フランスでは18歳未満の劇場での性行為鑑賞が一部解禁となったらしい

　フランスではこれまでも、映画のレイティングに関して絶えず議論が展開されていた。映画に登場する性描写が、どこまでが“アート”で、どこまでが“教育上問題”となるのか？

　そんなフランスで、ついに未成年者に対する映画規制が緩和されるようだ。

　これまでフランスでは、真似事ではない（本番）があるアレなシーンを含む映画は自動的にR18（18歳未満入場・鑑賞禁止）と定められていた。しかし、新たに文化・通信大臣に就任したオードレ・アズレ氏は、18歳未満鑑賞禁止の判断基準を見直し、２月にも規制緩和に向け法令を改正すると発表した。

リアルでは普通に行われているのに映画はNGとは偽善である

　2003年に発効となった現在の法令では、“本番や暴力的なセックスシーンは18歳未満鑑賞禁止”と定められている。そのため、映画の本質にかかわらず、この条件にあてはまる作品は例外なく未成年に対しては鑑賞禁止となっていた。

　これに対し、フランス映画業界に関する本を執筆しているジョエル・シャプロン氏はこう述べている。

18歳未満を鑑賞禁止とするのは、馬鹿げている。実際の生活では映画で描写されている以上のことが行われているではないか。18歳以下でも性行為をしている者もいるのに、18歳以下だから映画は見る権利がないと自動的に排除するのは、裏表のある言行であり、不誠実で偽善でしかない

今後は性描写が含まれていても自動的にR18指定にはならない。

　新たな法令は、この既存の「自動性」を排除すると、文化相は述べている。

今後はリアルな性描写を含んでいても、自動的にすべての作品をR18指定にすることはありません。ただし、未成年の感受性に悪い影響を与えたり、悪意に刺激するような性行為描写や暴力描写が含まれいてる作品はこれまで通り未成年が見ることはできません

　つまり、これまでは、リアルな性行為が含まれている映画は自動的に全てR18指定となっていたが、今後は内容に応じて、本番の性行為があった場合でも18歳以下でも見られるようにするというものだ。

今や技術の進歩で本番かそうじゃないのかの区別はつかない

　この法令改正のきっかけとなったのは、映像作品分類委員会の代表であるジャン＝フランソワ・マリー氏より提出された報告書だ。

　その報告書によると、「本番なのか、演技なのかという基準は過去のもの。撮影では真似事の演技をしていたとしても、スクリーン上で見れば、極めて明確に描写されている」

物議をかもした1本のフランスの映画

　2015年には、ギャスパー・ノエ監督の3D映画『LOVE』内に過激で生々しい性描写があるとして、物議を醸した。 　この作品は第68回カンヌ国際映画祭で初お目見えとなり、あまりにもリアルで過激な性描写が含まれているため、当初のR16（16歳未満鑑賞禁止）からR18（18歳未満鑑賞禁止）にするよう、当時の文化・通信大臣であったフルール・ペルラン氏が審査委員会に再審を依頼した。

　これに真っ向から反対したのが、配給会社やフランス監督協会、映画の国際販売・製作サービス会社のワイルドバンチだった。

　「保守主義や清教徒の信仰のゲームからは、何も得るものがない」とフランス監督協会は厳しく反論した。

　「道徳化の法則、親密な関係の弾圧、は危険なゲームだ。監督協会の映画製作者たちは、ギャスパー・ノエ監督が描くありのままの性は、ネットで気軽に見ることができるポルノよりも良質な教育源であると、固く信じている」

　フランス審査委員会はルール・ペルラン氏の主張を退け、レイティングはR16のままとなった。

　フランスの芸術に関する姿勢は、ある意味突き抜けている部分はあるが、フランスらしいと言えばフランスらしいのかも。

via:hollywoodreporter・bfmbusinessなど/ translated melondeau / edited by parumo
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