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プロレスはじめました!信者獲得のため興行を始めたイギリスの教会

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(著) (編集)

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 イギリスにある教会が、新たな信者を獲得するため、教会内でプロレスの試合を行って話題となっている。

 プロレスとキリスト教に一体どんな関係が?と困惑する人も多いようだが、主催者によると、実はこの2つの間には「善と悪の戦い」という、壮大な共通点があるんだそうだ。

 その背景はともかくとして、実際に教会にはプロレス好きが集まるようになり、洗礼を受ける人が激増しているんだとか。

 教会でのプロレス興行は、若者の教会離れに歯止めをかけるきっかけになるのだろうか。

教会離れが加速する現状をプロレスで変えたい!

 この教会は、イングランド北部の町シップリーにある、英国国教会のセント・ピーターズ教会である。

 イギリスでは若い世代を中心に、無宗教を公言する層が増えているという。新型コロナウイルスによるパンデミックで、毎週教会に通うという習慣から遠ざかる人も多くなった。

 2021年の国勢調査では、イングランドとウェールズで自分がクリスチャンだと考える人の割合は、なんと50%を切っているそうだ。

 その結果イギリス全土で、ここ10年の間に、3,500以上もの教会が閉鎖の危機に追い込まれているという。

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 この状況に危機感を抱いたのが、イギリスのプロレス団体「キングダム・レスリング」の代表、ギャレス・“エンジェル”・トンプソンさん(37)だ。

私はプロレスラーとして、リング上で物語を語る方法を常に探していました。私たちがリングで行っていることは、善と悪の戦いです。

私はクリスチャンになった時、クリスチャンとしての視点からレスリングの世界を見るようになりました。

ダビデとゴリアテ、カインとアベル、財産を奪われたエサウといった聖書の物語を見て、こういった物語をレスリングを通して語れるんじゃないかと思ったのです

 そこでギャレスさんは、毎月セント・ピーターズ教会のステンドグラスの下で、「レスリング・チャーチ」というイベントを開催することを思いついた。

 一見すると強面なギャレスさんだが、「エンジェル」というリング名の通り(?)、その実態は2人の娘の優しいパパ。

 レスリング・チャーチの開催日。築約100年の教会のアーチ形の天井の下に、不似合いな四角いリングが設置され、周囲には老若男女が集まってプロレスの試合に声援を送る。

​ もちろん、単にレスラーたちが闘って終わりではない。試合の合間には祈りや説教が行われ、キリスト教の信仰のメッセージが伝えられる。

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image credit: Facebook @St. Peter’s Church, Shipley

最初は不安の方が大きかったが…

 だがこの企画も、最初から思惑通りに行われたわけではない。この教会の主任司祭ナターシャ・トーマス牧師は、最初にレスリング・チャーチの開催に同意した時のことをこう語っている。

最初は不安もありましたよ。どれだけ過激で攻撃的なものになるのか、想像もできませんでしたから。

人々に触れてほしくないようなことを、模範とするつもりなのか?とか、たくさんの疑問が頭をよぎりました。今も全く証明されていませんけれど、私は本当に祝福だと思っています。

多少のリスクは覚悟しなければなりません。皆さんが知っている教会とは違いますし、誰もが楽しめるわけではありませんが、普段とは違う人たち、違うコミュニティがここに集まって来るんです

 だが実際にこのイベントが始まってからは、子育て世代の夫婦や十代の若者たち、タトゥーやピアスを入れたプロレスファンなど、実に幅広い層が教会を訪れるようになった。

 そしてなんとイベント開始から1年で、新たに30人がこの教会で洗礼を受け、クリスチャンとしての人生を歩み出したんだとか。

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 最初はレスリング・チャーチなるものに顔をしかめていた古くからの信徒たちも、この盛況ぶりに少しずつ心を開いていった。

  • 人々の心に響くようなことなら何でもいいんです。それがこの場所で起こりますように。本当に素晴らしいことだと思いますよ
  • レスラーを見るだけで、嫌悪感を覚える人もいるでしょう。でも、見た目で判断してはいけないと気づいたんです

キリスト教とプロレスに救われた経験から始まった活動

 ギャレスさんがキリスト教に目覚めたのは、2011年のことだった。そして2022年に最初のレスリング・チャーチを実現。2024年からこのセント・ピーターズ教会で、定期的に開催するようになったそうだ。

 幼少期に性的虐待を受け、十代をホームレスとして過ごしたギャレスさんは、その困難な日々の中で、レスリングが慰めと解放を与えてくれたのだと語る。

ショーン・マイケルズやストーン・コールド・スティーブ・オースチン、ザ・ロック(※)を観て、「自分もあんなふうになりたい」って思ってたんです。

プロレスは私にとって、ずっと現実から抜け出せる場所であり、心のはけ口でもありました。けれど今では、それを神様が全く違う形に変えてくださって、信仰と結びついた情熱へと昇華したんです

※1990年代後半から2000年代初頭にかけて世界的に活躍したアメリカのプロレスラーたち

 彼はこういった自身の体験から、プロレスの持つ「善と悪の戦い」の要素が聖書の物語と共鳴すると感じた。

 そしてリング上で聖書の物語を伝える手段として、キングダム・レスリングという団体を立ち上げたのだ。

 ギャレスさんの「レスリング・チャーチ」は単なるエンターテインメントにとどまらず、地域社会への貢献にも熱心に取り組んでいる。

 例えば女性向けの護身術クラスや、男性向けのメンタルヘルスグループの運営、退学になった子供たちのコーチングといった活動も展開し、地域社会への支援に努めているのだ。

これは両方の意味で効果があるんです。宗教に熱心な信者が、教会の活動の一環として参加してくれる。でもそのうちに「あれ? プロレスって意外と面白いかも?」ってなることもあるんですよ

 また、レスリング・チャーチの前女子チャンピオン、「キアラ」ことステファニー・シドさん(26)は、キングダム・レスリングでの活動が、自身のカトリック信仰とプロレスの世界を結び付けるきっかけになったと語っている。

キングダム・レスリングのおかげで、今では試合前のロッカールームで、自信を持って祈ることができるようになりました。

対戦相手にも声をかけて、一緒に祈るんです。「無事に試合ができますように、ケガをしませんように、そして何より、見ている人たちが楽しめますように」ってね

 伝統的な英国国教会のスタイルより力強い、「生まれ変わったキリスト教」を掲げるギャレスさん。

 彼は今後この活動を、他のイギリスの都市にも広げていく計画を立てている。そしていつかは、自らの教会を設立することも視野に入れているそうだ。

人は言うんです。「プロレスとキリスト教? どっちも現実味のない、作り物の世界じゃないか」って。

信じていない人からすれば、確かにそう見えるでしょう。でも、僕自身の信仰の体験から言わせてもらえば、それは生きていて、現実で、真実なんです。

プロレスの世界も同じ。心から信じて観れば、それは本物として感じられます。「信じる」という行為こそが力を持つんです

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References: British church opens its doors to pro wrestling to attract converts

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この記事へのコメント 29件

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  1. フライ・トルメンタという先達がいる。
    リングで悪役レスラーを叩きのめして「もう二度と反則プレーはいたしません」と懺悔までさせる偉大な神父だ

    • +17
    1. あちらはルチャが先にあって暴風神父がうまれたんだよね 
      逆のアプローチだけれどこのイギリスのムーブメントがどうなるのか興味があるな

      • +9
    2. 「グラン・マスクの男」では子供たちが役に立とうとして、電車(バス?)の中でギターを弾いて乗客に寄付をお願いするものの、振り返ったら腕組みをした神父さんが立ってたんだけ…?
      (子供ながらアチャーと思った記憶)

      日本ならタイガーマスクかな

      • +2
  2. クリスチャンロックっていう音楽のジャンルもあるしな。自由でええねん

    ただし、ヒールはリングを降りたら良い人がおおくて、ベビーフェイスは意外とくそ野郎・・・

    • +5
  3. sister actで町の不良たちが引かれて入ってくる感じのプロレスVer.か
    いいじゃないのー

    • +6
  4. プロレスって平和的利用で存在感を発揮すること多いよねぇ…何でだろ?

    この件もそうだし、イラクで猪木がプロレス興行したおかげで、日本人の人質を筆頭に全人質が解放されたりしたじゃん。

    他のスポーツとかでそんなことあんのかなぁ?

    • +11
  5. かなり意味合いが違うとは思うが、日本でも無宗教で相撲好きという人は大勢いる

    • +3
  6. そういやヤコブも神か天使とレスリングしてイスラエルの名を貰ってたしセム系宗教とは好相性かもね
    プロテスタントならぬプロレスタントだ(ドワハハハ

    • +9
  7. KBSホールみたいにデカいステンドグラスがある教会使ったらウケるかもね

    • +2
  8. 神の家で見世物していいのかしらん?
    右の頬を打たれたら、ラリアットしなさいAmen

    • +4
  9. 海外でも宗教離れが増えてるのねぇ。
    そういえば日本ではクラブのようにきらびやかにしてイベントやってるお寺とか、萌えキャラ(擬人化?)を作って人を集めるお寺とかあったわね……

    • +7
    1. テクノ葬式を目の当たりにしたときは自分の時はデスメタルがいいなぁと思った(肯定派)

      • +10
  10. アンデルセン神父「プロテスタントはそんなことしてるんだな(あの声」

    • +1
  11. 洗礼を受けたからこうしないといけないってのは無いから
    このような催しは本当にいい事だと思う
    神の子になってプロレスしてるだけだからね

    • +4
  12. 「天使にラブソングを」ならぬ「天使にレスリングを」か

    • +3
  13. 頭カタイと
    時代の変化についていけなくなるからね
    生き残りたければチャレンジは必要

    • +2
  14. フェイクニュースでもエイプリフールでもないのね…

    • +1
  15. 武道もストイックで良いですがこれは楽しそう
    優しくて強さを持て余す愉快な人には中々ぴったりのエネルギーの昇華の仕方かも
    フィクション(ご免なさい)とプロレスなら相性は良いはず(多分) どちらも無意味なはずも無く
    どうかずっと強く優しく楽しく健やかで と思う

    • +2
  16. ジャックブラックが出てる『ナチョ・リブレ』って映画があったなぁ。あれも実話が元だっけ。

    • 評価

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