メインコンテンツにスキップ

人はロボットを守るために他人の命を犠牲にするという研究結果(オランダ・ドイツ研究)

記事の本文にスキップ

53件のコメントを見る

(著)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 今やロボットは、工場での作業はもちろん、地雷の撤去といった危険な作業や、家事や看護のアシスタントとしても利用されるようになってきた。

 最新のAI(人工知能)を搭載し、多種多様な専門的あるいは日常的な作業をこなすロボットが増えきているわけだが、こうした状況を見るとふと1つの疑問が浮かんでくる。

 はたして、人はロボットをどう認知し、どのような感情を持つのだろう?

 今回行われた研究によると、人はロボットが人間に似ていれば似ているほど親近感を持つという。

 そればかりか、あまり良く知らない人間を助けるなら、人間に姿が似ていて、思考を持つと説明されたロボットの方を助ける傾向にあるというのだ。

人は人命救助とロボット救助、どちらを優先するのか?

 オランダ・ナイメーヘン・ラドバウド大学のSari Nijssen氏とドイツ・ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンのMarkus Paulus氏は、「人間(大人)は人命よりもロボットを優先することがあるのか?もしあるとすれば、それはどのようなような状況で、それはどの程度か?」という疑問を解き明かすための研究を行った。

複数の人間負傷者を助けるために誰(何)を犠牲にするか?

 実験では、参加者に対して、倫理的なジレンマを感じるような状況を想像してもらい、どのように行動するか回答してもらった。

 つまり、怪我をした人の集団を助けるために、たった1人の”個人”を危険にさらすかどうか? を考えてもらったのだ。

 なお、このとき犠牲にするかどうか選ばれる”個人”とは、「普通の人間」「人間に似せられたロボット(人間っぽさの程度はさまざま)」「はっきりと機械とわかるロボット」のいずれかであった。

この画像を大きなサイズで見る

人間に似ていて、思考を持つロボットに親近感を持つ

 実験から判明したのは、ロボットが人間に似ているほどに、人は親近感を持ち、ロボットが犠牲にされる可能性が低まるということだ。

 実験前に、ロボットについて、性格が優しいや、自分自身の認知・経験・思考を持つといった説明がされた場合では、参加者は、名前も知らない人間を助ける為に、そのロボットを犠牲にすることを躊躇する傾向が見られたのである。

ロボットが感情を持っているなら、人間を犠牲にすることをいとわない

 特に、ロボットが感情を持つかのような振る舞いをすると説明されていた場合、参加者の多くは、むしろロボットを危険にさらさないために、人間の怪我人のほうを犠牲にすることをいとわなかった。

ロボットが人間っぽく描写されるほどに、とりわけそれが感情を持つとされたとき、参加者はロボットを犠牲にすることをためらうようになります。

つまり参加者は、ロボットにある程度の道徳的な地位を認めていたわけです。

ここから分かることの1つは、ロボットの擬人化を過度に行うべきではないかもしれないということです。やりすぎれば、私たちを助けるという目的に矛盾が生じるようになるかもしれません。(Paulus氏)

 あまりにもロボットを人間に似せてしまうと、そしてそれが良いヤツで感情を持っていると刷り込まれた場合、人は見知らぬ人を助けるよりもロボットを助けてしまいがちだということだ。

 この研究は『Social Cognition』に掲載された。

 鉄腕アトムの時代から、ロボットが擬人化されていた文化で育った私にとって、この研究、特別な話には思えないわけだが、子供の頃から人っぽいロボットに親しんでいない国の人々にとってはびっくりなのかな?

 もちろん擬人化された悪いロボットも多く描写されてるから、守るべきロボットと敵であるロボットの区別はつくはずなんだけど、高度な知識を持つロボットにうまく懐柔されて、守るべきものを敵と認識してしまうなんてSF的未来、来ちゃうのかな。

『ゴースト・イン・ザ・シェル』 本予告

References:Robot saved, people take the hit – LMU Munich

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 53件

コメントを書く

  1. 「ロボットはとんでもないものを盗んでいきました。人間の心です。」

    • +1
  2. detroitにでてくるような人間と変わらない容姿してて虐げられてたらさ それは助けるよね。
    人がロボットに慣れきった未来がきたらどういう仕打ちをするかそれが怖いよ

    • +17
  3. 現状ですら、米軍のUAVオペレータが必要以上の愛着をUAVに抱いてるなんて話もあるし、人間に似てたらいよいよそうなるだろうね。
    正直特異な事とは思えない。

    • +17
  4. ロボットをペットに置き換えても同じことでしょう
    何かを守るために何を犠牲にすべきかなんて話に正解なんてない
    犠牲にしていいものなんて何もない

    • +11
  5. それは常に自分が優位に立ちたいといった人間のエゴなんじゃないかな?
    人に対しての警戒心はだれでも持っている。そしていつ反目するかも分からない。
    少なくとも生身の人間よりロボットの方が自分の思い通りになるかもと期待しているんじゃないかな?

    • -13
    1. ※6
      むしろ欧米の人はそこらへんシビアだろ
      ロボットに希望を見出しつつも、いつか人間に反旗を翻すんじゃないかって常に警戒している
      無条件にロボット=人間の友達とか信じてるのは日本人ぐらいだよ

      • +3
  6. たとえば大災害に巻き込まれて、自分のペットか、近所のうるさいオッサン、どっちかしか助けられない状況になったら、前者を選ぶ人は多いんじゃないの
    ヒトかモノかじゃなく、助けたい「命」としての優先度はロボットに限定された話じゃない

    今はロボット(アンドロイド)は人間が作ったのだから人間に絶対服従である、という希望的な前提があるから、養育の代償行為としてペットを飼うように、人間よりも不完全なアンドロイドに対して親近感を覚える人も多いだろうけど、日常的に見る犯罪ニュースに完全人形アンドロイドの暴走が含まれるような『Detroit』な世界だったら結果は全く異なってたと思う

    • +35
    1. ※7
      対象が何なのか?じゃなくて
      「自分が保護しないといけないもの」
      かどうかってのが判断の基準になってると思う。

      • 評価
  7. ロボットVS人間というより救助者がどっちに思い入れがあるかの差じゃないの?
    知らん他人の子供よりうちのワンコ優先するのは当たり前やん

    • +17
    1. ※8
      瞬間的な判断を迫られた場合ならそれもあり得るが、数分の熟慮を与えられたなら多数の怪我人の方を助けるしかないだろう。
      犬を助けて多数を見殺しにしたとなれば、どうせまともには生きていけないし遺族による報復も十分にあり得る。

      今回の場合、仮にそのロボットが今後の人類社会にとって替えの効かない革命的な存在であって、それを不幸にも明確に理解していたならば仕方がない、ロボットを救うよ。
      ただし、事後に自決を迫られるだろう事を覚悟せねばなるまいな。

      • -3
      1. >>39
        ロボットを助ける判断が自決に繋がる意味がわからない
        貴方はその選択をした人に自決を迫るの?
        それはどういった理屈で?

        • +2
        1. >>50
          やつれきって動けない感じの子供をハゲタカだかが狙ってる写真を発表したら、「撮る暇があったら助けろよ!」と非難轟々浴びせられたとか、そんな話でしょ。私の記憶が正しければ、でもその人(戦場カメラマンだっけ?)は撮影後すぐに少女を助けてた、だったか。

          • 評価
  8. ロボットじゃなくても、赤の他人と高価な品物でも
    後者を選ぶ人は少なくない
    まして自分の所有物だったりするとなおさら

    • +16
  9. ロボットには、人間のような二面性やずるさがない純粋なイメージがあるから、その点も影響しているのかも・・。

    • +5
    1. ※11
      鳥坂先輩「うるさい、お前なんかロボットだ」

      • +4
  10. ロボットを人が守る用のロボットが必要になるな

    • +3
  11. 助けた人間が後ろから刺してくるのは想像できるけど、助けたロボットが後ろから刺してくるのは想像できないからなあ

    赤の他人と赤の他ロボットでも、もしかしたらロボット助けちゃうかも

    • +3
  12. だってロボットは高価だろうしなあ、私が死んでも変わりがいるもの

    • +4
    1. ※14
      ロボット一体の生産コストと、
      人間一人を産んで育てて一人前になる時間と金と社会負担を考えると、
      圧倒的にロボットの方が安いだろ。

      • +4
      1. ※21
        生産コストのかかる他人は他人じゃないぞ。

        • -1
  13. AIロボと人間の友情を描いたロボアニメいいよね。
    最終話でパイロットを強制的に降ろして特効するやつ。

    • 評価
  14. 四足歩行で健気に働いてたら全然人間に似てなくても愛着湧きそう。

    • +10
  15. カラパイア読者には動物好きが多いけど、もうしばらくしたらロボット好きも多くなるかもね。
    「動画撮影してる暇があったら早くロボットを助けろよ!」みたいなコメントが見られるようになったりして。

    • +6
  16. ロボットどころか紙の束のために犠牲にするぜ

    • +8
  17. サラ・コナー「未来へ続く道は、まだ闇に包まれていますが、僅かに希望の光が見えてきました。機械が、ターミネーターが命の大切さを、学べるのなら…私たちにできない筈はありません」

    • +6
  18. 本当に「感情」があったらそれはもう生命では?
    体が有機物じゃないだけで。
    今はまだ感情のシュミレートに留まってるけど
    本当に感情が生まれることがあるんだろうか

    • +2
  19. 中身がT-800でも美男美女の顔をかぶって助けを求められたら何も知らない大抵の人間は手のひらクルックルだろうね

    • +1
  20. 人の持つ道徳心は簡単に騙されるっていう証明にもなり得そう。
    ここで言うロボットの知能が良くできた人工無脳だったとしても気づかない人間は多そうだし、判っててもロボットを選択する人間はいると思う。更に言うと人の死を仕掛けた黒幕がそのロボットを作った可能性があると言われたら。ロボット自身に人を殺す仕掛けが施されてるとしたら。
    現実でも素直な人間でありたいと思いつつ、良心や道徳が常に最善とは限らないから難しい。

    • +8
  21. 自分が親しみを抱く者を助けたくなるのは、当たり前というか本能というべきか、それが人かどうかは関係ないと思うな。

    • +4
  22. 今でもロボットでは無く自分の愛車なら金額云々でなくとも見ず知らずの人間となら愛車を優先して助けるぞ。

    • 評価
  23. そのロボットが俺好みの美少女型で、しかも感情と呼べる物を持ってたら・・・。
    「所詮はロボット。ただの人工物」だなんて考えは俺ならできそうもないな。

    よく考えたら生身の女でさえも嘘泣きとかするよなぁ。
    頭抱えるわ・・・俺はどうすれば・・・うおおおおお

    • +3
  24. まったく人型ではないルンバでさえ、修理に出す人間の対応がその他の家電と違って
    「ルンバは治りますか?」「いつ戻ってこれますか?」などとペットのような受け答えが多いからなあ
    そもそも人間は自律しているものに情が湧く生き物なのかもしれない。
    だったら機械か生物かは置いておいて、より自分に親しいものを優先するのは当然とも言える。

    • +9
  25. ラピュタのロボット兵もかわいそうだと思ったもんな…

    • +4
  26. すげえ勘違いしている

    ゴースト・イン・ザ・シェルの草薙はロボットではなく人間

    普通の人間が歯医者で虫歯を銀歯で置き換えるような手術が
    全身で起こったことに過ぎない

    人間をロボット扱いするような人間が一番怖い

    • 評価
  27. これは多分、線路のスイッチ切り替えるやつと同じで、
    人間を助けるためにロボットを犠牲にする選択を『自分が』しなきゃいけないっていう説明だったんじゃないかな?
    だとすると、ロボットだとしても、自分の判断で犠牲にしてしまったという責任が伴うから、なにもしないで人間を見殺しにするっていう人もいると思う。
    もちろん自分に身近なロボットなら、消極的選択でない場合もあるはず。

    • +2
  28. 新型ロボット一台と社畜一匹の命。
    どちらの方が高価か聞かれたら、とうめんは前者なんじゃね。

    • -1
  29. これはちょっといじわるな質問だな。思考が人間と同じレベルのロボットなら、戦闘用などの特別な状況じゃ無い限り人間に友好的に設定されてるのは推測できるから、親しみを持つのは当然である。見知らぬ人間のほうが害をなす可能性がある

    • 評価
  30. 感情があるかどうかとは関係なく、
    壊れかけた機械、動か(け)なくなった機械に対して、特別に感情を動かされる人は多い。

    俗な喩えではあるが、1stガンダムのラストシューティングとか、ガンダムOOのEDとか。

    この感情がなんなのか説明は難しいと思う。
    かわいそうとか辛そうってのとも違うしわびさびとか萌えとかともまた違う、正体不明の儚さがそこにはある。

    • 評価
  31. 人間に見た目が似てるかどうかよりも、感情がある(ように思える)ことが大事なんじゃない
    サイコロみたいな頭の旧型ロボットでも話したり動いたりしてたら愛着がわいて、その人の中ではロボットが擬人化されるでしょう
    そうなればもう見捨てることへの罪悪感は、見知らぬ他人とロボットのどちらが少ないとか簡単にはいえなくなる

    • 評価
  32. そりゃコミュニケーションが取れるなら人間でもロボットでもミジンコでも等価値になるわな

    • +1
  33. falloutというゲームの話だがロボットは時にガチの人格を習得した者もおり
    主人公が非道を繰り返した時に諫め、苦言をいい、遂には見放す事もある
    もうこれはロボットの体を持った生命と言えるのではないかと
    しかしそんな存在は気持ち悪いと徹底的排除を掲げる組織もあったりするわけでその世界には様々な問題となっている

    • +2
  34. ロボットどころか物言わぬ物に強く思い入れを持つなんてことざらにあるしな

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

サイエンス&テクノロジー

サイエンス&テクノロジーについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。