
現代のわたしたちが、ストレスを感じないで過ごすことはとても難しい。おそらくあなたもストレスのせいで、疲れ果て、打ちのめされ、落ち込むことが多いだろう。
だが、ストレスは悪いことばかりではない。むしろストレスがあっても、その向き合い方を変えるだけで、死亡リスクすらも減少するという。
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マクゴニガルは、著書『The Upside of Stress: Why Stress is Good for You, and How to Get Good At It』の中で、はっとさせられるような発見を説明している。
確かに過度のストレスは死亡リスクの確率を43%も上げてしまう。しかし、このリスク増加率は、ストレスが自分の健康に害があると信じている人だけに当てはまる数字なのだ。わたしたちは、自分の人生からできるだけストレスを振り払い、取り除こうとして、ストレスのない生活を夢見ている。
ストレスがきついと言っていても、それが害になるとは思っていない人はそう簡単には死ぬことはない。むしろストレスがほとんどないと申告した人よりも死亡率は低いくらいだったのだ
しかし、マクゴニガルによれば、ストレスとのつきあい方で一番いい方法は、 『ストレスを減らそうとしたり、避けようとするのではなく、ストレスを "あるべきもの" と考え、むしろ前向きに取り込むことだ』 という。
ストレスの対処が不十分だったり、ストレスを避けるためひとり孤立していたり、ストレスを減らそうと躍起になっている人ほど、その害が大きいという。

ストレスの存在意義
過度なストレスがさまざまな不幸と関連しているのは、特に驚くことではない。しかし、ストレスは幸福とも関連があると聞いたら、驚くかもしれない。マクゴニガルはこれをストレスのパラドックス(逆説)と呼んでいる。『幸せな人生はストレスフリーなことではないし、ストレスフリーな人生が幸せを保証してくれるわけでもない』 その答えはストレスの意義の中にある。
例えば、ギャラップの世論調査からは、18歳以下の子供を育てることは、日々相当なストレスを感じる一方で、毎日笑いに包まれるチャンスもかなり増すことがわかる。昨日はかなりストレスフルな一日だった企業家も、それでもとてもおもしろいことを学んだと言う傾向が強い。これはよくわかる。最高に幸せな結婚生活を送っていても、いさかいのストレスがあったり、人生の大きな転換を経験することもある。理想的な職業に就いていても、プロジェクトやプレゼンにプレッシャーを感じたり、ストレスのたまるクライアントがいることもあるだろう。
ストレスは何か悪いことの表われというよりも、むしろ、ストレスを感じることは、どれほどあなたが個人的に意義のある行動や人間関係に関わっているかを示すバロメーターだと言えるだろう。

マクゴニガルは、『自分の人生の意義はなにか?』、考えてみることを勧めている。もっとも有意義なあなたの役割、人間関係、活動や目標などをあげてみて、自分が一番楽しめて、愛せて、笑顔になれる分野は、学べることなのか、目的意識がもてるのかを考えてみる。
もし、自分の役割や人間関係、活動や目標が意義はあっても、ストレスになるなら、どうしてそれが自分にとって重要なのか、書き出してみよう。もし、人生に意味を与えてくれるこうしたものがなくなったらどうなるか? どう感じるか? やはりそれを取り戻したいと思うか、わかるだろう。
スキルや強み、力量に注目する
マクゴニガルによれば、手痛い経験のプラス面を見ることによって、ストレスとのつきあいを変えることができるという。耐え忍んでなにか大切なことを学んだ過去の体験を考え直してみるのも訓練のひとつ。15分タイマーをかけて、下記の問いに答えてみよう。
・その辛い体験を乗り越えるためになにをしたか?
・あなた個人のどんな才能を引き出したか?
・どんな強みを使ったか?
・情報やアドバイスなど、他からのサポートを求めたか?
・その体験から、逆境と折り合うことについてどんなことを学んだか?
・どれだけ自分が強くなれたか?
次に、今あなたが苦労している状況について考え、次の質問を考えてみる。・あなた個人のどんな才能を引き出したか?
・どんな強みを使ったか?
・情報やアドバイスなど、他からのサポートを求めたか?
・その体験から、逆境と折り合うことについてどんなことを学んだか?
・どれだけ自分が強くなれたか?
・あなたの強みや才能、どちらを引き出すことができるか?
・これから伸ばしていきたい対応スキルや強みがあるか?
・もしあるなら、チャンスとしてこの苦境をどのように利用できるか?
ストレスは絶対悪ではないということを肝に銘じておこう・これから伸ばしていきたい対応スキルや強みがあるか?
・もしあるなら、チャンスとしてこの苦境をどのように利用できるか?
ストレスは悪いことばかりではない。もちろんいいことばかりでもないことも確かだが、ストレスとは複雑なものだ。『ストレスは害悪でしかない』という既成概念的な見方を変えると、もっと効果的にストレスに対応できるかもしれない。もっとバランスのとれたアプローチができ、もっと学び、成長し、意義のある暮らしができる助けになるかもしれない。
ストレスはいいことなのか、悪いことなのか、結論を出す前に、ストレスを何か、いいことに変える能力が自分にはあるかどうか、考えてみたほうがいいかもしれない。能力がないと思っても、ストレスはあなたにとって新たに取り組むべきものだし、きっとなんとかできるものなのだ。
via:psychcentral・原文翻訳:konohazuku
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コメント
1. 匿名処理班
北国出身の母親が、初めて南国に行った時に
最初は「冬も雪が無くて年中あったかいなんていいねぇ。天国みたい!」と言ってたのに、3日目ぐらいから「ずっとこんなんだったらボケるわ」と言いだして驚いた。
寒いのは辛いけど、それで春が楽しめる、ってことらしい。それ聞いてなるほど、と思った。かといって過度のストレスはごめんだが。
2. 匿名処理班
乗り越えても何の得もない苦痛もある
手がちぎれた人しかその痛みを理解することはできないが、一番いいのは手がちぎれないことだ
3. 匿名処理班
そうなんだよ
最近みんなストレスに過敏過ぎて逆に心配になる
子供時分から禿げ上がるほどのストレスを感じろと言ってる訳じゃないが、全部避けて通ってきたら大人になってから下らん事で禿げる事になる
ストレス無しで生活するなんてまず不可能で、生きてりゃ絶対どっかでぶち当たる
身も心も多少なりとも耐性がないと簡単に壊れてしまうぞ?
適度なストレスと開放感の繰り返しが人を幸せにすると思うんだ
4. 匿名処理班
達成感のえさにすればいいのだろうか
5. 匿名処理班
ストレスが全く無くなったら達成や解放のカタルシスも無くなるんだろうな。
6. 匿名処理班
ある程度生きてきて“良いストレス”と“無理なストレス”がわかってきた
てゆうか無理なストレスだと、もう、ダイレクトに胃とか腸とか来るわ
そういう時は逃げるが勝ちだよね〜
7. 匿名処理班
ストレスでも何でも立ち向かって克服することを良しとする風潮が強すぎると思う。でも人間のエネルギーには限りがあるから全部と戦って勝とうとしたらストレスがかかりすぎて逆に無気力状態になりかねない。だから、自分にとって大切なことは前向きに対処するにしても、あまり重要でないことはかかわらないで不戦敗にした方が精神的に健康的だ。
8. 匿名処理班
それでも俺はストレスを感じない生活をしたい
9. 匿名処理班
※6
1パラグラフの中で二回も禿げって言われると禿げるだろ!やめろ!ストレス!
10. 匿名処理班
過ぎたるは及ばざるが如し
11. 匿名処理班
※6
言いたいことは分かるが、
ストレスって子供の頃につめば耐性ができるってものでもないからな。
12. 匿名処理班
きつい仕事してた時、胃腸がすごい弱ったけど転職したら落ち着いた。
もう二度と同じ仕事はしないけど、ああいう仕事もあるんだなと勉強になった
13. 匿名処理班
なにごとも程度問題だろうね。
過保護に育てられたから打たれ弱くなってしまった。
自分のストレス限界を察する機会がなかったことは痛い。そして頑張りすぎて自滅することに気づいた。最近は真っ向から立ち向かわずにうまく受け流す方法を学び中。
14. 匿名処理班
ストレスを打ち消すには別のストレスをかけることだと昔聞いたことがある。
じっとしていると肩がこる、ストレスになる→肩をもむ壺などを刺激する、イタ気持ちいいとかんじる。別のストレスを加える。
楽しいことでもずっと続けているとそれはやがて苦痛となり、ストレスと感じるのが脳のしくみ。
なので苦痛を感じ始めたら違う行動や思考、脳が気持ちいいと思うことをするのが良いらしい。休憩する、お風呂に入るなどもストレス。
プレッシャーも心の持ちようで楽しく感じる切り替えのできる人がいる。先天的にプレッシャーを感じない人もいるが一般人には無理、プレッシャーに弱い人でも経験や訓練である程度は克服可能である。
ストレスを感じないという人はおそらく、心の状態というか気分を切り替えるのが効率的で上手いんだろうと思う。
15. 匿名処理班
>19
過干渉も過保護も無関心も同じく悪影響だからね。どれも子供の自尊心を無くさせる。
16. 匿名処理班
通勤途中や街中で馬鹿と遭遇して不愉快に感じた場合などのストレスはどうしたらいいんでしょうか?
17. 匿名処理班
呼吸が大切
苛々したりしてると案外呼吸が浅くなりがち
ネガティブになってもゆるやかな呼吸を意識すると何かしら変わった気になる
ちょっぴり大人になった気分かな
18. 匿名処理班
簡単だな
この世のストレスは神の与えし試練
ならばその試練を乗り越えて神への信仰をより強固なモノとしようではないか!
そういう思考で前向きにストレスと正面からがっぷり四つで組み合い乗り越えていけば幸せなんだ
19. 匿名処理班
※15
おもろいわ
逆ストレス!
20. 匿名処理班
ストレス自体は絶対悪だと思うけどね
やろうと思えばストレスフリーの状態で達成感や幸福感を得ることもできるし
というかこういう論法は、
日本人にとってはまた村社会を維持する為に都合のいい精神論にすり替えられる
21. 匿名処理班
一般的な生活してる限りストレスから逃れることは出来ないから、どうやって発散するか、どうやってストレスと向き合うかを考えるべきなんだろうね
22. 匿名処理班
※22
22が言うように、駅のホームで意味もなく肩をぶつけてくるだとか、そういった輩に巡り遭った時のストレスは、本当に何も産まないただの害悪だと思う
23. 匿名処理班
子どもの頃の過剰なストレスは碌なことならん。
確かに耐性はつくが、人格が歪む。(目に見えるかどうかは個体差)
しかし歪んだ人間しか耐えられない世界が社会にはあるわけで、
その部分が必要悪とされていることをどう考えるか、だと思うのよ。
24. 匿名処理班
それでもストレスはいらない!
25. 匿名処理班
子供の頃に過度のストレスに晒されていた人間は
ストレス解消の仕方が分からなくなって早死にする傾向があるらしいね
26. 匿名処理班
※26
そうかな?
我々は、ヒトになるずぅっと昔から、それこそ超原始的なプランクトンレベルの生物だった時代から、ずっと少ないエサもしくは伴侶を探して必死な状態が日常だったわけで、つまり一定の適度なストレスがかかった状態っていうのがデフォルトであり、本来の姿な気がする。もちろん、適度な、ほどよいストレスならってことだけど。
27. 匿名処理班
家庭崩壊やらパニック障害やらで子供のときからストレスが絶えなかったけど、まあ長い目で見れば良い影響もあるかな。それを乗り越えたんだぞっていう自信を持っていられるし、何より辛い経験が無かったら本当にクズみたいな人間になってたと思う。
28. 匿名処理班
ストレス自体はそんなに悪いことでは無いと思うけど、原因によりけりかなぁ・・・
迫害による恐怖なんかは善く捉えるのは難しいけど、新しい挑戦へのプレッシャーや目標を成し遂げる上で発生する精神的な疲労はポジティブに転換しやすい。ストレスの処理能力を上げることが大切なのかも。
29. 匿名処理班
※29
個体差によって、逆に異様に打たれ弱いというかあと1撃でももらったら死ぬ!みたいな感じで過剰に身構えて少々のストレスで周囲にガンガン当ってくるようになったり、メンヘラっぽくなったりする人もいるからな…
何にせよ、打たれ強くなっても歪んで周囲に迷惑撒き散らしがちだし、やっぱ変なストレスのかかり方はしないにこしたことないと思うな。
特に、子供時代は。
子供時代はむしろ人格の根本で自己肯定感をどれだけ養えるかみたいな感じじゃないかと思う。
30. 匿名処理班
ストレスはある意味食べ物と同じ。
栄養になるものもあれば、体の害にしかならんものもある。四十年ほど生きていれば、それなりに違いが分かってくるので、ある程度うまく取捨選択もできるようになってくる・・・かな。
負の感情は大きなエネルギー源ではあるので、うまいことコントロールすればばね力が半端ない。でも害にしかならないものからは逃げるが勝ち。じゃないと胃に穴が開いて、体中に発疹が出て、めまいがして、吐く。
子供のころの「も〜自殺したい」ほどの人間関係のストレス、今ではエネルギーとして利用させてもらっている。経験は無駄にならないよ。
31. 匿名処理班
マクゴニガルさん結構美人
32. 匿名処理班
39に共感するわ〜。
ストレスでも過度のは本当にヤバい。
そういう時は、逃げるのが得策だと思う。真に受け止めていては死んでしまう。
33. 匿名処理班
ケリー・マクゴニガル 「ストレスを友達にする方法」
youtubeで和訳付きで見れるで
あと※32みたいなのを鵜呑みにする人は
ネットリテラシーを勉強するとええで(※32が嘘とは言ってない)