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兵士たちの頭蓋骨が埋め込まれた不気味な石造りの塔。セルビアにある「チェレ・クラ」

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Creative Commons/wikimedia
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 セルビア南部のニシュ市にある「チェレ・クラ」は世界でもまれなモニュメントの一つだ。

 この建物は200年ほど前に作られた石造りの塔で、オスマン帝国との戦いに敗れたセルビア兵の頭部が埋め込まれている。

 反逆者への見せしめにと、帝国の残虐な司令官が作らせた不気味な塔。これに使用された頭部は952個にのぼる。

 その痕跡が今もなお、世界中の観光客にただならぬ恐怖を伝えている。

Ćele kula u Nišu (Wall made of human skulls in Niš, Serbia)

ニシュ解放の戦いで自決したセルビア兵

 頭蓋骨の塔、チェレ・クラは、第一次セルビア蜂起(1804-1813)の頃、鎮圧に向かったオスマン帝国軍が見せしめのために作ったものだ。

 400年以上にわたりオスマン帝国に支配されていたセルビア人は、1809年に拠点都市ニシュを取り戻すべく帝国軍と激しい戦いを繰り広げた。

 その最中にニシュから6kmの塹壕に潜んでいたセルビアの司令官スティーブン・シンデリックが、自軍の火薬樽を爆破。急接近した帝国部隊を巻き添えにする集団自決を行った。

 それは捕虜となって受けるであろう拷問から仲間と自身を救うためだった。

帝国による残忍な見せしめ

 これに激高した帝国軍のフルシド・パシャ司令官は、セルビア軍を打ち負かしニシュ解放を阻んだだけでは満足できず、残忍な見せしめを計画した。

 フルシドは、遺体となった反逆者シンデリックと彼の兵全員の首を切り、頭部をニシュまで運ばせると、現地の毛皮職人を招集して脅迫し、皮を剥いで詰め物を施すよう命じた。

 わらの詰め物をされ剥製になった頭部をコンスタンチノープル(現トルコ・イスタンブール)に送り付けたフルシドは、震え上がった配下のトルコ人たちに身の毛もよだつ塔の建設を命じた。

 その計画は四角柱の形をした塔の四方の壁それぞれに、皮を剥がれたセルビア兵の頭を17個×14列埋めるというものだった。

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public domain/ Wikimedia Commons

952個の頭を埋めた塔

 以後、帝国軍に殺されたセルビア人の頭が次々と加工されて埋め込まれ、952個のさらし首が整然と並ぶ異様な塔が出来上がった。

 フルシドはこの塔の建設にかなり執着していたらしく、途中で頭が足らなくなるとセルビア人捕虜の殺害を命じた。

 塔のために無慈悲に殺された捕虜30人の頭は皮を剥がれることなく空いている壁に埋められた。

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public domain/wikimedia commons

独立の歴史と戦争の野蛮さを伝える塔

 死人の頭を並べたおぞましい塔は高さ4.6メートルもあり、反抗したセルビア人への明確な警告になった。

 だがセルビア軍は戦意を鼓舞して戦いを繰り返し、1878年にオスマン帝国からの独立を果たした。

 その間にも塔は少しずつ崩れ始め、いくつかの頭が転がり落ちたが、1892年にセルビア軍の戦没慰霊碑として周囲に礼拝堂が建てられ、戦争の野蛮さを伝える象徴にもなった。

Ćele Kula, Niš – Aleksandra Stanojević i Kristina Dinčić

セルビアを代表する史跡

 その後も塔の崩壊は進んだが、2014年の時点で58個が塔の壁に残っている。壁から外れたシンデリックの頭部も保存されており、2013年にガラス張りで公開された。

 現在のチェレ・クラはセルビア人の巡礼地であり、毎年3~5万人もの観光客が訪れる有名な史跡にもなっている。

References:listverse / visitnisなど /written by D/ edited by parumo

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この記事へのコメント 27件

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  1. スーパーブラックオニキスのスケルトンエリア思いだした

    • 評価
  2. こういうところに幽霊が出ないのだから
    幽霊は絶対に存在しない

    • -2
  3. ユダヤ人にとってのマサダ砦となったわけか…

    • 評価
  4. 墓場とかこういったとこは観光する気になれない
    別に幽霊云々ってわけじゃないけどなんとなく

    • +8
  5. 忘れ去られた大陸
    テラ文明遺跡
    ウイユヴェール
    語り部の間

    • 評価
  6. 何となく聖闘士星矢の巨蟹宮とかデビルマンのジンメン思い出す

    • +4
  7. 画像を見て古代アステカの生贄祭壇だったツォンパトリやスカルタワーに似てるなあと思った

    • 評価
  8. もし幽霊出てくるのならその兵士らと一緒にワインなど
    酒を飲み明かしたいと思うぜ
    でもそれやると古今東西の英雄らも酒くれよと言って
    収拾がつかなくなりそうかも

    • -5
  9. こんなの作ったらセルビア人は余計に独立したいって思うだけだよな
    蜂起した時点で決死なのに

    • +12
  10. 人間ってやつは古今東西、敵とみなした相手に苦痛や恐怖や恥辱を与えるためにものすごく(無駄に)知恵を働かせるね…
    よくこんなこと思い付くわっていう拷問処刑辱しめ嫌がらせの方法がたくさんあるよね

    • +16
  11. 月並み過ぎる感想だけど、ようやるわこんなこと

    • +4
  12. これ、19世紀初頭の出来事でしょ?フランス革命がおこったのも数年前の18世紀終わりで、人権思想も普及しつつあってもう近代に入ってるのに、あの革命でも悲惨な殺戮が行われたからね。こんなことがあっても、1990年代のユーゴ紛争でも虐殺とかがあったしね。人間は歴史からは学ばないんだよ。何のかんのいって、今の問題は昔のものとは違うとか嘘をついても、誰も気づかないんだよ。

    • +7
  13. 首狩り族ですなぁ

    アフリカやアジアへ「首狩り族がー」と揶揄する割に彼らも立派な首刈りやってる

    • +1
  14. あー、これはあれだ、集められた首級が「護国の鬼」的な何かになって、敵にあだなすスピリチュアル・スポットに…。

    何代も祟るようなこんなものを作らせた、フルシド・パシャ司令官はお馬鹿さん。
    >震え上がった配下のトルコ人たち
    普通はそうなりますよねえ、敵方でも…。

    「死んでしまえば皆仏」で敵味方を弔うのは、日本人くらいなんでしょうか…?

    亡くなられた方々のご冥福をお祈りしてしまいます。

    • -4
  15. 強国にとっては反逆者であったとしても、祖国にとっては命懸けで戦った英雄だろうと思う。何時の日にか、祖国に帰れる日が来る事を望む。また将来的には、当時の人骨を調べる貴重な資料になるかも知れない。地面に埋められた物とは物質の保存が違う気がする。過去の人々にとっては悲劇でも、未来の研究者にとっては貴重な研究資料になるかも知れない。

    • +3
  16. 原文見てきたけどStevan Sindelicさん
    セルビア人だから名前の読みはスティーブン・シンデリックじゃなくて
    ステヴァン・シンデリッチとかじゃないかな

    • +1
  17. 何か悪魔城のモニュメントにありそう。悪趣味には変わらんが。

    • 評価
  18. 幽霊だからといって骸骨が平気とは限らない

    • 評価

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