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まだたくさんあった!超大質量ブラックホールの3分の1以上が隠れていたことが判明

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(著) (編集)

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超大質量ブラックホールを取り囲むガスと塵の厚いトーラス(ドーナツ状の構造)。トーラスは、ブラックホールに落ち込む物質によって生成される光を遮る。この画像を大きなサイズで見る
NASA/JPL-Caltech
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 宇宙には隠されて目に見えない「超大質量ブラックホール」が、想像以上にたくさん存在することが、最新研究で明らかとなった。

 NASAをはじめとする国際的な天文学者チームによるこの発見は、太陽の数十億倍の質量をもつ怪物ブラックホールがどのように成長するのか、それが銀河や宇宙の進化にどう影響するのかといったことを理解する手がかりになるという。

ブラックホールが隠れている理由

 矛盾するようだがブラックホールは見える。それどころか、宇宙で最大級に明るい天体だ。

 確かにブラックホールの強力な重力からは光ですら逃れられない。だから「事象の地平面(イベントホライゾン)」と呼ばれる特定のラインの向こう側は見えない。

 ところが、事象の地平面の外側は非常に明るい。渦を巻きながら引き寄せられたガスや塵が摩擦によって激しく加熱され、X線などの光を放つからだ。

 だが、こうして集められた物質が、ブラックホールの光を遮ってしまうことがある。

 引き寄せられたガスや塵は、ブラックホールの周囲に集まり、円盤のような形を成す。そうした構造は「降着円盤」と呼ばれる。円盤というが、ここでは分厚いドーナツ状の構造を想像するといいだろう。

 ブラックホールの本体は、このドーナツの穴の中央にある。もしもドーナツの穴がこちらへ向いていれば、ブラックホールの光は地球の望遠鏡ではっきりとらえられるだろう。

 だがドーナツの側面が地球に向いていれば、ブラックホールに近いところから放たれる強力な光は、壁のような側面に遮られてしまう。隠れたブラックホールとはこれのことだ。

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超大質量ブラックホールは、ドーナツのようなガスや塵の雲におおわれている。ドーナツは赤外線で見えるが(左上)、可視光では見えない(右上)。また低エネルギーX線(左下)と高エネルギーX線(右下)でも見え方が違う/Image: NASA/JPL-Caltech

超大質量ブラックホールの35%が隠れていた

 今回の研究では、こうした隠れたブラックホールが宇宙にどのくらいあるのか調べられた。

 だが隠れて見えないブラックホールをどうやって探せばいいのだろうか?

 じつはドーナツは中心からの強力な光を吸収した後で、もっとエネルギーの弱い光を赤外線として放つ。これをNASAのIRAS衛星で観察したのだ。

 またX線であってもエネルギーのもっとも強い部分ならばドーナツを貫通できるので、NuSTAR宇宙望遠鏡で観察できる。

 こうしてドーナツの向きを調べたところ、超大質量ブラックホールの35%が隠れたブラックホールであることがわかったのだ。これまでその割合は15%ほどとされてきたので、従来の説よりかなり多いということになる。

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NuSTAR宇宙望遠鏡のイメージ/ NASA/JPL-Caltech

宇宙や銀河の進化を紐解く手がかり

 こうした研究を通じて、ブラックホールの正確な数を把握することは、宇宙の進化を知るうえでとても大切なことだ。

 英国サウサンプトン大学の天体物理学者ポシャク・ガンディ氏は、「もしブラックホールが存在しなかったら、銀河はずっと大きくなっていたでしょう」と、NASAのニュースリリースで語っている。

例えば、天の川銀河に超大質量ブラックホールがなかったとしたら、空にはもっとたくさんの星々があったでしょう

これはブラックホールが銀河の進化に与える影響のほんの一例です(ポシャク・ガンディ氏)

 ブラックホールの影響は、銀河を超えてはるかに広がっている可能性もある。昨年発見された観測史上最長のブラックホールジェット「ポルフィリオン」は、天の川銀河140個分というとんでもない長さだ。

 このようにブラックホールは宇宙や銀河の進化に大きな影響を与えていると考えられるが、それほど強力な天体であっても人類の目から隠されてしまう点が、宇宙の神秘的なところかもしれない。

 この研究は『The Astrophysical Journal』(2024年12月30日付)に掲載された。

References: How Many Black Holes Are Hiding? NASA Study Homes in on Answer | NASA Jet Propulsion Laboratory (JPL)

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この記事へのコメント 7件

コメントを書く

  1. 私の想像なんですが、ダークマターって不活性のブラックホールなんじゃないですかね

    • +5
  2. 宇宙においてブラックホールが占める質量はいまだと宇宙総重量の1%ぐらいの計算なので、
    この話が確かならば、現状で宇宙の95%を占めるダークマター(ダークエネルギー)の正体が少しだけわかるね!

    • +3
  3. すごく濃くて頑丈な煙なんだろう
    これって極軸以外の全部が覆われる場合もあるんじゃ?

    • +1
  4. こういう話題、図解されてるから「ふーん」としか感じないけど、実際にはスケールがでかすぎる話なんだろうな。
    宇宙は想像も付かないくらい広い。

    • +2
  5. 昔のブラックホールのイメージ図は真っ黒な穴とそこへ落ちる渦巻きという感じだったけど、インターステラー以降は真っ黒な本体の周りを眩しく光る降着円盤が回ってるイメージが定着したね(ブラックホール本体に隠れている部分の降着円盤も超重力で時空が曲がって正面から見えてしまってるイメージ)

    記事にある最新のドーナツ説を採用したイメージもそのうち映画で再現されるのかな
    大作SF映画自体が滅多に作られないけども

    • +1
    1. 科学や物理的には常識的な考えだが、一般大衆の知識とはずれていた部分が、映画などによって大衆にも一般化していくのはなんとなく面白いよね
      ただ、その逆で間違えた論証が拡散されてしまう危険性も含んでいるけど

      インターステラーもなるべく(現代の)科学的には間違えが少ない可能性があるブラックホールをできる限り再現しているけど、全くの嘘の部分(SF的な面白さを加味)も結構含まれているしね

      • +1
  6. 左上の赤いのが焼きリンゴに見えたアテクシ食いしん坊でしてよ。

    • +3

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