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悪魔の指と呼ばれるキノコ。赤くて臭いタコスッポンタケ

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(著)

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Image Credit Wikimedia
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 毒々しい赤色で、タコのような触手をもつこの生き物、遺伝子組み換えではなく、まぎれもなく自然が作り出したキノコだ。

 英語の学名はクラスルス・アーチェリで、英語圏では「Octopus stinkhorn」(タコの臭いツノ)や「Devil’s fingers」(悪魔の指)と呼ばれることもある。日本では一般に「タコスッポンタケ」と呼ばれている。

 この和名は、このキノコが「スッポンタケ科(Phallaceae)」に属していることに由来する。英語の学名はギリシャ語のphallos(男根)に由来するのだが、それがどういうわけか日本語訳されたときにスッポンになった。

 ここでは便宜上タコスッポンタケとして話を進めさせていただこう。でもってこのキノコ、見た目もアレだがニオイも強烈で、嗅いだだけで気分を悪くする人もいるという。 

 まずはこのドクドクしい映像を見てほしい。

 タコスッポンタケの成長を早回しにしたものだ。

 タコスッポンタケは北米、アジア、ヨーロッパなどどこでもみられるが、元々はオーストラリア原産。スペルンペント(superumpent)という卵のようなものから、孵化するように芽を出して成長する。

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mage Credit Flickr User Jose Delgar
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Image Credit Flickr User Jan Parie

 まず先端に4本から7本の長くしなやかな腕を伸ばす。数時間でずい柱部分が伸び、腕がほどけてだらりとなって、まるでタコの足がのたくっているような格好になる。タコスッポンタケはこの触手状態の姿がよく知られている。

 子実体の内部の胞子をつくる多肉質組織グレバは、まさにタコを思わせる。しかし、胞子が空気にさらされて数時間もすると、キノコは崩壊し始める。

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Image Credit Wikimedia

 スッポンタケの仲間は、成熟すると腐肉のような悪臭を放つ。つまり、このキノコは哺乳類や鳥類ではなく、卵を産みつける最適な場所を探しているハエを惹きつけるために、このような姿に進化してきた。

 ハエがこのキノコにとまると、だまされたと気づいてすぐに飛び去るが、そのとき、グレバがハエの体にくっついて運ばれ、胞子が拡散するというわけだ。

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mage Credit Wikimedia

 においは強烈だが、このキノコはいちおう食べられる。ラディッシュのような味がするという。また、油で揚げると魚のような味がするとも言われている。

 オーストラリアのアボリジニはやむを得ない場合の最後の手段として食べていたらしい。つまり食用には適しない。それなのに、なぜこんなキノコがオーストラリア以外の国にも広がったのだろうか? 原産地以外で繁殖する利点はなんだったのだろう?

 偶然が重なった結果のようだ。19世紀の終わりから20世紀の始め、オーストラリアは大量のウールをヨーロッパの紡績工場に輸出した。

 このキノコが最初に発見されたのは、1918年第一次大戦中のフランスで、オーストラリアの部隊が駐留していた軍事基地の近くだったという。

 いったん根付くと、小さいが生命力の強いこのスッポンタケは、新たな生息地を広げて次々と繁殖していった。

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Image Credit Wikimedia

 アメリカの場合、初めて発見されたのは1980年代。アメリカに輸入された外来植物の土からもたらされたと思われていた。本来の野生動物や植物に脅威を与えないとみなされた侵入生物種だ。

References: Kuriositas

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この記事へのコメント 53件

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  1. おぞましいな。
    この姿に加えてタコスッポンっていうマヌケな名前。
    おまけにハエまで騙すのかよ。

    • +45
  2. 写真でアップで見るから不気味さ増してるけど実際に山の中で見ると
    どんな毒々しいキノコもすごく必然的な色とデザインに見える。

    • +8
  3. これどう見てもエイリアンの侵略だろ
    >superumpentという卵のようなものから、孵化するように芽を出して成長する。まず先端に4本から7本の長くしなやかな腕を伸ばす。
    植物性のフェイスハガーかよ!

    • +13
  4. \くぱぁ/
    このキノコが世界各国で広まったのは胞子をつけたハエが輸送船に紛れ込んだからなんだろうな

    • +3
  5. 食べられるとあるけれども、最初に食べた人凄い。
    気持ち悪くて遺伝子レベルで拒否する。

    • +1
  6. 目も鼻も耳も知能もないのに
    どうやってハエが腐臭を好むことを知ったんだろう

    • +28
  7. なんでこんなの食えると思ったの?バカなの?

    • 評価
  8. アボリジニの方々が最終手段って どんなLvだよ。。。

    • 評価
  9. 最初に食べようと思った人は毒があるとは思わなかったのか。

    • 評価
  10. 魔界から召喚された悪魔みたいだ・・・

    • 評価
  11. 地面に、本体が埋まってる
    これを撮影した記者は、その後の消息を知る者は誰もいない

    • +6
  12. 100年で世界中に広まったってことか
    凄いなぁ

    • +1
  13. きもちわるーーー。でもハエを呼ぶってのは効率的だなと思った。

    • +2
  14. どう進化すればこういう植物が残るんだか。わからん。

    • +1
  15. 所属はスッポン
    名前はタコ
    成長過程はエッグチェンバー
    すばらしい

    • 評価
  16. マーカー?
    ネクロモーフの発生も近いな・・・

    • 評価
  17. 最初に食べた人はよほど他に食べ物がなかったんだろうなあ

    • +1
  18. アボリジニーは森を燃やして狩猟をしてたから 食べ物がなくなってもしょうがない まさに自業自得

    • 評価
  19. 「キノコホラーサスペンス」←ムダに気になるw

    • 評価
  20. ツマミタケやサンコタケ、スッポンタケ他、こういう類は卵を持ち帰って土に埋めておけばキノコが見れます。  我家では庭にキツネノタイマツを居着かせて、冬以外の季節は散発的に出る様になってる。赤いのが突如『ぽつ』っと生える様はかなりグっときます。
    球根を植えて花を咲かせるのと同じ感覚で、キノコの出る庭お勧め!

    • -4
  21. 完全にエイリアンそのものな動画。
    菌類学者なんて21世紀の現在ですら、新種とおぼしいキノコは自身が食味する事でしか毒の有無を判定できないなるローテクぶりWWW
    どこの誰かは知らんが、よくもまあ、こんな見た目猛毒の悪臭ふんぷんたるキノコを調理して食べてみたもんだ・・・凄えつわものだな(苦笑

    • +3
  22. 成長動画グロすぎワロエナイ
    なんか遊星からの物体Xが正体現すシーンをスローにした感じで生理的に無理

    • +9
  23. ねちゃねちゃしてる黒い部分なんなんだよ…
    胞子?

    • +2
  24. 赤いだけならいいんだよ、赤いだけなら。
    なんだよその黒いのーーー!!

    • 評価
  25. 菌類と軟体動物。生物種としての系統が天文学的に離れてても、相似だっけ、たぶん組織形成の部分的な遺伝子パターンが似てるからこんな愉快な一致を見るんだよな。
    と、一般論みたいに言ったが、ここまですごい例は知らん。でもあるんだろな。

    • +1
  26. >1918年第一次対戦中
    ×対戦 ○大戦
    誤字ってます。

    • +7
  27. これ完全にSAN値直葬系のアレですよね…いあいあ

    • +1
  28.  本来の野生動物や植物に脅威を与えないとみなされた侵入生物種だ。
    この一文が好き。

    • 評価

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