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地球の海が暗くなっている、過去20年で光が届かなくなった海域が5分の1に拡大

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(著)

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暗い海をイメージした図この画像を大きなサイズで見る
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 イギリスの研究機関が行った最新の研究によると、ここ20年間で世界の海洋の5分の1以上が暗くなっているそうだ。

 その範囲は7,500万km2、じつにアフリカ大陸の2倍もの面積で海に差し込む光の量が減っている。場所によっては100mも太陽の光が届く領域が浅くなっているという。

 それが意味するのは、海の生物の9割が暮らす領域が狭くなっているということだ。「海洋の暗化」の影響は、海の生態系だけでなく、地上で生きる私にもおよぶ恐れがあると研究者は警鐘を鳴らしている。

この研究は『Global Change Biology』(2025年5月27日付)に掲載された。

世界の海が暗くなっている

 イギリス、プリマス大学などの研究チームは、衛星データと数値モデルを組み合わせて、「有光層(ゆうこうそう)」の変化を調べる

 有光層は太陽光が海中に届いて光合成が可能な水深領域のことで、海洋生物の90%がこの層に生息する。

 分析の結果明らかになったのは、この重要な領域で驚くような変化が起きているということだ。

 なんと2003~2022年の約20年にかけて、世界の海の21%が暗くなっていたことがわかったのだ。

 しかも9%以上の海域(3,200万km2、アフリカ大陸に匹敵)では有光層が50m以上、2.6%では100m以上浅くなっていた。

 こうした海の暗化は、外洋と沿岸部のどちらでも起きている。

 たとえば、外洋でとりわけ大きな変化が見られたのは、メキシコ湾流と北極・南極周辺だ。さらにバルト海のような内海でも同様の暗化が広く確認されている。

 ただし、すべての海が暗くなっているわけではない。およそ10%の海域は、有光層が明るくなっていたことが確認されているのだ。

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2003〜022年にかけての世界の有光層の変化を示した地図。赤は暗くなった海、青は明るくなった海、白は変化がなかった海を示す/Credit: University of Plymouth

なぜ海に差し込む光が減っているのか?

 では何が原因で海は暗くなっているのだろう?

 確かなことは不明だが、外洋については、植物プランクトンの大量発生パターンや水温が変化したことが関係していると考えられている。それによってサングラスのように光が遮られ、有光層へ差し込む光が減ったのだ。

 また沿岸部では、農業排水や降水量が増えたことで、栄養・有機物・堆積物が流れ込みやすくなったことが要因として指摘されている。

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イギリスおよび北大西洋周辺の変化。赤は暗くなった海、青は明るくなった海を示す/Credit: University of Plymouth

海洋生態系と人間社会に影響

 こうした海の暗化がどのような結果をもたらすのか、はっきりしたことはわからない。だが、海洋生物や生態系サービスに深刻な影響を与える恐れがあると、研究チームは警鐘を鳴らしている。

 プリマス大学のトーマス・デイヴィス博士は、ここ20年ほどの間、おそらくはプランクトンの影響で、海面の色が変化していることは知られていたとニュースリリースで語っている。

今回の研究では、こうした変化が海全体におよぶ暗化を引き起こしていることを証明しています。そのおかげで、太陽や月に頼って生きる海の生物が利用できる範囲が狭くなっているのです(トーマス・デイヴィス博士)

 それは海の生物だけの問題ではない。地上で生きる人間も無関係ではいられないことだ。

 海は酸素供給、気候変動の緩和、食料資源など、地球にとって欠かせない役割を担っている。その中核をなす領域が縮小しているという事実は、私たち自身の未来にも直結しているからだ。

 プリマス海洋研究所のティム・スミス教授は、「海はしばしば考えられている以上に動的な存在です」と語る。

 たとえば、ほんの24時間のうちに海の光の量は大きく変わり、海の生き物たちはそうした変化に非常に敏感であるという。

 もし海の光が届く範囲が50mも浅くなったのなら、光を必要とする生き物はその分浅い領域に向かわざるを得なくなる。そこで食料などをめぐる競争が激しくなり、海洋生態系全体に根本的な変化をもたらす恐れがあるという。

 「こうしたことを踏まれば、私たちは今回の研究結果は真に懸念すべきものです」と、デイヴィス博士は語っている。

References: New study reveals global ‘Ocean Darkening’ threatens marine life   - Plymouth Marine Laboratory / Global Change Biology | Environmental Change Journal | Wiley Online Library

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この記事へのコメント 15件

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  1. マイクロプラスチックが漂流している地域をよく調べたら海亀の寿命が伸びているとかいうこともある。
    ちゃんと調べないと、これが良いことなのかどうなのか確定はできませんよ。

    • -9
    1. 初耳だけど、それはプラスチックによって
      寿命が延びてると考えて良いの?
      関係ない理由で延びてるわけではなく?

      • +14
    2. 人間が出すものは、マイクロプラスチックだけではない
      富栄養化で餌が増えた結果とも考えられる
      マイクロプラスチックは寿命に影響しないのかな
      調べずに結果に飛びつくことはしたくないな

      • +15
  2. 悪い宇宙人が「美しい星だ…ククク」とか言えんくなるやん

    • +5
    1. 悪い宇宙人はマイクロプラスチックが好きかもしれないぞ

      • -3
    2. 既にもうその手の宇宙人は絶滅危惧種なんですよ。
      今は殲滅や滅亡が目的の連中ばっかりが押し寄せる始末。
      これはもう心底「昔は良かった」という他はありませんね。

      • +2
  3. 南極や北極の氷が溶けて、海面が上昇したことによって、全体的に海が深くなった結果、光の届かない範囲が広くなっただけではないの?
    でも、海面が上昇し海の深さが増すことで、光の届く範囲も変化し、海流が変わったりすると、その影響は絶大かも知れない。
    大西洋の南北を流れる大西洋南北熱塩循環が壊れると、欧州の気温がえらい下がるみたいだしね

    • +2
  4. 対策案も出さず懸念するべきと煽るだけの科学者が多いね

    政治家みたいだ

    • -16
    1. 「なんかわからんけど、面白い現象を見つけましたよ」
      と最初に言い出すのが、科学者の仕事だからね。

      • +17
    2. 当たり前のことだけど、まず実態を認識しないと対策案を立てることもできない。
      科学者たちはその実態を把握するっていう根っこの部分を担当しているに過ぎない。

      そしてこれも当たり前のことだが、これほど大きな問題を科学者だけの力で解決することもできない。
      だから警鐘を鳴らして社会全体が行動を起こすように呼びかけているわけ。
      せっかく警報を発してくれているのに何の行動も起こさないとしたら責任はこちら側にある。

      これは政治家についても同じこと。

      • +10
  5. 暗くなった海もあるけど明るくなった海もある。
    北欧のバルト海や北極周辺が特に顕著だけど、沿岸部では明るくなった部分の方が多いから記事にあるような栄養富化以外の原因があるのだろう。
    とりあえず真っ黒になっているバルト海に何が起きているのか集中的に調べてみては。

    • +3
  6. きっと黒潮になったんだよ
    日本の海は黒いのでは?
    親潮とか何色なんだろう

    • -3
    1. 黒潮が黒く見えるのは、栄養分が少なくて透明度が高いからって話だな。
      確か親潮の場合は栄養分が多いって理由で、緑色に見えるって話だ。

      • 評価

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