは自分に似た2人の不完全な模倣体を作り、それは神に近い存在となる。

    という妄想が浮かんだ。

    • +2
  21. 「邪悪な者が、語り掛けてくるようになったのです。」

    • +7
  22. 全く想像がつかない、未知の世界。
    決して見渡すことのできない暗闇でもあり、
    まばゆく目を細めるばかりの光明でもある。

    • +3
  23. 早く弱く脆い人の身体と弱く脆く愚かな人の脳とおさらばしてAIと融合したい

    • +2
  24. もうプライバシーの最後の砦とされる脳まで見られちゃうんなら裸どころの騒ぎじゃないわな
    言わぬが花とか沈黙は金みたいなのが完全に粉砕された世界だわ

    • +3
  25. iCioudのパスワードを入力してください
    とか視界に出るんでしょう?嫌すぎる

    • -1
  26. 宇宙船レッドドワーフ号で他人に恋愛の記憶をプレゼントとかあったけど、あれが現実になるのか

    • 評価
  27. 人類補完計画かよ!
    って思ったけど、多くの人はある程度のプライバシーは守りたいだろうから完全融合はないと思うな。

    それよりもカーツワイルの本にもあったけど、脳神経細胞に直接アクセスするナノロボット技術は(AIとの連携で)フルダイブ型VRに繋がるのが大きい。
    フルダイブ型VRが実現すれば好きな世界を現実と変わらない感覚として体験できるようになる。これはいわば手軽に行ける自分好みの異世界(異世界と言っても勿論ファンタジー世界だけではない)が出現するようなもの。

    • 評価
  28. ただでさえ、今cloudが使いこなせない機械オンチな人や年寄りがやろうとしたらどうなるんだろう?
    頭の中がこんがらっちゃって記憶とかダメになる…かなぁ?
    まぁ、そんなSFストーリーあっても面白そう←

    • 評価
  29. 宇宙ステーションや火星など離れたところにある
    アンドロイドにアクセスして自分の身体のように
    動かして作業する日が来るのかもしれない

    • +1
    1. >>47
      映画アバターみたいな事が出来るようになるのか。機械なら生身の人間が生きられない環境でも活動出来るしいろいろと楽しみだな

      • 評価
  30. この手の話は良く聞くけど
    これ脳の言語プロトコルが
    解析判明してなきゃ
    意味無いんじゃない?

    • 評価
  31. >40

    同時に 多数の人の記憶が 書きかえられて と いうことも 可能な未来の技術 でも あると 思います

    • +2
  32. ウィルスみたいに、トラウマ級の記憶データや自律神経おかしくする信号を送り込まれたり、無意識のうちに記憶とか思想とかも改ざんされたりしそうで怖いわ

    • +3
  33. 今時期はある家で、その家の娘さんが母親に、「おじいちゃんはお墓と仏壇どっちにいるの?」とかいう質問をして、母親が、 「仏壇はタブレット、墓はデスクトップ、おじいちゃんはクラウドに保存されている。今からデスクトップをアップデートしに行く」とかいう返事が返ってきたりするので、高齢者もあんまり抵抗なく「クラウドで意識を一つにする」とかいう話を受け入れたりするのではないかと思ったりする。

    つまり、「あの世=クラウド」という認識でよいのではないかと。

    これを「機械的」にやってしまおうということではないかという話。

    • +1
  34. こういうのにあらかじめ記憶と思考回路をバックアップしとけば事故とか病気で肉体が死んでも安心だな。人間若くてもいつ死ぬかわからんからな。
    問題はバックアップした記憶をしまう新しい脳に体をどうやって調達するか。

    • +2
  35. 新しい思考言語?が創造されそうな。

    • 評価
  36. そのうちAIに管理されて有能な知能者は処理能力に使われ
    低能は単純労働作業をロボットに指示されながら働くのかな・・・

    • -2
  37. 自分とは全く違う人生や思考を持つ記憶が同居するんだから頭おかしくなっちゃうよ。
    今だってネットではいろんな人がいるけど、繋がりたい人同士が繋がるだけで離れたい人は離れるだけ。
    お互いに「繋がってもいい」という了解がないと繋がれないなら結局今と同じ。

    • 評価
  38. 人の脳を連結してサーバー代わりに使える様になれば、暇な時間に仕事ができる様になるのかな?。

    • 評価
  39. 死にそうな人が全部そっち行ったとして、クラウドのリソースは有限なわけで、
    結局金がないと実行時間つまり生きてる時間を買えないという世界になりそうやね。
    金がなくなって、ストレージに払う金も尽きたら、脳イメージ消去で死亡…

    • 評価
  40. まだ「数十年」、かかるか……。待ちわびている。
    凡人にも協力できることはないのだろうか。

    • +1
  41. 「限りなく近づく」……と言いつつ、「数十年」とあるが、
    実際、あと何年ぐらい、かかるのか?

    数十年では、まだまだ遠い。

    • +1
  42. アムロとシャア、カミーユという超共感能力人を見ると、絶対失敗すると確信できる。精神崩壊してしまう。

    • 評価

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