
thamerpic/iStock
羽音を唸らせながら接近してくる黄色と黒の警戒色。それを見れば、軽いパニックに陥るはずだ。信号機だって黄色は注意の意味だもの。あいにく、この新しい研究を知ってもそれに対する恐怖心は薄れないだろう。それどころか、畏敬の念すら抱くことになるかもしれない。
アシナガバチに論理的な思考ができることが明らかになりつつあるのだ。
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アシナガバチは危険な色を推測できるか?
アメリカ・ミシガン大学の研究者はこんな実験を行ってみた。40匹のアシナガバチ(Polistes dominulaとPolistes metricus)を四角い箱に入れる。
その箱は、端のそれぞれが5色のうちの1色で塗られており(便宜上、各色にはAからEまでのラベルが貼られている)、「AとB」「BとC」「CとD」「DとE」の色の組み合わせがある。
各ペアの後者の色には電気ショックが仕掛けられている。たとえば、BとCの箱ならCの下に電気ショックがある。
こうすることで、アシナガバチにどの色が「いい色」なのか学習させるのだ。青は緑よりもいい色で、緑は紫よりもいい色だ。
さて、ここで問題。はたして、アシナガバチは青が紫よりもいい色であることを理解できるだろうか?

alex_1910/iStock
アシナガバチによる推移的推論
これを調べるために、今度はアシナガバチを「BとD」ならびに「AとE」の組み合わせの箱に入れた。電気ショックを避けるには、安全なBかAの色を選ばなければならない。その結果、BとDの箱では、65パーセント以上がBを選んだのである。またAとEのペアでも同様の結果だった(ただし、Eは常に電気ショックがあるので、こちらはより簡単な問題)。
確率上、この結果はただの偶然によるものではない。
これは「推移的推論」と呼ばれるタイプの論理的思考で、独立した2つの情報から結論を導く能力を示すものだ。
アシナガバチは、Aがある場合はBから、Cがある場合はDから電気ショックを受けることを知っていた。しかし、Bがある場合にDからショックを受けるだろうことは、これまでの経験から推測しなければならない。それを見事やってのけたのだ。

Teobot/iStock
無脊椎動物では初。階級社会に鍵が?
今回の研究は、無脊椎動物がこうした論理的な推論を行えることを示した初めてのものだと言われている。アシナガバチがこうした能力を備えるにいたった理由は、もしかすると彼らが階級社会に生きていることと関係があるかもしれない。彼らの社会では、誰が支配的な立場にあるのか把握できなければならないからだ。
じつはアシナガバチについては、過去にも驚嘆すべき能力が確認されている。彼らは、ほかの仲間の顔を認識して、あとで会ったときにきちんと見分けられるのである。
だが、もしかしたら、こうしたことにいちいち驚愕するのも、ほかの生物を下等と見下してしまいがちな、人間の傲慢というものなのかもしれない。
人間は考える葦である。そしてアシナガバチも考える葦なのだ。
この研究は『Royal Society Biology Letters』に掲載された。
References:newscientist/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
軍隊行動できてるだけあるな
2. 匿名処理班
わいより頭ええやんけ
3. 匿名処理班
アリやハチは考え方によっては知的生命だよな
4. 匿名処理班
スズメバチはアホだと思う
ワンカップの酒の蓋を少し開けて放置すると、中に入って漬かってしまっている
しかも次から次に入っては落ち入っては落ち、もうねアホだと思う、いやアホだね間違いない
5. 匿名処理班
文字がなかったら人間でも似たような結果になる気がする
6. 匿名処理班
そんな賢いなら
「人間の目につくところに巣を作ったら駆除されるから止めましょうよ…」
って女王様を説得してくれよ
7. 通りすがり
>>4
昆虫の触角は敏感だからアルコールのような揮発成分で狂うらしい
油が漏れてる所があると人間が見付けるよりも先に到着してそこに張り付いて溺れ死ぬコバエのような小さな虫が居るのでホームタンクの点検に役立ってます
8. 匿名処理班
アイ ミスター ロンリー
9. 匿名処理班
※6 あと、ウチの無農薬バラのイモ虫を狩りに来たはすなのに、手ブラで帰っちゃうのはどーゆうことか、説明してほしい。
10. 匿名処理班
アシナガバチは他のハチと違って単独行動だよ
二匹で一個の巣を作るから小さい巣が沢山出来るんだよね。
たから一匹ごとのスペックは量産型のハチと比べて高いのかもしれない
11. 匿名処理班
香川照之に知らせてやってくれ
12. 匿名処理班
危険位置にマーキングした結果じゃないのか?
蟻にはそういうフェロモンがあるらしいから
たぶんハチも同じだろう。
13. 匿名処理班
※4
それ単にアルコールの有害性が証明されただけじゃないのか?
14. 匿名処理班
※7
最近ホームタンクの色塗っんだけどそういうことだったのか!
まさかこんなところで謎が解決するとは思わなかった。
いっぱいいて油で湿ってるところにくっついた個体だけ張り付いてるんだろうな、ぐらいにしか思ってなかったわ。
15. 匿名処理班
>65パーセント以上がBを選んだのである
(キリッ
お、おう
16. 匿名処理班
階級を理解する能力が危険性(安全性)とかの判断に生かされてるわけか。
『ローリング・サンダー』で蜂とハーブを分け合う話を思い出した。
皆でハーブを取りに行ったとき、蜂の群れに恐れる作者に「彼らと分け合えば良い」(彼女か?)と氏は教える。
で仲良く?採取してると再び蜂が騒ぎ不安に…「取りすぎだと教えてるんだ」と。
以下略
17. 通りすがり
>>14
スレのネタから脱線しますが
冬は灯油配達夏は工事で色々回ってる者です
プラスチックのストレーナーカップは日光に弱いため黒く感光したり亀裂が入ったり交換が必要になります
配管の継ぎ目が緩んでる時は濡れてるのか漏れてるのか分かりにくいですが
虫が教えてくれたら配管を外してシールテープを巻き直して接続する必要が有ります
油の漏れだけでなく足が砂に埋まったまま雨を受けると錆の進行が早くなります
ペンキを塗り重ねる事で錆の進行は遅くなりますが暗い色は避けて下さい
温度差でタンクの中に結露が発生しやすくなります
カー用品にあるスプレーは日光にも強く雨にも強い物が多いのでオススメです
18.
19. 匿名処理班
※4
ネタで言ってるのか本気なのかわからないが、アルコールは虫を引き寄せる成分だから入ってくるのは当然で、引き寄せられるのは本能なので逆らいようがないし、アホという事にはならないよね?論理的に考えれば。
20. 匿名処理班
実験の仕組みが分からんかった
ひょっとしたら自分は蜂に負けてる
21. 匿名処理班
※6
室外機に巣作りされて駆除したばっかりだわ
まだ嬢王バチ1匹で巣も小さかったのであっさり・・・
なんか胸が痛いわ、ごめん。
22. 匿名処理班
※11
今日は井上くんの勝利で興奮してると思うよ
日を改めて報告っスね
23. 匿名処理班
※19
本能に理性が勝てないのは動物だよ
ヒト科含めて、、
24. 匿名処理班
全然わからないわ。テキトーに色に戻す(ABCDE=赤青緑紫白)と
「赤と青!」「青と緑!」「緑と紫!」「紫と白!」で覚えさせると(!が電流付き)
「青と紫」で実験したとき「青」の方が良い色ってのがまずわからない
「赤と青」では青が危険だったし、「紫と白」ではDは安全だったんだから、推論しようがない気がする
25. 匿名処理班
脚が長いだけじゃなく頭もいいなんて・・・ぐぬぬ
26. 匿名処理班
※24
記事の説明がわかりずらいね
箱の両端を違う色で塗り分ける
これを左右とした場合、右端に電気ショックを仕込んでおけば、
複数回の試行から、アシナガバチは右端がNGと学習した
だから、色相は全く関係ない
空間の位置、それも一回性の条件付ではなく複数の条件を組み合わせて
行動選択したってことがこの実験のキモらしいんだが、
この程度の推論を昆虫が出来ないっていう前提は、どこから出て来たんだろう
27. 匿名処理班
>>26
出来ないっていう前提じゃなくて、
今まで実験されてなかっだけ
学習の中でも、異なる視覚的経験から新しい予測ができる推論の能力を証明したのは初めて
28. 匿名処理班
ジョジョ風のマンガ使って説明した方がわかると思う。
蜂B「色」だっ蜂A!電気ショックは「色」に関係があるっ!!
蜂A「色」・・?違う!危険なのは「右」にあるヤツだ。
29. 匿名処理班
万物の霊長にも35%程度は論理的思考ができないのがいるだろ。1億2000万の内、35%。何となく、納得できそうな数値じゃね?
30. 匿名処理班
自分の家の庭に居る蟻の行列を観察していたって、彼らがかなりの思考を行っているのが良く判る。蟻はかなりの力持ちで、自分の体よりも大きい荷物を運ぶ事ができるが、それでも1匹では手に余る大きさの荷物を運ぶ事が有る。そういう時には仲間がすぐに手を貸すから、たいしたもんだと思う。『こいつ苦労してるな?、手を貸してやるか?』みたいに考えているよ。
2匹で仲良く1つの荷物を運んでいる風景を見ると、大昔から、蟻はこうやって協力しあいながら生きて来たんだね…と思う。つまり人間が出現するずっとい以前からの協力体制な訳だ
31. 匿名処理班
※24 ※26
良いと悪いを数式っぽく 良い(電気なし)>悪い(電気ショック) と書くとする。
A>B、B>C の2つの体験から、A>C をハチが予測したと言うのがこの実験だね。
32. 匿名処理班
※10 >アシナガバチは他のハチと違って単独行動
なのにいきなり2匹で巣を作るの?
33. 匿名処理班
※26
「この程度の推論を昆虫が出来ない」のを個別の前提としておいていたんではなく、
「存在するかしないか確認されていないものは存在するともしないとも言えず
ひとまず存在しないとして考えておく」
という科学としての態度に従っただけでは?
それがあると今回実験で確認されたので「存在すると確認されたもの」が一つ増えたと。
34. 匿名処理班
要するに集団的知性ってやつ?
一匹ずつで同じような実験をするとどういう結果になるんだろうか。
35. 匿名処理班
アシナガバチだけにアシなんですね。
36. 匿名処理班
なぜ毎年家のベランダに巣を作りに来るのかアシナガバチの偵察部隊に聞いてみたい
※益虫なのは分かってるけど洗濯物干せないしかなり危ないので泣く泣く駆除
今年も数匹来てる・・・
洗濯機の中に巣作られた時は心臓飛び出る位驚いた
蓋開けたら洗濯槽の隙間からブワーっと出てきて下の隙間からも出てきた
37. 匿名処理班
物干し場に巣が毎年作られていたが、急激な動きさえしなければ共存できるぞ、アシナガバチ。様子を見に近寄っては来るが、確認後離れてゆく。生態が観察出来て本当に有意義だった。ハチでパニックをおこす人やチビッ子がいたら無理かもしれないが。
38. 匿名処理班
神経のお話…なんだよな
別に精神性とかはまるで別の話で
以前…何ヶ月か前にも何かしらのハチの論理思考?について記事を読んだ気がする
同じ研究者でなければけっこうホットな分野なのか
39. 匿名処理班
65%という微妙な結果では電気ショックを受けた時に
危険を知らせるフェロモンを出してるという説の方が近いと思う
インドで携帯電話を蜂の巣の近くに設置して電磁波を出す実験したら蜂が巣に帰れず全滅したそうな
40. 匿名処理班
空すら飛べない人間が
ハチを見下すなんてとんでもないことだ
とマジに思っているよ
41. 匿名処理班
40匹で65%てことは26匹-14匹か。
95%CIが±15%程度なので、有意差とするにはちょっとギリギリなとこだなぁ。
本文だと「偶然ではない」とあるけどね。ちょっと微妙なライン。
42. 匿名処理班
社会性を持つ生き物は人語が使えないだけで鳴き声などでコミュニケーションとってるし
実際似たような行動様式で集団生活してる
43.
44. 匿名処理班
例えば鮮やかな花であればある程蜜が多かったり
色の悪い朽ちた木材なら巣の材料になったり
色から推測するのはハチにとっては大事なことなんだよな
そう考えればハチに色と物事を関連付けて、そこから得られる
利益や不利益を推測できる能力があってもおかしくはない
45. 匿名処理班
うちの家を標的にして毎年やってくるアシナガバチ共は論理的な思考ができるとは思えない
音で威嚇したりハエ叩きで驚かしたりしても何度も何度も同じ場所に巣を作りにくる
迷惑だし身の危険を感じても懲りない奴らだし下等生物もいいとこ
46. 匿名処理班
※32
この前うちの軒先に作られてた巣には大人のアシナガバチが2匹だけ居たな
47. 匿名処理班
下手に知識をつけたり賢くなられると困る
48. 匿名処理班
※12>危険位置にマーキングした結果じゃないのか?
※26>複数回の試行から、アシナガバチは右端がNGと学習した
>だから、色相は全く関係ない
※28>蜂A「色」・・?違う!危険なのは「右」にあるヤツだ。
※39>危険を知らせるフェロモンを出してるという説の方が近いと思う。
違うよ。論文では右か左かという方向で学習することがないように、右が電気ショックの場合と左が電気ショックの場合がランダムに同数回になるように設定してる。
つまり、フェロモンによる判断でもない。
※41>40匹で65%てことは26匹-14匹か。
>95%CIが±15%程度なので、有意差とするにはちょっとギリギリなとこだなぁ。
論文によると1個体あたり10回のテストを行っている。
全部で400回の試行のうちの65%だよ。
49. 匿名処理班
※15>お、おう
良いものと悪いものがあるならば、100%良い方を選ぶべきっていうのは近代教育によってつくられた思考なんだよ。
Aが100%いいものでEが100%悪いものだっていうのは研究者が勝手に設定したもので、蜂にとってはいつその関係が変わるか何の保証もない。
蜂のこれまでの生涯のうち、たった数日の経験を絶対視しないのはごく当然のこと。
実際、多くの動物は毎回必ずいいものの方を選ぶ、ということをしない。
少数回は悪い方を選択するんだ。
そして、コンピュータによるシミュレーションでは、そういった悪い方への探索行動をとる集団の方が、すぐに良いものを取る方に収束する集団より生き残ることがわかってる。
50. 匿名処理班
※49
わー,すっごく面白い
いい話をありがとう
ちなワイはあほやからあしながバチより選択できない自信ある…
51. 匿名処理班
我が家のアシナガバチ、フレンドリーで庭に水まいてると飲みに来る🎵カワイイよ。
52.
53.
54. 匿名処理班
※49
そのルーチンがあることで、
「良さげに見える(長期的に見ると実はトラップ)」ってのを回避できるんだろうね。
もし、瞬間的に学習して8割とか9割がその選択を選ぶなら、
事が起こった時、一網打尽にされてしまう。
55. 匿名処理班
俺こんなことされたら初見で分かるかな…
56. 匿名処理班
山の果樹畑でこの季節、蜂が受粉してくれるから10年くらい前にふと
虫→団体行動→マクロスF→アイモ
の連想ゲームでアイモ歌うかー!ってのりでアイモを歌ったらマメコバチに蜜蜂やクマンバチがよってくるよってくる…。
風も吹いていないのに草木も揺れる。
マクロスFを見たことがある人ならわかるけど、アイモって地球外生命体の他に蜂にも通じるの?畑と蜂と飼い犬からリクエストがくるからこの季節になると歌っているけど、なんなんだろう。
57. 匿名処理班
アシナガさんは子供の頃巣に間違って急接近したり、自転車に乗ってる時に空中衝突したのに刺さなかったからすき
見た目はおっかないけど大人しいのだな
58. 匿名処理班
『国立博物館物語』(こくりつはくぶつかんものがたり)は、岡崎二郎による漫画。
で、スーパーコンピューターが人類以後の地球の支配者計算したらハチだったと。
59. 匿名処理班
この手の実験でガバガバな上に表現が大げさすぎて、「ふーん・・・またか」っていう感想しかわからないw
さすがに60%は低すぎでは?数万回も施行してそれならともかく回数も乏しいしまだ推論の域を出ないでしょ
関係ないけど僕はアシナガ君が巣を寄生虫に荒らされ増殖されこれもう巣全滅不可避だなって状態になってから
寄生虫駆除しても駆除してもキリがない働き蜂達がイラつきだして通りすがりの甲虫くんをめった刺しにして(食べるわけじゃない)ストレス発散する動画が好き
少なくとも巣の滅亡を感じてストレスを感じ、さらにそのストレスを発散する行動が取れるってのはすごいと驚いたな
60. 匿名処理班
4
それ退治に使えるよね?
61. 匿名処理班
※60 うん!そう思った。でもかなりのアルコールの量がいるのかニャー?
62. 匿名処理班
>>60
退治には使えるけど、周囲に影響が出ない所に置かないと蜂が集まってきて逆に危ないよ
夏に昆虫ゼリーセットしてカブトムシ来るかなぁってワクワクしてたらスズメバチのが多くて近寄れないとか、あったでしょ?
63. 匿名処理班
>>6
環境に逆らうことも、長い目でで見れば繁栄の第一歩となるのかも。まあ、適応出来ず絶滅する場合もあるだろうけど。
64. 匿名処理班
完全なる全体主義者だな。これで個が至福なら素晴らしいのだが。