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紀元前15世紀、アナトリア半島に築き上げられたヒッタイト帝国の首都ハットゥシャを訪ねて(トルコ)

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 紀元前15世紀頃アナトリア半島にヒッタイト帝国を築いたヒッタイト民族。最初の鉄器文化を築いたとされており、他の民族が青銅器しか作れなかった時代に、高度な製鉄技術によりメソポタミアを征服した。

 トルコの小村、ボアズカレが古代ヒッタイト帝国の首都、ハットゥシャと確認されたのは、1906年のことだ。以来ゆっくりと発掘が進められている。

Unesco Turkey 360 – Hattusha: the Hittite Capital

かつて最大級を誇った古代帝国、ヒッタイト

 ハットゥシャは、クズル・ウルマック川にぐるりと囲まれる現在のボアズカレ近郊に位置し、かつては西はエーゲ海、東はユーフラテス川まで勢力を広げたヒッタイト帝国の都であった。

 ヒッタイト帝国は聖書にも言及がある古代でも最大級の帝国である。古代エジプトをはじめとする大文明とは同時代の勢力で、カデシュの戦いではラムセス王を討ち取る寸前まで行き、見事エジプトを退けている。のちにヒッタイトとエジプト間で世界最古と言われる講和条約が結ばれ、ラムセスはヒッタイトの王女を娶った。

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南西部にあるライオンの門 image credit:Bernard Gagnon/Wikimedia
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王の門 image credit:turkisharchaeonews.net
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スフィンクスの門 image credit:Bernard Gagnon/Wikimedia

20世紀になるまで伝説上の存在だった

 ヒッタイトは古代史において重要な役割を担っていたのだが、現代の歴史書では過小評価されている嫌いがある。世界最軽量かつ最速の戦車を発明し、青銅器時代でありながら鉄器を用いていた。

 実は20世紀になる頃まで、ヒッタイト帝国の実在を示す証拠は得られておらず、伝説上の存在であった。その転換点となったのがハットゥシャの発見である。

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ハットゥシャを囲んでいた城壁の一部を実物大で再現したもの image credit:Maarten/Flickr

 ここからはヒッタイトの外交活動を記録した無数の粘土板も発掘されており、先述した紀元前13世紀のカデシュの戦い終結後の講和条約もここから判明した。

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エジプト・ヒッタイト講和条約(イスタンブール考古学博物館所蔵)。記載されたものとしては世界最古の国際条約と考えられる。 image credit:yasin turkoglu/Flickr

 ハットゥシャはBudakozu平原の南端、海抜1,000メートルの丘陵地帯にある。周囲には肥沃な土地が広がり、放牧に適した丘や建材の供給源となる森も存在した。

 もともとは先住民のハッティ人が住んでいたが、紀元前2,000年頃ヒッタイトの首都となった。

 紀元前12世紀、ヒッタイトの滅亡と共にハットゥシャも破壊された。発掘調査からはこの都市に火が放たれたらしいことが判明しているが、それは多くの住民が貴重品や街の記録を携えてここを捨て去ってからのことであるらしい。最末期においてはほとんどゴーストタウンと変わらなかったようだ。

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ハットゥシャの低い場所からの眺め image credit:turkisharchaeonews.net

 最盛期には1.8平方キロあり、内側部と外側部で構成されていた。それぞれが巨大な城壁に囲まれており、外側部のそれは全長8キロで都市全体を取り囲んでいた。また内側部は主に行政施設や寺院を備える砦で占められていた。山の背には王宮もあった。

 外側部の南側1平方キロの部分には、戦士、ライオン、スフィンクスの精巧なレリーフが彫られた門がある。また寺院が4つあり、いずれも柱廊の周りに配置され、それらと一緒に世俗施設や住居なども建てられていた。城壁の外には墓地があり、大抵は火葬であった。最盛期の人口は4万~5万人程度と推測されている。

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大神殿へ続く参道 image credit:turkisharchaeonews.net
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王宮跡 image credit:turkisharchaeonews.net
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イェルカプという石製トンネルへの入り口 image credit:turkisharchaeonews.net
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イェルカプ image credit:turkisharchaeonews.net
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イェルカプの城壁 image credit:turkisharchaeonews.net

via:unescobiblicalarchaeologywikipediaancient-wisdomなど/ written hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 39件

コメントを書く

  1. 地震のない地域の石の建物って長持ちなんだね

    • +8
  2. 5万人って少なく感じちゃうな、時代的に多いほうなんか

    • +5
    1. ※5
      五万の人口を擁していたら当時は世界でも五指に入るであろう巨大都市

      • +12
  3. ヒッタイト王国は某少女漫画で覚えたな。
    「ハットゥシャの低い場所からの眺め」の写真、とても惹かれる風景だ

    • +17
  4. ファンタジー好きにとっては、最後のフロンティアだよね。ヒッタイト。

    鉄好きにとってもヒッタイトは興味深い。
    鉄という人類にとって最大の伴侶となった金属を、如何にしてその手に入れたのか。
    ロマンだよねえ。

    • +10
    1. ※7
      鉄は地球で最も多い物質だし、隕鉄か砂鉄あたりからかなと想像

      • 評価
  5. 天は赤い河のほとりって漫画思い出した

    • +15
  6. 篠原千絵さんのマンガが読みたくなってきた!

    • +12
  7. 一枚目の画像は写真なので?
    進撃の巨人の街みたいだな。

    • -1
    1. ※15
      イラストか、写真なら似ている町のものだろうね
      実際は他の写真のように跡が残ってるだけだし

      • +1
  8. やっぱりヒッタイトといえば天は赤い河のほとり

    • +12
  9. 高い壁ありゃなんでも進撃の巨人になる人多いね(棒

    • +7
  10. もうイズミル王子とくっついたら良いのに

    • +5
    1. ※21
      ネクストが存在するとか古代文明は格が血が違った

      • -1
  11. ユーリ・イシュタル☆
    天は赤い河のほとり読みかえそうかな

    • +8
  12. この一足先のエジプトが凄くてイマイチ影が薄いよな

    • +1
  13. 太陽の王ラムセスで知ってた
    ラムセスもすごいがネフェルタリの愛の深さもすごい
    もしネフェルタリがいなければヒッタイトは残らず
    たぶん廃墟にしてたと思う

    • +1
  14. 天は赤い河のほとりと王家の紋章を思い出してる人が多いね

    • +4
  15. 天は赤い河のほとりって書きに来たらいっぱい書いてあった(笑)

    • +10
  16. 鉄は実はヒッタイト以前からあったってのが新しい情報って聞いたんだけどどうなんだろ

    • +3
  17. こういうのってすごくドキドキする。なんてロマンにあふれてるんだろう。
    あー、土日祝日に天は赤い川のほとり読み返そうっと。

    • +1
  18. 素晴らしい。自分たちの住む場所に太古の帝國が眠っていたなんて想像するだけでワクワクする。

    • +1
  19. 昔はヒッタイトと言うと、必ずと言って良い程「謎の民族」という枕詞が付いて語られるのが普通だったと思う。(今でもそうかな?)でも時代が近代になると、発掘の成果等も増えて昔から比べると民族の謎も解明が進んでいるんじゃないかな?日本で言うと縄文人の研究をする様なものかな?それにヒッタイトと言うと、とても強大な軍隊を持っていた国家だったから、余計に知りたいのが普通だよね。

    • +6
  20. どなたか大昔の製鉄会社の「昔トルコの片隅で鉄は強く鍛えられたとさ」という歌のCMを覚えてないでしょうか
    似たCMの情報はあってもこのバージョンの情報が全く見つからない
    小学生時代にこのCMを見てからヒッタイトと製鉄の関係が気になってしょうがない

    • +1
  21. ライオンの門が可愛い。
    何作ってるんだよイズミル王子…

    • +1
  22. これだよカラパイア。こういうのが欲しいのよ。

    • +5
  23. 半端に栄華の残っているところが、無常観を味わわせてくれてよい。

    • 評価
  24. これ5年前の記事なんか
    実はヒッタイトが鉄の王国というのは嘘で、発掘された鉄製品は武器も含めてゼロ
    滅びた時に首都ハットウシャが燃やされたのも違っていて実は一部しか燃えてない。というのが判明してる。ヒッタイト研究者と河江ゆきのりの対談がYoutubeで見れる

    • 評価

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