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脳の老化は44歳からはじまり67歳で最速になるとする研究結果。その予防と対策は?

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(著) (編集)

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 歳をとると体の衰えを感じることが多いが、脳はどうなのだろう?物忘れがひどくなったと感じるのは本当に脳の老化のせい、それとも老化のせいにしている?

 いったいいつ頃から脳の老化は始まるのだろうか?もちろん個人差はあるだろうが、アメリカの研究チームが答えを導き出した。

 約1万9300人以上の脳のスキャンデータとテスト結果を分析したところ、脳の老化が顕著に現れ始めるのは平均で44歳からであることが判明した。67歳になると脳の老化のスピードがさらに加速し、90歳に達すると老化速度は落ち着くことが分かったという。

 だが安心して欲しい。今回の研究では脳の老化を効果的に予防できるかもしれない方法も紹介されている。

脳はS字曲線で衰える

 ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校をはじめとする研究チームは、1万9300人分以上の脳スキャンデータを分析して、脳のネットワーク機能を調べた。

 その結果明らかになったのは、意外な脳の老化パターンだ。

 脳の老化というと、高齢者になって急激に衰えるといったイメージや、年齢が上がるにつれて同じ割合で段々と衰えるといったイメージがあるかもしれない。

 だが今回判明したのは、脳の老化がS字を描くにようにして進行するということだ。最初の老化の兆候は44歳ごろに現れる。

 そして、ここから67歳までにかけて老化が加速していく。だが、それをすぎると老化は徐々に遅くなり90歳までには安定するようになる。

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脳の老化を引き起こす主な原因

 ではなぜ、脳はS字曲線を描いて衰えるのだろうか?

 研究チームのリリアン・R・ムジカ=パロディ教授は、ニュースリリースで「神経細胞の飢え」が関係していると説明する。

 代謝・血管・炎症のバイオマーカーを詳しく調べてみると、血管や炎症が変化する前に、まず代謝が変化するのである。

 研究によると、脳の老化を促す主要な要因の一つは神経細胞のインスリン抵抗性だった。これは、加齢とともに脳がインスリンに対する反応を弱め、ブドウ糖をうまくエネルギーとして取り込めなくなる現象だ。

 結果として、神経細胞のエネルギー供給が不足し、脳の信号伝達に支障が出る。

 さらに、遺伝子解析によって、ブドウ糖を細胞に取り込むタンパク質「GLUT4」や、脂肪を運搬する「APOE」の活動が、脳の老化の兆候と密接に関連していることも確認された。

 特にAPOEは、アルツハイマー病との関連が強いことでも知られている。

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研究者らは、ストレスに対するニューロンの反応を観察した Antal et al.、PNAS、2025

脳の老化を遅らせるカギはケトン体

 では脳の老化を予防する方法はないのだろうか?研究チームが提唱する新たな予防策が「ケトン体」である。

 ケトン体とは、糖質ではなく脂肪が分解される際に生成される脳の代謝エネルギーであり、インスリンがうまく働かなくても利用可能な、いわば「脳の非常用燃料」である。

 今回行われた遺伝子解析により、「MCT2(モノカルボン酸トランスポーター2)」というタンパク質が、ケトン体を効率的に取り込むための輸送体であることを発見した。

 タンパク質はインスリンの働きによって活性化するが、MCT2の場合、インスリンに頼らずケトン体を補給することができるため、脳の老化を抑制できる可能性があることが分かった。

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脳の老化予防は40代からはじめる必要がある

 ただし、脳の老化予防にはタイミングが大切なこともわかっている。

 すでに述べたように脳の老化は40代半ばごろから始まり、60代後半にかけて加速していく。もし脳の機能を維持したいのなら、老化が加速する前に予防するのが望ましい。

 老化が進行しすぎた段階では、エネルギー不足が他の生理的な問題を引き起こし、回復が難しくなる可能性が高いのだ。

 ムジカ=パロディ教授らが被験者にケトン体を投与して、それが脳に与える作用を観察したところ、一番効果的だったのは脳ネットワークが不安定化し始める中年期(40~59歳)だったことがわかった。

 その一方、ネットワークの不安定化が最高潮に達する高齢者(60~79歳)では、ケトン体の効果があまり発揮されなかった。

 ムジカ=パロディ教授は、「40代の脳はエネルギー不足で苦しんでいるが、まだ修復可能な状態にある。適切なエネルギー補給を行えば、神経細胞の機能を回復させることができる」と述べている。

 一般に、認知症は65歳以上になるとぐっと発症しやすくなる。その頃になれば誰しも脳を衰えを実感し、何かいい予防法はないものかと、食事を見直したり、サプリを始めてみたりする。

 今回の研究では、ケトン体によって脳の老化を防げる可能性が示唆されている。だが、最大の効果を上げるには、認知症状が現れるずっと前、40代で始めねばならない。

 ムジカ=パロディ教授は、脳内のインスリン抵抗性が増えていることを中年の段階で診断し、きちんとした処置を施せば、大勢の人々の脳の老化を大幅に抑えることができるかもしれないと伝えている。

 この研究は『PNAS』(2025年3月3日付)に掲載された。

追記:(2025/03/14)タイトルを一部訂正しました。

編集長パルモのコメント

パルモの表情、てれかくし

というかこの研究結果は、スタンフォード大学が発表した身体機能の方の「44歳と60歳の時に劇的に老化が進む」という研究とも時期的に一致してるな。


私は子供のころから物忘れがひどいのだが、年を取るにしたがってさらに悪化しているような気がしなくもない。食生活の改善とやらをはじめればまだ間に合うかな?個人差もあるしな。

いやその前に病院にいってインスリン抵抗性が増えているかどうかを診断してもらうのが先かな?めっちゃ増えてたらどうしょう。

References: Research Reveals Critical ‘Midlife Window’ for Preventing Age-Related Brain Decline - SBU News / PNAS

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この記事へのコメント 28件

コメントを書く

  1. 40代から60代って絶望感や忘れてしまいたい事もぐっと増えるころだから 脳の老化はむしろ歓迎かなぁ 
    むしろ穏やかにどんどん忘れるやり方を身につける事も大事になってくる

    • +18
  2.  運動をしない人は糖質制限という形でケトン代謝に傾けて痩身している人がいますね。 もしかすると腹八分というのはそういった体への負荷の低減、さらには脳も老化しにくいのかもしれないなと思いました。 まぁ、人間は 100% ケトン代謝だけで活動できるわけでもなく、解糖系も使いつつその割合がケトン代謝を多くすることで脳の老化も防げるかもですね。 追研究も期待してます。

    • +11
    1. 私昨日ブラックサンダー大量食べちゃった…やばい…

      • +4
  3. 50すぎてタレントはじめ著名人の名前が最近パッと出てこなくなった
    なんかニュアンスみたいなものは記憶してんだけど名前がきちんと出てこない
    電車の中とかだとそれが気になってしゃーない

    • +20
  4. 昔流行ったココナッツオイルにケトン体が多く含まれてるね。その時は美容目的だった気がするけど。
    ココナッツオイル…流行からまだずっと続けてる人いるんだろうか。

    • +1
    1. ココナッツオイルにケトン体は含まれていない
      成分の中鎖脂肪酸に人間の体内でケトン体を作りやすくする効果がある
      そして今はココナッツオイルを精製し、中鎖脂肪酸100%のMTCオイルがダイエットに活用されている

      • +13
      1. わぁ、詳しくありがとうございます!
        ちょっと待って、忘れない様にメモするから。あれ、メモどこ行った?

        • +14
  5. 脳なんて録画レコーダーと同じと思えばいいんだよ
    記憶に残したいと思うものや知識が増えればやがては容量いっぱいになって記録出来なくなる
    それを阻止するために毎日睡眠をして録画内容を編集しまくって容量確保をしてる
    それを解消させる方法としては外付けHDDみたいなものを作らないと無理で音楽で言えばCD、映画で言えばBD、DVDが多少はその役割をしてくれてる
    昔で言えば読書家が山ほど本を所持してるのも同じ理由

    • -6
  6. 前も書いたんだけど
    カラパイアのこういう記事が理解できなくなってきた
    理解力が落ちたようでもあり、記事内の単語や文を読んでもっと詳しく知りたくなるようであり
    それが読書にも表れてる
    小説なんか読むと、別の小説家と比べて文体がどうだとかこんな世界観だと作者は上流階級出身なのかな等雑念が増えた
    昔は記事を読んで素直に理解した気でいたし小説もストーリーを楽しんでた
    老化なのか精神的社会的成熟なのか

    • +20
    1. 型やステータスにこだわるなんてむしろ精神的後退だと思う

      • -3
    2. 知ってる情報が増えたから見え方が変わったんだと思う

      • +13
  7. ケトン体増えすぎての異常症もあるから、あまりに極端なダイエットや慣れてない時の長期間ファスティングは危険な時もある
    ただ今の食生活は添加物排泄のために有効な面もある

    • +9
  8. 「ムジカ=パロディ教授」を読み間違えると大変な事になる

    • +2
  9. ケトジェニックダイエットみたいな特殊な食生活をするか運動でエネルギーを使い切るかしないとケトン体って生成されないんじゃないの?
    自分で実践するにはなかなかハードルが高いな

    • +1
  10. そんじゃ、脳と毛量はリンクしてるってことか。

    • -5
  11. へ~サプリあるのかなって思ったらそういうモノではなさそうだね
    もっと研究進んでほしいけど私の老化には間に合わないだろうな

    • +4
  12. ケトン体って悪阻の時に検査したけど、同じものなのかな?

    • 評価
  13. 新たなサプリビジネスの香り・・・

    いや、研究自体は真っ当で実験結果にも嘘は無いと思う
    でもこれを拡大解釈したような健康食品がわんさと出てきそう

    • +3
  14. 理由は分からなかったが老人になっても肉や脂を好む人は心身共に強いと思ってた

    • +3
  15. 症状が出る前に準備しとかないといけないってのが重要よね
    できるのはあくまで現状維持だけで
    物忘れが増えたと気づいた頃にはもう取り戻せないのかも

    • +6
  16. 半年前に初期の糖尿病と認定されました
    インスリン抵抗性ヤバいです

    • +1
  17. 遺伝、体質、既往症、様々な要素があると思うので、教条的に信じ込むのもどうかと思う

    • +2
  18. 同居してると親が50過ぎたあたりからの
    思考力とか理性的な部分が一気に落ちてったのは実感した
    5歳刻みで一段階上がるみたいな感じまである
    あと話していて言葉が出なくなってくるな
    本人たちに自覚はないっぽいけど

    • +4
  19. 糖尿病人はココナッツを食べ過ぎるとケトン体が増えるとケトアシドーシスになる危険性があるので注意

    • +2

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