
だが、この家を見るためにハーバード大の一角を訪れる価値はある。ただし、屈み込んで下のほうを覗き込まなくてはならないが。
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大人なら、なにかを落としたり、靴紐を結ぶのに屈んだりしたときでないと、気がつかないような場所だ。鮮やかな色のドアを見つけるのは、たいては子どもたちだ。きしむドアを開けると、ちょっと湿っぽくてクモの巣のような広間があらわれる。
残念ながら、ラビットやピグレットが出てくることはなく、中には誰もいないようだ。おそらく彼らはプーさんの家を訪ねて、たっぷりハチミツをたらしたお茶を飲んでいたか、暗くてふわふわした奥の部屋で、まったりしていたのかもしれない。

しばらく、切り株がそのまま放置され、周囲に工事フェンスがはりめぐらされて立ち入りが禁止された。プーさんの家のドアもなくなり、でこぼこした木の根の間がすかすかしたただの木の洞になってしまった。
しかし、数ヶ月後、むき出しだった切り株のてっぺんに木の屋根がかぶせられ、まもなく新しいドアも取りつけられて、"Pooh"の表示も新たに加えられた。プーさんがハチミツの壺を抱えて戻ってきたと思ってもおかしくない。
数年の間、この家はクリストファー・ロビンの森の一角、サイエンスセンターのすぐ外のところにあった。毎日、物理のノートの入った重いバックパックを背負った学生たちが通り過ぎ、観光客が立ち止まって写真を撮る。

しかし、ペンキははげ、木ももろくなる。プーさんの家はある日突然壊れてしまいそうにも見える。その兆候はあった。まず嵐、あるいはちょこまか動くリスのせいかもしれない。まもなく小さな蝶番が乱暴に引きちぎられてドアがなくなった。ドアの向こうの居間は、またしてもしっとりした木の中のぽっかりあいた洞になった。
プーさんの家の骨組みは、まだサイエンスセンターの外にある。屋根はほとんど損なわれていない。毎日、学生たちがそばに自転車を止めて鍵をかけ、化学の授業に走っていく。プーさん本人はどこにもいない。完全にいなくなってしまったのかもしれない。

プーさんの家を訪ねるならレッドラインでハーバード・スクエア駅へ向かい、ちょっと歩くとハーバード・サイセ
ンスセンターの外、建物の左手にプーさんの家はある。
via:Pooh's House/ translated konohazuku / edited by parumo
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コメント
1. えりさ
3週間ほど前に、約1年ぶりにプーさんのこの家を見に行ってみたところ、プーの表札がなくなっていて、ドアもどうも間に合わせのようなものになっていてびっくりしました…(写真あります)。
また移転したのかと、ハーバード構内でしばらく探したものの見つけられず…
プーさん、どこに行っちゃったんだろう……
2. 匿名処理班
雑やな。アメリカらしい
3. 匿名処理班
地球上に100エーカーぐらい何の悪意も害意のない場所があっても良さそうなもんだが
4. 匿名処理班
POOHなら羽生の隣で寝ているよ
5. 匿名処理班
本当のプーさんの家はサンダースって書いてあったよ
6. 匿名処理班
ユーモアのわかる人は好きです
7. 匿名処理班
人のプーさんが住み着いちゃったりして・・・
8. 匿名処理班
一種の聖域かな
9. 匿名処理班
そこはたまに使う別荘で今はイギリスの森にいるんだよ
10. 匿名処理班
ついでに、藁人形も...
11. 匿名処理班
これ留学中に見かけたわ
別に人が見てるわけでもなかった
12. 匿名処理班
今はちっちゃいおじさんが住んでいます
13.
14. 匿名処理班
日本なら鳥居が建つ