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NASAが金星上空に衛星都市、クラウドシティの建設を構想中。火星コロニーよりも現実的?

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(著)

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 金星の表面は非常に過酷な環境下にあり、この惑星に人類が降り立つにはまだしばらく時間がかかるかもしれない。NASAではこの環境を克服するために、金星の上空に有人の飛行船を飛ばそうという構想を練っているらしい。

 この計画を考案しているのは、NASAラングレー研究所にあるシステム分析兼コンセプト理事会宇宙ミッション分析部門(Space Mission Analysis Branch of Systems Analysis and Concepts Directorate)のデール・アーニー氏とクリス・ジョーンズ氏だ。同部門によれば、金星への有人飛行の方が火星へのミッションよりも現実的なのだそうで、最終的に人類の恒久的な移住を目指している。

 金星の上空50kmにある大気は、ほぼ地球と同じ気圧であり、重力もわずかに小さいだけだ。これに対して、火星の場合、地球の100/1以下の”海面”気圧であり、重力も40%程度しかない。金星上空は人類が移住するに十分ふさわしい環境を持っているのである。

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 金星の50km上空の気温は75℃前後で、地球で記録された最も熱い気温より17℃上回るだけである。一方、火星の平均気温は-63℃であり、人類にはあまりにも過酷すぎる。

 さらにこの高度であれば、太陽光発電が利用できると同時に、太陽の放射線からも身を守ることができる。金星の方が火星よりもずっと近いことも特筆すべきことだろう。地球から火星まで往復650~900日必要なのに対して、金星なら440日で済むのだ。

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 本計画はHAVOCと呼ばれ、以下の5つのフェーズでなっている。

・フェーズ1:無人探査

・フェーズ2:軌道までの30日間有人ミッション

・フェーズ3:大気圏までの30日間有人ミッション

・フェーズ4:大気圏までの1年間有人ミッション

・フェーズ5:恒久的な人類の移住

 自動操縦による飛行船の大きさはグッドイヤーの飛行船”ブリンプ”の半分ほどだが、有人飛行するタイプでは全長130mに達する。ボディはソーラーパネルで覆われており、下部にはゴンドラを備えている。

 火星よりも現実的とは言え、金星への有人飛行も容易なミッションではない。まず金星軌道に飛行船を格納した宇宙船を前もって送りランデブーする必要がある。ここで輸送船に乗った宇宙飛行士は金星軌道上の飛行船とドッキングする。

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 着陸する表面が存在しないため、通常の”大気圏突入、降下、着陸”プロセスとは異なる。すなわち着陸はミッションの失敗を意味するのだ。金星ミッションで実施されるべきは、”大気圏突入、降下、ガス充填”なのだ。

 エアロシェルに守られた飛行船は秒速7,200mの速度で金星の大気圏に突入する。7分かけてエアロシェルが秒速450mまで減速した後、パラシュートを展開しさらに減速する。この時点でエアロシェアルが投棄され、秒速100mで大気圏を降下しながら飛行船は風船を膨張させる。パラシュートが必要なくなるまで充分に膨張した飛行船は、これも投棄し、金星表面50kmの上空で穏やかに浮かび上がる。

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 これが成功すれば、上空に吹く秒速100mの風に乗って、110時間で金星を1周できるようになる。飛行船の乗組員は将来的な有人ミッションに備えるために環境評価を実施する。また500℃、92気圧という金星の灼熱の大地を探査するための自動操縦車を投入することも可能だ。

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 火星の前に金星を目指すという本計画は、NASAに大幅な計画変更をもたらすものだ。それでも、雲の上に街を築き人類の移住を果たすという重要性を鑑みれば、HAVOCを完全に無視することはできないだろう。

A way to explore Venus

via:io9・原文翻訳:hiroching

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この記事へのコメント 58件

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  1. 「人が想像できることは、必ず人が実現できる」byジュール・ヴェルヌ
    ほんの30年前にはタブレット端末なんでSFでしかなかったのに今手にしていると思うと、数年後には宇宙ももっと身近になるのかな

    • +8
  2. 何故そうまでして金星の上空に留まる必要があるの?
    光合成して作物を作るのなら地球の上空じゃ駄目なの?
    と言うより、地球に人類が住み続けられなくなる事を
    前提とした研究よりも、この地球に如何にして永く人類が
    他の動植物と共に共存して行けるように考える方が大事じゃないの?

    • -19
    1. ※2
      共存するのが難しいからこうやって他のことも研究してるんだよ

      • -18
    2. ※2
      人類、いや生物は大昔からそうやって住む場所を拡張してきたんだが?
      今生きている地球の環境もそこに住める我々の体も、先祖の膨大な犠牲とチャレンジの結果だぞ。今、生きられる場所に留まり続け、最適化してしまった生き物はほぼ全て滅んでいる。

      • +9
    3. ※2
      両方研究すりゃいいんじゃね
      なんで二者択一なの

      • +5
    4. ※2
      金星や火星は、15世紀のアメリカ大陸
      ※41
      火星と金星の領有権は最初に見付けた我々ホモサピエンスにあるので好き放題なのだ!!

      • 評価
  3. 前に日本で気球を人工衛星の変わりにしようなんて
    記事を読んだ事がある、
    めちゃくちゃコストを安くできるんだそうで
    この金星の開発も上手くいくかもね

    • +6
    1. ※3
      それはすでに米露が偵察機として実用化・運用してるんで、多分、やらせてもらえない。

      • +1
  4. 地面に降り立てないのなら有人で行く必要性を感じない

    • -20
  5. にしても、92気圧・500度の高温高圧の灼熱地獄で、どうして金星探査機のコンピューターを始めとする機器類が、正常に作動したのだろう。
    (´・ω・`)

    • -3
    1. ※5
      装置類がすぐに温度が上がるわけじゃないから、上がりきって壊れる前に画像とか送ってきたんですね。 ベネラ9号とかで検索すると幸せになれると思われます。

      • +4
  6. こんなんだったら金星上空じゃなくても普通に住居型宇宙船で宇宙に浮遊していれば良いじゃん。

    • -1
    1. ※6
      宇宙船は宇宙空間に「浮遊」してるわけではなく、
      目にも止まらぬスピードを出す事で
      太陽に堕ち込まないようにしているだけ。
      太陽公転に縛られて行きたい方向に行けるわけでもない。
      気球のようにプカプカ浮いてる穏やかさとは大違い。
      それに宇宙には資源と呼べるものは太陽光くらいしか無い
      一方金星は高圧高温といえども足元に資源が豊富にあるし、
      風力や太陽光などの自然エネルギー発電も可能。
      どっちが天国で、どっちが地獄かは言わなくてもわかるでしょ。

      • +1
  7. Q. なぜこんな計画を?
    A. どんどん提案出していかないと、予算が削られるから

    • -10
  8. 地球の外部にたって、地球を相対的に見ることは大事だぜ
    そもそも、いずれ宇宙市民たることは避けられんだろ
    新大陸ではないが、新しい開拓地を目の前にして、そのつど人類は尻込みしてきたか?

    • 評価
  9. 最近良く聞く「テラフォーミング」、いわゆる
    惑星地球化改造ってヤツだが、イマイチ素直に
    受け入れられ無いネ。そうやって、ゴーインに
    人類宇宙移住したとしても、その移住人類は既
    に地球人類では無く無って居る事に注意しよう。

    • 評価
  10. 星野之宣の漫画に、金星の苛酷な環境に晒されたコンピュータが
    搭乗者に地獄を体験させる話があったなあ

    • -4
  11. 宇宙船で宇宙空間に滞在するのでは、宇宙線に晒されるのと、重力がないことによる生命にたいする障害がある。一方金星上空では、大気により宇宙線を防ぐことが出来、金星の重力も地球に近いということで、実現できればより居住しやすいということなのだろう。

    • 評価
  12. こういうのはドンドン進めるのがいい 夢がある
    俺は40半ばだが、小学生の頃、ガンダムやマクロスで
    将来は宇宙移民だと信じていた世代だ
    今、世界は方向性を失っている 拝金主義が主流となり
    若い世代は頑張って勉強してきても1回の失敗で回復不可能な状況だ
    そんなのを打破する為、起爆剤となる経済活動が必要だ
    宇宙移民・必要性もあるがまず夢がある ドンドンやればいい

    • +11
  13.  『自動操縦による飛行船の大きさはグッドイヤーの飛行船”ブリンプ”の半分ほどだが、有人飛行するタイプでは全長130mに達する。ボディはソーラーパネルで覆われており、下部にはゴンドラを備えている。』
    クイーン・エメラルダス号、発進!!

    • +4
  14. 金星の資源を活用して星間取引とかが確立されれば経済の幅も広がる。
    それに、こういうネタが無いと俺たちが開発するための予算も出ないし、停滞してしまう。
    じゃんじゃんやってくれ。

    • 評価
  15. 穴が開いても、内部は隔壁で仕切られてるから、あいた区画を修理すれば大丈夫ダョ。
    水に浮くか、空に浮くかの違いだけで、基本大型船と同じ造り。

    • +3
  16. 実現すればベスピンのクラウド・シティみたいなものが出来るのか!

    • +1
  17. 一番アメリカに追いつけ追い越せしてほしい分野だw 新たなるフロンティア目指せ!

    • +3
  18. ポルノグラフィティ「LOVE e-mail from Venus なんて素敵~ね~」

    • 評価
  19. 俄然『暁星記』が読みたくなった。金星は自転の向きが逆(自転軸が178度傾斜)。不思議な星です。

    • +1
  20. 火星地表より金星上空の方が環境が良いとか説明あるが、スペース・コロニーなら金星上空である必要ないよなあ
    要するに金星の大規模調査船てことか?

    • +1
  21. 気温は75℃前後って、さらっと言ってるけど
    太陽光とかでエアコン稼働させれば凌げる程度?

    • +1
  22. AQUAの浮島みたいなものができるのかな。
    取り敢えずネオ・ヴェネチアをはやく作ってください。

    • +4
  23. そんな熱いとこ、だれが行きたがるんだ?
    船内の温度管理が大変そう。

    • -1
  24. 田舎に土地が有り余ってるのに、何故宇宙と思う。

    • +4
  25. 恒常的に生活できる環境を求めるならやはり金星も目指すべきだと思う
    こういうのから始めて少しずつテラフォーミングしていけばいい
    火星は取っ掛かり易いだろうが重力はどうにもならないし

    • 評価
  26. 酸素は人工的に改良した藻類やら光触媒を使った変換器とか発明して生成することになんのかね
    飛行船も素材とか構造を気を付けないと一瞬でお陀仏になりそう
    でも夢はあるよね

    • 評価
  27. 75℃とかめっちゃ熱いやんと思ったけど
    サウナよりちょっと温めと考えると水さえあればイケるか

    • -5
  28. テラフォーミングなんていう究極の環境破壊は賛同しかねる

    • +2
  29. 金星へ行く方が凄い深いとこの深海へ行くよりもやっぱり簡単なのか。
    面白いもんだなぁ

    • 評価
  30. やっぱ1Gは魅力的だよな
    ただ落ちたら確実に死ぬけどな60気圧とか凄すぎ

    • 評価
  31. 気球が墜落して大惨事になる未来しか見えない・・・
    と言うかまず地球の上空で実現させないとね

    • -8
  32. 金星の大気は400℃以上だっけね。
    飛び降りたら地上に激突する前に熱で焼け死んじゃうな

    • 評価
  33. 関係ないけど、少し前の漫画「銃夢 LO」の金星共和国と同じだ
    同じ科学的根拠を元に構想したんだろうけど…考証しっかりしてんだなーと

    • +3
  34. 落ちたら溶けるわ
    一日滞在するならともかく住むのは絶対嫌だw

    • 評価
  35. 着陸できないならあんまり意味ない、って言う人もいるけど
    何とかして大気中の二酸化炭素を減らせれば、冷えて上陸できるようになる。
    クラウドシティはそのとっかかりになると思うよ。

    • +2
  36. 大気に生息するタイプの藻類がこの時に金星に定着して、一億年後くらいには涼しい星になるかもね

    • 評価
  37. 金星の地表の写真がどこかにあったな
    うっすら見える青空から本当にそんな過酷な星なのか?と思ったよ
    地表といっても岩場の写真で青空はほんのちょっとしか写ってなかったけどさ

    • +4
    1. ※48
      着陸できなきゃ意味ないというかこれは地表探査の足がかりでもあるよな

      • 評価
  38. ガスコンロとか、活火山火口の上で生活するみたいなもんか?行きたいくねえ

    • 評価
  39. シータの台詞が思い出される。人は大地を離れては生きていけないのよ!
    しかし熱を発生させることは割かし簡単だが、廃熱となるとなかなか大変なように思う。
    しかも秒速100Mの嵐の中、窓の外は分厚い赤いガスの景色のみ上もしたも近いも遠いも
    よく分らないだろうな。想像しただけで気がめいる。

    • +2
  40. 遠方に地球型惑星を探しても辿り着くのは難しいし、
    陸では住めないながらも重力や大気、その成分等を利用してコロニーを形成できないもんなのか。
    などと考えたことあったんだけど、やっぱり本職の方も色々考えるものなのね。

    • 評価
  41. 人工重力発生装置でもない限り、地球より重力の小さい火星よりほぼ同じ大きさと重力の金星の方が人類の居住に向いているだろうな。火星を温めるより金星を冷やす方が難しいのかな?

    • 評価
  42. 金星に行きやすい住みやすいとしても
    行く必要性があるのか疑問
    火星なら鉱物資源やらなんやら色々あるけど
    金星の空って事は気体だけでしょ?

    • 評価
  43. 全球凍結やらスーパープルームやら巨大隕石落下やら、数億年ごとに必ず人類滅亡レベルの天災が発生してるので、人類滅亡を防ぐ保険として他の惑星に移住できる技術を確立するのは賛成。
    欲を言えば太陽の寿命が尽きる前に、他の恒星系まで移住できる技術を確立できれば人類の勝利。

    • 評価
  44. 夢のある話だけれど太陽が膨張して住めなくなる時期は地球より金星上空の都市の方が早いのだから火星に予算つぎ込んだ方がいいと思う

    • 評価

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