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後を追うように亡くなるのはなぜか。愛する人を失った時に発症する傷心シンドロームとは

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(著)

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 「懐かしい痛みだわ。ずっと前に忘れていた・・・」。失恋と聞いてすらっとこの歌詞が脳裏に浮かんでしまうパルモはレトロ症候群であるわけなのだが、果たして人は傷心で死ぬことはあるのだろうか?

 答えはどうやらイエスのようである。

 仲睦まじい夫婦のどちらかが先に亡くなった場合、残された1人が、その後を追うようにして1か月以内に亡くなるという事例は世界各国で報告されている。

 先月、ウェールズ在住のマーガレット・ウィリアムズさんの葬儀がしめやかに催された。夫のエドモンドさんは亡くなった妻のマーガレットさんに自作の詩を捧げた。彼らは60年間に渡って連れ添った夫婦で、90歳が近いと言うのに、手をつないで散歩に出るほど愛し合っていた。

 ところがマーガレットさんの死後1週間が過ぎ、こんどはエドモンドさんまでがこの世を去った。彼は悲しみに打ちひしがれる中、天国へ旅立ったようだ。妻の葬儀は夫婦の葬儀となってしまい、2つの棺が並べられた。生前と同様、死後も結ばれたのだ。

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天国へ旅立ったマーガレットさんと1週間後に旅立ったエドモンドさん

 同じ月のことだ。101歳のクリフォード・ハートランドさんは、病院から退院したばかりの妻マージョリーさんが帰宅するのを待つ間に亡くなった。そしてその晩、マージョリーさんも亡くなった。奇しくも76回目の結婚記念日であった。

 こうした悲しい出来事は様々な場所で起きている。まるで何らかの法則性が潜んでいるかのようだ。そして、きっとそれはあるのだろう。

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 今年始め『JAMAインターナル・メディシン』誌に掲載された研究で、愛する人を亡くした人が同じ月に心臓発作や脳梗塞を起こした件数は、そうでない人と比べて2倍にも達することがわかった。

 人は傷心から死んでしまうことがあるのだ。

 この「傷心シンドローム」は正式には””たこつぼ心筋症(ストレス性心身症)”という。英国心臓基金では「心臓の筋肉が突然衰弱する、または麻痺する一時的な症状。心室の一つ、左心室の形状が変化する」と定義している。突然のストレスによって左心室が膨張し、心臓がたこつぼの様なくびれた形状をとることに由来する。

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たこつぼ心筋症患者の胸部レントゲン写真

 これは強いショックによって引き起こされる。たこつぼ心筋症患者の4分の3が発症前に感情的ないしは身体的ストレスを経験している。死別はもちろんだが、それだけというわけではない。

 同僚のいたずらで驚いたり、大勢の前で話すことで受けるストレスによっても罹患したという記録もある。これはアドレナリンなどのホルモンの急激な放出が、心筋の麻痺を引き起こすことが原因と考えられている。したがって血液の供給が阻害されたことで引き起こされる一般的な心臓発作とは別物である。

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たこつぼ心筋症を患う多くの人の冠状動脈はかなり正常な状態にあり、深刻な閉塞が見られない。したがって、やがてストレスが消え去れば、心臓の形状は元の状態へ戻り、自然に回復する。しかし高齢者などの一部の人たちは、これによって致命的な心臓発作が引き起こされてしまう。

 相互に協力的な夫婦の場合、互いにストレスを軽減しあっている点も研究者は指摘する。また日々の薬を飲むよう促したり、飲み過ぎないよう注意したりするなど、互いに監視しあうことで健康的な生活習慣も形成されやすい。こうしたことも仲のいい夫婦にたこつぼ心筋症が発生する背景となっていると考えられる。

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via:bbc・原文翻訳:hiroching

 「傷心シンドローム」の正体が何にせよ、その結果はほろ苦い。2人の家族を同時に失った人の悲しみは深い。しかし、それだけ彼らが深く愛し合い、充実した人生を送っていた証であることも多いのだ。

 エドムンド・ウィリアムズさんが妻マーガレットさんに捧げた詩には、「固く結ばれた2人の恋人」が「時の終わり」に向かって旅をすると詠まれている。

 日本でも配偶者を亡くした人が早々に旅立ってしまうという話はよく耳にする。特に妻に先立たれた夫に多いように感じる。ずっと連れ添ってきた家族がいなくなってしまった心の傷は年齢を重ねれば重ねるほどに癒すのが難しいようだ。

 だが本文にあるようにそれだけ生前、充実した人生を送っていたということなのだろう。人間のみならず、ペットの場合にも、”別離”は人の心に大きく作用する。だがその傷をいやすことができるのも人間に備わっている能力の一つである。巡り合えたこと、一緒に暮らせた喜びという大きな宝物を得たのだから、今度はその宝物を壊さぬように持ち続け、また新しい出会いにつなげていくこともできるはずだ。

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この記事へのコメント 30件

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  1. 夫を亡くした妻よりも、妻を亡くした夫のほうが、先立たれてより早死にするってどこかで聞いたなぁ

    • +5
  2. とりあえずたこつぼ心筋症は一過性のものだから
    例え同僚に驚かされてもブチ切れる必要はないと補足

    • +2
  3. 一方うちのジジイは相方を亡くした後もゴルフだパチ.ンコだと遊び呆けているのであった。
    年金で。

    • +3
  4. 何年か前、親父のいとこが奥さんを亡くしてすぐに亡くなった。
    急なことで、本当に近親の方以外に死因は伝えられなかったから、ひょっとして自殺かと思ってたけど、違うのかもしれないな。
    だとしたら、充実した人生だったのだろうな。

    • +1
  5. タイハクオウムは、自殺するほど繊細と漫画知識披露。
    見知らぬ環境でストレス過多で死んでまうのは、補食行動しないのは、動物特有の現象じゃね?

    • -1
  6. 確かに失恋や配偶者の死はつらいが時間が解決してくれる。
    日常的なストレスのほうが死因としては大きいと思う。

    • 評価
  7. 妻に先立たれた夫が後を追う様に死んでしまう原因の多くは栄養失調だと聞いたことがあるよ。
    直接の原因は肺炎などの病気だったりするんだけど、妻がいなくなると生活習慣が一気に悪化するので高齢だとその変化に耐えられないんだとか。

    • -2
  8. 妻に先立たれた夫は栄養管理が疎かになって生活習慣病を患い易いって話しがあったが

    • +5
  9. どんな自慢もうんうんと聞いてくれる相手と、ヨイショしてくれる相手と、親身に家事してくれる唯一の相手である母親を失ったら、うちの父親早死するだろうなと思う。
    それかボケるか…

    • +5
  10. 告白→失恋→1週間落ち込む・・・・・
    なるほど、これが理由か・・・・・・・(-▽-。)

    • +2
  11. やはり人は一人では生きてゆけないんだな

    • 評価
  12. Sweet memories~♪
    パルモさん、懐かしくて口ずさんでしまいました(笑)

    • +2
      1. ※17
        心臓が痛むようになっても、亡くした存在のことを思うと、わざわざ回復しに病院へ行こうと思うこともないしね。
        失ったものがとても大きくて、これからそれに代わりうるものを得られそうもない場合、本人も自動的に後を追える仕組みというのは、幸せな仕組みなのかもしれない。

        • +4
  13. 辛くて死なないまでも、死ぬ直前まで行ったことはありますね。
    やっぱ一人じゃ寂しいです。

    • 評価
  14. 大切な人、ペットを失うと心の一部が無くなったような虚無感を感じるんだよね
    心の一部が死んだような感じだなぁ

    • +1
  15. 元記事読んだら英語でも正式に“ takotsubo cardiomyopathy”なのね
    “傷心シンドローム”の方が文学的だよな…

    • +1
    1. ※18
      大丈夫、本当のダメオヤジは夫原病で妻を死なせるから

      • +1
  16. 医学的に説明すると詰まらない話になってしまう感じがする。でも、最初に出てきた老夫婦の話は。悲しいながらも心が温まる話でもあるなあ。そういう夫婦関係が築けた人々は人生の真の成功者と言えるだろう。

    • +2
  17. 犬もそうだよ
    親が飼っていた犬は相棒が死んだらその2週間後に(健康なのに)急死した
    自分が飼っている犬は、子供の時からずっといっしょのシェルティと柴だったんだけど、
    シェルティが天国にいってから、食いしん坊の柴が全くご飯を食べなくなった
    病院で点滴してもらったり、ササミを湯がいてさいてあげたりしてやっとガリガリから普通体型になってくれた
    3ヶ月かかった
    今、ちょうど相方のシェルティが旅立ってから1年目
    柴は散歩も食事もするようになったけど、真っ黒だったひげが一気に白くなってしまった
    吠えなくなってなんだか弱々しい・・・
    すごく心配(彼女はまだ8歳)

    • +1
  18. 正直、ちょっと羨ましいよ。
    個人的には、それはそれで最高の人生の終わり方だと思う。

    • +2
  19. うちのばあちゃんがこんな感じだったなぁ
    じいちゃん肝臓悪く歳も結構いって寝たきりになっちゃったけど、ばあちゃんは甲斐甲斐しく世話して車で買い物行ったりするほど元気だった、遊びに行くと必ずハーゲンダッツの抹茶味を冷凍庫に置いててくれたしwじいちゃんの髭じょりじょり触って遊んでると舌で舐めようとしてきたりwけどじいちゃんが死んじゃったら一年たたない内にみるみる元気失くしていってじいちゃんみたく寝たきりになってそのままいっちゃった
    ばあちゃんじいちゃんにべた惚れだった聞いた覚えあるからこれはなんとなくわかる
    本当良い夫婦だったとおもう書いてて泣いちゃったわw

    • +5
  20. 90年代の連続テレビ小説のどれかで、主人公と縁の深かった老夫婦が居て
    その旦那が病院で亡くなったあと、後を追うように奥さんも旦那の仏前で亡くなってたってのがあったのを思いだした。

    • 評価
  21. こればかりは天に任せるしかないけど、置いてくのも置いてかれるのも本当にいや。
    ほぼ同時にお迎えがきたらいいのにね、って配偶者とよく話す。

    • 評価
  22. うちの近所の老夫婦もおばあさんが亡くなった2日後におじいさんが亡くなったことがあったな。亡くなる時期まで一緒なんてオシドリ夫婦だったんだねえってみんなで話してたわ。

    • 評価
  23. みんなが真面目に語ってるとこ、場を荒らすようで悪いんだけど
    タイトルの「答えはイエス」を読んで
    え?キリストがどうしたって?と思ったことを、告白するわ

    • 評価
  24. 本文を必死でこらえて読んでたけど。
    >一緒に暮らせた喜びという大きな宝物
    パルモさんのこの言葉まで読んで、涙腺崩壊。

    • 評価
  25. 松田聖子さんの曲でやすね。懐かしいお。
    姐さんはプリティなイメージでやす。

    あたしゃ、万年戦艦大和か島風なもんで。全戦全敗撃沈でやす。だからと言って、間違っても中森明菜さんの難破船みたくロマンチックなイメージじゃござんせん。

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