メインコンテンツにスキップ

コアラと人間の指紋はすごく似ている!驚くべき収斂進化、10事例

記事の本文にスキップ

38件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 系統の異なる種の生物が同じような環境に適応した結果、身体的特徴が似通った形状や姿に進化する現象を収斂進化という。この現象は進化の一貫性を示すものとして、その概要解明のヒントとなっている。

 ここでは驚くべき収斂進化(収束進化)10の例を見ていこう。

10. 人間とイカの目

この画像を大きなサイズで見る

 人間とイカがほとんど共通点のない生息環境で進化を遂げたことはあらゆる点からも明らかだ。人間は陸上に適応し、イカは水中の大圧力と冷たい気温に適応してきた。それなのに奇妙なことだが、人間の目とイカの目は生物学的にほぼ同一のものだ。

 これはPax6という同じ遺伝子が同じように変化したことが原因だ。我々の祖先において、この遺伝子は単純な目の形成を促し、原始的な多細胞生物は闇の中で光を感知できるようになった。この遺伝子は種が多様化する以前から存在していたため、ほぼすべての生物に様々に変異した形でではあるが現存する。

 イカなどの頭側動物は我々人間とまったく異なる状況で同じ”カメラ型目”を進化させた。この収斂進化の事例は特に生物学者の関心を引く。なぜなら両者の共通の祖先を特定するには、Pax6の原始バージョンしかなかった5億年以上前の時代まで遡らなくてはならないからだ。

9. 粘菌と水生菌

この画像を大きなサイズで見る

 表面上はどちらの菌も似たようなものだ。だが粘菌と水生菌はまったく別の種である。それなのに区別が難しい理由は収斂進化だ。一般に思い浮かべられるのは、岩や木の表面に潜む陸上の粘菌だ。表面に接触した微生物を摂取しているが、その摂食状態が悪くなると細胞がくっついて塊の状態となり、1つの生物のように動く。その様子はどこかナメクジのようだ。

 水生菌もまたほぼ同じ場所の表面に生息しており、ほぼ同じ特性を有している。しかし水生菌と粘菌はまったく別ものである。クロロフィルを産生しないとはいえ、これを産生する数種の藻類と同じ不等毛類に属すると考えられているのだ。

 また粘菌も水生菌も真菌とは近縁にないが、類似していることからかつては真菌の一種と考えられていた。

8. 人間と昆虫の耳

この画像を大きなサイズで見る

 人間の鋭敏な耳は、祖先が持っていた獲物を追ったり、避けたりする能力を強化した結果だ。こうした能力が必要不可欠な種は数多くいるが、コロンビアに生息するある昆虫の耳は我々の耳と非常に似た進化を遂げている。

 作りはかなり違うが、機能はほぼ同じだ。人間では、鼓膜の振動が耳の中にある3本の小さな骨に伝わり、そこから蝸牛を通して脳の聴覚神経に信号が伝えられる。実は熱帯雨林の中にあるゴルゴナ島に生息するイエローオレンジフェイスキリギリスの耳は足にある。だが、そこには鼓膜が備わり、これが人間の耳小骨と同じ働きを持つクチクラ板を振動させ、蝸牛のような小室を刺激する。

 むろん、このキリギリスの聴覚は、耳の大きさが600ミクロンであることを考えれば非常に優れたものだ。

7. 様々な水棲生物の泳ぎ方

この画像を大きなサイズで見る

 世界の海には信じられないほど多種多様な種が存在する。それらの多くは、人間とイカが分岐したのと同じくらいはるか昔に共通の祖先から分かれており、互いにほとんど関連がない。ゆえに収斂進化の格好の題材となる。

 例えば、ノースウェスタン大学が”正中に対のヒレ”を持つ22種を調査した。ここからコウイカ、ブラックゴーストナイフフィッシュ、ナンカイニセツノヒラムシの3種は、最適な水泳速度を得るためにまったく同じ特徴と機構を進化させていたことが判明している。

 この3種の共通の祖先はカンブリア紀にまで遡るほど古いものだが、いずれも波打つように動く長く伸びたヒレを発達させた。その機構も同一である。その効率性から、新世代の潜水艦にはこれを模倣した機構を取り入れることが検討されている。

6. 鳥と人間の会話

この画像を大きなサイズで見る

 DNAシーケンスが発達したことで、鳥と人間の会話能力の類似性に関する遺伝的根拠が明らかにされた。さえずる鳥だけでなく、オウムのような喋る真似をする鳥まで、数度にわたって声帯を発達させてきたようだ。

 48種の鳥類のゲノム解析から、さえずる鳥と喋る鳥の声帯の発達に関連した遺伝子は、人間の会話の発達にも影響を与えていたことが判明。また喋る鳥では50組の遺伝子が人間の遺伝子と似たような進化を遂げていた。こちらは喋らない鳥にはみられないものだ。

 こうしたことは、会話が可能となるような脳回路の進化の態様は数が限られていることを示している。

5. 花や植物の臭い

この画像を大きなサイズで見る

 昆虫を騙して受粉の手助けをさせるために、あるユニークな方法を発達させた植物がいる。それは動物の糞や死体のような腐臭で昆虫をおびき寄せるという手口だ。

 卵を産みつけようとするハエやフンコロガシを引き寄せて受粉の手助けをしてもらう一方で、他のものには忌避させるというこの効果的な手法は、少なくとも5種の生物学的に関連がほとんどない植物や花が身につけている。しかもこの手法が滅多に編み出されないという点においても、実に有効な戦略だ。もし他にも多くの植物が同じ手法を採れば、昆虫は嘘を見破るようになっていたであろう。

 数十万種ある植物の中で、悪臭を真似るものはほんの数百種だけだ。そして奇妙なことに、世界最大の花であり、”死体花”の異名を誇るラフレシアをはじめ、そのいくつかはやたらと巨大である。

4. パンダと霊長類の対置できる親指

この画像を大きなサイズで見る

 パンダの仲間は笹の葉をかき集めるために”偽の親指”を進化させた。これについては著名な生物学者スティーブン・ジェイ・グールドが、1980年出版の著書『パンダの親指』の中で親指と呼んでいる。

 目的は同じであるが、パンダの親指と霊長類の親指は厳密には同じ部位ではない。その付け根は手首に近く、そこから単純に伸びたようだ。指同士を合わせられることがこの種には都合がよかったのだろう。霊長類とは明らかに別個に進化したものだが、複数のパンダ種がこれを持っている。そして、それもまた互いとは独立して発達したものだ。機能が同じであってもジャイアントパンダのそれとレッサーパンダのそれはかなり異なる。

 最近スペインの考古学チームが、知られている中では最古の親指の証拠をレッサーパンダの化石から発見した。すでに絶滅した種だが、樹上に生息する肉食動物で、大きさは現在のジャングルキャットほどだ。

3. コウモリとイルカの反響定位

この画像を大きなサイズで見る

 明らかに姿の違う両者だが、コウモリとイルカは地球でも数少ない反響定位という天然のレーダーの持ち主だ。2010年、両種で聴覚の感度を制御するタンパク質にまったく同じ変異が発見された。そして2013年にはコウモリ4種(うち2種は反響定位ができないもの)の遺伝子配列の完全な解析が完了した。これをバンドウイルカを含む他の哺乳類の遺伝子配列と比較。コウモリとイルカの200組の遺伝子に同一の突然変異が確認された。面白いことに、その多くが聴覚と関連している一方、無関係で反響定位との明確な関連性が見受けられないものも多かった。

 決定的なのは、反響定位能力のないコウモリにはこうした遺伝的な類似性が見られなかったことだ。なお、チームの最初の予測では、遺伝子の収斂は20個ほどだろうと考えていた。しかし、実際に発見されたのはその10倍の数である。また、そうした遺伝子は聴覚だけでなく、視覚にも関連するものだった。

2. 人間とコアラの指紋

この画像を大きなサイズで見る

 ゴリラなどの霊長類にも人間と同じ指紋があることはよく知られているが、実はあのコアラにもある。これは何かを掴むときに便利だ。もちろん霊長類特有の行動で、他の種は基本的にやらないことである。コアラは進化上、霊長類とは何ら関連がないが、人間そっくりな指紋がある。霊長類とコアラの祖先である有袋類が系統樹から分かれたのはおよそ7,000万年前のこと。以来、他の有袋類に指紋はない。つまりコアラが最近になってこれを手に入れた可能性が高いことを物語っている。

 コアラと人間の指紋は、犯罪捜査の専門家ですら困惑させるほど似ているのだから驚きだ。

1. 鳥と霊長類の知能

この画像を大きなサイズで見る

 一部の鳥、とりわけカラスは地球上でも最も高い知能を有する部類の動物だと考えられている。自然界では滅多にお目にかかれない創意を発揮し、都市部に生息するカラスは、通りの往来が止んでからそこに進入するなど、易々と人間の行動に適応してみせる。

 2004年のメタ分析では、カラスと霊長類は脳の構造がまったく異なっているにもかかわらず、他の種にはほぼ見ることのできない類似の精神的問題解決ツールを所有していることが判明した。すわなち予測と自然な推論である。霊長類あるいはイルカといった高度な知能を有する動物はほとんどがカラスのように社会的で、同じくカラスのように大きな脳を持っている。カラスの脳は体のサイズを考えると実に巨大で、チンパンジーのそれに匹敵する。

 またカラスは霊長類を除けば、唯一の道具を作れる動物だ。獲物を捕まえるフックなど、異なる地域のカラスが同じ目的のために様々な道具を作っている。アメリカカケスもまた大きな脳で知られており、餌を盗んだ鳥を憶えて、その後餌の隠し場所を見せないなど、何かを記憶し、それを社会的な文脈に応用する力がある。

via:10 Fascinating Examples Of Convergent Evolution/ written hiroching / edited by parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 38件

コメントを書く

  1. イクチオサウルス、イルカ、ペンギンの体のフォルムとかも有名だね。

    • 評価
  2. コアラ「間違いありません。私がやりました。」

    • +3
    1. 今回は、動物の体の一部分の収斂進化の話なのね?
      全体の形ならば、モモンガと、袋モモンガとか、
      ネコと、袋ネコとか出て来ると思ってトピを開いた
      ※2の言うイクチオサウルスと、イルカもそうだけど、
      どこが似ていて、どこが違うのかは、検証すると面白い

      • -1
  3. 「収束進化」「収縮進化」ではなく「収斂進化」かと。

    • 評価
  4. 注釈がないのは、わかるであろうとの判断ですか…。
    左がコアラです…よね?

    • +14
  5. 収束進化 374,000件
    収斂進化 97,100件
    しゅうれんが一般的だと思い込んでた

    • 評価
  6. スミロドンとチラコスミルスも実によく似てる

    • +3
  7. 「収束進化」ってなんだ
    「収斂進化」だろ
    たぶん英語の「convergent evolution」の「convergent」を直訳したんだろうけどさ

    • 評価
    1. ※7
      それは「収束進化」の検索結果に「収束」「進化」の検索結果も含まれるからだろ
      実際
      「”収束進化”」なら約 14,100 件
      「”収斂進化”」なら約 32,000 件
      で圧倒的に収斂進化のほうが一般的な語だと分かる

      • 評価
  8. あと
    「水性菌」じゃなくて「水生菌」だな

    • +2
  9. 同じ空間と時間を共有するのだから似てくるのだろう
    DNAそのものが言語とも言える

    • -2
    1. ※9
      岩波生物学辞典では「収斂」、東京化学同人の生物学辞典では「収斂進化」が見出し語となっているが、現行の高校生物では「収束進化」という語が採用されている。
      (高校生物が絶対正しいというわけではないが)
      「収斂」も「収斂進化」も「収束進化」も、どれも使われてるってわけで。

      • 評価
  10. 収斂進化ほど不思議で現在の進化論で説明のつかないことって無いと思う

    • 評価
  11. 初めてダイオウイカ見たときゾッとしたし、コラかと疑ったのが懐かしい

    • -12
  12. 収斂進化こそ進化論を肯定するものだろう。

    • 評価
  13. 突然変異が進化のチャンスを提供し、環境が進化に方向を与える。

    • 評価
  14. 刑事ドラマで動物園で事件が起きたときに、正体不明の指紋が捜査を混乱させる、とかそんな筋書きがあったら面白いかも

    • 評価
  15. 種の何パーセントが突然変異起こせば、後世に受け継がれるんだろう?多産な種や同時に変異が起きそうな菌類なら想像し易いけど。

    • +5
  16. そんな鳥類から「鳥頭」なんて揶揄されるのは何故なのだろうか
    言葉が生まれた当時より鳥類の研究が進んだから?
    それとも鳥類がテンプレ的というかルーチンでしか覚えられないとかそういうことなのかな

    • 評価
  17. だからやっぱ文明を持つ宇宙人がいるとしたら
    ヒューマノイドタイプになるんだよ・・・
    ・・・・・・たぶん・・・

    • +10
  18. イカやタコの目の方が、設計上は人間より優れてる。
    人間の目は網膜の光が当たる側に視神経が張り巡らされてるせいで盲点がある。盲点は脳の処理で気にならない様になってるけど…まあインチキな応急処置だよね。
    一方、イカやタコの目は視神経が網膜の裏にあるという、まっとうな設計なので盲点もない。オフィスで床下スペースにLANケーブルを這わせるのと同じ様なものかな。
    こういう統一の無さ、無計画なちぐはぐさが生物の苦闘の歴史、進化の証拠と考えればまあ許せる…かも。

    • +1
  19. 鳥は潜在能力が半端無いとおもう。ヨウムの会話の遺伝子とカラスの知能の遺伝子をうまく共有できた鳥が誕生すれば、本物の人間と会話が出来る鳥になると思うのだがなあ。

    • +4
  20. 遺伝子に共通点が多いから似たような表現型になるのに同じような遺伝的変異が起きているんだろうな
    ハエの頭と尻を別々の形にする遺伝子が鶏の腕の左右非対称性を司る遺伝子と似ているくらいだ

    • +1
  21. >人間の目とイカの目は生物学的にほぼ同一のものだ。
    イカのほうが優秀、盲点がないし見える波長が広い
    構造が全然違う、神様が別設計したんだろ
    コアラの指紋以外に牛の鼻紋やサルの尾紋もある
    こちらは有袋類・哺乳動物に共通の皮膚パターンでは?
    わからないのは昆虫の耳、足にあって人と違い骨はないはず(人の耳にはツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨がある)
    伝道自体違うのでは

    • +3
  22. カマキリとミズカマキリもそうだよね

    • 評価
  23. オーストラリアの警察のデータベースにはコアラの指紋もいくつか登録されてそう

    • +2
  24. 魚と海で泳ぐ哺乳類がわかりやすい例だね。
    これからも地上から海へ進出する動物はイルカみたいな進化をするんだろうな。

    • 評価
  25. と言う事は地球と似た環境の惑星では
    地球と似たような生物がいる可能性もあるのかな?
    例えば液体メタンの中でも生存できる生物がいたとしても
    「液体」の中で暮らすには地球の魚のような形態がベストかもしれない。

    • 評価
  26. 染色体は単独で存在できるか、生物という形態じゃないと存在出来ないのか。
    塩基配列を決定してるのは何かとか、習ったかもしれないけど全然記憶にない。

    • 評価
  27. >霊長類とコアラの祖先である有袋類が系統樹から分かれたのはおよそ7,000万年前のこと。
    1億2500万年前には原始的な真獣類がいたようなので、霊長類を含む真獣類の祖先と後獣類(有袋類)の祖先が分岐したのはそれ以前ということになる。

    • +4
  28. むかし理科の生物の授業で、哺乳類と有袋類の違いで先生が説明してた表現を思い出すw
    形は似てるがまったく別の分類される生物と前置した上で
    「馬に相当するのがカンガルーです、人間に相当するのがコアラです」
    先生は猿のように樹上で生活する生き物、て想定で話してたけど、当時は妙にショックだったわw

    • 評価
  29. 収斂進化をみるたびに、進化は必然だったんだ!
    と思う今日この頃

    • +2
  30. 収斂進化で不思議なのはウミクワガタかな。
    牙ではさむ機構自体が現れるのはわかるけど、トゲの部分とか平たい頭と眼の配置まで似るのは不思議。

    • 評価
  31. イカとヒトの眼は収斂進化なのか?? 眼点から始まる眼の起源としては同じじゃないかと思うんだけれど。

    • 評価
  32. 収斂進化は、進化や、生物の形態が、偶然の産物ではない事を明確に示している。

    普通のモモンガとフクロモモンガが、哺乳類と有袋類に別れたあと、別々に偶然生まれたと考えるのは都合が良すぎる。

    何かしら、まだ我々の知らないプロセスがある。
    その存在を意図的に黙殺して進化の研究を進めても、絶対に成果は得られない。

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

サイエンス&テクノロジー

サイエンス&テクノロジーについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。