
科学分野においても、例え当初の目的の実験は失敗しても、そこからひらめきを得て、まったく別の価値あるものを発見することがある。偶然の産物を得ることができるのは、柔軟な思想と、つねに前向きな好奇心、発想の転換などが必要であり、まさにセレンディピティを持った科学者であろう。
論理的思考で導き出す回答には限界がある。時には偶然の発見が必要なのだ。
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10. LSDのサイケ効果

1929年当時、スイスの科学者アルバート・ホフマンは、薬用植物の有効成分の分離や化学合成をする研究計画を進めていた。LSD-25という化合物を合成したが、当初はそれほど興味を引くものではなかった。5年後、再度この化合物を調査するため合成を実施したとき、「奇妙な感覚で作業が中断した」とホフマンは述べている。図らずも化合物を吸入したのだろう。帰宅し、横になっていると、「万華鏡のような強烈な色彩」を伴う「幻想的な映像」を見た。こうして最強のサイケドラッグが誕生した。
9. コーンフレーク

ある日、誤ってパン生地の主要な原料である茹でた小麦をほったらかしにして外で座りこけていた。数時間後に戻ってみると、小麦がフレーク状になっていた。興味を惹かれたケロッグがフレークのパン生地を焼いてみると、カリカリのスナックが出来上がった。患者たちに食べてもらうと好評で、ケロッグはこれを大量生産しようと思い立つ。現在のケロッグ社はこうして産声を上げた。
8. ダイナマイト

ニトログリセリンの輸送中、ノーベルは容器の1つが壊れて、中身が漏れていることに気がついた。そして、容器の周りに詰められた珪藻土がニトログリセリンをうまい具合に吸収していることを発見する。この発見を基に、爆発力を落とさず、珪藻土と混ぜ合わせる割合を考案し、1867年にダイナマイトという発明で特許を取得した。しかし、ノーベルは自身の発明がもたらした破壊に心身を消耗させるようになる。こうしてノーベル賞設立へとつながる遺言を残すことになった。
7. サッカリン

自宅で食事をしていると、パンがやたらと甘いことに気がついた。こうして実験中に作った物質に思い至るのである。この後、たった1人で実験を続け無事特許を取得するが、これにレムセンは激怒する。レムセンも物質の作成に関わっていたからだ。数年後、サッカリンはゼロカロリーの甘味料として様々な食品で使用されるようになった。
6. 電子レンジ

5. バイアグラ

複数の患者から男性の部位の猛りが収まらないという報告がなされたのだ。こうして、当初予定していた高血圧や心臓病の治療薬ではなく、男性機能障害の治療薬として開発の舵が切られた。治験も無事終了し、バイアグラとして1998年に米食品医薬品局から認可が下りた。
4. ペースメーカー

1958年、彼は間違ったトランジスターを手に取り、装置に組み込んでしまう。すぐ間違いに気がついたが、その結果には興味を惹かれた。スイッチを入れてみると、耳慣れたリズムが聞こえてくる…心臓の鼓動に類似したパターンだ。そして、動物実験を経て人間で試されたのは、1960年のことだ。
3. マジックテープ

完成したのは1955年のことで、今日でも日常のいたるところで使われている。なお、宇宙飛行士が無重力下で物を置いたり、チェスで遊んだりする際など、NASAのミッションには多くのマジックテープが使われている。このため、NASAが開発したものだという噂があるが、あくまで噂だ。
2. ペニシリン

このペニシリンの偶然の発見が再度スポットライトを浴びるようになったのは、その13年後、ハワード・フローリー、ノーマン・ヒートレイ、アンドリュー・モイヤーがカビを成長の早い種へ切り替えたときだ。これによって、治験で使えるだけの量を生産できるようになった。そして、世界中で大勢の命を救うことになる。
1. 麻酔

1800年代にはこのガスを吸い込む遊びが軽く流行していた。この遊びを目撃したことが、発明者が痛覚への影響に気がつく切っ掛けとなった。例えば、臨床の場では、1844年にホーレス・ウェルズが笑気ガスの影響下にある足に怪我を負った患者を診察している。この男性は足から出血しているのに、痛みを感じないと語っていた。この発見以降、ウェルズは抜歯の際の麻酔としてガスを使っている。こうして医療の現場へ広まって行った。
via:geniusstuff・原文翻訳:hiroching
●セレンディピティの語源
「セレンディピティ(serendipity)」という言葉は、『セレンディップの3人の王子』という童話にちなんで、イギリスの政治家・小説家のホレス・ウォルボールが1754年に生み出した造語だそうだ。童話の主人公に、このような発見の能力があったことに由来している。ウォルポールは友人に宛てた書簡に、自分の発見について説明するときにこの言葉を使ったのが最初だと言われている。
▼あわせて読みたい「セレンディピティ(serendipity)」という言葉は、『セレンディップの3人の王子』という童話にちなんで、イギリスの政治家・小説家のホレス・ウォルボールが1754年に生み出した造語だそうだ。童話の主人公に、このような発見の能力があったことに由来している。ウォルポールは友人に宛てた書簡に、自分の発見について説明するときにこの言葉を使ったのが最初だと言われている。
この私の発見は、私に言わせればまさに「セレンディピティ」です。このセレンディピティという言葉は、とても表現力に満ちた言葉です。この言葉を理解していただくには、へたに語の定義などするよりも、その物語を引用したほうがずっとよいでしょう。かつて私は『セレンディップの3人の王子』という童話を読んだことがあるのですが、そのお話において、王子たちは旅の途中、いつも意外な出来事と遭遇し、彼らの聡明さによって、彼らがもともと探していなかった何かを発見するのです。たとえば、王子の一人は、自分が進んでいる道を少し前に片目のロバが歩いていたことを発見します。なぜ分かったかというと、道の左側の草だけが食べられていたためなのです。さあ、これで「セレンディピティ」がどのようなものか理解していただけたでしょう?





コメント
1. 匿名処理班
納豆。
2. 匿名処理班
コンタミから新薬…はちょっと違う話か
3. 匿名処理班
セレブセブンティーン?(難聴)
4. 匿名処理班
納豆もビールも失敗から始まったというし
なまこやふぐも多くの失敗から安全に食べれるように
なったのだろうな
5. 匿名処理班
スペンサーさんが溶けなかったおかげで今日も冷凍食品が食べられる。
6. 匿名処理班
ペニシリンは有名だよなー
ちなみにセレンディップってのはスリランカのことだったり
7. 匿名処理班
>幸いなことにスペンサーは溶けていなかった。
良かった。本当に良かった。
8. 匿名処理班
『サランラップ』とか『ポストイット』とか…ある場面では失敗作でも、違う場面ではとっても役立つ。
人間の個性も似たようなもんかな。
9. 匿名処理班
セレンディピティと言えばピュア島の仲間たち・・・
10. 匿名処理班
こういった偶然に気づけるのが凄いなあ
観察力ってのは本当に大事だ
11. 匿名処理班
ん?麻酔を使った初手術は我が国の偉大な華岡青州さんじゃあ
なかったけか?(´・ω・`)
12. 匿名処理班
誤ってパン生地の主要な原料である茹でた小麦って何?
パン生地の原料は干した小麦を粉にしたものであって、ゆでた小麦じゃないだろ?
13. 匿名処理班
麻酔に関しては諸説あるんだよ。あと、日本でやってたのは技術として確立できずに名医の名人芸で終わっちゃったからな
14. 匿名処理班
電子レンジの技術の元は、旧日本軍の研究所から持ち出されたんだぜ。
パルス兵器を研究していた所らしい。
15. 匿名処理班
大失敗・偶然から生まれた最高の発明品
でググると色々見れて面白い。
私のアイデアもみんなの暮らしの不便が解決できれば
いいなと思い審査請求して無事特許登録できました。
高かった…。いつまでも解決できていない問題と戦うのは
面白い。世の中まだまだ不便な事だらけだからねえ。
商品化した時に低価格で製造できるための設計が難しい。
16. 匿名処理班
華岡青洲は確かに麻酔の手術をしたが
麻酔の実験台になっていた妻が副作用で失明してしまったという
大変危ない方法だった
17. 匿名処理班
世界初の「全身麻酔」手術に成功したのが華岡清州じゃなかったっけ?
18. 匿名処理班
ピュア島の仲間たち?とか思った。
19. 匿名処理班
※16
昔は全部人体実験。仕方ない。
20. 匿名処理班
※12
おそらくオートミールの類かと
21. 匿名処理班
ケロッグさんでよかったよ。ゲロさんだったら牛乳かけて食べ初めて、最後の方のフレークは食べる気になれない
22. 匿名処理班
ミノキシジルは元々高血圧の薬なんだけど、副作用で発毛効果があるんだ。
当然、世界的に売れてるのは頭髪目的の方
23. 匿名処理班
実験後手も洗わずに手づかみでパン食べるとは、危ないことするなあ
24. 匿名処理班
※24
薬品を便器に流すタイプの研究者だな
25. 匿名処理班
>7. サッカリン
手を洗おうよ・・・。
26. 匿名処理班
セレンゲティ国立公園と発明がどう関係するのか
と思った俺はもうだめだ
27. 匿名処理班
確か、テレビアンテナの元祖八木アンテナも、電波受信実験中に偶然材料が転がって接触した事で発明されたんだ
偶然でいろいろ構成される世の中、偶然は凄い!
28. 匿名処理班
コンタミ、偶然の発明といったら、
電卓の液晶もそうだっけ?
29. 匿名処理班
ポストイットも、弱粘着性のボンドの失敗から生まれたんだよね。
30. 匿名処理班
3のマジックテープは作ろうとして作ってるよね。
31. 匿名処理班
インターネットは元は軍事用の通信網を民間用に転用した結果
32. 匿名処理班
電子レンジの説明は100%嘘だな
飴だけ溶けて、人間が溶けないなら調理できないじゃん
レンジは宇宙人の技術だよ
33. 匿名処理班
ピュア島の仲間たち、もういっぺん見たいんだけどなあ…
34. 匿名処理班
細かいことを言うとマジックテープは登録商標名。
35. 匿名処理班
ホッカイロもたしか乾燥剤作ろうとして偶然できたんだよな
36. 匿名処理班
※2
塩化リゾチームのことですかね。
鼻水も役に立ちます。
37. 匿名処理班
カラパイアで興味のある情報を探していたら
興味のある情報以上のものを発見した
セレンディピティという言葉はその一つである
そうか、求めていたのは情報ではなく発見だったんだ
ポルナレフのAAが脳裏をよぎる
あ ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
「おれはカラパイアの情報を探していると
思ったらいつのまにか探していなかった」(以下略
38. 匿名処理班
ちなみにサッカリンの人は合成した化合物の中で甘味のある化合物はどれかを特定するために、実際に全ての化合物を舐めて確かめたという命知らずな事をしている。
39. 匿名処理班
「 幸運は準備された心に訪れる。 」
その事について考え続けた人の前に女神は微笑むのだね。
40. 匿名処理班
サリドマイドも中々面白い。
もともと別の薬として研究されてたけど、全然薬効が認められなくてボツになりかける。
でも眠くなる副作用に目をつけて睡眠薬として販売。
サリドマイド児が大問題になって存在が抹消されかける。
実はハンセン氏病の特効薬であることが発見される。ついでにサリドマイド児が血管新生を阻害された結果だと分かってガンの特効薬としても注目される。
浮いたり沈んだり、なんて波乱万丈な薬。
41. 匿名処理班
ノーベル賞の田中さんも確か
途中で失敗作だと判明したけど、実験中断しないで最後まで観察した結果だったっけか
42. 匿名処理班
支払いはまかせろー。
43. 匿名処理班
瞬間接着剤も偶然の発明だと聞いた
44. 匿名処理班
マジックテープは最初どっかの民家の人が開発して、衣服として売ってたんだけど
ださくて売れなかった所を、NASAの宇宙服を開発してた人がマジックテープを見てこれは使える!とことで採用したと、前にテレビでやってたな。
45. 匿名処理班
島根大学客員教授の久保田邦親博士は、ロボットの巨大化にかかわるブレークスルーに関する理論を発表した。
従来より、ロボットの関節機構は巨大化すればするほど、自重のほうが面積より大きくなるので、関節機構が
ネックになり開発が困難と考えられていた。その境界潤滑問題にナノレベルのメカニズムを明らかにした。
それを炭素結晶の競合モデル(CCSCモデル)というのだが、摩擦面圧を上げるとダイヤモンドが生成しやすく
なり、機械の摩擦損傷が激しくなるのでロボットは巨大化できないとする原因を解明したことになる。
これに従えば、ダイヤモンドをつくらないトライボシステムを界面にデザインすることでガンダムみたいな
巨大モビルスーツが出来る可能性があることになる。
46. 匿名処理班
ダイセルの首席技師でもあるみたいですね。そのトライボロジー理論、自動車の燃費にも効くし、その他の機械、発電機、産業機械、鉄道、船舶、航空機などにも波及効果があるって話ですね。
47. 匿名処理班
SLD-MAGICは今や冷間プレス型のスタンダード化してきましたね。こうなると、最も過酷な冷間鍛造分野の技術は広い範囲に波及しそうですね。
48. 匿名処理班
博士は、痛風(帝王病)になってこの理論を着想したらしい。まさにセレンディピティ。
49. じょん・すみす
宇宙船内での”ベルクロ”は確かに便利だったんだが、アポロ1号での
火災の際に、船内で大量に使われた”ベルクロ”が
火災を強くした疑いはあるんだ。
まぁ、船内に1気圧以上の純酸素が詰め込まれていたのが
最大の問題だったんだけど。